きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「イン・ハー・シューズ」

2005年11月26日 | 映画
 外見にコンプレックスを持つ弁護士のローズ(トニ・コレット)と、美しい容姿を持ちながらも読書障害などの理由から仕事が長続きせず男にたかって生きているマギー(キャメロン・ディアス)。お互いの欠点を非難しながらも「親友」であった姉妹だったが、ローズの恋人をマギーが寝取ったことから2人の中に亀裂が入る。マギーはフロリダに住む祖母(シャーリー・マクレーン)の元に身を寄せ、老人ホームの仕事を手伝うようになる。一方マギーは、新しい恋人を得て、婚約するが・・・。

 映画評などであらすじを読んだときはもっと単純な話だと思っていたのですが、いやいや、実に入り組んだ人間関係でした。姉妹の葛藤だけでなく、姉妹と継母、姉妹の死んだ母と祖母、祖母と父、などの関係も描かれていました。しかし決して観客に混乱させることなく、過剰にドラマティックになることなく、実に丁寧に描いています。キャメロン・ディアスなどの大物俳優出演映画だというのに、彼女たちの悩み・苦悩がとても身近に感じられます。とってもリアル。そーそー、その気持ちわかる~、と何度うなずいたことか。

 他人を許すというのは、ある意味、自分が正しいと思いこんでいる部分が実は間違いかもと、そのイヤな部分を直視すること。直視する勇気を持つのはとても大変なことですが、できない限りは新しい人間関係を築けない。映画のラストはハッピーエンドではあるのですが、それは幸運が舞い降りてきたからではなく、皆が傷つきながらも、それぞれ自分の心を直視したからな結果なのです。

 本当に、些細なことで人は傷つくんだよね。大喧嘩でなくても、ほんの一言でも、軽い気持ちであっても、自分が一番触れられたくない部分を深く抉られることがある。けれど、それは他人から見れば「羨ましい」って部分だったりすると、いかに傷ついたかなんて、想像してもらえない。そんな辛さが随所にありました。

 誰もが「他人から好かれること」「他人から必要とされること」を願うけれど、実は、他人は自分が思っているほどは気にはしてくれていない。その真実を知ること、あるいは受け入れることは難しい。けれど、それを乗り越えてきた老人達の表情は、なんと清々しく、明るいことか。人生の終焉を待つ身でありながらも決して希望を捨ててはいない。自分もうまく年を取りたいものだな、と思いました。

 どこがどう、とか、ここが良かったとか、ハッキリとは言い辛い作品です。山場らしき場面も少ない。けど、、、、。もう随所で泣いてしまいました。実に心に響く映画でした。
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2 コメント

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こんにちは (あん)
2005-11-27 17:08:50
そうね、どこがどおって事ないんだけど心に沁みる作品でしたね。元教授との触れ合いがマギーを変えるきっかけになったよね。出会いって宝物ね。
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コメント&TBありがとうございました (きんちゃん)
2005-11-28 13:26:37
あん 様

コメント&TBありがとうございました。

マギーと元教授の触れ合い、

良かったですよね。

キャメロン・ディアスの場面だから

もっと仰々しくなってもおかしくないのに

サラっと描いているところが

逆に感動を深くしていると思います。

「運命の出会い!」なんか無くても、

ほんの些細な出会い・きっかけで

人は変われるんですよね。

肝心なのは、自分が「変わろう」と

思うことなんですよね~。
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