きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「グラン・トリノ」

2009年05月24日 | 映画
朝鮮戦争に出兵し、勲章をもらったこともある老人。
妻の葬儀の日、隣家にアジア系の家族が引っ越してくる。
偏屈な彼も、隣家やその一族と交流するうち
しだいに心を開いていく・・・

「ガンマン」のイーストウッドですから
最後は、いやいや、その前にでも
悪人達に銃をぶっ放す!!を
誰もが期待してのではないでしょうか。
しかし、ラストは思いがけないものでした。

いろんなところで
「アメリカの良心」といった評を聞きますが
たしかに、その通りでした。
人種差別、暴力、銃への依存、家族の断絶、
そういったものは、アメリカに限らず、
世界のどこにでもある。
楽に生きるために、自分を見つめることなく、
自分を変えることなく生きている人はたくさんいる。
それに対し、向き合うこと、
それはとても勇気がいることです。
でも、その勇気は、誰かを幸せにするかもしれません。

この映画を見て思い出した言葉。
幸福の基準は
いかに多くの人間を
幸福にできるかだ

自分がいることで、
誰かが幸せになるといいね。

良かれと思ってした行動が、
言った言葉が、
本当に良い結果が生まれるとは限らない。
その現実を承知しながらも
それでも他人と繋がるためには
言葉や行動は必要なのだ。

自己犠牲が美しい、
なんてことは言わない。
言いたくもないし、考えたくもない。
それでも、自分が死ぬとわかったとき
どういうふうに、自分の命を使うか。
それはよく考えなくてはならない。

もひとつ。
「不良達」の描き方。
連行される太っちょの表情を見ると
彼が連行されるのと
タオが連行されるようなことにならなかったのは
ほんの少しの違いなのかもしれない、と思った。
生まれながらの「悪」もあるだろうけど
向こうに流れていくのも、
流れずに踏ん張るのも、
ほんのわずかの差でしかないのかも。

もっとオドロオドロしい暴力映画だと思っていたけど
全然違いました。

しんみりと泣ける映画でした。


まー、
でもー、
あのお姉さん、
「そんな口を聞いていると
 ヤラれちゃうよ!」
と思いました。
向こうの人は、ああいう物言いが普通なのかしら?
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