ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

Lの物語ー遺品ー

2019-11-01 07:00:00 | 大人の童話
公爵は一人、屋根裏部屋にいた。
夫人の遺品を整理する、というのは口実で、収納品の確認をするつもりだった。
葬儀に関する一連の雑事が終わってしまい、一息つくのが怖かったのだ。
目は赤く、細面の頬が、更にげっそりと削げている。
手前の箱には、十六枚の絵が納められていた。
東西南北の窓から眺めた、四季の街並み。
寝付いてしまっている時でも、夫人が外を見た気になれるよう、六年前、公爵が注文したものだった。
「お前達も、もう用済みか」
箱から一枚を取り出し、労うように隅々迄、ゆっくりと目を移してゆく。
その動きが止まった。
一点を凝視し、直ぐに床に下ろす。
もう一枚取り出して、視線を走らせ、途中で止め、床に下ろしてもう一枚。
十六枚全てを床に下ろし終え、公爵は呆然と立ち尽くした。
通りの隅に後ろ姿で、小さな八百屋を覗き込んで、屈んで子供と向き合って。
どの絵にも夫人がいた。
目鼻立ちも分からない大きさだったが、紛れもなく。
「リラ!リラッ!リラッ!!」
しゃがみこんで絵を抱き締めた、公爵の目から涙がこぼれた。
日が沈み、執事が迎えに来ても尚、止まらなかった。

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あちらこちらに出没、は、夫人の茶目っ気です。
夫人が、お気に入りの妖精の置物を、座らせる場所を時々変えて、公爵が見つけることも、二人で楽しんでいました。





妖精の置物(3~4cm)
材料
石灰粘土 一握り
青いビーズ(4㎜) 2粒
ニス

道具
爪楊枝
粘土台
ハケ
水入れ

1ー粘土を2当分にする。
2ー1ーで分けた片方を1:3に分ける。
3ー2で分けた1で頭を、3で胴体を作る。細かい部分は爪楊枝を使う。
4ー目の部分にビーズを埋めて、バランスを調整する。
5ー1で分けたもう片方の粘土から少し取り、頭と胴体をつける。
6ー手に水を少し付け、表面を滑らかにする。
7ー1で分けたもう片方の粘土を少し取り、細長くして捻り、たてがみを作る。
8ー残りの粘土を細長くし、捻って尻尾を作る。
9ーたてがみと尻尾に、爪楊枝で筋をつける。
10ーたてがみと尻尾を本体につける。
11ー細かい調整をする。
12ー2~3日乾かす。
13ーハケでニスを塗る。
14ー乾かす。