きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ロミオとジュリエット」ヤパーロワ&モロゾフ/レニングラード国立バレエ

2010年12月09日 | バレエ・ダンス
ヴィノグラードフ版です。
曲はプロコフィエフ。
かなり端折った感じはしますが、
スピーディーとも言えます。
ボヤルチコフ版がつまらなかっただけに
こちらはなかなか楽しく見ました。

なんとなく、イケコの演出を思い出した。
物語に沿って役を創り出すのではなく、
使わなきゃいけない役者の数が先にあって、
元の話に、役者の格に合わせて出番を割り振るような、
そんなイメージ。
ジュリエットの友人って、
たまこ・ふじこ・みっぽー・ちわわ、だよなー。
とかとか。

オケが相変わらずフォルテとフォルティッシモしか無いような
良く言えば力強く勢いのある音で、
それに乗って物語りもガンガン進みます。
息継ぎする間もなく一直線に駆け抜けます。
繊細さはひとかけらも無いけど、
これはこれで面白い。
バレエ団自体が繊細な表現ではなく力押しのタイプだから
案外合っているんじゃあないか。

幕開けは絵画のよう。
床は四角が並んでいる。
その上に、黒い服のキャピュレット側、
白い服のモンタギュー側が並んで戦うと
まるでチェス盤のようだ。

ヤパーロワのジュリエットは元気いっぱいで可愛くて。
幼い子供が激しい愛を知り、
一直線に突き進む。
強い生は強い死と隣り合わせなんだな。
刹那、という言葉が思い浮かぶ。
かなり踊りっぱなしだけど
最後までテンションは落ちなかった。

モロゾフのロミオって、
チケットを買ったときは想像つかなかったんだけど
実際に見ると似合っていた。
ヤパーロワと共に、話を引っ張っていった。
王子系は似合わないかもしれないけれど、
主役は合うな。
二人のバランス、踊りのテンションとかパワーとかも
拮抗していて、良く合っていた。

でー。
でーー。
ティボルトはオマールですよ。
もうねー。
全開でー。
スターブーツだよー。
ウハウハ。
役柄自体が濃くてしつこくて、
振付もそんなカンジなのでー、
もう、ピッタリ、というしか。
ああ、楽しい。
よく来てくれた、よく踊ってくれた、ありがとう!

ジュリエット父はツァル。
娘が言うこときかないと蹴る殴る。
実に横暴な父でした。
ジュリエットが追いつめられるのもわかるなー。

パリスはシェミウノフ。
金髪のヅラ(だよね)が
似合うんだか、なんだか。
悩める王子系。
きっと、女の子達の憧れの的なんだろうねえ。
ジュリエットに恋い焦がれているように見える。
舞踏会の段階で、すでに寝取られ風味。
まー、相変わらず背筋が美しくなく
足捌きも粗いけれど、
芝居の深みはある。
って、誉めているんだよー。

ジュリエット母はノヴォショーロワ。
なんか、格好良かった。

マキューシオはアルジャエフ。
死ぬ場面のソロを半分ティボルトに持って行かれたかんじだけど
お調子者な感じが良く出ていた。

ロミジュリって、
家vs家の話なのに、
ロミオ友人達と
ジュリエット友人達は
ちゃっかり仲良くなっている。謎。

ロレンス神父はミャスニコフ。
ダンサーによっては、お前が一番悪い!
そもそもなんでそんな薬を持っている!!
と怒る対象になっちゃうけど
ミャスニコフだと、二人を思ってー、とか
誠実な部分が良く出ているので
話運びに疑問が出ない。
薬を渡した後の悩む姿が辛かった。

群舞は総踊り的。
迫力はある。
衣装の色合いも華やか。

ヴィノグラードフ版って
まるっきり初めて見ると思ってたけど、
バルコニーの場面の
足を真横に上げる振りが
あまりにも単調に繰り返されて
「その動きはもう止めろー」
と思ったところで、
以前にもそう思った記憶が甦った。
どこかのガラで見たのかなー。
振付自体は面白味はなく、
話運びも上っ面をなぞるだけだから
キーロフのスタンダードにならなかったのも
よくわかるなー。

毎回は辛いけど、
たまに見るなら面白い版かも。


今日は「ロシア文化フェスティバル」の
クロージングの演目になるとか。
そーいえば、オープニングはダンチェンコのガラだったな。
今日の挨拶に上がった人の方が偉いのかな。
ダンチェンコの時よりロシア側の警備の人の数が多かった。
挨拶は開演前の方が良かったなあ。
休憩の合間だと話が分断されるよ。
登壇の人の都合もあるんだろうけどさ。

今回の公演は物販もあるみたい。
Tシャツとエコバックがあったかな。
銀行に行くのを忘れて現金がちょびっとしかなかったので
しみじみ見てないので詳細は不明。
今度はお金を多めに持って行こう。
パンフも立ち読み。
ハンスは、ペトホゥフ、オマールに加えツァルの名前も。
うわあああ!みんな見たいよ!


【配役】
ジュリエット:サビーナ・ヤパーロワ
ロミオ:デニス・モロゾフ

パリス:マラト・シェミウノフ
ティボルト:アレクサンドル・オマール
マキューシオ:ニコライ・アルジャエフ
生:クセーニャ・ルシーナ
死:アーラ・マトヴェーエワ
キャピュレット:ウラジミール・ツァル
キャピュレット夫人:アンナ・ノヴォショーロワ
モンタギュー:イリヤ・アルヒプツォフ
ヴェローナの領主:パーヴェル・マスレンニコフ
ロレンス神父:キリル・ミャスニコフ

ジュリエットの友人:
 ユリア・チーカ、ヤナ・アルフィモワ、
 オリガ・アストレイコ、マリア・ドミトリエンコ
ロミオの友人:
 アンドレイ・マスロボエフ、マクシム・ポドショーノフ、
 ニキータ・クリギン、パーヴェル・ヴィノグラードフ
隊長:アレクセイ・クズネツォフ、デニス・トルマチョフ
タランテラ:ニーナ・オスマノワ


指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
タイム・スケジュール
第1幕40分 休憩20分 第2幕25分 - 第3幕40分 (2 幕と3 幕の間は休憩無し)


1階席は8割方埋まっていたかな。
2~3階と4階センターも、ほどほどの入り。
4階R舞台寄りの1ブロックは
私だけしかいなかったので、
思う存分前のめりで見ました。
コメント
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