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トランプ氏の「米国第一主義」はオバマ氏の政策と変わらない

2018年12月12日 | 政治・経済

日下公人著書「新しい日本人が日本と世界を変える」より“グローバリズムからローカリズムへ”を転載します。

 

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アメリカは大統領にドナルド・トランプ氏が選出されたことで、日本のメディアは「世界は大混乱に陥り、日本は大変なことになる」と騒いでいる。

 

だが、世界の混乱が続くとしても、日本は大変なことにはならない。たしかに安全保障や経済分野において無視できないさまざまな影響は出てくるだろうが、日本にはそれに対応できる力がある。

 

世界の情勢は、いったいどうなっているか。アメリカはオバマ大統領の時代から、いや、それ以前から混迷を続けている。

 

平成2512月、安倍首相が靖国神社を参拝した。このときアメリカは「失望」を表明した。朝日新聞や毎日新聞、読売新聞など、産経新聞を除く主要紙はすべて安倍首相を批判し、「アメリカでさえ失望し、支持していない」という論陣を張った。

 

しかし、「失望」は日本への非難ではなくアメリカの弱音にすぎない。「首相の靖国参拝によって中韓と日本とのあいだで緊張が高まり、それが偶発にせよ軍事衝突に発展してほしくない。アメリカはそれに対処する力がないし、それを世界に晒(さら)したくない」という意味である。

 

オバマ大統領は20128月、内戦の続くシリアのアサド政権に対して化学兵器使用を認めないと宣言したが、20133月には実際に化学兵器が使われ、8月の化学兵器使用も防げなかった。

 

オバマ大統領はその後、軍事攻撃の準備を軍に指示したが、イギリスのキャメロン首相が軍事行動への参加を断念すると、オバマ大統領には独自に軍を動かす権限がありながら踏み切らず、結果的に「アサド政権に青信号を示した」と批判されることになり、相対的に同地域でのロシアの影響力を高めることにもなった。

 

しかもオバマ大統領は、その後、910日の演説で「アメリカは世界の警察官ではない」と明言し、「すべての悪事を正すこと(解決すること)はわれわれの手に余る」と“宣言”した。

 

ここには厳しい財政負担に加え、イラクやアフガニスタンでの戦争が目論見(もくろみ)どおりいかない厭戦(えんせん)気分、無力感がある。ここまで本音をあからさまにした米大統領は珍しいが、これではとても東アジア情勢には手が回らない。

 

安倍首相の靖国神社参拝によって東アジアの緊張が高まるとしたら、アメリカは動かざるを得ないが、動けないアメリカを世界に見せたくはない。“日本よ、どうかアメリカに恥をかかせないように自重してくれ”ということだと想像する。

 

オバマ大統領が2016年末までにアフガニスタンの首都カブールの大使館警備要員などを除いて駐留米軍を完全撤退させる計画を断念し、大統領任期が終る20171月以降も5500人規模の部隊を維持すると発表したのは201510月半ばである。

 

米軍は2001年の9.11のニューヨーク同時多発テロ以降、アフガンに最大時で10万人規模を駐留させてきた。国際治安支援部隊ISAFの中核として2014年末までに戦闘任務を担い、約1万人がアフガン治安部隊の訓練などを行なっている。

 

オバマ大統領が米軍の完全撤退計画を発表した20145月だが、治安情勢が改善しないことで事実上の撤回に追い込まれた。これは、アフガンとイラクの二つの戦争を終結するというオバマ大統領の公約が破綻したということである。

 

トランプ氏が言い立てている「米国第一主義」、その外交戦略は、オバマ大統領の政策とは大きく違うという印象を与えているが、「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と宣言したオバマ大統領の方針と本質的な違いがあるわけではない。

 

さらにいえば、自国第一は当たり前のことで、驚くには当らない。問題はトランプ氏の主張が多くの事実誤認の上に立っていることだが、これへの日本の対応についてはあとで述べる。

 

---owari---


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