茜さんが俺を呼び出したのは、ある金曜の夜のことだった。
俺が中古のポンコツ車を走らせていくと、彼女は街頭の下一服していた。
片手にはタバコ、片手にはビール。
彼女がタバコを吸っているということは…
「何か、あったんですか。」
俺は、わかりきってることをきいてみた。
彼女は根っからのスモーカーではない。
辛いことがあると、吸う。
彼女は、何も言わずに俺の腕をつかみ額をおしつけた。
赤い顔の、火照りが伝わってくる。
「まさきぃ。」
「なあに。」
「部屋で飲んでると、気持ち悪くて。外で飲むと、なんか気持ちいいの。」
「そう。」
「いろんなこと、泣けてきた。でもどこか、あったかいの。」
「うん。」
「でもやっぱ、悲しいし。でもなんか、すぐ酔えて。そうすると少し、世界はぐらぐらと揺れるの。」
俺は、もってきたコンビニ袋をがさごそと探った。
「嫌な今日を、はやく終わらせたいよ。ここに、いたくないよ。ぐらぐら揺れて、はやくかわっちゃいたい。」
「…茜さん。」
俺は、タバコに火をつけてビールの缶をあけた。
「つきあいますよ。」
悪くないと思った。
タバコもビールも、彼女を守ろうとする自分も。
変に理由はいらない。
そんなのなくても、そばにいてあげるから。
月のない夜。
街頭の光は、意外と優しく穏やかで。
茜さんは泣いていたけど、それでもなんとかなるような気がした。
俺が中古のポンコツ車を走らせていくと、彼女は街頭の下一服していた。
片手にはタバコ、片手にはビール。
彼女がタバコを吸っているということは…
「何か、あったんですか。」
俺は、わかりきってることをきいてみた。
彼女は根っからのスモーカーではない。
辛いことがあると、吸う。
彼女は、何も言わずに俺の腕をつかみ額をおしつけた。
赤い顔の、火照りが伝わってくる。
「まさきぃ。」
「なあに。」
「部屋で飲んでると、気持ち悪くて。外で飲むと、なんか気持ちいいの。」
「そう。」
「いろんなこと、泣けてきた。でもどこか、あったかいの。」
「うん。」
「でもやっぱ、悲しいし。でもなんか、すぐ酔えて。そうすると少し、世界はぐらぐらと揺れるの。」
俺は、もってきたコンビニ袋をがさごそと探った。
「嫌な今日を、はやく終わらせたいよ。ここに、いたくないよ。ぐらぐら揺れて、はやくかわっちゃいたい。」
「…茜さん。」
俺は、タバコに火をつけてビールの缶をあけた。
「つきあいますよ。」
悪くないと思った。
タバコもビールも、彼女を守ろうとする自分も。
変に理由はいらない。
そんなのなくても、そばにいてあげるから。
月のない夜。
街頭の光は、意外と優しく穏やかで。
茜さんは泣いていたけど、それでもなんとかなるような気がした。