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conscience

my diary

地方の鉄道

2022年07月26日 | 日記
 コロナ禍で各産業とも打撃を受けている中で、地方鉄道存続の危機が訪れつつある。国土交通省の有識者検討会なるものが、1キロメートル当たりの一日の平均乗客数が1000人未満の路線などを対象に3年以内に存廃の結論を出すという。地方鉄道については、朝夕における高校生などの通学手段となっているものの、一方で、高度経済成長期以降は、自家用自動車が地域の主な交通手段になっているのも確かで、交通不便な地域の住民であるほど、わざわざ鉄道を利用しようかと言うニーズは無いと言っても良いかもしれない。成程、通学の為だけであれば、多額の税金を補填してまで赤字路線を残す意味はないかもしれないが、しかし、本当に赤字路線を廃止してしまっても良いのだろうか。例えば、多くの路線が廃止された北海道各地の場合はどうなっているだろうか。益々、地域の過疎化が進み、寂れてしまったように見える。
 政府は、大都市への人口集中の弊害を認め、地方への人口移転を推奨していたのではなかったのか。それを、地方の基幹交通手段の一つである鉄道を廃止する方向に舵を切っても良いのだろうか。SDGsの精神からしても、何かあった場合の日本全体の回復力(Resilience)という観点からしても、限界集落化が進む地方を生き残らせる為にも、もう少し検討を重ねる必要があると思う。鉄道は、例え赤字が続いたとしても、ある意味では、象徴的な意味もある。
 地域活性化の為には、今後、専門学校などは地方に作ることにして、インターネット環境などを利用して高度な授業を行うということもあり得るだろうし、地域発の産業振興ということを政府の重点施策の一つとしてもらいたい。都会と地域との二拠点居住も進めて欲しい。その為にも、鉄道の持つ意味は大きいのではなかろうか。
 都市化が進む日本であるが、文化というものは、何も都市で生じるものばかりではない。少し前までは、「東京といっても、田舎の人の寄り集まりだ」と言っていたものだが、多様性に富み、日本文化の基盤を作ってきた地方文化を絶やしてしまって、将来にわたって日本人は生き残っていけるものだろうか。そして、その鍵の一つは、地方における鉄道の存廃にあるのではなかろうか。
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