A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

輝くアルトがもう一人・・・・彼もリーダーアルバムがなかったとは

2008-03-13 | CONCORD
First Chair / Marshal Royal

ウォーレンヴァッシェのアルバムに付き合っていたマーシャルロイヤル。カウントベイシーに長く在団していた。
ベイシーといえば、「エイプリルインパリス」、「アットニューポート」、そして「アトミックベイシー」・・・・など。
これらの有名なアルバムのほとんどにロイヤルは登場していたと思ったら、1951年から1970年までの20年間も在籍。1912年生まれだそうなので人生の中で一番充実した時期をベイシーの黄金期で過ごしていたわけだ。フレディーグリーンに次いでベイシーオーケストラとの付き合いが長かったかもしれない。ベイシーオーケストラではもちろんリードアルトの「特等席」を長く独占していたことになる。

その輝くアルトはベイシーサウンドのサックスセクションの要であった。そんなマーシャルロイヤルのリーダーアルバムというと1960年に一枚あるようだ。これは聴いたこともないが、それ以降このアルバムまで見当たらない。
ベイシーを辞めて西海岸に居を構えてからも、Concordでスヌーキーヤングと一緒に名を連ねたアルバムが初めて自分の名前を冠したアルバムという位の寡作家だ。
エリントンオーケストラで同じアルトの定位置を長く努めたジョニーホッジスがエリントンオーケストラ以外でもかなり多くのアルバムを残していたのとは対照的だ。

ヴァッシェのアルバムに付き合っていたロイヤル、今回はリズムセクション以外ホーンやサックスの相棒もなく、完全に一人でワンホーンのリーダーアルバムを作ることになった。
この時すでに67歳。全盛期を過ぎていたかもしれないが、これまでリーダーアルバムの無かったこれだけのプレーヤーにアルバム制作の機会を与えたジェファーソンの思いやりに頭が下がる。
ジャケットに写るロイヤルの顔が何となく晴れがましいような、どことなく落ち着かないような。

バックで盛り立て役に加わったのはヴァッシェのアルバムと同じコンコルドオールスターズ。ヴァッシェ同様、ロイヤルのプレースタイルにはピッタリなメンバー達だ。彼らのバックでロイヤルの輝くアルトが思う存分聴ける。

ファッツウォーラーの名曲「ジタ―バックワルツ」とは古い曲をやっているなと思ったら、「ウォーラーとは33年に共演したことがあったのでその思い出に」ということだそうだ。ベイシーの十八番の「リトルダーリン」は果たして何千回演奏したことであろうか。でも今回はサックス一本で。これは始めての経験かもしれない。
ベイシーオーケストラで聴きなれたロイヤルのサックスではあるが、サックス一本での演奏がこのような形で残されているとは嬉しい限りだ。

ビッグバンドの素晴らしい音はそのメンバーの演奏の組み合わせの結果ではあることは間違いないが、その一人ひとりの素晴らしい演奏は、断片的なソロ以外、残っていそうでいないことが多い。
ビッグバンドのメンバーとしては第一人者であっても、ソロプレーヤーとしては駆け出し。
やっと「最初の椅子」を確保できたロイヤルである。

1. Little girl Blues
2. I’ve Got the World On A String
3. Who can I Turn To?
4. Jitterbug Waltz
5. Jump
6. Stardust
7. Li’l darlin’
8. My Ideal

Produced by Carl Jefferson

Marshal Royal (as)
Cal Collins (g)
Nat Pierce (p)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Spectrum Studios,Venice , CA, December 1978
Originally released on Concord CJ-88

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