やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】231 「区別と差別」、「人権」について考える -9- ~2 区別と差別-9- ⑶ 一般的な、区別と差別のちがい 5~

2017年07月05日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-令和2年度使用)

~「区別・差別/人権」・・・中間まとめ~

【定理1】

結果事象Aが「差別事象」と認定されるには、①Aが差別事象である可能性があることと、②Aが生じた直接的な原因(の一つ)として、ヒトBの内心の「差別心」があること、の二つが、③両方とも、認定されなければならない。

  ※差別認定は、上記3つの必須条件がそろう必要がある。=どれか1つでも欠けたら、それは差別事象とは言えない。 

 

【努力義務1】

差別認定者には、当事者である被差別主張者と差別被疑者のほかに、《公平で合理的な判断ができる(と思われる)第三者》を加えるのが望ましい。

  ※「第三者」=裁判官、人権擁護委員など。/以上とは別に、要望があれば、各当事者の協力者や弁護人なども認めなければならない。

 

【「差別」の定義】(現段階の

・差別=特定の集団が、特定の属性をもつ集団や、その集団に属する個人に対して、(ひどい)仲間はずし行為をすること。 

差別=区別+仲間はずし行為

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2 「区別と差別」について考える -9-
⑶ 一般に言われている、「区別」と「差別」のちがい 5/n(※「差別」の定義はとても難しい! まだ定義はしないで慎重に考えていく。) 

 

② ウィキペディアや辞書などで、区別と差別のちがいを調べてみる。3/n 

前回分の結論 : 「他よりも不当に低く取り扱う」という文は、「学問的」「客観的」な、論理的定義としては使えない。ただし、日常的な、「情緒的」「感情的」「主観的」「政治的」定義として使うことはできる。とても危うい使い方だけど…~

 

●<東京人権啓発企業連絡会:人権と人権侵害<シリーズ2> 「差別とは?」>より

 「差別」とは、「本人の努力によってどうすることも出来ない事柄で不利益な扱いをすること」をいいます。

 「出身地」「職業」「学歴」「性別」「家柄」「民族」などによって、上下の値打ちをつけ、その人や団体の自由や権利を無視、侵害するなど不当性、不利益性を被る関係が生じることをいいます。

 

※1 第1文の検討

・「本人の努力によって(は)どうすることも出来ない事柄」とは何のことか? ※以下、日本限定で考える。

 第2文にそれらしい「事柄」それが書かれているので、ひとつずつ、「本人の努力によって(は)どうすることも出来ない」ことなのかどうかを検討する。

「出身地」…〇  ※今は「本籍」を自由に変えられるようになっているが、探偵などが調べればわかるらしい(?)。

「職業」…×  ※「本人の努力」でどうにかできる可能性が高い。

「学歴」…×  ※同上

「性別」…ほぼ〇 ※昔はできなかったが、今は”性転換手術”をすれば、できないことはない。(おすすめはしないが)

「家柄」…△? ※「身分制度」があった江戸時代なら定義できないことはないが、戦後社会における「家柄」ってなんだろう? 家系図にある先祖? 社会的地位? 名声? 金持ち? ”完全な個人主義社会”ではありえないが、”親の七光り”という言葉が生きている社会では、”なんらかの社会的チカラをもつ家族・一族”という定義をすればありえる。が、あいまい。

「民族」…〇? △?  ※民族とは、《他の集団と区別できる程度の、特定の遺伝子と文化を共有している集団》と定義できる。しかし、日本語(※文化の中核)がきちんと話せるならば、以下の人々は見かけではあまり区別できない・・・「日本民族」「朝鮮民族」「漢民族」「蒙古民族」などや、「他のアジア民族の一部」「アメリカ先住民(ネイティブ・アメリカン)の一部」「アボリジニの一部」など。
 つまり、日本語が日本民族並みに話せて、見かけが似ていれば、日本人でさえ区別するのはむずかしい。

 

・第1文と第2文に矛盾・くいちがいがあり、これらの定義(説明)は、さほど厳密ではないことが分かった。

・「本人の努力によってはどうすることもできない」という属性・文言(もんごん)を、差別の定義に採り入れるかどうか?

 上記検討でもわかるように、採り入れると、「各種人権団体」が差別と認定している事柄がかなり減ったり、あいまいになってしまう。

 → 「差別と認定している事柄」すべてに共通する属性・要素がなければ定義できないのだから、この文言は採用しないことにする。

 

・「不利益な扱い」 ”片方の利益は片方の不利益” というのは経済の原理の一つ。したがって、「被差別主張者にとって不利益な」という文言を採用する。

 

※2 第2文の後半「上下の値打ちをつけ、その人や団体の自由や権利を無視、侵害するなど不当性、不利益性を被る関係が生じることをいう」の検討

・「上下の値打ちをつけ」・・・既述の「比喩的表現」なので、定義には使えない。

・「…不当性」・・・相対概念(内的事象)なので、定義には使わない。

・「不利益性を被る関係が生じる」=被差別主張者が不利益を被る。文言を修正して定義に採用する。

 

【差別の定義:新案

・差別=特定の集団Aが、特定の属性をもつ集団Bとそれに属する個人B´に対する差別心をもち、B・B´の不利益になる仲間はずし行為をすること。

 

 なんとなく、完成に近づいたような気がするが、この主文に付け加えて、副(注釈)文として、「差別心」「不利益」「仲間はずし行為」についての定義(説明)が必要と思われる。

 

~次回、現行憲法との関係を調べる~  

<全リンク⇒ <区別・差別・人権を考える(挿入独立項)>223224225226227228229230231232233234235236(中間まとめと、⒅内リンク)・