書籍「図解わかる税金」でおなじみの 税理士法人 元(GEN)のブログ

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従業員レクリエーション旅行でも課税しなくて差し支えないとする事例

2023-02-28 10:36:33 | Weblog

今日で2月も終わりですね。

そろそろ旅行に行きたくなります。

参考になる記事です。

国税庁のタックスアンサーNo.2603「従業員レクリエーション旅行や研修旅行」のQ&Aリンクには、従業員の参加割合が50%未満の従業員レクリエーション旅行でも、その旅行に係る経済的利益について、課税しなくて差し支えないとする事例が掲載されている。その事例の従業員の参加割合は38%。所得税基本通達36―30(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)の運用について(法令解釈通達)では、慰安旅行に参加したことにより受ける経済的利益の課税上の取扱いの明確化として、旅行の内容を総合的に勘案して実態に即した処理を行うこととするが、原則として課税しなくて差し支えないものとする要件として、旅行に参加する従業員等の数が全従業員等の50%以上であることなどが示されている。

同タックスアンサーのQ&Aの問いは、以下のとおり。

当社は、福利厚生規程において、レクリエーション旅行を年に1回行うことを定めるとともに、その旅行費用の一部を負担することを定めている。

この度、総務担当者が福利厚生規程に基づき全従業員を対象とした国内旅行を計画し、全従業員を対象に参加者を募集したところ、従業員の都合等により、参加割合は38%になった。

この場合、旅行に参加した従業員が受ける経済的利益については、給与として課税対象となるかというもの。

旅行の内容としては、①旅行の目的等:社内の親睦と従業員の勤労意欲向上を目的として行われるレクリエーション旅行(私的な旅行とは認められないもの)、②旅行期間:3泊4日、③費用および負担状況:旅行費用15万円(内使用者負担7万円)、④参加割合:38%となっている。

回答ではまず、旅行に参加した従業員が受ける経済的利益については、旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者および参加従業員等の負担額および負担割合などの旅行の内容を総合的に勘案して、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められるもので、少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追求の趣旨を逸脱しないものであると認められるものについては、旅行に参加した従業員の給与としなくてもよいことになっているとした。

質問の旅行は、会社の福利厚生規程に基づき、全従業員を対象に参加者を募集し、年間のレクリエーション行事の一環として会社主催で行われるものであり、社内の親睦と従業員の勤労意欲向上を目的として行われるもの。また、旅行の期間は3泊4日であり、旅行の費用は15万円(使用者負担7万円、従業員負担8万円)となっているとした。

これらのことを踏まえれば、質問の旅行は、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められ、従業員が受ける経済的利益も少額と認められるため、従業員の参加割合が50%未満であっても、その旅行に係る経済的利益については、課税しなくて差し支えないとしている。

なお、同タックスアンサーのQ&Aは令和4年12月1日現在法令等となっている。

(2023年02月27日 税のしるべ)

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日本版インボイス制度の2割特例

2023-02-15 10:57:27 | Weblog
こちらの方が使い勝手が良いですが、

日本版インボイス制度の2割特例と簡易課税の相違点を確認、2割特例は業種区分が不要

令和5年度税制改正大綱の内容を反映した税制改正法案のうち国税部分(所得税法等の一部を改正する法律案)が3日、地方税部分(地方税法等の一部を改正する法律案)が7日にそれぞれ国会に提出された。このうち、国税部分の改正法案では5年10月にスタートするインボイス制度で、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった場合の負担軽減を目的に小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)が設けられる。売上税額の2割を納税額とすることができる仕組みだが、財務省がホームページに掲載している資料によると、その計算方法は、みなし仕入率が80%である場合の「簡易課税制度」と同じ計算方法になる。ただ、異なる点もあり、そうした相違点を中心に2割特例と簡易課税制度の内容を確認していきたい。

まず、簡易課税制度の内容を簡単に確認しておくと、同制度は事業形態により、第1種から6種までの6つの事業に区分され、それぞれの事業の課税売上高に対し、1種事業が90%、2種事業が80%、3種事業が70%、4種事業が60%、5種事業が50%、6種事業が40%のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算するもの。事業区分は、例えば1種事業は卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)、2種事業は小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で1種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)となっている。

ここで2割特例を適用できる事業者が仮に1種事業に該当すれば、みなし仕入率が90%なので簡易課税制度の方が税負担は小さくなる。ただ、事業者が行う事業が1種事業から6種事業までのいずれに該当するかの判定は、原則として、その事業者が行う課税資産の「譲渡等ごと」に行うとされている点には留意が必要だ。

他方、2割特例は仕入れに係る帳簿やインボイスの保存・管理が不要といった簡易課税制度と同様のメリットに加え、簡易課税制度のような業種区分が必要ない、簡易課税制度で求められる事前の届出も不要といった独自のメリットがある。簡易課税制度選択届出書を提出していれば、申告時に2割特例と簡易課税制度と有利な方を選択適用することもできる。2割特例を選ぶ場合は確定申告書にその旨を附記するだけでよい。

財務省のHP掲載の「インボイス制度の改正案に関する資料」ではこの際の確定申告書のイメージが示されており、2割特例の適用について「有・無」のどちらかにチェックを入れる形が想定されているようだ。

(税のしるべ)

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【非公開裁決】相続財産に含めた預貯金等は請求人固有の財産ではない、更正の請求認めず

2023-02-08 10:26:31 | Weblog
相続税の申告実務では

第三者名義預金は悩ましいですね。

ご参考に。

【非公開裁決】相続財産に含めた預貯金等は請求人固有の財産ではない、更正の請求認めず

 請求人は、亡父(被相続人)の相続に係る相続税の申告において相続財産に含めて申告していた請求人名義の預貯金等(本件預貯金等)は、いずれも請求人が出えん・管理していたものであるから、請求人の固有の財産であるとして、更正の請求を行ったところ、原処分庁が、当該預貯金等は請求人固有の財産とは認められないなどとして、更正処分を行ったのに対し、請求人が、原処分の全部の取消しを求めた事案で、国税不服審判所は、①本件預貯金等の原資の出えん者や、出入金の行為者を特定することができず、②本件預貯金等の通帳および証書は、被相続人やその配偶者名義の預貯金の通帳および証書と一緒に金庫に保管されており、請求人は当該金庫から自由に持ち出すことができない状態であったことに加え、③請求人は、本件預貯金等以外の請求人名義の預貯金の通帳を、明確に区別して保管していたことからすれば、請求人が、本件預貯金等の原資を出えんし、管理していたとは認められないため、本件預貯金等が請求人の固有の財産であるとはいえないとして、請求人の主張を棄却した(令和3年10月1日付、非公開裁決)。

【事実】
(関係法令等)

 関係法令等は別紙のとおりである。なお、別紙で定義した略語については、以下、本文においても使用する。

(基礎事実)

 〇〇(以下「本件被相続人」)は、〇〇(以下「本件相続開始日」)に死亡し、本件被相続人に係る相続(以下「本件相続」)が開始した。

 本件相続に係る相続人は、本件相続人の配偶者である〇〇(以下「本件配偶者」)、本件被相続人の長男である請求人、本件被相続人の長女である〇〇および本件被相続人の養女であり請求人の配偶者でもある〇〇の4人である。

(審査請求に至る経緯)

 イ 請求人は、法定申告期限内に、本件相続に係る相続税の申告書を原処分庁に提出した。その際、請求人は、いずれも請求人名義である預貯金および共済契約に関する権利(以下「本件預貯金等」)を相続財産であるとした。

 ロ 請求人は、令和元年6月13日、原処分庁に対して、本件預貯金等は請求人固有の財産であるとして、更正の請求をした。

 ハ 原処分庁は、上記ハの更正の請求に対し、本件預貯金等は請求人固有の財産と認められないとして、元年11月12日付で、更正処分(以下「本件更正処分」)を行った。

 ニ 請求人は、2年2月6日、本件更正処分のうち、本件預貯金等に関する処分の取消しを求めて再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は同年4月24日付で棄却の再調査決定をした。

 ホ 請求人は、2年5月15日、再調査決定を経た後の本件更正処分に不服があるとして、審査請求をした。

【争点】
 本件預貯金等は、本件相続に係る相続財産か否か。

【請求人の主張について】
 本件預貯金等は、以下の事情を考慮すれば、いずれも請求人に帰属する財産であって、本件相続に係る相続財産ではない。

 イ 請求人は、本件預貯金等に係る金銭を預け入れる際には、預金申込書を作成するなどして、預入手続を自ら行っており、また、本件預貯金等に係る通帳については、自宅金庫で保管し、管理していた。

 ロ 請求人は、本件預貯金等の原資について、以下のとおり出えんしている。

 (イ)1について

 請求人が、40歳を過ぎた頃に、金融商品を購入する目的で約100万円を入金した。

 (ロ)2について

 請求人の出えんによる定期預金であり、期間が満期となった際には、請求人の給与のほか、本件被相続人の援助(数万円ないし数十万円程度)を加えて、新たな定期預金をしていた。

 (ハ)3および4について

 請求人が小学生の頃から一定期間、もらった小遣いを預け入れていたものである。なお、請求人が社会人となった後にはその給与も預け入れていた。

 (ニ)5および6について

 本件被相続人の仕事の付き合いで作成した口座であり、5は、請求人の手持ちの現金を入金して口座を作成し、その後は6の定期預金の利息が入金されていた。6は、請求人が当初100万円程度入金して口座を作成したものであり、その原資は請求人の給与である。

 (ホ)7について

 請求人が社会人になった頃に、学生時代のアルバイト代等を原資として作成した口座である。

 (ヘ)8および9について

 8の原資は、請求人の給与であり、9の原資は、〇〇(現、〇〇)における財形貯蓄の解約金(解約金は700万円から800万円程度あった)の一部である。

 (ト)10および11について

 10に係る口座は、請求人の手持ちの現金を原資に作成したものであり、その後は11に係る定期預金の利息が入金されているのみである。11の原資は、〇〇(現、〇〇)における財形貯蓄の解約金のうちの約200万円や、請求人の給与、株取引で生じた運用益である。

 (チ)12および13について

 本件被相続人が口座を開設し、定期預金が満期となるごとに本件被相続人が手続をしており、請求人が出えんした金額は数万円である。順号12に係る口座には、順号13に係る定期預金の利息が入金された程度であった。

 (リ)16および17について

 請求人が契約者であり、共済掛金はその給与が原資である。

 ハ また、本件相続の開始前5年間における本件被相続人と請求人の各年収金額の比率と、それぞれの勤務年数の比率により、本件相続開始日における本件被相続人と請求人との財産の合計額をあん分すると、請求人の財産理論値は、相続財産として申告した本件預貯金等の金額を上回る。このことは、本件預貯金等が、相続財産ではなく請求人に帰属する財産であることを裏付ける事案である。

【原処分庁の主張について】
 本件預貯金等は、以下の事情を考慮すれば、いずれも本件相続に係る相続財産である

 イ 請求人は、本件預貯金等の届出印がどれかを把握しておらず、また、本件預貯金等に係る通帳等は、本件被相続人および本件配偶者が鍵を管理する自宅金庫の中に保管されていたことからすれば、請求人が、本件預貯金等を管理および運用していたとはいえない。

 ロ 請求人は、本件預貯金等の原資を自身が出えんしたと主張するが、これを裏付ける証拠を提出しないことに加えて、請求人の主張を前提としたとしても、本件預貯金等の原資の全てを出えんしていたわけではない。

 ハ 本件被相続人と請求人は財産を別々に管理していたのであるから、本件被相続人と請求人の各財産が混同していることを前提とする請求人の主張には理由がない。

【審判所の判断】
(法令解釈)

 イ 親族間における財産の帰属の認定方法

 ある財産が被相続人以外の者の名義となっていたとしても、当該財産が相続開始時において被相続人に帰属するものであったと認められるものであれば、当該財産は相続税の課税の対象となる相続財産となる。

 そして、被相続人以外の者の名義である財産が相続開始時において被相続人に帰属するものであったか否かは、当該財産またはその購入原資の出えん者、当該財産の管理および運用の状況、当該財産から生ずる利益の帰属者、被相続人と当該財産の名義人並びに当該財産の管理および運用をする者との関係、当該財産の名義人がその名義を有することになった経緯等を総合考慮して判断するのが相当である。

 ロ 更正の請求における主張・立証責任の所在

 申告納税方式の相続税において、納付すべき税額は、通則法第16条《国税についての納付すべき税額の確定の方式》第1項の規定により、原則として納税者のする申告によって確定する。

 したがって、納税申告が具体的な租税法律関係を形成する行為として公法行為の性質を持つことに鑑み、法は、その申告内容に過誤があることを理由として更正の請求をなしうる場合を限定的に列挙し(通則法第23条第1項)、また、その手続上、請求者において、更正請求書に、納税申告に係る課税標準等または税額等、その更正の請求をする理由、当該更正の請求をするに至った事情の詳細その他参考になるべき事項を記載すべきものとし(同条第3項)、請求の理由が課税標準たる所得が過大であること等当該理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいて、その理由の基礎となる事実を証明する書類を添付すべきものとして(国税通則法施行令第6条《更正の請求》第2項)、請求者側でまずその過誤の存在を明らかにすることを要求している。この規定は、申告内容の過誤から生じる納税者の不利益を救済するため、租税行政の法的安定の要請を、一定の要件のもとに制御する趣旨のものと考えられ、このことやその規定の文言等に照らすと、自ら計上記載した申告内容の更正を請求する納税者側において、その申告内容が真実に反するものであることの主張立証をすべきであると解される。

(認定事実)

 イ 請求人は、本件相続開始日まで請求人の住所地において本件被相続人と同居しており、本件預貯金等の通帳および証書は、本件被相続人や本件配偶者名義の各預貯金の通帳および証書などと一緒にその自宅の金庫(以下「本件金庫」)内に保管されていた。

 ロ 本件金庫はダイヤルと鍵を併用する形態で、請求人はダイヤルの番号を知っていたものの、その鍵は本件被相続人および本件配偶者が保管しており、請求人が自由に開閉することはできなかった。

 ハ 請求人は、自身の給与の振込先の口座など、本件預貯金等以外の請求人名義の預貯金の通帳については、本件金庫に入れず、別途手元にて保管していた。

(検討)

 請求人は、本件預貯金等の原資を自身が出えんし、通帳の管理も自身で行っていたのであるから、本件預貯金等は請求人に帰属する財産であり、本件相続に係る相続財産ではない旨主張する。

 しかしながら、上記(法令解釈)のロのとおり、更正の請求は、自ら計上記載した申告内容の更正を請求する納税者側において、その申告内容が真実に反するものであることの主張立証をすべきであると解されるところ、請求人提出資料および当審判所の調査によっても、上記(認定事実)のニのとおり、誰が本件預貯金等の原資を出えんし、出入金を行っていたのか特定することができない上、上記(認定事実)のイのとおり、本件預貯金等の通帳および証書は、本件金庫内にて本件被相続人や本件配偶者名義の各預貯金の通帳および証書と一緒に保管されており、(認定事実)のロのとおり、請求人が本件金庫を自由に開閉できる状況ではなかったことからすると、請求人が、本件預貯金等の原資を出えんし、本件預貯金等の管理をしていたとは認められない。これに加え、上記(認定事実)のハのとおり、請求人は、本件預貯金等以外の請求人名義の預貯金の通帳については、本件金庫とは別に手元に保管していたことからすると、本件預貯金等とそれ以外の請求人名義の預貯金は明確に区別されていたといえる。

 以上のことからすると、本件預貯金等が請求人に帰属するとはいえず、本件相続に係る相続財産ではないとは認められない。

(請求人の主張について)

 請求人は、上記【請求人の主張について】のハのとおり、本件相続の開始前5年間における本件被相続人と請求人の各年収金額の比率と、それぞれの勤務年数の比率により、本件相続開始日における本件被相続人と請求人との財産の合計額をあん分すると、請求人の財産理論値は相続財産として申告した本件預貯金等の金額を上回ることから、本件預貯金等は請求人に帰属する財産である旨主張する。

 しかしながら、請求人提出資料および当審判所の調査によっても、本件被相続人と請求人の財産が混同していたとの事実は認められないから、双方の財産をあえて合算した上でそれをあん分して、算出された数値から財産の帰属を考えるべきであるとの請求人の主張は、採用することができない。



別紙

関係法令等

 国税通則法(以下「通則法」)第23条《更正の請求》第1項は、納税申告書を提出した者は、当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことまたは当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときには、当該申告書に係る国税の法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等または税額等につき更正をすべき旨の請求をすることができる旨規定している。

(税のしるべ電子版)


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登記所の地図データをネットで無料公開、加工が可能な形式で

2023-02-01 11:07:34 | Weblog
これは便利ですね。

登記所の地図データをネットで無料公開、加工が可能な形式で

今月23日から全国の登記所備付地図の電子データについて、G空間情報センターを通じてインターネットで、無料での一般公開が始まった。公開されるデータは、加工が可能な地図XML形式となっており、利用規約に抵触しない限り、だれでも自由な利用が可能となっている。なお、公開されるデータは、法務局における証明機能を有するものではないため、地図証明書・図面証明書に代替するものではないとしているので注意したい。

不動産登記法第14条第1項の規定に基づき、登記所には地図が備え付けられており、これにより土地の位置・区画(筆界)を明確にすることができる。地図が備え付けられるまでの間は、地図に代えて「地図に準ずる図面」(いわゆる公図)が備え付けられている。公図は、明治期の地租改正の際に作成されたものが多く、現地を復元するほどの精度と正確性は有していないため、法務局では現在も登記所備付地図作成事業を全国で実施している。

これまでの不動産登記制度での地図の公開方法は、①法務局における地図の写しの交付(書面の交付)、②登記情報提供サービス(インターネットを利用した閲覧)となっており、加工が可能な形式では提供されておらず、どちらも有料となる。

公開されるデータは、同法第14条第1項及び第4項に規定する地図及び地図に準ずる図面に係る電子データ。登記所でコンピュータシステムによる事務の処理を可能とする地図情報システムに入っているデータで、加工が可能な地図XML形式となる。

公開データを地図の形式で表示するためには、ソフトウェア等によるデータの変換が必要で、デジタル庁では、そのための変換コンバータを公開している。

今回公開されるデータがいつの時点かについては、令和4年1月から2月までの地図データを抽出した情報となっている。今後は、年1回程度のデータ更新が予定されている。

なお、G空間情報センターとは、産官学の各主体が保有する多様な地理空間情報(G空間情報)を集約し、利用者がワンストップで検索・閲覧し、情報を入手できる仕組みの構築を目指すデータ流通支援プラットフォーム。

(税のしるべ)


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