遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平政権が今やっていることのすべては、中国という国を破滅の道へと導いている

2016-08-11 22:58:00 | 中国 全般
 昨日に続いて中国経済の減速の話です。昨日は、減速する経済の対策について、習近平政権が「何をしたいのか、解らない」疑心暗鬼を招く政策が続いている点を取り上げさせていただきました。
 今日は、習近平政権が今やっていることのすべては、中国という国を破滅の道へと導いているようだという話です。

 中国河南省の都市、洛陽。主要な産業は工業で、ガラスや農業用トラクターの生産において中国を代表する国営企業がそろっているのだそうです。
 ところが、整備された道路は閑散とし、空き地が多い。新たに進出してくる工場が無く、いくつかある工場も、過剰生産で在庫を抱え、生産を抑制。従って、有力な就職先もなく、若者は沿岸部の都市に就職先を求めて流出。農村部から流入していた人口も減り、地域の人口減が続いている。
 従って、いけいけどんどんで建設されたマンションは、中国名物の「鬼城」と化してしまっている。
 

もはや中国名物、空虚な高層マンション「鬼城」 洛陽にみる中国経済の行き詰まり | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.8.10(水) 川島 博之

<前略>
■誰が住むのか、もはや中国名物の「鬼城」
(冒頭の)
写真は、もはや中国名物と言ってもよい「鬼城」(住む人のいないマンション街)。これは新市街を撮ったものだが、既にできあがったマンションに住む人はいない。最初に建ったマンションは、完成から3年が経過するがまだ誰も住んでいない。
 中国ではマンションを投資用に買う人も多いから、人が住んでいない物件のすべてが売れ残りとは断言できないが、それでも建ててから3年を経てもこのような状態にあるのなら、デベロッパーは資金繰りに窮しているのだろう。写真中央の作りかけのマンションの工事はストップしていた。

<中略>

■事態の悪化を食い止められない理由
地方政府が好んで投資したのは工業団地と新市街のマンション
。「箱もの」好きは日本の官僚の専売特許ではない。どの国の官僚も産業振興というと真っ先に「箱もの」を思い浮かべる。中国の官僚は日本の官僚以上に「箱もの」好きである。

 工業生産額が急激に増加した時代に中国経済は奇跡の成長を遂げた。そして、その原動力は拙著『データで読み解く中国経済』に書いたように、地方政府が農民から農地をただ同然で取り上げて、市場価格でデベロッパーに転売することによって得た利益である。
 その資金を利用して工業団地を整備し、工場を建設した。それが地方経済を発展させた。
このような成長モデルがあまりにうまくいったために、現在になっても地方政府はその成功体験を忘れることができない。

それが過剰生産設備を作り出してしまった。日本の鉄鋼生産量が1億トンであるのに、中国の鉄鋼産業の生産能力は10億トン。中国の国内需要は6億トン程度だから、国内生産だけを考えれば4億トンもの過剰生産設備があることになる。
 鉄鋼だけではない。多くの部門が過剰生産設備を抱えており、現在その廃棄が政治問題になっている。ただ、
過剰生産設備を作ったのは地方政府であり、その背後には必ずと言ってよいほど共産党の有力幹部がついているそのために、過剰生産設備の廃棄は共産党の権力闘争に直結
することになってしまった。
 その勝負はなかなかつかない。そのために、
過剰生産状態にあると分かっていても多くの工場が生産設備の廃棄を拒み、問題の解決を長引かせている。その結果、中国でもデフレが深刻化し始めた


 中国政府も遅ればせながらサービス産業の育成に力を注ぎ始めた。だが、どの国でもサービス産業は大都市でしか発展しない。
若者が集まるからサービス産業が発展する。そして、サービス産業が多くの職を提供するから若者が大都市に集まる。この循環がサービス産業発展の原動力
である。
 そのために
中国でも地方から大都市への人口流出が止まらない。その結果として、地方で工業が発展することを前提にして建築したマンション群が鬼城になってしまった

 日本でも田中角栄の時代に地方を工業化により発展させようとしたが、それはうまく行かなかった。大都市と地方の格差は広がり、その解消は平成になった日本の大きな課題になっている。

 工業を中心とした経済発展を永遠に続けることはできない。
経済発展の中心は必然の結果としてサービス業に移るのだが、どの国でも、官僚はサービス産業を発展させることが苦手である。中国の官僚もまったくその通りで、過剰生産設備を抱えながら手をこまねくばかりで、事態の悪化を食い止めることができない

 空き地が目立つ工業団地、住む人がいない郊外のマンション群、そして田舎臭さが抜けない旧市街、
洛陽の現状は官僚主導による中国の発展が行き詰まったことを雄弁に語っていた

 鄧小平、胡耀邦から胡錦濤へと引き継がれた改革開放経済を標榜する共青団派の李克強首相は、規制緩和を進めて民間企業を活性化させることで経済成長を進めようとしています。それに対し、共産党の指導力を強化し国有企業を重視する習近平。経済政策は、首相が主管するのですが、近年習近平が口出しするようになってきていることは諸兄がご承知の通りです。
 中国経済の現状の癌は、無計画に過大な設備投資をし、不良在庫の山を抱えた国有企業であることは衆知のことですし、その過程で汚職がはびこったのでした。
 習近平は、汚職撲滅の旗印で虎退治をして、人民の支持をえましたが、実態は政敵の追放であり、根源の国有企業は、温存されています。

 中国では今、民間投資の急落が注目されているのだそうです。
 理由は、大型国有企業の多くが「ゾンビ化」している中で、政府は雇用維持の視点からどうしてもゾンビ企業の延命をはかろうと、政府は、国有銀行に命じてゾンビ企業に莫大な融資を行わせているのだそうです。その結果、民間企業への融資が減り、民間企業の投資が激減し、それが中国経済の低迷に拍車をかけているのだと、石平氏が指摘しています。
 

民間投資が激減したわけ (8/11 産経 【石平のChina Watch】)

 先月下旬あたりから、「民間投資の急落」が中国国内で大きな話題となっている。一部経済紙は「民間投資、断崖絶壁からの急落」という切迫した表現を使っており、事態の深刻さが伝わってくる
 7月18日の国家統計局発表によると、今年上半期において、全国の民間企業が行った固定資産投資の伸び率は前年同期比で2・8%であった。2015年のそれは10・1%だったから、単純に比較すると、伸び率は昨年の3分の1以下に落ちたことになる。
 12年まで民間企業による固定資産投資の伸び率は毎年平均25%前後であった。
今や民間企業が競って投資を行い、生産拡大をはかるような「黄金時代」は往時の伝説でしかない
 今年上半期の「2・8%」の伸び率は16年ぶりの低水準であり、上半期最後の6月の伸び率はマイナス成長の0・01%減に転じた。これを見ても民間企業の投資意欲が急速に冷え込んでいることはよく分かる。

 
今の中国で民間投資は全固定資産投資の62%程度を占めており、民間企業が国内総生産(GDP)の6割以上を作り出している民間企業の投資が激減したことと、民間企業が拡大再生産への意欲を失っていることは、中国経済にとっての致命的な打撃となろう。
 
問題は、民間企業がどうして投資しなくなったのかである。これに対し、著名な経済評論家の余豊慧氏は「ゾンビ(死に体)企業」の存在を理由の一つに挙げている。
 余氏によれば、今、
大型国有企業の多くが「ゾンビ化」している中で、政府は雇用維持の視点からどうしてもゾンビ企業の延命をはかりたい。そのために国有銀行に命じてゾンビ企業に莫大(ばくだい)な融資を行い、無駄な「輸血」を続けているという。
 しかし、
その分、民間企業に回ってくる銀行融資が極端に少なくなって民間企業は投資しようとしてもできない状態なのである。つまり、中国政府は失業の拡大を恐れ、国有企業優遇の金融政策を進めた結果、民間企業の投資が激減し、それが逆に、中国経済の低迷に拍車をかけていくという構図である。

 その
一方、多くの民間企業はたとえ資金があっても投資したくない事情もある。その理由について一部の専門家たちが語るのは中国語でいう「信心喪失」の問題だ。未来に対する展望や確信の喪失、という意味合いである。
 招商銀行専属の経済学者、劉東亮氏と中華工商時報副編集長の劉杉氏はそれぞれ、
「民間企業の未来への信心の欠如」「企業家の信心喪失」を民間投資激減の理由に挙げている。
 民間企業が
なぜ「信心喪失」となったのかに関し、劉東亮氏が言及したのは「未来における政策の不確実性」であり、劉杉氏が挙げたのは「イデオロギーの変化への懸念」である。
 中国独特の政治環境の中で両氏が許されるギリギリの表現で問題の所在を指摘しているのだが、
端的に言えば、習近平政権が進めている「改革への逆行」と「毛沢東時代への回帰」の政治路線が民間企業の未来への展望を失わせ、彼らの投資意欲を殺してしまったということであろう。

 
その一方、民間企業は海外への投資拡大に積極的である。同じ今年の上半期、中国国内の投資者が行った海外への直接投資は888・6億ドル(約9兆円)にも達し、前年同期比では58・7%増であった。
 中国の民間企業は結局、
習政権下の中国から一日も早く脱出し、資産と事業を海外へ持っていこうと躍起になっているのである。その行く末にあるのは、中国経済そのものの土台崩れであろう。

 
習近平政権が今やっていることのすべては、中国という国を破滅の道へと導いているようである。

 習近平政権が進めている「改革への逆行」と「毛沢東時代への回帰」の政治路線が民間企業の未来への展望を失わせ、彼らの投資意欲を殺してしまったと。
 そして、民間企業は、習政権下の中国から一日も早く脱出し、資産と事業を海外へ持っていこうと躍起になっている。その行く末にあるのは、中国経済そのものの土台崩れ。
 習近平政権が今やっていることのすべては、中国という国を破滅の道へと導いているようだと!

 権力を自分に集中し、毛沢東の様な独裁者を目指す、政局優先指向の習近平。
 しかし、経済の減速歯止めへの有効な政策はなく、疑心暗鬼を産んでいる。「中国の夢」をかかげ、軍事とお金の力で覇権拡大を進めていますが、オバマ大統領との首脳会談では、南シナ海の人口島建設で亀裂を生み、オバマ大統領に軍事力始動を決断させ、あげく、南シナ海の覇権拡大の論拠の「九段線」を仲裁裁判所に否定されるという、外交の歴史的失政。
 いつもの繰り返しになりますが、来年のチャイナセブンの改選に向け、江沢民・上海閥や、胡錦濤・共青団派との三つ巴の政局闘争が激しくなる中で抱える、経済と外交の失点は、他派閥からの大きな攻撃材料となっています。

 来年の人事更新の基本が決まるとされる「北戴河会議 」の様子は、未だ情報が漏れてきませんが、注目されます。



 # 冒頭の画像は、洛陽郊外の「鬼城」




  この花の名前は、オニユリ


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写真素材のピクスタ


Fotolia







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