ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

Rの物語ー再会ー

2019-11-29 07:00:00 | 大人の童話
翌日、子爵は仕入れの責任者を連れて、船着き場に向かった。
貿易船から直接、荷を買い付ける為だった。
いつも質の良い売れ筋の品を、数多く運んで来る。
豪胆な船長と、堅実な副船長、どちらも信頼出来る人物だ。
遠目に船長の姿を認め、大きく手を振る。
そしてその横に立つ、小さな姿に目を見張った。
昨日の子供だ。
昨日は編んでいた赤毛を、高々と一つに束ねている。
広がり垂れる真っ赤な癖毛は、燃え上がる炎の様だった。
街並みに溶け込んでいた服も、今日は上等の品で揃えている。
「こんにちは、船長」
笑顔で握手をして、隣を見る。
視線に気付いて船長が言った。
「ああ、初めてでしたね。この子は補佐です。副船長が軽い食中りで」
子供が微笑んだ。
「よろしくお願い致します」
つられて微笑んだまま、子爵が尋ねた。
「昨日はありがとう。ところであの時、私の身元が別っていたのか?」
「取引先のことを知っておくのは、商売の基本です」
「すられたのが、無関係な男だったら?」
「港で揉め事を起こさないのも、商売の基本です」
微笑みを崩さない子供に、子爵が豪快に笑い、船長に向き直った。
「突然だが、この子を養子にもらえないだろうか。跡取り息子にしたいのだ」
仕入れ役が目を丸くして、子爵を見た。
今度は船長が声をたてて笑った。
その笑いをあっさり収めて、船長は言った。
「この子は船員全てで育てた、私達自慢の娘です。ですが男子をお望みならば、やはり無理がありましょう」
「娘?」
子爵は子供をまじまじと見た。
ー日に焼けて、ふてぶてしいほど落ち着き払った、女の子らしい愛嬌など、微塵もない
、この子供が………?ー
「顔に出てらっしゃいます。子爵様」
子供に言われて我に返った。
「いや、性別は関係ない。私の養女になって、家督を継いでくれないか?」
子供に迷いは無かった。
「承知しました」
船長は少し驚いて子供を見た。
そしてその目をやがて伏せ、僅かに笑った。

…………………………………………………………………………
船長の妻は家事が得意です。
ですが、初めての草木染めは、思うようにいかず、隠しておきました。
それをうっかり見られてしまい、
「星の形にするつもりだったの」
と言う、涙目の妻に、
「花と流星のようだ。有難う」
と、船長は大喜び。
ラブラブな二人でした。

船長愛用の玉ねぎ染めの布





材料
コットンの布 白 50cm×100cm
玉ねぎの皮 10個分
豆乳 150cc
ミョウバン 粒 大さじ3

輪ゴム
ビー玉

道具
ボール

ザル
ペーパータオル
ゴム手袋等

1ーボールに豆乳と等量の水を混ぜ、布を浸す。(ヒタヒタになる位で。動物性の布の場合は不要)
2ー1時間たったら、絞って乾かす。
3ー布を摘まんで捻り、糸と輪ゴムで固定。真ん中を染めたい時は、ビー玉等、丸い物をくるんで捻る。
4ー玉ねぎの皮を煮る。沸騰したら弱めの中火で30分。その後火を止め、30分放置。
5ー布を濡らして4の液に入れ煮る、沸騰したら弱めの中火で30分。その後、1時間放置。
6ー300ccの水にミョウバンを入れて煮立て、溶かす。
7ー布を絞り、6に15分浸す。
8ー布を水で洗い、乾かす。

染め液に触る時は、手まで染めないよう、手袋をして下さい。

 


ーRの物語ー出会い

2019-11-22 07:00:00 | 大人の童話
久々に飲み過ぎた。
足が少しふわふわする。
港町の細い通りで、子爵は思った。
夕方の飲み屋街は人影も疎らで、酔っているのは子爵と、道端に座っている酒浸りの男だけだった。
夕食にと入った馴染みの居酒屋で、いつになく急ピッチで、強い酒をあおってしまった。
亡くなった一人息子に、似た男を見たショックからだった。
ーそろそろ本気で跡取りを決めなければならないー
領地からの収入はささやかなもので、災害でもあれば持ち出しになってしまう。
貿易商であることと、切り離すことは出来ない。
子爵家の血を引き、商才のある者。
近い親類にはいない。
血とか言うのはもう古いのかもしれない。
それならば…………。
酔っている上に、考え事をしていたせいか、ぎりぎりで子供と擦れ違う。
と、懐に違和感があった。
手を入れると、財布がない。
振り向いた途端に、先程の子供が走り出した。
13、4才だろうか、身が軽い。
体力には自信があったが、50半ばの上、酔っている。
全力で走ったが、とても追い付きそうにない。
「スリだっ!捕まえてくれ!」
赤毛の子供を追い越す。若い男と行き違う。細身の女を視界の端に捉えて、腹が出た男の横を駆け抜ける。
それでもスリは遠ざかって、横の通りに入ってしまった。
ー無理か……ー
足が止まった。
その時。
「こちらです!」
高い声が響いて、振り向いた。
赤毛の子供が、若い男をうつ伏せにして、右肩を極めている。
子供は12、3歳だろうか、おまけに細い。
驚きながら小走りで戻ると、子供が言った。
「この人に何かを渡しました」
「放せよこのガキ!なんなんだっ、チビのくせして!」
若い男は悪態をつくだけで身動きがとれない。
「懐を探ってみて下さい」
子供は男の背中に片足を乗せ、腕を極めたまま、上体を少し捻り起こす。
「有難う」
罵詈雑言を聞き流し、子爵が男の懐に手を入れると、慣れた革の感触があった。
型押しされた家紋と、自分の名前を確かめると、男の顔の前にそれをかざした。
「これは確かに私の財布なのだが」
「知らねぇよ!さっきのガキが勝手にいれやがったんだ!」
「何の為に?」
「だから知らねぇってば!」
「お前の仲間だと考えれば、しっくりくるんだが」
「仲間だってんなら、このガキとだろう。そういやさっきのガキは、悪タレどものグループでよく見るツラだ。旦那にうまく取り入ろうって腹だろうよ!」
「そうなのか?」
視線にからかいの色を滲ませて、子爵は子供の顔をしっかりと見た。
顔立ちは整っていて、大きな瞳は長い睫毛で縁取られている。
そして、その眼差しに宿っているのは、鋼の光だ。
「私は船乗りで、昼に港に着きました。出港は五日後。悪巧みに加担するには、とても時間が足りません」
視線から『信用』だけを受け取ってさらりと流し、男を捕らえる役を子爵に替わった。
「と、いうことだ」
子爵は男の手首を握る手に力を込めた。
男がうめき声を出す。
「今回はこれで終わりだ。でも二度と、私に手を出すな」
「わかった。わかったから、放してくれ!」
子爵が手を放すと、男は素早く立ち上がって、手首を擦りながら言った。
「覚えてろよっ!このガキ!」
「待った!!」
走り出そうとする男の手を、子爵が再び捕まえる。
「何でそうなるんだ!?この子は関係ないだろう?」
「わかったよ」
答えを口元が裏切っていた。
ーこの子供は巻き込めないー
子爵がいくらかの金で解決しようと、手を動かしかけた時、子供が言った。
「ご心配なく。自分の身は自分で守れます」
振り向いた子爵を、微笑んで見返す。
ー大した矜持だー
「この子にも、手を出すなよ」
子爵は男を解放した。

…………………………………………………………………………
痩せた女のイヤリング。






材料
シルバーのイヤリング ぶら下がりタイプ 1組
スワロフスキービーズ 4㎜ アメジスト 2個
同色の毛糸 約50cm 又はフェルト用の毛 1つまみ
ビーズ 4㎜ 透明 4個
座金 8㎜ 4個
リング クリスタルガラス入り 4個
Tピン シルバー 2個

道具
中性洗剤(食器用洗剤等)
先の丸いペンチ


1 (毛糸はほどいてから)毛をなるべく短く千切る。

2 1の毛を2等分し、水で薄めた洗剤に浸して両手のひらの間で転がして、夫々丸く固める。

3 2を水でよく洗い、乾かす。

4 Tピンに、座金、3の玉、座金、リング、透明ビーズ、スワロフスキービーズ、透明ビーズ、リング、の順に通す。

5 Tピンの先をイヤリングの穴に通し、ペンチで丸める。

内緒だよ

2019-11-15 07:00:00 | 大人の童話
「おあっ!?」 
おとうさんの 大ごえで ぼくは 目が さめた。
ゲームを しながら ねむっちゃった みたいだ。
「おーい!虫かごだ 虫かご!」
大いそぎで おし入れを あけて 虫かごを つかんで リビングに はしる。
ドアを あけると おとうさんは ソファーの 上に ひざで 立っていた。
目を まんまるく して りょう手を まえに つき出して いる。
手には 金色の 毛が にぎられて いて その あいだで はだいろを した なにかが びちびちと うごいて いた。
「はやく!虫かごを くれ!」
ぼくが 虫かごを さし出すと お父さんは それを おしこんで 口を パチンと しめた。
「どうしたの?ながい ひるね だと おもったら」
おかあさんが カレーの においを させながら へやに 入って きた。
「あ おかあさん」
おとうさんは くびを ねじって おかあさんを 見た。
「よ ようかいを つかまえたんだ」


ぼくたちは 虫かごを かこんで 中を のぞいた。
耳が ながくて 金いろの たてがみと ふさふさの しっぽが 生えている。
大きさは ぼくの 人さしゆび くらい。
ほかは つるんと ふとった 赤ちゃん みたいだ。
大きな 青い 目で きょときょとと
ぼくたちを 見ている。
「ゆめの 中に こいつが 出て きたんだ。おれの しんだ おじいちゃんに きいた はなしを おもい出して つかまえた」
「どんな はなし?」
まだ すこし こうふん している おとうさんに おかあさんが きいた。
「こいつは ゆめで つかんだ まま 目を さますと げんじつに なる。そして こいつの なみだは ほう石に かわって しあわせに なれるんだ」
「なみだって どうするの?」
「わからない。でも おれは いなかに いえが ほしいんだ」
「こまったわね」
ばくは 口を はさんだ。
「おじさんと おばさんに きいて みたら?」
おとうさんが こわい かおをした。
「子どもは だまって いなさい!」
ぼくが なにか いうと いつも こうだ。
「あら それが いいわよ。おとうさん でんわよ でんわ」
おかあさんに せかされて おとうさんは でんわを かけに いった。


でんわで わかったのは パルミンって 名まえの ようかいだって ことと つかまえても だんだん 小さく なって にげられるって こと だけ だった。
「うーん」
おとうさんは しばらく うでぐみを した あと きゅうきゅうばこから ピンセットを とり出した。
さくの あいだから さきを 入れて パルミンの うでを つんつん つつく。
うでは くにょんと へこんで すぐに もとどおり。
こんどは 足を つまんで ひっぱって みる。
パルミンは すこし かおを しかめたけど ピンセットを はなすと やっぱり ぷるんと もとどおり。
「やめてよ おとうさん かわいそうだよ」
おとうさんの 目が つり上がった。
「うるさい!じゃあ どうするんだ!」
おかあさんが のんびりと いった。
「とりあえず なにか たべさせましょうよ」
おとうさんの 目じりが もとに もどった。
「ぼく ハチミツが いいと おもう」
「そうね」
おかあさんが にっこりと わらった。

ぼくは ペットボトルの ふたに ハチミツを 入れて パルミンの まえに さしだした。
「ハチミツだよ のむ?」
パルミンは りょううでを いっぱいに ひろげて ハチミツを うけとると 口を ちかづけた。
ほおを ぎゅっと すぼめて すいこむと まるい おなかが どんどん ふくれて いく。
パルミンは ハチミツから 口を はなすと ぼくを 見て にっこりと わらった。
ぼくは ドキッと して とても こまって しまった。
「かわいいわねぇ」
おかあさんは にこにこ した あと まじめな かおを して おとうさんを ふりむいた。
「なかせる なんて とんでも ないわ」
「じゃあ ほう石は どう するんだ」
「あきらめたら?いじめたら ゆるさない わよ」
二人は にらみあった まま だまって しまった。
おそるおそる ぼくは いった。
「はなして あげても いいんじゃない?」
おとうさんは かおを 赤く して 虫かごを じぶんの へやに もって いって しまった。


そのよる ぼくは ゆめを 見た。
ぼくは パルミンと おなじ 大きさに なって ならんで もりの 中を あるいて いた。
ころばない ように 下ばっかり 見ていると きゅうに あかるい ひろばに でた。
パルミンは うれしそうに たいようを 見上げると 大きく 口を あけた。
かおの はんぶん くらい ありそうな 口に 日ざしが どんどん すいこまれて パルミンの からだを かがやかせては きえて いく。
パルミンが ふりむいて 目が あうと あたまの 中で こえが ひびいた。
ーまねして みてー
ぼくも 大きく そりかえって たいように むかって 口を あけると お日さまの パワーが ぐわっと とびこんで きた。
どんどん からだが あつく なる。
からだじゅう エネルギーで パンパンに なると ぼくは ふわっと うき上がった。
よく見ると 森に 見えたのは 草やぶで ほそながい はっぱが たくさん 生えて いた。
パルミンが とびつくと はっぱは 大きく しなって 手を はなした パルミンを 大きく 上に とばす。
ぶら下がったり 上に のったり パルミンは たのしそうに とびうつって いく。
ぼくも まねをして とびのると はっぱは トランポリンみたいに ぼくを はね上げる。
少しずつ たかい はっぱに とびうつって いくと 5かい目で つるっと 足が すべった。
ーおちるっ!!ー
そのとき しゅるっと たてがみと しっぽが 生えて 右と 左に ぶんぶん まわりだした。
こんどは ぐんぐん 上がって いく。
パルミンが よこに とんで きて ぼくの 手を にぎった。
目が あって パルミンが にっこり わらうと ぼくも しぜんに えがおに なる。
きゅうに びゅうっと つよい かぜが ふいた。
ぼくたちは 上に とばされた けど パルミンと いっしょだから ぜんぜん こわく ない。
まわりを ぐるっと 見て みると ユリの 花びらが たくさん おどって いて いろんな いろを した パルミンの なかまたちが 花びらに だきついて たのしそうに とびまわって いる。
ーせーのっー
ぼくたちも 花びらに とびのると 上に 下に 右に 左に そして くるくると なみに はまった みたいに そらを びゅんびゅんと とんで いく。
「ひゃっほーっ」
かっ手に こえが でた。
ほかの パルミンたちの きもちも つたわって くる。
わくわく どきどき うれしいっ!たのしいっっ!!
ーあー
ぼくは きがついた。
ここは ときどき ともだちと キャッチボールなんかを する かわらの よこだ。
いわが おとうさんの かおに かわった。
「子どもは だまって いなさい!」
ぼくは さかさかまに おちて いった。


「おはよう」
ぼくが かおを あらって リビングに いくと おとうさんと おかあさんは あさごはんを たべて いた。
「あら はやいわね。なつやすみなのに」
おかあさんは 立とうと したけど ぼくの かおを 見て すわりなおした。
ドキドキ しながら ぼくは いった。
「おとうさん パルミンを いじめない なかせかたは 見つかった?」
おとうさんは むっとした。
「あるわけ ないだろ」
ぼくは しんぞうが ぎゅっと なったけど いきを 大きく すって おねがいした。
「じゃあ はなして あげて」
「うるさい!子どもは だまって いなさいって いっただろ!」
こわくて 目のまえが くらく なった けど りょう手を ぎゅっと にぎると パルミンの 手の かんじが もどって きた。
「かわいそうだよ。どうせ にげちゃうなら にがして あげようよ」
「口ごたえ するな!」
ぼくは がんばった。
「おねがいだよ。しぜんの 中で くらしたいんだ よね。だけど ここにも しぜんが あるよ。かわらとか はらっぱとか。ぼくは ちゃんと そとでも あそべるよ!」
「なまいき いうな!」
「パルミンも のびのび くらしたいんだ。なかまと いっしょに いたいんだよ!」
「それも そうね」
おかあさんが たすけて くれた。
「この子も こんなに いってるんだし はなして あげましょう」
おとうさんは だまって おかあさんの かおを 見つめた。それから ぼくの ことも じっと 見て いった。
「わかったよ。しかたないな」


ぼくは パルミンを ポケットに 入れて かわらに いった。
だれも いないのを たしかめて くさむらの 中で そっと 左の 手のひらに だす。
「ごめんね。パルミン」
パルミンは くびを かしげた。
「ここで いい?」
パルミンが うなづく。
「そういえば パルミンって ぼくたちを 『にんげん』って よぶのと おなじ だよね。きみの 名まえは?」
パルミンは くびを ちょっと かしげて から よこに ふった。
「ないの?」
こくっと うなづく。
「じゃあ ぼくが つけていい?きみは ゆめの 中で あそんで くれた。だから ぼくは ゆうきを だして おとうさんに おもった ことを いえたんだ。ぼくには きみは とくべつで 大せつな パルミンだから」
また うなづく。
「きみの 目の いろは きれいで あかるい 青だから『そら』。そらで いい?」
そらは 大きく うなづいた。その目から 青い ひかりの つぶが ながれて おちる。それは ぼくの 手の くぼみに あつまって うずらの たまご みたいに 大きくて すきとおる きれいな 青い 石に かわった。
おどろいて かたまって いると とおくから 人の こえが した。
ぼくは はっとした。
「見つかったら 大へんだね。さびしいけど さよなら」
ぼくは 右手で 石を つまんで そらが かかえやすい ように まえに 立てた。
「これは そらの なみだ だから そらの だよ」
そらは 目を ぱちぱち させて から 口を 大きく よこに あけて にいっと わらった。
そして 石に すいつくと ゼリーの ように のみこんだ。
ーこれで ともだち だねー
あたまの 中で こえが ひびく。
そらは とびたつと 草に まぎれて すぐに みえなく なった。


一しゅうかんご 青い ふうとうが とどいた。
おとうさんが おうぼしていた みなみの しまの とくべつしょくいんに さいよう されたんだ。
かぞく みんなで 二ねん しまの せんでんを すると ふるい いえも もらえる らしい。


ぼくは そらの なみだの ことを おとうさんと おかあさんに はなして みた。
おとうさんは めずらしく おこらないで きいて くれた。
「そういう しくみか.......じゃあ ほかの 人には ないしょ だな」
「うん。そうだね」
ぼくは げんきに へんじを した。


でも ぼくには まだ ひみつが ある。
あのあと ほかに 人が いないとき、パルミンたちは 出てきて くれて いっしょに あそぶように なったんだ。
あたまの 中で はなしも できるし いまでは みんなと なかよしで はなれるのは すごく さびしい。
だけど パルミンの なかまたちは いろんな なまえで よばれながら せかい中に たくさん ちらばって いるんだって。




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『Lの物語』に登場した、公爵夫人のリラが、収集した民話に出てくる妖精も、パルミンの仲間です。
番外編の童話として書きました。
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『ぼく』のお父さんが南国に転居したかった理由は、もう一つありました。
妻がとても、風邪をひきやすかったのです。
彼女は体調を崩した時に、市販のマスクでは、呼吸がしにくくなったことがありました。
以来、その時立体マスクで型を取り、自作したしたものを、愛用しています。


材料
ダブルガーゼ 36cm×17cm 2枚
マスク用ゴム 30cm


道具
ミシン
裁縫セット

1 型紙の上下に1cmの縫い代を付け、ガーゼ2枚を裁断する。
2 中央上下のタックを縫う。
3 ガーゼを中表にし、横に返し口を残して、1cmの縫い代で縫い合わせる。その際、タックは逆方向に倒す。
4 返し口から表に返し、返し口を閉じる。
ミシンでOK。
5 上辺中央部を7cm、縁から2㎜の位置で縫う。同様に下辺は4cm縫う。
5 横のゴム通し部分(平行四辺形部分)を、2つ折りにし、筒状になるように縫う。
6 ゴムを通し、実際に着用して長さを調整し、返し縫いで輪にする。
丸ゴムの方は、結んで輪にする。

このマスクはレギュラーサイズで大き目です。
縮尺してお好みのサイズになさって下さい。


Lの物語ーエピローグー

2019-11-08 07:00:00 | 大人の童話
「愛の庭」と呼ばれた館があった。
沢山の神話と伝説から、広く親しまれるおとぎ話が、産み出された幸福の場所だった。

ー完ー
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公爵夫人が書いた童話の、内表紙の原案です。
夫人お気に入りの置物の妖精を、モデルにしています。
材料
画用紙(でしたが、水分を吸っても変形しにくい紙をお勧めします) 1枚
和紙
折紙
ヤマトのり
下絵用の紙
鉛筆

1ー下絵を描く。
2ー下絵に合わせて和紙を切り(千切り)、糊で貼る。
3ー必要に応じて、ペン等で色を足す。





Lの物語ー遺品ー

2019-11-01 07:00:00 | 大人の童話
公爵は一人、屋根裏部屋にいた。
夫人の遺品を整理する、というのは口実で、収納品の確認をするつもりだった。
葬儀に関する一連の雑事が終わってしまい、一息つくのが怖かったのだ。
目は赤く、細面の頬が、更にげっそりと削げている。
手前の箱には、十六枚の絵が納められていた。
東西南北の窓から眺めた、四季の街並み。
寝付いてしまっている時でも、夫人が外を見た気になれるよう、六年前、公爵が注文したものだった。
「お前達も、もう用済みか」
箱から一枚を取り出し、労うように隅々迄、ゆっくりと目を移してゆく。
その動きが止まった。
一点を凝視し、直ぐに床に下ろす。
もう一枚取り出して、視線を走らせ、途中で止め、床に下ろしてもう一枚。
十六枚全てを床に下ろし終え、公爵は呆然と立ち尽くした。
通りの隅に後ろ姿で、小さな八百屋を覗き込んで、屈んで子供と向き合って。
どの絵にも夫人がいた。
目鼻立ちも分からない大きさだったが、紛れもなく。
「リラ!リラッ!リラッ!!」
しゃがみこんで絵を抱き締めた、公爵の目から涙がこぼれた。
日が沈み、執事が迎えに来ても尚、止まらなかった。

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あちらこちらに出没、は、夫人の茶目っ気です。
夫人が、お気に入りの妖精の置物を、座らせる場所を時々変えて、公爵が見つけることも、二人で楽しんでいました。





妖精の置物(3~4cm)
材料
石灰粘土 一握り
青いビーズ(4㎜) 2粒
ニス

道具
爪楊枝
粘土台
ハケ
水入れ

1ー粘土を2当分にする。
2ー1ーで分けた片方を1:3に分ける。
3ー2で分けた1で頭を、3で胴体を作る。細かい部分は爪楊枝を使う。
4ー目の部分にビーズを埋めて、バランスを調整する。
5ー1で分けたもう片方の粘土から少し取り、頭と胴体をつける。
6ー手に水を少し付け、表面を滑らかにする。
7ー1で分けたもう片方の粘土を少し取り、細長くして捻り、たてがみを作る。
8ー残りの粘土を細長くし、捻って尻尾を作る。
9ーたてがみと尻尾に、爪楊枝で筋をつける。
10ーたてがみと尻尾を本体につける。
11ー細かい調整をする。
12ー2~3日乾かす。
13ーハケでニスを塗る。
14ー乾かす。