goo blog サービス終了のお知らせ 

このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

神聖の社と庭園① 奈良・春日大社

2019年09月10日 | 日本
今日もフランスの作家、オリヴィエ・ジェルマントマの著書「日本待望論」よりお伝えします。
―――――――

相変わらず三人の子を連れて、嵐の日に、奈良。私たちは、東大寺の廬舎那仏(るしゃなぶつ)の前で長い時間を過ごし、それから篠つく雨のなかを春日大社へと上がっていきました。正殿に向かう参道では、長い長い石灯篭の列は、まるで踊り子たちが動きの真っ最中に急停止したかのように見えました。

雨足は彼女たちの上を駆けて、きらきらとこれに生命をあたえていきます。ほら、なかには、天に向かって榊の枝を差し出している乙女たちもいます。地水火風空(ちすいかふうくう)の五大、いかに猛かろうと、ただひたすら上りゆくべしと、我らを声援して。

上に着くと、古風な髪形をした魅力的な巫女たちが一同を迎えてくれました。しかし、正殿まで私たちを引きつけたものは、彼女たちでもなければ、神鏡でも、茅葺の美しい屋根でもありません。本当は、私どものケルト系の先祖からくる、非常に古い記憶なのです。

いや、もっと、ずっと遠く、有史前からくる記憶といっていいでしょう。初めて人間が首(こうべ)を天に向け、物思うことで成長しはじめた、そのときから・・・・・。

西洋の思想史は、もしニーチェが神道を知っていたならば、一変していたことでありましょう。

---owari---

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。