ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

楽園 Rの物語 ローシェンナの場合 ー拉致ー

2020-03-27 22:00:00 | 大人の童話
セランは港町にいた。
新型の天体望遠鏡が着くと聞いて、都で待ってなどいられなかったのだ。
ついでに海辺で歌ってみたいと、愛用のリュートも担いで来た。
夕日の照らされスキップしながら、海に向かう小路を抜けようとすると、通りの向こうから鈍い音が聞こえてきた。
赤い炎が舞っている。
真っ赤な癖毛をなびかせながら、女が争っているのだ。
素手で、三人の男を相手にしている。
足下に転がっているのも三人。
彼らは皆、異国の装束だ。
ー戦の女神は炎を散らしー
詩の一文を思い出し、我に帰った。
助けを呼ぼうと捻った首に、冷たい感触。
後ろから抱えられるのと、同時だ。
「動くな!」
耳元でしゃがれた声がした。
「こいつの命が惜しかったら、両手を頭の後ろで組め!」
東の港の訛りが滲む。
争いが一時止む。
「生憎と、その男とは初対面だ」
良く通る声で女が返す。
「俺達もそうだ。だから躊躇わずに殺せる。でも、お前はどうだ」
首に短く熱が走った。
続いて痛みと、僅かに濡れていく感覚。
「私のことは放っておけ!」
セランが叫ぶより早く、女は男に従った。
近くにいた男の当て身を受け、女がくずおれる。
それを素早く担いで、男達が走り出した。
解放されたセランがそれを追う。
セランを押さえていた男が、ぎょっとして振り向いた。
「お前達カナライのなりをしているが、ジャナの浜の出だろう!!帯が逆だし、訛りが出まくりだ!通報されたくなかったら、私も連れて行け!」
近くの家の中にも届くよう、大声で叫ぶ。
鳩尾に、鈍い痛み。

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カナライの上衣をイメージして







材料
布 幅160cm×約130cm
ベルト用の布 幅14cm×156cm

ヘアピン (ダイソー)

道具
裁縫道具一式
ミシン


1 布を裁つ
2 身ごろの脇部分と肩部分にジグザグミシンをかける。
3 Aとa、Bとbを、縫い代2cmで中表に縫い合わせる。
3 eを1cm幅で裏側に2回折り、ミシンで押さえる。
4 Cとc、Dとdを、縫い代2cmで中表に縫い合わせる。
5 fを1cm幅で裏側に2回折り、ミシンで押さえる。
6 裾を1cm幅、次に2cm幅で裏側に折り、ミシンで押さえる。
7 ベルトを細長く中表に折り、縫い代1cmで返し口を残してミシンで縫う。
8 ベルトを表に返し、返し口をまつり縫いする。
9 ベルトの端から2㎜のところを、一周縫う。


布マスクのゴムが手に入らなかったら

2020-03-24 21:51:57 | その他




リリアン糸を三つ編みにしても可愛いと思います。若干ですが、伸縮性もありますし。

お肌が弱い方にはやはり、伸縮性がある、薄く滑らかな生地で作った紐が良いと思います。コットンニットのバイアステープを使うと楽です。
シンプルな下着やTシャツにも、適した生地がありそうです。
バイアステープの様に斜めに切ると、伸縮性が増すので、お勧めです。




楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ー落雷ー

2020-03-20 22:00:00 | 大人の童話
「これは奥様お珍しい。丁度良い品が入ったところです。ですが長旅でお疲れでしょう。まずは奥でお茶でも」
顔馴染みの支配人が、にこやかに出迎えてくれた。
「今日は主も来ております。初めてでらっしゃいますよね」
あれはなにですね、などと中身のない話をしながら事務所の前に着くと、支配人が声をかけ、扉を開けた。
「初めまして、バグモンです」
立ち上がったのは、なかなかの美男子だった。
「遠路はるばるようこそ。お噂はかねがねうかがっております。経営も仕立の腕も一流だと」
「恐れ入ります。お目にかかれて光栄です」
握手をして微笑み合う。
「折角だから、一着仕立てて頂こうかな」
「どのようなお品を?」
「秋に向けて一揃い。お任せでお願いしたい」
「有難うございます。では採寸をさせていただけますか?」
頭の中でデザインを組み立てながら、愛用の巻き尺を取り出した。
「では、肩から失礼致します」
そして何気なく僧帽筋に触れた瞬間。
雷が落ちた。
正確には『雷が落ちた』『気がした』。
目が合った時も、握手をした時も、何も起きなかったのに、何故なのかさっぱり分からない。
けれども兎に角、三十路女の初恋は、何故か僧帽筋で始まったのだ。
そしてそれは相手も同じで、二人の視線は絡み合い、バグモンは私に言ったのだ。
「結婚して下さい」



その後、バグモンはこうも言った。
「息子のセレンは学者ばかでかなので、有能な嫁をもらって家業を継がせるつもりです。それまでの間、後少し、頑張らなければなりませんが・・・」
そうなのだ。そうは言った。だけれども。
「その後は二人で悠々自適、趣味三昧で暮らしましょう」
そう続けたではないか。それをこんな。



息子との初対面は衝撃だった。とんでもない美男子だったのだ。
そしてリュートを奏でながら、それはそれは美しい声で、私を讃える歌を、歌い上げたのだ。
あまりに麗しいそのシーンにうっとりしたのも束の間、息子の言葉に私は凍りついたのだった。
「本当に素晴らしい。お互い初恋であったとは。運命の相手とは、いくつになっても出会えるものなのですね。私も雷に打たれるまで、学究一途に邁進致しますっ」



そうだ。そして一年後、夫が河豚に中って死ぬなんて!。


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雷に打たれた後、垣間見た風景を、ローシェンナは小さなマットに表そうとしました。




材料
レース糸 20号 金色
アクリル毛糸 並太 パステルカラー4色
コットンスラブ オフホワイト

用具
かんたん手織りルーム ダイソー

1 縦糸54本を、レース糸でかける。
2 色1マスにつき横糸は、レース糸1回、毛糸2回を6度繰り返す。
3 最後の横糸は、レース糸にする。
4 糸は前列に5、6目織り込んで始末する。









楽園 Rの物語 ローシェンナの場合ープロローグー

2020-03-13 22:00:00 | 大人の童話
どうして、こんな事になったのだろう。
ローシェンナはひとりごちた。
奉公先の仕立て屋で主人に見込まれ、まあ悪い話ではないと跡取りの嫁になり、一男一女
に恵まれたけれど九年で寡婦。頑張って広げた店を息子に継がせ、娘を大店の嫁に出して、旅行がてら取引先に挨拶回りをしていた時に・・・・・。

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仕立て屋の端布は持ち帰り自由で、お針子達は、キルト作りに精を出していましたが、ローシェンナは髪飾りを作って、自分で付けていました。ある日それをリーダーに誉められ、お客様に共布で作って、プレゼントすることを提案。それがきっかけになり、頭角を現します。

端布で作った花飾り





材料
円形の端布 数枚


道具
お裁縫箱

1 円形の布の端5㎜を裏側に折りながら並み縫いをし、一周したら針を表に出し、糸を引き、絞る。
2 布を花弁に見立てて重ね、糸で止める。




Rの物語ー祝杯ー

2020-03-06 22:00:00 | 大人の童話
二年後、ルージュサンはローシェンナと軽く祝杯をあげていた。
王が民主化についての意見を聞いた時、会議の流れを二人で上手く作ったのだ。
まず、ルージュサンが本音を出させ、ローシェンナか建設的な話し合いに持っていく。
阿吽の呼吸だ。
四年前、ローシェンナを布問屋の後妻として紹介された時には驚いた。
昔、ルージュサンのドレスをデザインしてくれた仕立て屋だったからだ。
ローシェンナは、あの三年後、夫を亡くし、仕立て屋を守り続けて、息子に譲った。
その後、布問屋と一目惚れし合って、結ばれた。お互い初恋だったそうた。
けれども一年で又夫を亡くし、今度は先妻の息子に後を継がせるまでは、と、代表を務めているのだ。
「民主化には、何年必要だと考えますか?」
ルージュサンが問うた。
「三、四年はかかるでしょうね」
ローシェンナが答える。
三年後・・・・ルージュサンは思った。
トラタルムは十八になる。
事業と爵位を譲って、二、三年相談役を務め、ここでの役割は終わる。
その時、自分はまだ三十代だ。
それから一体何をしよう。
天文学を教わり始めたところだし、陸の旅もしてみたい。
どちらにしても。
私は自由だ。
自在に選び取っていく。
これまでも、そしてこれからも。
急風が、ルージュサンの赤毛を散らす。
未来はどこまでも、広がってゆくのだ。






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ルージュサンは鞄一つで船を下りました。
なので、いつでも鞄一つで、出発出出来ると思っています。

ルージュサンのバッグをイメージしたショルダーバッグ。







ただし、実際の使い勝手を考え、フラップ+ボタンを、ファスナーにしています。
『使い勝手のよいいつものバッグ』
の、4のLサイズを参考にして作りました。
表布は、カーテンの端切れの紺色で、底面とショルダーの裏面をグレーにしました。
裏布は綿で、白と水色のボーダーです。