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総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

レイク・オベゴン効果とは?

2020-05-29 | 闘魂症例検討会
みなさん、こんにちは。
 
 
製薬会社は「相対」リスク低下の数値をチラシなどによく使用する。
 
30%のイベントリスク低下です、というように。
 
 
もちろんそれは正しい。
 
しかし、担当医が行うべき作業は、これを絶対リスクに解釈し、個別医療を行うことなのだ。
 
 
一方、今回のケースのA子さんは、生来健康で、高血圧・喫煙・糖尿病なし、冠動脈疾患家族歴なしという低リスク群である。
 
 
一般に、リスクの連続値で集団の分布をみた場合には、正規分布することは少ない。
 
横軸をイベントのリスクとすると、向かって右がロングテールの左(陽性の歪度の)偏りの分布となる。
 
 
すなわち、実際の大部分の人々のリスクは平均(mean)より低く、3%未満となるのである(図1)。
 
 
図1:レイク・オベゴン(Lake Wobegon)効果
 
 
このように、実際の人々のリスク分布の偏りによるバイアスを、レイク・オベゴン(Lake Wobegon)効果と呼ぶ。
 
 
米国の中西部のLake Wobegon町の住民は「男性は強く、女性は美しく、子供たちの成績は全米平均以上」であり、平均で評価することのバイアスを示している。
 
 
式で示すと、
 
median(順番で50%の値)<mean
 
となる。
 
 
大部分の人々(>50%)は元々のリスク(3%)より低くなるのだ。
 
実際、文献1の研究での、LDL-コレステロール値の平均は160 (mg/dl)であり、A子さんの LDL-コレステロール値150 より高い。

 

 

 

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