A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ズートシムスの共演相手はビルホルマン率いるノネット・・

2015-04-02 | MY FAVORITE ALBUM
Hawthorne Night / Zoot Sims

一ジャズファンであったノーマングランツ、趣味が嵩じてJATPを興したのは若干25歳の時であった。コンサートを自分で録音に残し、これをベースにアルバム作りも始め一躍有名になり、自ら育てたヴァーブレーベルも5年間で1000枚近くのアルバムを出し活況を呈していたが、1960年12月に突然それらを売却して引退した。

しかし、ジャズ界のその後の状況に危機を感じたのか、もう一度70年代に入ると再びプロデューサーとしての再起を賭けてJATPを再開した。1972年サンタモニカのシビックホールで旗揚げをし、これを機に本格的な復活の狼煙をあげた。それに合わせて、新たにパブロレーベルを興し、アルバム作りも再開した。ピーターソンやエラなど昔JATPやVerveレーベルで活躍した面々が昔の親分の元に再び集まった。

ビッグバンドもカウントベイシーやルイベルソンなどの伝統的なオーケストラが息を吹き返した。カールジェファーソンがコンコルドレコードを設立したのも1972年。メインストリームジャズが復活したのがこの年だった。車のディーラーであったジェファーソンと異なり、ノーマングランツはかっての業界の実力者、有名どころのベテラン達が続々と集まった。

しかし、ジェファーソンと異なり、グランツの場合は新人の発掘にはあまり興味は示さなかった。その結果、ミュージシャンが次第に歳をとると、活気のあるアルバムは少なくなってしまった。最後は、両オーナーともレーベルを手放したが、結果的に後発のコンコルドがメジャーとなり、パブロを飲み込んでしまったのも仕方がないだろう。

さて、パブロが新たに契約を結んだミュージシャンの中にズートシムスがいた。確かに実力者の一人であり、リーダーアルバムも数多く作ってはいたが、どちらかというと地味な存在、スターミュージシャンの中に並んで扱われるのは初めてであったろう。
パブロレコードは、ヴァーブ時代と同様大物同士の顔合わせやジャムセッション物のアルバムを次々と世に出した。このシムスもピーターソンやジョーパスとともに、ガーシュインのソングブックをリーダーアルバムとして初登場した。そして次のアルバムはパブロとしては少し毛色が変わった、ビルホルマンのアレンジで9人編成のラージアンサンブルをバックにしたアルバムであった。

このホルマンは50年代からアレンジャーとして活躍し、70年代になってもバディーリッチやスタンケントンのビッグバンドのアレンジは提供してはいたが、ジャズの世界とは少し疎遠になっていた。このパブロの誕生と共にジャズのアレンジも本格的に復活し、カウントベイシーやルイベルソンのアルバムでは、このビルホルマンのアレンジが多く使われた。それに刺激を受けたのか、自らのビッグバンドを編成し活動を始めたのもこの頃であった。

50年代にはビッグバンドだけでなく、コンボやこのようなラージアンサンブルのアレンジも多く手掛けていたが、久々にジャジーなアレンジに気合が入ったことであろう。集まったメンバーも西海岸のスタジオミュージシャンの一流メンバーが集まった。ちょうど70年代に入り、彼らの仕事場であったテレビ番組の制作がロスに移ったこともあり、ニューヨークからスタジオミュージシャンの大移動があった。ルータバキンが秋吉敏子と共にロスに移ったのもその理由であったが、サドメルのメンバーもこの大移動で大きく変った。スヌーキーヤングやジェロームリチャードソンも移動組であったが、この録音には彼等も参加している。そして、トロンボーンにはロスの重鎮フランクロソリーノも加わっていた。

ホルマンのオリジナルに加え、エリントンナンバーやイパネマの娘など選曲も変化に富んでいるが、ホルマンも曲に合わせて個性あるアレンジで大活躍だ。デュークピアソンが自分のビッグバンドを立ちあげる前に、ブルーノートでラージコンボのアレンジを数多く書いていたが、それら中に後のビッグバンドの雰囲気を感じるのと同様、ホルマンの場合も明らかに50年代とは違って、80年以降のビッグバンドに通じる作風を感じる。

シムスの自作のダーククラウドは、昔ランバートヘンドリックス&ロスとの共演で演奏した曲だが、このアルバムでは珍しいシムスの歌も披露している。
演奏はもちろんリーダー格のズートシムスが全曲でフィーチャーされているが、重鎮揃いのバックの中ではフランクロソリーノが大活躍している。シムスとホルマンのアレンジを楽しむアルバムだが、ロソリーノのソロも掘り出し物だ。


1. Hawthorne Nights                    Bill Holman 4:42
2. Main Stem                      Duke Ellington 5:03
3. More Than You Know    Edward Eliscu / Billy Rose / Vincent Youmans  6:01
4. Only a Rose                Rudolf Friml / Brian Hooker  5:07
5. The Girl from Ipanema  N. Gimbel / A. Carlos Jobim / Vinícius de Moraes  4:10
6. I Got It Bad (And That Ain't Good)   Duke Ellington / Paul Francis Webster 6:19
7. Fillings                         Bill Holman 5:27
8. Dark Cloud                        Zoot Sims 4:21

Zoot Sims (ts,vol)
Bill Hood (bs,bcl,fl)
Richie Kamuca (ts,cl)
Jerome Richardson (as,cl,ss,as,fl)
Frank Rosolino (tb)
Oscar Brashear (tp)
Snooky Young (tp,flh)
Ross Tompkins (p)
Monty Budwig (b)
Nick Ceroli (ds)
Bill Holman (arr)

Produced by Norman Granz
Recorded at RCA Studio, Los Angels on September 20 & 21, 1976
Engineer : Grover Helsley

Hawthorne Nights
Zoot Sims
Ojc
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久々に、ストレートなジャズの演奏をトランペットとボーカルで・・・

2015-02-02 | CONCORD
Stand By For The Jack Sheldon Quartet

昔、スイングジャーナルの読者人気投票のランキングを見ると、ギターに植木等、トロンボーンに谷啓といった名前が並んでいた。コメディアンとして有名になったクレージーキャッツの面々であるが、以前はジャズを演奏していたミュージシャン達であった。コミックバンドを経て、それぞれの道へ進んだが、谷啓は、最後までテレビ番組でもトロンボーンのプレーを披露していた。

ジャックシェルドン、元々は‘50年代西海岸で活躍していたトランぺッター。50年代のウェストコーストで作られたアルバムには、コンボでもオーケストラでも彼の名前は数多く見かける

しかし、60年代に入ると、テレビや映画に俳優、コメディアンとして登場し、活躍の場はすっかりテレビ中心に変った。テレビに出ている時もトランペットとボーカルを忘れることは無かったが、ストレートのジャズというよりは、ポピュラーな曲を演奏したり、子供番組の主題歌を歌ったり、その活動はジャズからはどんどん離れていった。



しかし、70年代に入ると、再びトランぺッターとしてスタジオワークを中心に活動を再開する。そして、ストレートなジャズの演奏も。ビルベイリーのビッグバンドに参加しコンコルドのアルバムにもシェルドンの名前が見られるようになった。

そんな彼を、カールジェファーソンが放っておくことは無かった。
Concordレーベルは、ベテランの復帰の機会を提供する、ある種のリハビリの場のような存在であった。無理に今風の演奏を強い得ることなく、本人の意向を一番尊重し、ベストなプレーができる環境を常に用意していたので、ミュージシャンにとっては気負うことなく久々のプレーでも気楽に演奏できたかもしれない。

今回もコンコルドのハウストリオとでもいえる、トンプキンス、ブラウン、ジェイクハナがバックを務める。このトリオをバックに、シェルドンに「お好みのトランペットと歌をご自由にどうぞ」といった感じのセッションである。

ジャケットのテレビ画面を模したデザインも、シェルドンのキャリアを知っている人にとっては、意味が良く分かると思う。テレビではプレーヤーとしてよりも、長年Merv Griffin Showのミュージカルディレクターとして有名になってしまったシェルドンだが、今度のプログラムは「いつもお馴染みのシェルドンではなく、ジャックシェルドンカルテットがスタンバイしています」ということだろう。
そして、このカルテットの演奏は、ジェファーソンの思惑どおり、シェルドンのジャズプレーヤーとしての側面を再び全面的にアピールした内容となった。

トランペットを吹くボーカルといえばチェットベイカーが有名だが、タイプは異なってもこのシェルドンも両刀使いだ。このアルバムでも、トランペットとボーカルの曲を交互に配し、楽器も歌もどちらもメインとアピールしたかったのだろう。

基本的にはモダンスイング系のスインギーなトランペットであるが、曲に合わせてプレースタイルは微妙に変えている。バイバイブラックバードのトランペットというとマイルスを思い出してしまうが、ここでもミュートプレーで軽快に(もちろんマイルスのような鋭さはないが)、そしてシャドウオブユアスマイルでは、低音域でストレートなメロディーの美しさを訴える。バラードもスインギーな曲もご機嫌である。

歌の方も、余興で歌うといった感じではなく、最後の曲、The Very Thought of Youでは7分にも及んでじっくり歌い込んでいる。

この録音がきっかけだと思うが、翌月行われたウディーハーマン仕切りのジャムセッションにも参加している

その後も、プレーや歌を継続して行くが、エンターテイナーとしてステージの楽しさも、演奏や歌に加えて人気を博した要因であろう。いずれにしても、才能豊かな人は、何かを極めるにしても他の分野での才能が助けになって大きく育つのは間違いない。
どんなに上手く演奏しても、ただ黙々と演奏するライブが楽しくないのは、そのようなキャラクターが影響するのかもしれない。

その当時のライブの様子↓


1. I Love you
2. Daydream
3. Cherry
4. Don’t Get Around Much Anymore
5. Bye Bye Blackbird
6. I’m Getting Sentimental Over You
7. Shadow of Your Smile
8. Get Out Of Town / Ours
9. Poor Butterfly
10. The Very Thought Of You

Jack Sheldon (tp)
Ross Tompkins (p)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards

Recorded at Ocean Way Recording, Hollywood, California, March 1983

Originally released on Concord CJ-229
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70年代から80年代にかけて一番有名なジャズバンドは・・・・?

2012-02-21 | MY FAVORITE ALBUM
The Tonight Show Band with Doc Severinsen Vol.1

70年代の始め、まだ高校生だった弟が親の転勤で一緒にアメリカに滞在していた。その弟から「兄貴の好きそうなジャズのミュージシャンが毎日テレビに出ている」と手紙が来た。音楽自体は色々な所で聴く機会はあっても、当時は今の時代のように身近で映像を見る機会はなかなかなかった。まして、テレビで本場のジャズを見ることができる機会というのはめったになかった。今でこそ多少翳りが出てきたものの、国民全体に情報を届けられるマスメディアとして絶対的な影響力を持っていたのは、当時はテレビであった。そのテレビに毎日のように出演するとなると、当然知名度は上がり彼の存在は全米中に知れ渡ることになる。そこで演奏される音楽と供に。そのバンドは、ドックセバリンセン率いるツゥナイトショーバンドだった。

NBCの深夜の有名なトークショー番組をジョニーカーソンが30年間司会を務めたが、そのバックオーケストラを務めたのが”Tonight Show Band”。ドックセバリンセンがリーダー(音楽監督)となったのが67年なので、彼は大部分の期間をカーソンとコンビを組んでいたことになる。
このセベリンセンは、先日紹介したビリーテイラーのテレビ番組にも一緒に出演していたので、テレビ界との繋がりは以前からあったのかもしれない。テレビ関連の仕事に加え、60年代の前半にかけてはスタジオワークで色々なアルバムにトランペット奏者として参加していた。そのセバリンセンが音楽監督になって”Tonight Show Band”を再編成してから、そのバンドは一躍有名になっていった。ちょうどニューヨークからロサンジェルスに番組が引越しになったのに合わせてメンバーも異動があった。当時はテレビ番組の制作拠点が西海岸に移るということは他にもあったと思われるので、ニューヨークのミュージシャンの西海岸への移動も起った。秋吉敏子の夫君のルータバキンもその一人であった。

それで、このバンドには西海岸の在住の有名なプレーヤーが加わることになる。トランペットのスヌーキーヤング、そしてコンテカンドリの両巨頭も。サックスではビルパーキンスやアーニーワッツなど。ピアノのロストンプキンスやドラムのエドショネシーなどの「名人」も長年このバンドのメンバーを務めることになる。
バンドの演奏だけでなく、多くのゲストがこのバンドと一緒にそのプレーや歌を全米に披露することになった。テレビの影響力は圧倒的なので、当然のようにこのセバリンセンのバンドも全米で一番知れ渡ることになり、人気投票でも上位にくるようになった。

そして、満を持して作られたのがこのアルバム。スイング時代からのビッグバンドの伝統を引き継ぐこのバンドのアルバムがめでたくグラミー賞を受賞することになった。特に実験的なことをやるわけでもないし、古いバンドのコピーをしている訳でもなく、これぞビッグバンドのエッセンスという演奏だ。ビッグバンドの楽しさを広く世に知らしめるためには、このようなバンドも必要だと思う。思えば、日本でも昔はビッグバンドがレギュラー出演している番組はいくつもあったものだ。



Tonight Show Band

Doc Severinsen Conductor, Flugelhorn, Performer, Trumpet
Conte Candoli Flugelhorn, Trumpet
Snooky Young Flugelhorn, Trumpet
John Audino Flugelhorn, Trumpet
Maurey Harris Flugelhorn, Trumpet
Gilbert Falco Trombone
Bruce Paulson Trombone
Ernie Tack Trombone (Bass)

Tommy Newsom  Clarinet, Flute, Sax (Alto)
Bill Perkins  Clarinet, Flute, Sax (Alto)
John Bambridge  Clarinet, Flute, Sax (Alto)
Pete Christlieb Clarinet, Flute, Sax (Tenor)
Ernie Watts   Clarinet, Flute, Sax (Tenor)
Donald Ashworth Clarinet, Euphonium, Flute, Sax (Baritone), Sax (Bass)

Ross Tompkins Piano
Joel DiBartolo Bass
Peter Woodford Guitar
Bob Bain Guitar
Ed Shaughnessy Drums

Produced by Jeff TyZik & Allen Vizzutti
Mick Guzauski Engineer, Mixing, Recording Technician
Daren Klein Assistant Engineer
Richard McKernan Assistant Engineer
Jesse Peck Assistant Engineer

Recoeded "Live" in The Studio on August 5-7, 1986

The Tonight Show Band Vol. 1
Tonight Show Band
Amherst Records



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「定職」も「アルバイト」もいつも同じメンバーで・・

2011-08-18 | CONCORD
The Concord All Stars / Ross Tompkins


このロストンプキンスもConcordレーベル設立以来の常連だ。ソロもあれば、色々なメンバーとの共演も多い。今回のフロントラインのスヌーキーヤングとマーシャルロイヤルとのアルバムも過去に出している。
お互い手の内が分かっているメンバーが集まり、1979年のコンコルドジャズフェスティバルでのライブのアルバムだ。この年のライブも先日紹介したマリアンマクパートランドのアルバムですでに5枚出ているので、これが6枚目になる。
という訳で、ALL STARSという看板を掲げているが、このフェスティバルのためにだけに集まった面々ではない。気心を知り合っている仲間なので、ライブ物といっても実にコンビネーションがいい。ビッグバンドではリードをとることが多いスヌーキーも、じっくりソロをとっているし、マーシャルの輝くアルトも健在だ。そして、最後のパビリオンブルースの盛り上がりはライブならではだ。

西海岸に居を移してからのトンプキンス活動はConcordの活動以外でも多忙だった。ルイベルソンのビッグバンドにも加わっていたし、何と言っても仕事の中心を占めていたのはドックセベリンセンのバンドだ。
昔はテレビの歌番組でもバックは生オーケストラ。番組にレギュラー出演していたBig bandは多い。日本では先日紹介した岡本章生もそうだったが、豊岡豊、スマイリー小原などもお馴染みであった。本場アメリカはというと、何といってもドックセベリンセン率いるTonight Show Big Bandだ。彼の普段の活躍の場所(仕事場)で、スヌーキーも一緒にこのオーケストラのレギュラーメンバーだった。

多彩なゲストを迎えて何でもこなさなければならないのがテレビのレギュラーバンド。ソロからビッグバンドまで何でもこなすロスにはうってつけの仕事だったかもしれない。このバンドにロスは88年まで在籍することになる。居心地が良かったのだろう。
JATPのお祭り騒ぎのジャムセッションとは違って、オールスターとはいってもレギュラーバンドと変わらない一体感を生んでいるのは、フェスティバルの大舞台といっても、トンプキンスにとっては日頃の活動の延長だったからだろう。

このTonight Showのリラックスした雰囲気を日頃から楽しんでいたら、何処に行ってもいい演奏ができそうだ。



1. Moten Swing
2. Don't Get Around Much Anymore
3. Willow Weep For Me
4. I Want A Little Girl
5. Sleeping Bee
6. Summer Wind
7. Exactly Like You
8. Pavilion Blues

Snooky Young(tp)
Marshall Royal(as)
Ross Tompkins(p)
Cal Collins(g)
Ray Brown(b)
Jake Hanna(ds)

Phil Edwards Engineer, Remixing
Carl Jefferson Producer
Recorded live at Concord Jazz Festival 1979
Concord CJ-117
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Concordのお馴染みのプレーヤーが・・・世界のコンサートへ

2011-08-11 | CONCORD
Herb Ellis at Montreux


ジャズフェスティバルの中で有名だったのは?まずはニューポートジャズフェスティバル。ここで幾多の名演奏が繰り広げられ、レコードに残っている物も多い。ジャズが世界の音楽になると、世界中でジャズフェスティバルが行われるようになった。ヨーロッパでは、何と言ってもモントルーであろう。今年も16日間に渡って盛大に開かれた。
あのビルエバンスの名盤のジャケットになったレマン湖の畔にあるシヨン城が印象深く残るのがモントルーだ。このアルバムの表紙もモントルーの街並み、シヨン城、湖、遠くの山並みが綺麗にイラストになっている。

1979年のモントルーにはConcordのご一行様が訪れている。その様子はすでにLA4のアルバムで紹介されている。

Live At Montreux Jazz Festival / LA4 CJ-100

コンコルドレーベル設立当時からの古株、ハーブエリスもこのモントルーの舞台に立った。
両方で40分弱のステージだが、2つグループで演奏している。いつものメンバーのトリオをバックにした演奏に加え、ピアノレスの若手のメンバーと一緒のトリオの演奏に分かれている。どちらもスタンダード曲をさりげなくこなしている。

エリスのギターは何か「鼻に詰まったような感じ」でありながら、プレーは実にスムースだ。ジャズをベースにしながらもカントリーの雰囲気も持ち合わせているからかもしれない。派手さはないが、歌物やブルースのスインギーな何気ない演奏に引き込まれてしまう。ピーターソンのテクニックと向き合う時にも、表立って張り合うよりは、裏になり、表になり、時には脇に寄り添う良き相棒であった。
今回は自分が主役であるが、バックのメンバーと実に気持ちよさそうに溶け合っている。特にレイブラウンとは、ピーターソン時代以来の旧知の仲。図太いベースとのコンビネーションも最高だ。
ジャケットの綺麗なモントルーの風景のイラストとも相性がいい。エバンスのジャケットの冷たく研ぎ澄まされてお城と向かっているのとは違ってほのぼのとした暖かさを感じる。
コンコルドのアルバムはあまりイラストを使わない。数少ないアルバムの一枚にEllisの“After you’ve gone”がある。Concord駅の古いイラストだが、このアルバムのイラストと何か共通点を感じる。やはりジャケットは中身を表現する何かを持ち合わせている。

この映像も晩年だと思うが、エリスも昨年亡くなってしまった。



1. Love Walked In
2. Georgia On My Mind
3. Secret Love
4. There Will Never Be Another You
5. The Days Of Wine And Roses
6. I Love You

Herb Ellis (g)
Ross Tompkins (p)
Ray Brown (b)
Jake hanna (ds)

Miichael Moore (b)
Jeff Hamilton (ds)

Recording Enginner Phil Edwards,John Etchells
Produced by Carl Jefferson

Cover Illustration Tessie Dong
Recorded live at Montreux Jazz Festival June 1979 by Mountain Studios
Concord CJ-116


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CONCORDのジャズの味は、カリフォルニアワインの味?・・・・

2008-03-26 | CONCORD
A Taste of JAZZ

ジャズの故郷のニューオリンズ。綿花畑が続く中でブルースが生まれた。
楽器を手にした黒人はマーチンバンドをジャズバンドにした。そしてショパンの調べを奏でたピアノは酒場の喧騒の中でラグタイムを聴かせた。ミシシッピー川を遡ったジャズは都市に辿り着き、そこで生息し育っていった。そしてまた次の都市に。いつの間にか都会の生活に溶け込んで、ジャズはすっかりビルに囲まれた薄暗い地下室が似合う音楽になっていった。

Concordはサンフランシスコに近い西海岸の町。都会の喧騒からは程遠い環境だ。
そこに大きなジャズフェスティバルが行われるパビリオンも生まれた。なぜか、そこで行われる演奏は同じジャズでも、暗い地下室よりも西海岸らしい昼間の日差しの眩しさが似合う明るい演奏が多かった。それも、何となく垢抜けた雰囲気の大人のサウンドで。

コンコルドの北にはナパバレーがある。ブドウの農園があり、そしてそこで作られるワインはカリフォルニアワインの故郷として有名だ。ヨーロッパに負けないワイン作りを目指してここに農園が作られたのは1987年。ジャズがニューオリンズで生まれようとしていた頃だ。
100年経って、ジャズはその歴史を背負って東海岸から、そしてウェストコーストに育ったジャズもこの地にやってきた。
そこのジャズの味は、Concordの作ったジャズの味だ。
東海岸のハードバップ、そして西海岸のウェストコースト、時にカンサスやシンシナティーで育った独特の味付けも加えながら。

“A TASTE OF JAZZ”

ジャズは確かに色々な味がする。同じ曲でも演奏する人によって違う味がするし、聴く方にとっても気分によって違う味がする。ちょうどワインの味が同じ産地であっても年によって違うように。そして飲む雰囲気でも違うように。

一枚一枚こだわりの制作をしていたコンコルドも92枚目にしてコンピレーションを出した。それまでのアルバムからのベスト物だ。
タイトルは、まさに「A TASTE OF JAZZ」。
8枚のアルバムから1曲づつ選ばれている。総勢23人Concordに登場したミュージシャンの顔見世でもあり、Concordの味の試飲会が開かれた。
このアルバムはいずれも久々に聴き返して最近コメントを残したものばかり。記憶がまだ残っているが、改めて聴き直してもいい曲、そしていい演奏が選ばれている。

ギター好きのジャファーソンのことなので、全曲ギター入りかと思ったら7曲目のLush Lifeはピアノトリオ。でも他はすべてギターが加わっている。カルコリンズだけが2曲に登場というのも、この頃のコリンズの勢いかもしれない。
そして全編を通じて共通の味付けがされている。それがConcordサウンドだ。今回は、特に曲と演奏の美しさが際立っている名演が選ばれている。各プレヤーとも美しさの限界にチャレンジした演奏を繰り広げる。ブロー中心のファンキーなジャズもいいが、このようなサウンドに挑戦したジャズにも味わいがある。

ちょうどナパバレーのワインが世間に知れ渡ったように、Concordのジャズの味もやっと世間に広まっていた。
そして、このナパバレーの有名なワインのワイナリーがこの頃のコンコルドジャズフェスティバルのスポンサーもやっていたのだ。

1. Serenata
Howard Roberts <CJ-53>

 ロバーツのソロに始まり、ボサノバで軽くウォーミングアップ。スインギーな4ビートへ。1曲で3つの楽しみを。

2. Soft Shoe
Herb Ellis <CJ-3>
 コンコルドサウンドの原点。ミディアムスローなテンポに、スイートエディソンのトランペットとジョージデュークのフェンダーが何ともいえない。

3. The Very Thought Of You
Scott Hamilton <CJ-61>

 ベースだけをバックにむせび泣くテナーからいきなり始まる。これもミディアムスローなテンポから、軽快なリズムに乗ってハミルトンの世界に。カルコリンズのアコースティックギターのソロも聴き所。

4. Isn’t It Romantic
Ruby Braff <CJ-7>

 コルネットをこんなに綺麗に、そして表情豊かに吹ける人はそうそういない。

5. Watch What Happens
LA4 <CJ-63>

 アルメイダの生ギターにボサノバのリズムが加わり、輝くシャンクのアルトが。
 LA4ならではのジャズとボサノバのコラボだ。

6. Jillian
Warren Vache <CJ-87>

 続いてボサノバのリズムに乗って綺麗なフリューゲルホーン。シングルカットしたらチャックマンジョーネに負けずにヒットチャート入りしたかも。

7. Lush Life
Ross Tompkins <CJ-46>
 
 トンプソンのソロピアノに始まるお馴染みのスタンダードのバラード演奏。

8. A Time For Love
Ray Brown <CJ-19>

 コンコルドでは珍しいデイブグルーシンのフェンダー&シンセサイザーとレイブラウンのソロのデュエットが見事。

Produced by Carl Jefferson
Originally released on Concord CJ-93
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裏舞台の一流達が・・・

2008-03-24 | CONCORD
Horn Of Plenty / Snooky Young

この人物の顔をアップで見たことはない。というのは、あまりコンボでの演奏をしていないし、リーダーアルバムも無いからだ。名前を聴いたことがあるかと聞かれれば、あるような無いようなというのが一般的な知名度であろう。
カウントベイシーのトランペットセクションで有名といっても、実は’57年に呼び戻されてからだ。それから5年在団した後は、NBCのスタジオのキーマンとなった。それでは、遅咲きのプレーヤーかといえばそうでもない。
最初のレコーディングは20歳のとき。30年代にすでに、色々なバンドから引っ張りだこだった。いわゆるFirst Call Superstarであった。その頃、ベイシーやハンプトンなどの有名バンドにも在籍していた。
それでは40年代の後半から57年まではどうしていたかというと、地元のオハイオ州のデイトンに引っ込んでいた。地元でもジャズをやっていたので、引退していたのではなかったのだが。その間世の中は、バップ旋風が吹き荒れ、そしてハードバップの時代に。最前線でプレーをしていたプレーヤーは大なり小なり新しい流れの影響をうけた。
しかし、この写真の主は自分のスタイルを地元でしっかり守っていた。

ベイシーオーケストラの全盛期、そしてあのサド・メルオーケストラの立ち上げの時にもリードトランペットを吹いていたのがこのスヌーキーヤングだ。
だが、オーケストラでのプレーは聴いたことがあっても、コンボでの演奏は珍しい。
Concordではマーシャルロイヤルとの共演でリーダーにクレジットされたのが始めて。そして、相方のマーシャルがリーダーアルバムを作ったのに刺激されてか、今度はスヌーキーがリーダーアルバムを作ることになった。マーシャルに遅れること3ヶ月で。
スヌーキーのトランペットは基本的に中間派といった方がいいだろう。このアルバムでも、”Valerie”ではルイアームストロングを思わせるような吹きっぷり。他もスイングすることを基本においた素直なトランペットだ。

このように実力がありながら、リーダーアルバム少なかったばかりに、あまり知られていないミュージシャンは多い。実はこのアルバムは影の実力者のオールスターバンドといってもいい。
レイブラウンのように超有名人、そしてConcordではお馴染みのハナもいるが、今回のもう一人の目玉はギターのジョンコリンズ。あの、ナットキングコールトリオの一員を長く努めたベテランだ。コールのアルバムでもコリンズのプレーの片鱗を聴くことはできたが、いつもコールの影に隠れていた。
それに、この頃好調なトンプキンスを加えたスヌーキーヤングのワンホーンアルバムがこのアルバムという訳だ。
影のオールスターバンドの実力と雰囲気は出だしの一曲目から始まる。ベースとスヌーキーのデュオによるユニゾンは単なるジャムセッションアルバムではない。
アップテンポ、バラード、ミュートプレーとスヌーキーのすべてを聴かせてくれる。まさに”Horn of Plenty”だ。小柄で普段目立たないスヌーキーだが、力一杯のプレーを聴かせてくれる。
そして、このアルバムは今も元気に活躍しているスヌーキーにとって唯一のリーダーアルバムとなる。

1. Lady Be Good
2. Alley Blues
3. The Gypsy
4. My Buddy
5. Rosetta
6. Old Blues
7. Valerie
8. Bad News

Produced by Carl Jefferson

Snooky Young (tp)
Ross Tompkins (p)
Jhon Collins (g)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Sunwest Recording Studio, Hollywood, CA March 1979
Originally released on Concord CJ-91

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半ば引退していたノーボも久々に・・・・

2008-03-22 | CONCORD
Red & Ross / Red Norbo & Ross Tompkins Recorded Live January 1979

サド・メルの拠点はビレッジバンガード。ニューヨークの老舗のクラブだ。
西海岸の拠点はというと、古くはライトハウス。そこに集まってプレーをしていたライトハウスオールスターズがウェストコーストジャズの発祥とも言われている。
西海岸の重鎮シェリーマンも一時自分のクラブ「シェリーズマンホール」を持っていた。
そして、Concordレーベルが育った70年代後半は”Donte’s”というクラブが良く登場する。カーメンマクレーの有名な"Great American Songnooks"もここでの録音だ。当時の西海岸のプレーヤーの溜まり場でもあり演奏の場でもあった。
Concordに登場するミュージシャンもよくここで演奏していたようだ。
コンコルドのレギュラーの一人ともいえるロス・トンプキンスもここの常連だった。

このアルバムはその"Donte’s"でのライブ。
その日はトンプキンスのトリオに一人のゲストが加わった。ヴァイブのレッドノーボだ。
ベニーグッドマンからチャーリーミンガスまで様々なグループで活躍したノーボもこの時すでに70歳を越えていた。
72年に奥さんを亡くしてからは、同じ西海岸でもサンタモニカに半分引退生活をしていた。ロスに顔を出すのは久々だったらしい。前の年も一度このトンプキンスと一緒にクラブに主演したが、久々のステージだったそうだ。

そのノーボを迎えるように、トンプキンスがピアノトリオで”Whisper Not”から始める。
そしてトンプキンスの紹介で、ノーボがステージに上る。
そしていきなりノーボ特有の残響が少ないバイブとピアノのデュオで次の”The One I Love Belongs To Somebody Els”へ、リズムが加わりそれぞれのソロが終わると、また途中で2人の絶妙のインタープレーが。いつも2人でプレーをしているようなコンビネーションだ。
ノーボにとって久々のプレーであり、そして2人も一年ぶりの顔合わせとはとても思えないコンビネーションだ。
ノーボのタッチとトンプキンスのスイングするピアノも相性も申し分ない。

B面に入って、“It Might As Well Be Spring”ではサンバのリズムに乗って途中のハナのドラムとの掛け合いも楽しみながら益々ノリノリに。
“ALL of Me”での掛け合いでピークを迎える。そして、最後はしっとりとバラードプレーの”Every Happens To Me”で締める。

久々に聴いたノーボであったが、ハンプトンとは違った味でよくスイングするヴァイブだ。
またConcordに素晴らしいゲストが登場した。

1. Whisper Not
2. The One I Love Belongs To Somebody Else
3. How About You?
4. It Might As Well Be Spring
5. All Of Me
6. Everything Happens To Me

Red Norvo (vib)
Ross Tompkins (p)
John Williams (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson

Rcorded live at Donte’s, Hollywood, CA January 1979
Originally released on Concord CJ-90


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Concord 軍団上陸・・・

2008-02-20 | CONCORD
Concord Supper Band in Tokyo

不便なことで悪名高き国際空港「成田空港」が開港したのは今から30年前。
いまだに完成していないとは?
その年、ジャイアンツの王は現役で800号ホームランを記録する。相撲の世界では日本人がまだ元気な時代。北の海が82勝を上げ年間新記録を上げる。
アリスの「君のひとみは100万ボルト」がCMに使われ大ヒットした。キャンディーズ、ピンクレディー、山口百恵といった懐かしい名前がヒットチャートに並ぶ。
原宿には「竹の子族」が集まり、ノーパン喫茶が京都に生まれた。
高層ビルの奔りである池袋のサンシャイン60ができたのもこの年。
スイングジャーナルのディスク大賞は「クンビア&ジャズ・フュージョン/チャールス・ミンガス」。
Concordレコードの活動が活発化した1978年の日本はそんな年だった。

その年の秋、新たに開港した成田空港に降り立ったのは、スーパーバンドと銘打ったConcordのスター達。とはいうものの、過去に来日したのはベースのモンティーバドウィッグと、ドラムのジェイクハナの2人だけ。他のメンバーは初めての来日で、知名度も決して高くはなく、日本のジャズファンにとっては“新人達”であった。
その頃、日本はジャズの世界では先進国、古いトラッドジャズから、ハードバップ、前衛、そして新しいフュージョンまで、あらゆるスタイルのジャズが受け入れられていた。
80年代にかけて、ライブアンダーザスカイ、斑尾のニューポート、そしてオーレックス、マウント富士と大きなジャズフェスティバルやコンサードが目白押しで開催されていた時代だ。

彼らのいつものお披露目の場は毎年地元で開催されるConcordのジャズフェスティバル。その舞台の常連であり、レコードでも次々と新作を発表しているメンバー達だ。場所が変わっても、リラックスした伸び伸びした演奏が続く。オールスターメンバーではあるが、JATPのようなお祭り騒ぎのジャムセッションではなく、気心のしれた仲間同士の呼吸のあった演奏だ。
録音されたのはこの来日コンサートの最終日。郵便貯金ホールでの全ステージ。
コンコルドで2枚組みのアルバムが作られたのは今回が初めて。カットする曲が無かった位どの曲も完成度が高かったのだろう。
このConcordのスター達のコンサートも、これを機に息の長いコンサートして今も続いている。オーナーのカールジェファーソンが親日家であったというのも理由のひとつかもしれないが、このConcordの追い求めた路線に親しみを覚えたジャズファンが少なからずいるということであろう。

1. I Would Do Anything for You         Hill, Hopkins, Williams 7:58
2. Blue Lester                   Young 11:34
3. Nuages                     Larue, Reinhardt 8:56
4. Don't Blame Me                Fields, McHugh 4:29
5. Blue Lou                    Mills, Sampson 6:42
6. You're Driving Me Crazy           Donaldson 6:39
7. Blue and Sentimental            Basie, David, Livingston 7:38
8. I'm Gonna Go Fishin'             Ellington, Lee 8:59
9. When It's Sleepy Time Down South     Muse, Rene, Rene 8:29
10. Take the "A" Train             Ellington, Strayhorn 7:38
11. Undecided                  Shavers 6:10

Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché (cor, flh)
Cal Collins (g)
Ross Tompkins (p)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna(ds)

Recorded live at The Yubin Chokin Hall, Tokyo Sep 15, 1978
Originally released on Concord CJ-80(2-Record Set)
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色々チャレンジしてみても、最後は親の血筋は争えない・・・・

2008-02-12 | CONCORD
Sweet Lorraine / Lorraine Feather

父親にとって、自分の娘というのはいつまで経っても可愛いものかもしれない。
親元を離れ、独立して自分の道を歩み始めても色々気にはなるものだ。自分の生きてきた世界とまったく違う道を生きていくのであれば、自然と自分から遠い存在となっていくのだが。ところが、反対に自分の日々過ごしている世界に飛び込んで来るとそうはいかない。自分がその世界でそれなりの存在であればあるほど、娘の育つ姿が余計に気になるものだ。
愛娘が同じジャズの道を歩み始めたのがジミー・ロウルズ。何度も一緒に演奏する機会を重ね、無事二人でアルバムを作るに至った。ここまで来れば父親冥利に尽きるであろう。

ここにまた一人「ジャズの世界で有名人の娘」がいる。ジャズ評論家で有名なレナード・フェザーの愛娘であるロレイン・フェザーだ。
1978年、彼女はジャズ歌手としてConcordでデビューを飾った。といっても、親の七光りやコネでレコーディングに至った訳ではない。

両親と一緒にロスに住んでいたロレインだが、最初は演劇の道を目指してニューヨークで一人修行の道を選ぶ。その後、音楽の世界で生きていく決意をした彼女は、ニューヨークの多くのバンドで歌うことに。ジャズの世界ではなくぺトラクラークやグランドファンクレイルロードのバックも努めたそうだ。
そして、ロスに戻った彼女は。やはり親の血は逆らえないのかジャズの魅力にだんだん惹き込まれることに。
地元の小さなクラブに出ている内に、たまたまその中の一軒、Donte’sで歌っている時にジェイクハナの目(というか耳)にとまる。
そしてすぐに彼女の存在がカールジェファーソンの耳に入ることになる。
さっそくレコーディングとなった訳だ。

若い彼女に合わせてかバックにも若手が揃えられる。テナーのスコットハミルトンに加え、直前にデビューしたばかりのテッドナッシュも加わる。まだ彼が19歳の時だ。
ベースにはチャックドマニコが。ドンエリスの変拍子オーケストラクレアフィッシャーのオーケストラに加わっていたと思ったら、この頃にはすっかり中堅となっていた。
後は、お馴染みのハーブエリスのギターとピアノのロストンプキンスがリズムを固める。
そして、もう一人ギターにジョー・ディオリオが加わる。彼もコンコルド初登場だが、ロレインの父親レナード・フェザーにジョーパスの後継者と言わしめた中堅ギタリストだ。

これでお膳立てが完璧に揃った訳であるが、果たして彼女の歌がこのバックの期待に応えられる腕前があるかが気になるが・・・・。
心配は無用であった。これが期待以上に素晴らしい。短期間で色々な舞台の場数を踏んだせいだろう、新人デビューとは思えない多彩振りを見せてくれる。

1曲目のスタンダード”Someone to Watch over Me”は、ピアノをバックに始まる。何となくおぼつかない感じがしないでもない。
2曲目ではいきなりロックのヴァンモリソンの“Moon dance”で調子に乗る。
3曲目は再びバラードの名曲”Skylark”をトンプキンスのピアノをバックに歌うが、これもなかなかうまくこなす。
あとは快調にラテンリズムに乗って、さらに”Deep in the Night”では熱唱を聴かせてくれる。
B面に入ってボブドローの曲”I've Got Just About Everything”ではスインギーな側面も。マイルスの”All Blues”,” Four”ではアニーロスを窺わせる歌い方も披露。

Concord特有の何の飾りっけも無いアルバム作りであるが、かえってバックのバリエーションを含めて彼女の持ち味がストレートに引き出されている。
デビュー作としては十分及第点。その後の多方面での活躍を予見させる出来栄えだ。

父のレナード・フェザーがライナーノーツを書いたら、はたしてどんな解説になったであろうか?



1. Someone to Watch over Me    Gershwin, Gershwin 5:04
2. Moon dance              Morrison 3:33
3. Skylark                Carmichael, Mercer 2:53
4. I Don't Believe You         Frishberg 3:22
5. Deep in the Night          Merriam, Miller 3:09
6. I've Got Just About Everything Dorough 3:29
7. All Blues               Brown, Davis 5:45
8. Wave                 Jobim 3:24
9. Four                 Davis, Hendricks 3:45
10. You and I              Kellaway, Mackay 3:56


Produced by Carl Jefferson & Frank Dorritie

Lorraine Feather (vol)
Scott Hamilton (ts)
Ted nash (as.fl)
Joe Diorio (g)
Herb Ellis (g)
Ross Tompkins (p)
Chuck Domanico (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Sunwest Recording Studios, and United Western Studios, Hollywood, CA, June 1978
Originally released on Concord CJ-78

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常連エリスも負けてはいられないと続けてリーダーアルバムを・・・・

2008-02-11 | CONCORD
Soft & Mellow / Herb Ellis

レモ・パルミエリのジャズシーンへの現役復帰に一役かったのが同じギター奏者で旧知の仲のハーブエリス。
エリスは発足当時からのコンコルドの常連で一足先に現役復帰を果たしていたが、このエリスも実はピーターソンのトリオを辞めた後の59年からはハリウッドでのスタジオワークが活動の中心で、第一線からは退いていた。

このエリスの本格復帰はジョーパスとのグループ活動が始まり。コンコルドレコードの記念すべき第一作目がこのエリスとパスの’72年のコンコルドジャズフェスティバルでのライブだった。
ということで、エリスの復活はコンコルドの誕生と実は非常に関係が深い。
ちなみに、78年までにリリースされたコンコルドのアルバム76枚の内15枚に参加している。ジェイクハナやレイブラウンと並んで初期のコンコルドを支えたレギュラーでありキープレーヤーだった。

レモが、自分のリーダーアルバムを作ったのに影響された訳でもないと思うが、このエリスもレモに続いてピアノトリオを従えての自分のリーダーアルバムを制作したのがこのアルバム。録音自体もレモの録音のすぐ後に行われた。
ピアノのロストンプキンスとはデュオのアルバムはあるが、ベースとドラムを加えたカルテット編成は2人にとってもコンコルドでは初めてだ。

エリスのピアノトリオを加えたこの編成というと、ピーターソンとの再会セッションの「ハローハービー」が有名。否が応でも比較してしまう。
一曲目のアップテンポで始まるシャインで、いきなりこの急速テンポをものともしないエリスのピック捌きに圧倒される。トンプキンスのピアノはさすがにピーターソンの迫力と比較する訳にはいかないが、よくスイングするエリスのギターにはぴったりだ。
古いスタンダードに加えて、ミシェル・ルグランのウォッチ・ホワット・ハップンズやジョビンのウェイブもエリス流のノリで料理してしまう。
最後の曲ロゼッタでもスインギーな演奏に拍車がかかるが、これはコンコルドならでは共通語の世界が広がる。
ハローハービーのド迫力には及ばないが、エリスのスイングするギターをピアノトリオのバックで聴けるアルバムはあるようでなかなか無い。

エリスはこのアルバムから、自分のモデルを作ってギターを換えたそうだ。タコ耳にはなかなか違いは分らないが、音が多少長めになったとか・・・?。

でも、ギターは替ってもエリス節に変わりはない。アップテンポでもバラードでもエリスのギターはタイトルどおりの「ソフト&メロー」だ。

1. Shine
2. I Concentrate On You
3. Watch What Happens
4. Jeff’s Bad Blues
5. If I Should Lose You
6. Wave
7. Polka Dots And Moonbeams
8. Rosetta

Herb Ellis (g)
Ross Tompkins (p)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Coast Recorders , San Francisco, CA August 1978
Originally released on Concord CJ-77

Soft & Mellow
Herb Ellis
Concord Jazz

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ジャケットのイメージと中身の演奏の相関関係は・・・・

2008-02-03 | MY FAVORITE ALBUM
Sunshine Rock / Louie Bellson & The “Explosion” Orchestra

CD時代になってあまりジャケ買いということがなくなったように思う。
LP全盛期、レコード箱を一枚一枚繰りながらお目当てのレコード探しで、決め手となるのはまずはジャケットのデザインだった。目立つジャケット、お気に入りのミュージシャンのクレジットを瞬時に見分けながら。さらには、自分の知らない掘り出し物をよく探したものだ。
初めて見るアルバムでも魅力的なジャケットは、思わず手にしてしまうことが多かった。
それは、デザインであったり、メンバーの組み合わせであり、レーベルであることも。
ジャケットの情報だけで中身も聴かずにあれこれと思案をめぐらし、結局買ってしまうジャケ買いはジャズの楽しみのひとつだ。最近CD棚を眺めてもなかなかその気になれないのは、その形状と置かれ方のせいかのか? 仕方がないことなのだが・・・。

家に帰って、ジャケ買いしてしまったアルバムからレコードを取り出してターンテーブルに乗せる。わくわくもするし、緊張する一瞬だ。
当然「あたり」のこともあれば「外れ」のことも。ジャケ買いした時点で、自分の頭の中では妄想が広がっているので、その基準はかなり主観的なものだが。

ジャズファンにとっては色々意味のあるジャケットデザインだが、ここに一枚のアルバムがある。「ルイベルソンのサンシャインロック」。
各レーベルのジャケットの方針も色々ある。すべてデザインイメージを統一したものがあるが、その中のひとつがこの”PABLO”だ。おなじみの黒を基調としたモノトーン。ミュージシャンの写真でデザインされている。パブロ自体のレーベルイメージもできあがっている。よくも悪くも自然と演奏内容のイメージができてしまう。

肝心のミュージシャンはというとルイベルソン。これもイメージが出来上がっている。おなじみの2ベースドラムで、ビッグバンドのプレーがよく似合う。このアルバムも、ビッグバンド物だ。

そして、タイトルの“SUNSHINE ROCK”。これが、今一つアルバム全体のイメージとは合わない。
燦燦と光り輝くカリフォルニアの太陽であればパブロのイメージでもないし、ROCKとなるとなお更だ。

実際の演奏はとなると、”Sunshine Swing” , “Feels So Good” そして”The Hawk Talks”の3曲はエレキピアノやフェンダーベースが入って16ビートやボサノバ風のリズムも。”Rich Outing”はバディーリッチを意識したような曲。そして”Niles Blues”はベイシー風のブルース。
全体的にリズムやテンポとバリエーションが多彩だ。そして曲の中でも変化が大きい。
ベイシースタイル一辺倒ではなく、当時のBIGBANDの新しい流れをうまく取り入れている。
もちろん、どんなリズムでもベルソンのドラミングが活躍する。ピアノのナットピアスやキャットアンダーソンなどのベテランがいたと思えば、ギターには若手のガイスマンも。メンバーにはベテランに加えて若手の有望株も参加している。
そして、アルトには先日Concordのアルバムで紹介したまだ18歳のテッドナッシュがいる。
実は、このナッシュの経歴にベルソンのオーケストラにいたことが書いてあったので、さっそく探してみた次第。

こんなきっかけで久々に聴きなおしてみたが、ベルソンのやる気を感じさせる新旧のバランスがとれた元気なオーケストラだ。
このバンドであれば、パブロの黒のイメージではなく、白地に光り輝くカリフォルニアの雰囲気を感じさせるデザインが施されたジャケットがお似合いだったかもしれない。

1. Sunshine Swing
2. Mid-Eastern Spango
3. Night Birds
4. Feels So Good
5. The Hawk Talks
6. Rich Outing
7. Niles Blues
8. Numero Uno

Louie Bellson (ds)
Cat Anderson , Bobby Shew , Conte Candoli , Walter Johnson , Ron King (tp)
Bob Payne , Alan Kaplan , Dana Hughes , Nick Di Maio (tb)
Dick Spencer , Ted Nash (as,fl)
Pete Christlieb , Don Menza (ts)
Andy Macintosh (bs)
Nat Pierce , Ross Tompkins (p)
Grant Geissman (g)
John Heard (b)
John Arnold , Gene Estes (per)

Produced by Norman Granz
Recorded on Dec.21-23,1977, at Group Ⅳ Recording Studios , Hollywood
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蛙の子は蛙・・・・・・子供は親を超えられるのか

2008-01-31 | CONCORD
Raincheck / The Louie Bellson Quintet featuring Ted Nash

最近国会が騒がしいが、国会議員の2世議員の数の多さがよく話題になる。
ここのところ首相は皆2世議員だ。親の血筋を引き継ぎ、親を上回る能力でそれに伴う実績が残せれば2世でも悪くはない。単なる親の地盤を引き継いだ議員であれば、その実力は自ずと世の中が評価を決めるはずだ。ところが、そこに権力と利権が関わって居座る議員がいるから世の中おかしくなっているのだろう。

音楽の世界でも2世ミュージシャンは多い。やはり身近に音楽があり、それらに囲まれて育つと、とりあえずは若くして相応の技術とそれを披露する場ができる。ところが、そこから一流になれるかどうかは本人次第である。ウイントンマルサリスなどは、その関門を潜り抜け、自ら一流の仲間入りを果たした一人である。

他にも、音楽に囲まれる環境はいくつもある。
ローダ・スコットのように「教会」に生まれるというのもひとつ音楽が身近に存在するものだ。
テナー奏者スコットハミルトンの父は、ジャズのレコードの収集家であった。レスターヤングやホーキンズ、ウェブスターのレコードの名演がハミルトンにとっては良き教材であった。「耳学問」でスタートし、独学でマスターしたハミルトンのプレーは、すぐに一流プレーヤーのプレースタイルを基本として自分のものになっていった。

テッドナッシュというサックスプレーヤーがいる。
彼も、父親はディックナッシュというトロンボニスト。叔父には同じテッドナッシュという名前のサックスプレーヤーという恵まれた家庭環境に育った。
当然のように子供の頃から音楽、それもジャズに接し、12歳ではクラリネット、13歳ではサックスを始める。16歳の時にはライオネルハンプトンのバンドに雇われハワイで一週間演奏を行い、17歳の時にはクインシージョーンズのバンドでリードアルトを努めるなど早くもプロの仲間入りをする。神童ぶりを発揮して、スターへの道は用意された。

10代で若手の教育にも熱心だったルイベルソンのバンドに加わって、レコーディングデビューもしている。
このテッドナッシュがコンコルドレーベルにも登場した。まだ、19歳であった。
同じくルイベルソンのバンドだが今回はスモールグループで。テッドナッシュのサックスが大きくフューチャーされている。ブルーミッチェルやトンプキンスが暖かく周りを支えてはいるが、まるでナッシュのオーディションのような感じがしないでもない。

ちょうど、スコットハミルトンがデビューしてからあっという間に有名になっていった時。
それまで、コンコルドはあまり商売っ気を前面に出したアルバム作りはしていなかった。が、これは、密かに「2匹目のどじょう」を狙ったものかもしれない。
聴く方も、このような経緯を知ると自ずと色眼鏡をかけてアルバムを見聞きしてしまうものである。
最初に聴いた印象は確かに上手い。それなりのテクもある。しかし、印象は教則本を確実にこなす優等生のようなプレーだ。
その後リーダーアルバムも出し、敏子のオーケストラにも加わったりした。
最近の消息を知らなかったので、改めて調べてみると今でもスタジオワーク中心に活動は続けているし、アルバムも出してはいるようだ。
しかし、残念ながら一流入りはしていないようだ。
ハミルトンの活躍と較べてしまうと、「かえるの子はかえる」ということなのかもしれない。
運もあるかもしれないが、才能があっても一流になるのは難しいものだ。

1. Rain Check             Strayhorn 4:00
2. Alone Together          Dietz, Schwartz 5:12
3. Medley:
   I Thought About You
   Blue Moon
   Body and Soul          Mercer, VanHeusen 6:37
4. Oleo                 Rollins 4:34
5. The Song Is You          Hammerstein, Kern 5:29
6. Tristamente            Nash 5:57
7. Funky Blues            Mitchell 5:35
8. The More I See You        Gordon, Warren 3:53

Carl Jefferson Producer

Louie Bellson (ds)
Joel DiBartolo (b)
Blue Mitchell (tp)
Ted Nash (as,ts)
Ross Tompkins (p)

Recorded May 3, 4, 1978
Originally released on Concord CJ-73 , 1978

Raincheck
Louis Bellson Quintet with Ted Nash and Blue Mitchell
Concord Jazz

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「一粒で2度美味しい」・・・・こんなキャッチのキャラメルの広告のコピーがあったが

2007-12-30 | CONCORD
Louie Bellson / Prime Time

アナログレコードは片面20分でA面とB面。コンサートは1時間のステージが2回。間に区切りが入ってひとつのセットとなって構成されている。
長年この表・裏、前半・後半のこの区切りの感覚に慣れていたが、CDの時代に入って一枚のアルバムを区切りなく聴くのに慣れてしまっている。さらにランダム再生とか、Ipodのように複数のアルバムをシャッフルして再生するとか・・区切に拘らない聴き方が広まって、LPのアルバムの片面ずつを楽しむ感覚(昔のジャズ喫茶もそうであったが)が薄らいでしまった。
アナログ時代はそれなりの区切りとそれに合わせた生活のテンポというものがあったが、最近は知らない内にデジタルのテンポに生活が慣らされつつある。そのせいでもないとは思うが、最近は一枚のアルバム作りや、アルバムの曲順にこだわりがなくなってきている感じがしないでもない。果たして、それが良いのか悪いのかは分からないが、区切りというのは生活のテンポには必要なような気がする。

さて、そんなアナログ時代一枚のアルバムで2つの楽しみが味わえるアルバムが時たまある。
ソロとコンボの編成であったり、インツルメンツとボーカルだったり。

コンコルドレーベルのルイベルソンの3作目がそんな企画の一枚だ。
ルイ・ベルソンというと、2ベースドラム。エリントンオーケストラのスキンディープが有名だ。そのせいか、ついついビッグバンドドラマーと思われがちではあるが。
1枚目と2枚目は、それぞれコンボフルバンド。ベルソンのドラミングの多彩ぶりを味わうことができた。
今回のアルバムは、A面とB面でメンバーは同じだが、がらりとプレースタイルが異なる。

A面はブルーミッチェルのトランペットがリードしてハードバップ風のストレートジャズ。バラードメドレーもいいが、やはりアップテンポのコットンテイルがベルソンには似合う。
一方で、B面はパーカッションも加わって、ボサノバやカリプソなどのラテンのリズムに乗った演奏。ベルソンのドラムも当然ストレートな4ビートから、ラテンのリズムにファンクな色合いも絡めた8ビードを。50歳を過ぎたベルソンも益々意気盛んだ。
ギターのBob Bain。ジャズファンにはあまり馴染みのない名前だがスタジオワークでは一流どころ。Tonight showのレギュラーメンバーの一員だ。

でもこのアルバムで、A面とB面で一番スタイルが違うのはベルソンよりもピアノのロストンプキンス。
アルコーンとの久々の共演でスインギーなプレーを演じたトンプキンス。A面では当然アコースティクピアノでスインギーな演奏を披露するが、B面ではエレキピアノでリズミックなプレーを。スタジオワークが長いだけあって器用な一面を見せる。
60年代の後半に登場したエレキピアノであるが、10年経ってべテラン勢にも大分エレキピアノが浸透して市民権を得てきた時代だ。

1. Step Lightly         Golson 5:11
2. Space Ship 2         Bellson 3:33
3. Medley:
   I Remember Clifford
   With You in Mind
   What's New

4. Cotton Tail          Ellington 7:36
5. Let Me Dream         Bellson 4:52
6. Thrash-In           Christlieb 4:14
7. And Then She Stopped    Gillespie 3:13
8. Collaborations         Mitchell 3:54

Carl Jefferson Producer

Peter Christlieb (ts)
Blue Mitchell (tp)
Emil Richards (Per)
Ross Tompkins (p,elp)
Bob Bain (g)
John Williams (b,elb)
Louie Bellson (ds)

 Originally released on Concord CJ-64
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久々に会った友人と、昔を思い出しながら・・・・・・

2007-12-26 | CONCORD
Ross Tompkins and Good Friends

長年付き合った仲間だと、会ったときの相手の言動は大体読める。
そして、ある種の信頼感に根ざした間柄であれば、ちょっとしたブランクがあり久しぶりに再会を果たしてもそれは基本的に変わるものではない。

性格的なものもあれば、価値観の違いもある。知識や興味の対象の違いもあるし、今置かれたそれぞれの境遇もある。しかし、近況を語り合っているうちに、お互いに今の相手を理解し、いつもながらの打ち解けた会話が自然に弾むようになる。

ジャズの世界にも、「安心して聴ける」演奏というものがある。
きっとプレーしている側でも、安心してプレーに専念できる関係というものがあるのであろう。いつも一緒にプレーしているのであれば、日々切磋琢磨しながらお互いの関係を深めていった結果であろう。
特に目新しさや奇抜さを狙わなくともよい。このような二人の間の親密度の増したプレーは、聴いているほうでも心地よさを感じるものだ。

二人のテナー奏者による双頭バンドにアル&ズートのコンビがあった。
似たようなプレースタイルで、テナーの音質も似たもの同士である。二人の掛け合いやソロは、やはり一人では出来ない二人にしかできない独自の世界を作っていた。

このコンビのピアノを一時担当したのがロス・トンプキンスだ。優等生タイプであり、ジャズピアノの教則本のようによくスイングするピアノである。
一方の雄アルコーンは、コンビを解消した後はニューヨークでアレンジを中心にした仕事をしていた。経済的な支えには必要であったが、もちろんテナーのプレーを止めたわけではなく、自己のリーダーアルバムも出し続けていた。
ピアノのロスは、ニューヨークから西海岸に移り、テレビの「ツゥナイトショー」のレギュラーとして活躍をしていた。

或る時、アルコーンが仕事で西海岸に飛んで暫く滞在することになった。
アルが、再会を果たしたのはズートではなく、このピアノのロスとであった。

旧知の間柄であった二人は、当然のように旧交を温めることになるが、地元の有名なクラブ “Donte” に出演して、久々に一緒にプレーをすることになる。
一緒に演奏していた二人の間柄故、演奏はすぐに呼吸がぴったりと合う。いつも一緒にプレーをしているレギュラーグループのような演奏を繰り広げることとなる。
そして、このクラブ出演に合わせて、このグループの演奏が録音されることになった。

仕掛け人は、またもやジェファーソン。仲を取り持ったのはトンプキンスであったのだろう。
トンプキンスは、コンコルドには初期のアルバムから参加し、自己のアルバムもすでに2枚出していた。夏のフェスティバルにも参加してすっかりConcordの顔の一人になっていた。
こんなトンプキンス自らの再会セッション。これを録音しておかない訳にはいかなかったということであろう。

演奏は、アルコーンのテナーのワンホーン。
トンプキンスのピアノも水を得た魚のように躍動する。ソロやトリオもよいが、主役が別に現れ、バックに廻った時の引き立て役としてのピアノのプレーも素晴らしい。
ベースのモンティーバドウィッグとドラムのニックセロリは、ここでは控えめだ。裏方として、2人の親友同士の久々の共演のバックをしっかり支える役回りに徹している。

このセッションが、そしてConcordの雰囲気が気にいったのか、アルコーンは所属していたXANADUレーベルをその後離れ、Concordからアルバムを出すことになる。
トンプキンスもこのセッションを通じてコンコルドにまた新たな仲間を増やす介添え役を果たしたのかもしれない。ジェファーソンのためのリクルート役としても。

BLUE LOU
LOVER MAN OH WHERE CAN YOU BE
MY SILENT LOVE
ALWAYS
MY GEART STOOD STILL
SERENADE TO SWEDEN
HOW DEEP IS THE OCEAN
CLOSE YOUR EYES

 Ross Tompkins (p)
 Al Cohn (ts)
 Monty Budwig (b)
 Bick Ceroli (ds)

Originally released on Concord CJ-65
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