きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「白鳥の湖」ペレン&シヴァコフ/レニングラード国立バレエ

2007年02月01日 | バレエ・ダンス
ペレンに感動!
いやいや、ビックリした。
これほど素晴らしいパフォーマンスを見せて貰えるとは思わなかった。
むかしは、与えられた役を型どおりに踊るだけっだった。
最近は「踊ることがとっても楽しい!」って感情が入ってきた。
それは、役的にはどうかと思うこともあったけど
身体になにかしらの感情が入るだけでもいいじゃない、と思っていた。
それが!今日は!
オデット、オディールとして、舞台に立っている!
そのうえ、手足の隅々まで、
意識が行き届いている!
長い手足は
ダンサーにとって
最強の武器

ってのを自覚したんだなあ。
自分の身体の利点を理解した上で、
有効に活用している。
ああ、その成長ぶりに、泣くしかない。
よくぞ、ココまで・・・・
白鳥の出のときなど、
ひたすら美しかった。
その肢体は、奇跡のようだ。
お約束で拍手はしたけど、
本当は見とれていたかったよ。
黒鳥もさ。
ペレンを
色っぽい!
なんて思ったのは初めてだよ。
ああ、誘惑してるよーーーー。
すごいなー。これだけの成長の余地を残しているなんて
昨年には思わなかったよ。
そのことだけでも感動だわ。
32回転はダブルを多用するも
軸がずれまくり。
それでも最後のコーダでぴしっと決めてチャラにする。
その力技こそが「プリマ」なんだよねー。
いいね。いいね。「バヤデルカ」も楽しみだわ。

シヴァコフの王子は若い!
本人比では大人なのかもしれないんだけど、
最近観ている王子はあまり若くないからさ。。
私ビジョンでは「若い」。
1幕も、世間知らずでポヤポヤしている。
王家のアイドルなんだろうなあ。
先王が亡くなってしばらくたっていて、
その間、母である王妃と、先王の王弟(王子の叔父)が後見人で
そろそろ帝王教育をしなきゃならんけど
まあ、まだ若いしねえ、と甘やかされていそうだ。
王家の義務なんて、考えたことなんかないだろー、ってぐらい
のんびり素直に育っている。
それが、オデットと会って、変わる。
一本芯が通ったというか。
大人になった、というよりも、
子供を卒業したというのかね。幼年期の終わり。
その成長の段階が、とってもクリアでした。
なんか、この状況にピッタリな歌があったような・・・、と
幕間に考えていたら、

  あなたが私に教えてくれた 生きる意味を
  愛されることの喜びと
  愛することのときめきと
  苦しみ すべて
  あなたを通して知った
  あなたが私を変えた

女帝陛下の歌声が聞こえてきたよ。(幻聴)
そう。この王子は、結局はオデットに会ったために死ぬけれど
オデットにあったからこそ、「生きる意味」を知ったんだよなあ。
それは不幸なことではないかもしれない、
と、さえ、思った。
なんだか間違っているよなーーー、我ながら。
こちらもパ・ド・ドゥのヴァリエーションあたりは
バランスを崩しそうになるときがあったんだけど
コーダで大挽回。
いいねえ、力技。
サポートが、もうちょいかな。
ペレンが回っているときの支えが、
腰が引けているときがあった。
おっかなビックリ。
髪がだいぶ長くなっていた。
私は短い方が好きだけどなあ。

トロワは、エフセーエワ・ロバノワ・マスロボエフから変更で
ステパノワ・コシェレワ・プハチョフ。
なんと豪華なことでしょう!
メンバー的に、王子の友人ではなく、
王子より年上の王族に見えちゃうわ。
ええ、さっき書いた先王の王弟とはプハチョフですわよ。
だって王子より貫禄があるんだもん。
二人並ぶとどっちが王子がわかりませんわ。
本物は誰だ
そんなんで、勝手に脳内設定です。
彼を王にと望む人が多いのに、
王弟自身は兄の息子の王位を継ぐのが当たり前だと思い、
優しく甥を補佐している、と。
(実年齢は近いんだけどねえ)
ま、だからですね。王子が白鳥と湖に沈んでも
王国は安泰かなあ。。とかとか。
彼をこんなとこで見られるとは思っていなかったので
とっても嬉しかったです。
長身の彼が大きく踊ると、オーチャードでも
舞台が狭く感じられます。
綺麗な踊りだよねーー。
コシェレワは絶好調。
役を演じるより、こういうポジションの方が合うのかなあ。
ジャンプも回転もキレが良かったです。
逆にステパノワは、彼女にしては重めの動き。
最後の方では転んでしまってヒヤヒヤしました。
怪我がないといいのですが。
金曜日はゆっくり休んでくださいね。

1幕のワルツの先頭4組の中で
溌溂とした笑顔の若い女の子がいた。
ツアー終盤で、ダンサーに疲れが目立つ時に
この笑顔はあっぱれ!!
癒されたわ。

2幕。
フィルソワの背中のラインが美しいことに始めて気がつく。
ミリツェワは、やっぱりここにいた。
ヴィジェニナは少し痩せたのだろうか。
小さい白鳥の踊りで手拍子が入りかけて、とってもビックリ。

3幕。
王妃様、花嫁候補は家柄以外でも選ぼうよ、というくらい
王子と年齢が合っていない人が多いなあ。
ポリョフコに比べると、
カミロワは踊り切れていない。
もうちょっとだ!
リャブコフは「ジゼル」の時に鈴井さんに似てると思ったんだよなー
どこが似てるんだろうなー、とちょいと考える。
マラーホフは相変わらずの美脚。
フィルソワは白いドレスでも身体のラインが綺麗だ。
ペトゥホフも衣装が似合っている。
ご両親が踊ったパートだよねえ。と昔を懐かしむ。
上手側に昨日のラッパ卒を見つける。
マールイの起用方法がますます謎に。
ポーランドで濃すぎるのがアルヒプツォフなんだろうなあ。

群舞は、ここにしては普通ぐらいかな。
でも「ジゼル」の時よりは気合いが入っている。
「白鳥」は別格なのかな。
オケも昨日より断然良い。
パブージンの指揮は、管にばらつきが出るときがあるけれど
ペレンのタイミングにうまく合わせてくれている。
ホリコフよりずっとずっと良いので
「バヤデルカ」もお願いしたいわ。
メロディも崩れるときがあるかな。
四分音符3つがシンコペーションになるみたいな。
その崩れ方はマリコさんのようだわよ。
カーテンコールで見ると若手みたいね。
これからの成長に期待。
前に「フォルテとフォルテッシモしか無い」
と思ったのはこの人だと思うんだけど、
記録が出てこないわー。
今日はピアニッシモもちゃんとありました。
神奈川県民ホールや国際フォーラムに比べると
オケの響きはいいよねえ。


【配役】
オデット&オディール:イリーナ・ペレン
ジークフリード:ミハイル・シヴァコフ
ロットバルト:マラト・シェミウノフ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師:アンドレイ・ブレクバーゼ
パ・ド・トロワ:オリガ・ステパノワ、イリーナ・コシェレワ、アルチョム・プハチョフ
スペイン:オリガ・ポリョフコ、ユリア・カミロワ、ヴィタリー・リャブコフ、アレクセイ・マラーホフ、
ハンガリー:エレーナ・フィルソワ、ロマン・ペトゥホフ
マズルカ:
 タマラ・エフセーエワ、マリーナ・フィラトワ、
 ナタリア・グリゴルツァ、オリガ・ラヴリネンコ
 アレクサンドル・オマール、ニコライ・コリパエフ
 ニキータ・セルギエンコ、イリヤ・アルヒプツォフ
大きい白鳥:
 タチアナ・ミリツェワ、アリョーナ・ヴィジェニナ
 エレーナ・フィルソワ、マリーナ・バルエワ
小さい白鳥:
 ナタリア・ニキチナ、アレクサンドラ・ラツスカヤ
 マリーナ・ニコラエワ、マリア・リヒテル
 のうち、誰かとニキロフォワが交代
二羽の白鳥:スヴェトラーナ・ロバノワ、マリーナ・バルエワ

指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
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