ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

Aの物語ー失望ー

2019-07-26 06:00:00 | 大人の童話
「どうなさったのです?王よ。こんな夜更けに」
優美な曲線を削り出したベッドの上で、王妃が身を起こした。
その横で、豹柄が美しい大きな猫が、体をひねって目を細めた。
王はゆっくりと近寄って足元に立ち、王妃を見つめた。
「王妃よ。私はこの国の民に、国を任せようと思うのだ」
「ご自由になさいませ」
王妃はあっさりと言った。
「お話はそれだけですか?」
王が頷いた。
「ここにおられるのなら、早くお寝巻きになってこちらへ」
王妃は猫の背中をゆっくりと撫で、左を開けた。
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豹柄の猫  ーニードルフェルトの猫ー



色々な方のブログと、「ウチのコそっくりかわいい子猫」を参考に作りました。

材料
ニードルわたわた
羊毛フェルト(ミックス、茶、焦げ茶、オレンジ、ベージュ、黒、ピンク他)
キャッツアイ(ゴールド)
ボンド(木工用、又は手芸用)

道具
フェルティング用のマット
フェルティング用ニードル(普通、極細(細部の加工に便利、又、滑らかに仕上がります))
ニードルホルダ―(一度に二本刺せます。大きい部分を刺す時に便利、無くても可)
ハサミ(普通、小(細かい部分の加工用))
ニッパー
指カバー(左手人差し指を保護します。無くても可)



ニードルわたわたを四角形に千切り、ニードルを深く刺し固め、各部分を作ります。
ー球や丸太状のものは、時々両手で挟んで転がすと、早く形になります。

頭部ーコロコロに折り畳み、球形に固める。
鼻先ー折り畳み、頭部の半分程の大きさのマッチ箱状に固める。
耳ー折り畳んで二等辺三角形のマットに固める×2。
胴体ーくるくる巻き、下半分に更に一枚巻いて、厚いマンゴー形に固める。
前肢ーくるくる巻いて丸太状に固めてから、端から少し上を指先として90度曲げ固め、そのすぐ横下に1つ、先端に3つ括れを作り、指先にする。左右対照でもう1つ。
後ろ足ー折り畳んでコッペパン状に固め、先端に3つ括れを作り、指先にする×2。
太ももー端を中心に集め、メロンパン状に固める×2。
尾ーくるくる巻いてお好きな尻尾状に。


シートを作るーフェルトを短く千切り色々な向きに重ね、ニードルで軽く刺し固めます。

頭部色のフェルトで頭部の半分弱の大きさで7枚。
耳の内側のフェルトで耳と同じ大きさで2枚。

耳の部分に耳の内側のシートを重ね、ニードルをまんべんなく刺し、張る。


合体させるー前肢と後ろ足は接合部の中心をニードルで深く刺してから周囲を刺し付け、他は周囲を刺し付けます。接合部はわたわたを足してなだらかにします。

頭部に鼻先を刺し付け、鼻、下顎、鼻の横と、十字に似た形に掘り出し、耳を刺し付ける。
胴体に前肢、後ろ足、太もも、尾、頭の順に、バランスをみながら付ける。

夫々の色でフェルトを張るー色を見て、フェルトを足したり切ったりしながら、まんべんなくニードルで刺します。極細のニードルを上手く使って下さい。

お腹側、背中側、尾の順に、張る場所より少し長めにフェルトを千切り、張る。
短く切った肉球用のフェルトを楕円形に丸め、指の下側に刺し付ける。中心の肉球は大きめの楕円を楕円2つで挟み、クリームパン形にする。
後頭部から頬にかけて、左右夫々シートを張る。耳から少しはみ出るように後ろ側から、左右夫々シートを張る。鼻先、夫々の目を中心に、凹凸に合わせてシートを張る。目の部分のシートは、夫々斜め横にカットし、目の形に開いて丁寧に刺し止める。


柄を入れるーフェルトを短く切り、ニードルで刺す。

顔の柄を入れる。
豹柄の茶はバランスをみながら大小の太いU字に刺し、中心にオレンジを刺す。小さな点も作る。












Aの物語-前進-

2019-07-19 00:00:00 | 大人の童話
白い壁に青いタイルが嵌められた部屋には、二十人を越えてもゆったりと座れる、長いテーブルが置かれていた。
王が貴族達や専門家を集めて、話を聴くのはいつもここだった。
今日は十二人の貴族達が席に着き、右手のカップにはハーブティーが、横のトレイには小麦粉と木の実を使った焼き菓子が乗っている。

貴族達は其々に、話を交わしたり、考え事をしたりしていたが、皆、この場に呼ばれた誇らしさを、肌に滲ませていた。
衛兵が王の入室を告げられて、一斉に立ち上がった貴族達に座るように促し、いつものように穏やかに、王は言った。
「この国を民主制にする手立てについて、忌憚のない意見を聞きたい」
息を飲む音。
そして強ばった静けさが全員を縛る。
その糸を切ったのは、炎の様な赤毛を頭頂近くで束ねて下ろした、異国の血を引く女だった。「それで上手くいっている国を、3つ存じております。けれど全て町程の小さな国。我が国なら、かなりの工夫が必要ではありますまいか」
長い口ひげを蓄えた初老の男が、大きく頷いて話し出した。
「西の国では愚かな王の専横に、民が怒って始めましたが、国は乱れ続けております。代々賢き王が治めるこの国に、何の必要がありましょう」
微かに甘い香りを纏った、若い男が同意した。
「そうですとも。長きに亘って教育に力を注ぎ、他国にない発展を遂げた我が国。その王家のお血筋であれば、傍系であろうとも、繁栄は続きましょうぞ」
隣の男が太い胴回りに相応しい声で続けた。
「加えて人は、与えられた役割に添って育つもの」
発言者を順に眺めていた豊満な女性が左目を細めて言った。
「王は我らに手立てについて尋ねておられる。ならばまず、色々と考えてみようではありませんか」
「何を呑気な」
「いや、もっともです。我々は落ち着いて意見を交わすべきです」
「今まで何の疑いも抱かずにいられたことを、幸せに思います。そしてそれに甘えていた、自分を恥じております」
「その国で長く議員をしている義弟が申しますには…」
議論は昼食を挟んで続き、日を改め、人を替えながら、何度も繰り返し行われた。
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赤毛の婦人の髪飾り

彼女は元船乗りで、ナイフの扱いはお手のもの。
たまに木片を削って遊びます。
それを通した組紐で、真っ赤な癖毛をぎゅぎゅっと縛り上げるのが、彼女のスタンダードです。


組み紐用プレート(ダイソー)
好みの刺繍糸3色
ウッドビーズ
ピン


説明書通りに刺繍糸を組む
ピンをS字形に曲げ、片方をウッドビーズに着け、もう一方を組み紐に通す。






Aの物語ー転換ー

2019-07-12 00:00:00 | 大人の童話
執務室には王と宰相が、斜めに向かい合って座っていた。
王は青い柄入りのピッチャーと、揃いのタンブラーを持ち、立ち上がった。見上げた宰相の肩を流れたブロンドは艶やかだったが、削げた頬が、彼を年より老けてみせていた。
「宰相よ」
王は、タンブラーにベリーのジュースを注いで、宰相の右横に置いた。
「従兄弟とその息子達は王座には着かぬという。更に遠縁の者達となれば一気に増え、人となりもよく知れぬ。いかに選べばよいものか」
宰相は深く息を吸って、王を見つめた。
「王よ。民主制というものを、どう思われますか」
王が眉を寄せた。
「長年其々の生活に務めて来た民に、政を為せというのは酷ではないだろうか」
「民は今まで、王を信じて国を任せていたのです。今度は、王が民を信じてもよいのではありますまいか」
「そうか........」
王は自分のタンブラーを一気にあおった。
ベリーの甘い香りが鼻に抜け、微かなえぐみが舌に残った。
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宰相の玉子シャンプー

卵白4個を泡立てる。

髪を湯洗いする。

泡立てた卵白でシャンプーする。


熱過ぎないお湯で流す。

宰相は甘いものが大好き。
残った卵黄はカスタードクリームにしてもらって、おやつやデザートに食べたりしています。


電子レンジで簡単カスタード

材料    卵黄..............2個。
      砂糖...............大さじ4
      小麦粉...............大さじ4
      牛乳…...............200CC

道具    電子レンジ
      耐熱ボール
      泡立て器
      ラップ


ボールで泡立て器を使い、卵黄、砂糖、小麦粉の順によく摺り混ぜる。

牛乳をだまにならないよう、少しずつ混ぜる。

電子レンジ600Wで2分40秒温める。

よく混ぜる。

電子レンジで2O秒温めては混ぜる、を、好みの硬さになるまで繰り返す。

好みでバターを混ぜてもよい。


Aの物語ー検討ー

2019-07-05 06:00:00 | 大人の童話
町の賑わいが届く中、王宮では使用人達其々に小さなピンが贈られ、山盛りのお菓子も振る舞われていた。
王妃は猫を膝に乗せ、不思議な紙の上に書かれた、使用人達からのお祝いの言葉を一言づつ読み、聞かせていた。
王が左手に顎を乗せ、その様子を見つめていると、三人の従兄弟とその妻二人がお祝いに訪れた。
子も兄弟も持たない王にとって、一番気のおけない彼らと、和やかに昼食会が始まった。

「乾杯!」の声を発したのは、広い牧場を持つ一番年かさの男だった。その横には、ふくよかな笑顔が似合うその妻が、その隣には少し荒れた指先を持つ一番年若い男が、座っている。
向かいの席では、農場を営む日に焼けた夫妻が微笑んでいた。
テーブルには、薄く削いだ肉の薫製や、擂り潰した魚に野を入れ、蒸し固めたもの。野菜と豆の甘酢漬けなど、堅実な料理が並んでいる。
王妃は牧場を営む夫妻に声を掛けた。
「とても軽くて温かそうな外套をありがとう」
「以前王から賜った、山羊達の毛で工夫しました。今までのものと格段に違います」
嬉しそうに話す男に、王が答えた。
「それは素晴らしい。国と人々の為にも有難う」
王妃は次に年かさ夫妻に顔を向けた。
「沢山の木の実をありがとう。随分よく干せているのですね」
「新しい干し方をしたのです。王から頂いた膏薬が農夫達の手荒によく効いて、色々と試みることが出来ました」
王は少し間を置いて、男を見つめた。
「尽くした力に無理を申すが、備えになるものなので、その成果を皆に分けて貰えないだろうか」
「では早速、農場主の集まりを通じて広めて参ります」
「本当に有難う。私はいつも皆に助けられている」
「光栄です」
誇らしげな男に微笑んでから、王妃は一番年若い男に礼を言った。
「沢山の丸薬をありがとう。薬を作るのは、とても気を使うものなのでしょう」
「体の弱い妻の為に始めたのですが、王から度々賜った薬草のお陰で、充実したものとなりました」
「それは貴公が心を尽くしたからであろう」
王はゆっくりと杯を半分干して、従兄弟達を順に見つめた。
「私が王位を退くこととなったら、そなた達の誰かが、王座に着いてくれないだろうか」
客達は一様に息を呑み、顔を見合せた。
そして其々、口を引き結び、首を傾げ、俯いて考え込んだ。
最初に口を開いたのは、農場を営む従兄弟だった。
「私は農園の者達を纏めることで手一杯です。国は私の手に余ります」
きっぱりと言った。
次は一番年かさの男だった。
「私は羊やラマを飼い育て、日々工夫することが性に合っております」
一番若い従弟は、胸元に片手を当てた。
「私は妻を少しでも健やかに保つことが、一番大切な男です。とても王の器ではありません」
「そうか。皆が自身の場所で、国を支えてくれているのだな。では、息子達はどうだ?」
一番年かさの男が答えた。
「この布を作り上げたのは、次男なのです。あれは黙々と積み重ねて行くことを好みます。私は息子にしたい事をさせてやりたい。長男は陛下もご存知の通り出奔し、家督とは無縁です」
「あれは面白い男であった。そなたの三人の息子達は?」
農場を営む男に、迷いは無かった。
「私の息子達は王の器ではございません。親としてではなく、一貴族として、彼らを王座似合う着かせる訳にはいきません」
「そうか…」
王は長く息を吐き、口元に笑みを浮かべた。
「率直に話してくれて有難う」
客達の肩から力が抜けた。
「このテリーヌは、本当に美味しゅうございます」
農場主の妻が明るく言った。
「そうですわね」
農場主の妻が同意した。
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不思議な柄の紙

材料  スクラッチアートセット(ダイソー)
    化粧筆(削りかすを払うのに便利)
    下書き用の紙とシャープペンシル

大まかにデザインを決める
モチーフを幾つか描いてみる
実際に削る
色の出方に合わせて、臨機応変にデザインを変えて行く