きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

『パーム36 TASK I』(獸木野生著)刊行記念トークイベント@ジュンク堂書店池袋本店

2014年04月10日 | 漫画・小説・雑誌
1983年から連載が開始された「パーム」もついに最終章に突入。
その最終章の1巻(パーム36巻)「TASK」が刊行されたのを記念して
ジュンク堂池袋本店でトークショーが行われました。
サブタイトルは「今夜は『パーム』を語り尽くそう!!」
ゲストパネラーは
 ・岡田育氏(編集者・文筆家)←80年代生まれ
 ・唐木元氏(コミックナタリー編集長)←70年代生まれ
 ・ヤマダトモコ氏(マンガ研究者)←60年代生まれ
です。

90分という短い時間のトークショーなので
語り尽くすことはとうてい無理ですよね。

私も含めて、もしかしたらパネラーさんも含めて、
会場に来た人の最大の関心はパームそのものよりも、
「自分の他に本当にパームファンはいるのか?」だったと思います。
しかし、狭い会場は満杯でした。
いるんだよ、やっぱり、パームファンは、この世に!

基本的にはパネラーさんの熱いお話を眺める、ってかんじだったんですが、
それでいいんです!
「パームについて語り合う人たち」を目の当たりにするのは
実に実にアメージングでした。

トークの内容は、、、
覚えていると事だけとりあえず。
後日どこかで動画がアップされると思います。

・パネラーがパームを読んだきっかけ
 ・岡田氏→他作品を目当てで雑誌を読んでいたらエッセイ漫画に当たった。
  本編はどういうものかと興味を持った。
 ・唐木氏→友人の彼女がある日突然紙袋を提げてやってきた。
  あなたならこれがわかるはず、と押しつられた。
  1日半で全部読み、、もう1日半かけても読み直した。
 ・ヤマダ氏は忘れちゃった。ごめんなさい。

唐木氏(髪を切ったフロイド)が
一番パームに影響を受けてる印象でした。
自宅もオーガス邸をイメージされて作ったとか。

その辺の話から、会場にいる人に
コミックス未掲載話を知っている人に挙手してもらい
どうして読み始めたのか、その時の印象は、などを聞くことに。

お一人は、聖悠紀さん目当てだっけ。
最初はスルーしてたけど
お友達に「『お豆の半分』が面白かったよね!」と言われ
読み直したらハマった。
もうお一人は、SF雑誌だと思って買った。
当時のSF雑誌はあの型だったから
この大きさを買っておけば間違いないだろう、
と思って買ったら、漫画雑誌だった。
パームの印象は「日常生活に対する違和感」を感じ、
SFに通じると思った。

そこから、ウィングスという雑誌に連載されていた意義など。
少女向けでも無く、少年向けでも無く
全方向に向けたユニセックスな雑誌だった。
それでも、その中では浮いていた。

パームは、漫画の系統図から外れ(いわゆる24年組とか)
ガラパゴスで進化したので、どういう作品か人に伝えるのが実に難しい。
探偵ものじゃないし、環境ものでもないし!

「愛でなく」の環境会議は、何度も議題になりました。
あれで脱落した人は多かった。。。。
ヤマダ氏もその1人だったけど、
ちょうどライターになったり出産した時期に重なったこともあるとのこと。
確かに連載開始頃に中学、高校生だった女子達は
環境会議の頃はさまざまな人生の転換期にかぶったかもね。

絵柄についてなども。
とにかくかっこいい、スタイリッシュ。
同じ黒髪ベタでも、カーターの髪質とアンジェラの髪質の違いがわかる。
カラーは黒に橙や青の差し色が入るイメージ。
「あるはずのない海」の1巻なんか、
人物が肌色じゃないんですよ!とヤマダ氏。

(両目があるジェイクが、いまとなっては新鮮)

岡田氏は「愛でなく」の昆虫図鑑的な表紙がお好きとのこと。

あとは絵の正確さ。
カーターの着るスーツは70年代の考証がきっちり反映されている。
しかし眼鏡はまったくのフィクションなのが面白い的な話。
(そこから派生して、速水真澄のスーツも裁断がしっかりわかる絵。
 しかし「少女漫画」なのに少女の服が云々とかとか)
連載初期の黒い影は、カルフォルニアの強い日差しから生まれているとか。

ライフナンバー占いはよく当たる話なども。
http://www.magiccity.ne.jp/~bigcat/life/life.html

あとあれです。
「オールスター・プロジェクト」などで
最後がきっちり提示されてるのに
それに向かって着実に話が進んでいる偉大さとか。
すべてがプロット通りに進んでいる。
読者は結末を知ってるのに読み続ける不思議さ。
あと同じエピソードが視点を変えて何度も出てくる味わい深さとか。

HPに上がっていた制作年表は、改訂の果てに削除されたとか。

マイノリティについて描かれているのも当時としては画期的。
主要女性キャラがバツイチというのは昔は無かった。

名台詞などについても語られた後に、本日最大のイベント、
獣木先生のビデオレター上映。
上映前に唐木さんが「犬と猫が絶対出てきますよ」と予言し
その通りでした。
先生が喋るところ、動くところは初めて見ましたが
雑誌インタビューやHPの印象そのままで
初めて見た気があまりしませんでした。
先生のお友達も出演させられ
「あの人ちょっとムカツク」と言わされていました。

ものすごく盛り上がったイベントでした。
最終巻が出た日にもまた、こうイベントを開催して欲しいです。


私がパームを読み始めたのは86年ぐらい?
「あるはずのない海」3巻が刊行され、
サイン本が某書店店頭に積まれ、
見本用にビニールがかかっていないコミックスを立ち読みしたのがきっかけでした。
バレエを見始めたのは91年。
93年頃の国会図書館での調べ物の仕事のついでに
古いダンスマガジンを読んでいました。
この時の編集長とカーターの姿で出てきた編集さんが同じだと知ったのはわりと最近。
天と地がひっくり返るぐらいビックリしました。

高校時代のパーム布教のヒット率はけっこう高かったと思います。
ただ、社会に出て結婚して、と環境が変わると
読み続けるのは難しいみたい。
コミックスを買い続けているのは私だけかも。
妹に勧めたら「話は面白いけど絵柄がダメ」と言われました。
週刊少女フレンドとかの少女漫画好きの人には
あの絵は無理だったみたいです。
私は花ゆめ派だったし、
少女漫画雑誌の週マでも柿崎普美だったし・・・。

「あるはずのない海」の頃のウィングスはSF漫画雑誌と認識していました。
「フェザータッチ・オペレーション」や「赤々丸」はSF括りだよね?
いまだに「ご飯」を「ぐわん」と言ってしまうことがあります。
もうそこしか覚えてないんだけど。
ただ、ごった煮雑誌だったので、パームが浮いているとは思わなかったな。

私の好きな名台詞は、
 ・幸福の基準はいかに多くの人間を幸福にできるかだ
 ・あれほど傷つきながら、同時に少しも傷つかずに
  わたしたちのもとへたどりついたことが・・・
 ・ある朝目覚めると
  窓が開いている
  そして君は気付く
  待ち続けたものの中にいる自分に
とか、いろいろあるけど、一番は
 ・世界はお前が生まれた時はじまって死んだときに終わるんだ。
  だからその体に熱量があるうちは・・・闘え・・・
ですね。
これで人生が達観できました。
「星の歴史」で引用されている詩も好きです。

と書いていてて気がついたんですが、
「パーム」の魅力って、絵空事ではないリアルな「死」が
身近に描かれていることかも。
「青また青」でも「完璧なもの」とされていたよね。
「死」があるから、「生」がより輝いて見えるのかも。

「パーム」も好きですが「THE WORLD」も好きです。
お花の話が特に。

で。
何度も繰り返し言い続けていますけど、
さらに重ねて言いますよ!
ジェイクはみんなのものだから、
私のものでもあるんだよ!

というか、私のものです。
コメント (4)
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