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きまぐれ雑記

日常の出来事と私の好きなものを思いつくままにゆっくり記していきます

楢山節考

2018-06-06 21:01:43 | 観劇・伝芸
平成27年の再演の話を聞いた時から、ずっと観たいと思っていた野村万作さんの楢山節考。

先日、名古屋公演が名古屋能楽堂で行われましたので、行ってきました。




楢山節考は民間伝承の棄老伝説を題材にした深沢七郎さんの小説を原作としています。

狂言=笑いが一般的ですが、この作品には笑いは一切ありません。それどころか主人公のおりんは一言のセリフも無いのです。

一言も発せず、動きだけで物語の世界を表現してしまう狂言の技術に驚きながら、指先まで神経が通った演技に引き込まれました。

一人楢山に残ったおりんに雪が降り積もり、寒さの中で過去を回想する場面は、村の掟とか子供の残酷さを感じて複雑な気持ちでした。

でも、おりんがおそらく息絶えて天に召されるのであろう場面は悲壮感を感じず不思議な感覚でした。

万作さんは「セリフを言ってしまったら、普通のお芝居になってしまう」とおっしゃったそうですが、狂言の表現力の広さを改めて感じた演目でした。

名古屋公演が実現して本当に嬉しかったです。


この日のもう一つの上演曲は「呼声」

これは謡がたくさんあって、狂言らしく楽しい曲なので好きなのですが、萬斎さんのシテで拝見するのは初めてだったかもしれません。


とても素晴らしい公演でしたが、残念なことが一つ。

上演中に客席で携帯の着信音がしたこと。

非常識な観客がいたことに地元民として恥ずかしく思うと同時に腹立たしい気分でした。
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お豆腐の和らい

2018-05-07 20:56:56 | 観劇・伝芸
久しぶりに茂山家の狂言会。お豆腐の和らい。

名古屋の北文化小劇場が会場です。



こちらの会場で狂言会をされるようになってから行く機会が無かったので初めての会場でした。

今回のテーマは新作CLASSICS。



番組は新作狂言が3曲で、その中に一度観たいと思っていた「狐狗狸噺」があったのでチケット購入しました。



公演は今年の12月に千之丞を襲名される(このお知らせが届いたときはかなり驚きました)童司さんの演目などの解説からスタートし、最初が「狐狗狸噺」です。

お話は狐と狗、狸がお互いに化かしあいをするお話で、皆さんしっぽをつけての熱演でした。この曲で久しぶりに丸石さんを拝見したのですが、相変わらずキュートでした。


2曲目は「空桶」。

これは題名でもわかる通りに空の桶=カラオケでして、桶の蓋を開けると音楽が鳴りだしてこれに合わせて役者さんが歌を歌われるのですが、狂言の謡ではなくて昭和歌謡・・・。

でも千五郎さんのお歌は何を歌われても謡に聞こえてくるのは私だけなのかな。

昭和歌謡はよくわかりませんでしたが楽しい曲でした。


最後は「死神」。

借金で困っている男を死神が助けるのですが、お金に目がくらんだ男が策を弄して命を落とすお話ですが、ひょうひょうとした死神がなんとも可笑しいお話でした。

この曲は過去に何度か拝見したことがあり、その時の死神は茂山あきらさんでしたが、今回は息子さんの童司さんでした。


3曲とも近年作られた新作狂言でそれぞれに面白さがあり楽しめましたが、近くの席で極端に大声で笑う方がいらして、ちょっと気になりました。
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万作を観る会

2018-01-29 20:56:39 | 観劇・伝芸
名古屋能楽堂での万作を観る会に行ってきました。




今年で19回目。

番組は狂言3曲。

筑紫奥、金岡、蝸牛。


筑紫奥は年貢納めの内容で奏者を笑わせようとするのが楽しい。初めて観る曲のような気がしました。


金岡は大納言で万作さんが金岡を演じます。

物狂いの狂言で絵師の金岡が妻の顔に絵の具を実際に塗ったりするのも珍しい気がしますし、何より地謡がかなり辛辣な内容なので笑いを誘います。

万作さんは大納言で演じる事が多いようなお話をされていました。


最後は蝸牛。

この曲は良く上演される曲で展開も良く知っていますが、思わず笑ってしまう面白さがありますね。

萬斎さんの山伏の「でんでんむしむし」という囃子がキレが良くて楽しかったです。


今年の観劇初めはとても寒い日でしたが、楽しい観劇でした。
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狂言ござる乃座20th in NAGOYA

2017-10-05 20:43:04 | 観劇・伝芸
名古屋能楽堂で野村萬斎さんの狂言会「ござる乃座」の20回目の公演に行って来ました。




今回の公演のメインは「狸腹鼓」、他に狂言「三本柱」小舞「柴垣」素囃子「神楽」というプログラム。


「狸腹鼓」は尼に化けて夫を探すうちに人間(猟師)に遭遇してしまう狸のお話で、猟師に殺生を戒めるところなども含めて「釣狐」と似た演目です。

でも、研ぎ澄まされた印象を受ける「釣狐」とは違って、少し丸みを感じる演目でもあります。


私が萬斎さんの「狸腹鼓」を拝見するのは2度目なのですが、前回同様にラストの橋掛かりでの姿には哀愁を感じていました。

そういう点では狂言らしい演目では無いのかもしれないですが、私は萬斎さんの「狸」はかなり好みの演目かもしれません。

藤田さんの笛も素晴らしかったです。


もう一つの狂言「三本柱」は、かなり久しぶりでしたので、ちょっと懐かしい感じで拝見していましたが、囃子物が楽しくて明るい気分になりました。

お弟子さんたちの上演で、それぞれに良かったのですが、やはり万作さんの果報者が軽快で流石の存在感でした。


名古屋での狂言会が20回という節目を迎え、そんなに時が流れたのかと思いましたが、観客としては全く成長できていない自分がちょっと情けなくもありましたが、これからも見続けられたらいいなと思っています。
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HANAGATA 忠臣蔵 外伝

2017-07-27 20:48:29 | 観劇・伝芸
久しぶりに兵庫県立芸術文化センターで茂山家のHANAGATAの公演を観て来ました。


HANAGATAの公演は京都で行われていた頃はずっと観ていたのですが、何故か兵庫で行われるようになってご無沙汰に。

  

今年は題材も面白そうだったのと、日程的にも大丈夫な日だったのでチケット購入しました。


HANAGATAの公演は狂言風のお芝居という感じのものが最近多いように思うのですが、今回も同様な感じ。


今回の作品は、赤穂浪士の討ち入りに関連した3つのお話ですが、討ち入りそのものというのではなくてその周りで起こったフィクションの物語。


狂言の型を使ったお芝居なので語りは流暢で歯切れも良くて聞きやすくわかりやすかったですし、楽しいお芝居でした。


童司くんの飄々とした娘さんが味があって気に入りました。


ただ、私の好みとしてはお芝居よりも狂言の方に比重を置いた作品の方が好みかな。

今回の作品は狂言よりもお芝居の比重が大きかったように感じましたので、新作の狂言とか上演して欲しいなと思いました。
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