A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

エリントンナンバー&ベイシーナンバーをピアノトリオでやると・・・

2015-10-30 | MY FAVORITE ALBUM
Li'l Darlin' / Monty Alexsander


ドラムのデニスマクレルが加わったモンティーアレキサンダー、最近はレゲエのグループでの来日が多かったが今回はピアノトリオで。モンティーのラテンスタイルの演奏も魅力があるが、久々にピーターソンオリエンテッドなストレートアヘッドなピアノトリオを期待してライブに出掛けた。

会場でよくその日出演のミュージシャンのCDを売っているが、今回も入口に並んでいた。多くのアルバムを出しているモンティーだが、最近のアルバムを知らないのでどんなアルバムがあるのか覗いてみたら、プロモーターのオールアートプロモーションが監修したアルバムが。会場でのみ販売と書かれた「リトルダーリン」のタイトルに惹かれて手にとった。しかし、これは以前リリースされたアルバムといわれて、これは持っていたはずと思い出した。帰ってから確認したら、このアルバムがあった。ジャケットのデザインは違うがオールアートプロモーションの監修なので多分同じ内容だろう。

この日のライブは東京TUCでの2ステージ。普段のライブは2ステージ入れ替え無しだが、外タレだと入れ替えとなることが多い。ブルーノートなどは入れ替えが当たり前だが、この入れ替え前提のツーステージは曲者だ。時々ファーストとセカンドが同じ曲ということもある。今聴いたばかりの曲をもう一度聴くというのも普段なかなか経験できないが、やはりガッカリすることになる。クラシックのように事前に演目が分かっていれば嬉しいが、何か起こるか分からないのもジャズの楽しみの一つ。

この日のステージも入れ替え制であった。最初のステージが始まるが想像通りのスインギーなピアノトリオ。心地よさに思わず睡魔も訪れてしまった。ゲストというか、モンティー夫人のカテリーナ・ザッポーニもステージに上がったが、こちらも無難に。悪くは無いが、全体としてはモンティーのステージの割には平穏に終わった。

どのコンサートでも、大体セカンドステージの方が盛り上がりを見せるが、この日もセカンドステージになると一転して雰囲気が変った。今まで仲良く一緒にプレーをしていたトリオの3人がお互いに向き直した感じで、アグレッシブで雰囲気に変る。ソロの掛け合いも挑戦的で熱がこもる。アドリブの最中に色々な曲の引用が多いモンティーだが、次から次へ名曲のフレーズのオンパレードとなる。再びザッポーニも登場するが、こちらもエンジン始動。モンティーも一緒に歌い出すが、歌詞を覚えていないモンティーに彼女が耳元で歌詞を囁き、最後はスキャットでデュエットというおまけ付きもあった。久々にモンティーアレキサンダーのスインギー&ダイナミックな演奏を楽しめた。今回はセカンドステージまで残って正解であった。

さて、このアルバムに戻ると86年の日本での録音。コンコルドでお馴染みのピーターソントリオスタイルでよく演奏していた頃の録音。メンバーもコンコルド時代の仲間ジェフハミルトンのドラムにジョンクレイトンのベース。皆今では大御所だが、息の合った発展途上の実力者たちによる好演だ。

このアルバムの特徴は、エリントンとベイシーナンバーを特集していること。お馴染みのビッグバンドサウンドをピアノトリオで聴くとどうなるか?という嗜好だが、エリントンナンバーの方は、ビッグバンドだけでなく色々なスタイルで演奏されることが多い。ここでは一気に27分のメドレーで演奏している。
一曲、オリジナルのEleuthraを挟んで、ベイシーナンバーに移る。
こちらの方は、やはりベイシーサウンドがすぐに思いうかべてしまう。ということで、ベイシーナンバーのピアノトリオの演奏に興味が湧くが、分厚いサウンドでかつスインギーなベイシーサウンドには、モンティーのピアノスタイルはピッタリだ。

ラテンタッチのモンティーもいいが、このようなピーターソンスタイルのトリオ演奏も悪くない。今回のライブはこのアルバムのような演奏を久々に味わえたが、ライブならではのジャムセッション的な演奏も楽しめたのが大収穫。

1. Love You Madly                     Duke Ellington
2. Don't Get Around Much Anymore       Duke Ellington / Bob Russell
3. Caravan            Duke Ellington / Irving Mills / Juan Tizol
4. In a Mellow Tone              Duke Ellington / Milt Gabler
5. Prelude to a Kiss        Duke Ellington / Irving Gordon / Irving Mills
6. Come Sunday                     Duke Ellington
7. Rockin' in Rhythm     Harry Carney / Duke Ellington / Irving Mills
8. Eleuthra                      Monty Alexander
9. Lil' Darlin'                        Neal Hefti
10. Shiny Stockings                    Frank Foster
11. April in Paris             Vernon Duke / E.Y. "Yip" Harburg
12. Jumpin' at the Woodside                 Count Basie

Monty Alexander (p)
John Clayton (b)
Jeff Hamilton (ds)
Produced by Keiichiro Ebihara
Recording Engineer : Osamu Kasahara, Masayuki Makino

Recorded at Pioneeer Studio, Tokyo April 1 1986


リル・ダーリン
クリエーター情報なし
アブソードミュージックジャパン
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ペッパーアダムスの後継者、ニックブリグノラのバリトンソリストとしてのスタートは・・・

2015-05-09 | MY FAVORITE ALBUM
L.A.Bound / Nick Brignola

連休中はビッグバンドのライブ三昧であったが、ビッグバンドでついつい気になるのがバリトンサックス。大体いつものメンバーであったが、今回気になったのが、CUGジャズオーケストラの岩持芳宏。CUGオーケストラ自体のライブを聴くのが初めてであったが、この岩持さんのバリトンをじっくり聴くのも初めてだったが、なかなか素晴らしいプレーをしていた。
他のオーケストラでは小曽根真ノーネームホースのメンバーだが、このバンド自体オールスターメンバーで話題豊富なビッグバンドなので、正直このバンドでのバリトンサックスのプレーは特に印象が残っていなかったのだが・・・。

60年代の前半、ビッグバンドは低迷していた時代だ。そのような逆境の中でもいつも頑張っていたのがウディーハーマン、その時代の好きなアルバム「1964」というタイトルのアルバムがあるが、その時のメンバーでバリトンサックスを吹いていたのがニックブリグノラだ。この時のサックスセクションの主役はサルニスティコで、ブリグノラのバリトンは特段目立つ存在ではなかった。

このブリグノラは、ペッパーアダムス亡き後、数少ないバリトンサックスのソリストとして活躍していた。

このブリグノラがペッパーアダムスと共演したアルバムが「バリトンマッドネス」。このアルバムが生まれた顛末は依然記事に書いたが、ペッパーアダムスにとってはソリストとしてサドメルから独立した直後でやる気満々の時。この熱気をブリグノラも譲り受けたのか、このアルバムのドナリーの2人の白熱のプレーが聴き所だ。
ブリグノラはこのアルバムがきっかけでソリストとしての活躍に弾みがついたと言ってもいいだろう。

このアダムスとの共演が1977年の暮れ、翌年には自分のリーダーアルバム”New York Bound”を録音し、その直後に直着にハーマン時代の仲間であったテナーのサルニスティコをメンバーに迎えたアルバム”Neo”も作った。
ブリグノラの1936年生まれなので、この時すでに40歳を過ぎていた。ペッパーアダムスの後継者の一人でもあるが、アダムスとは6歳違い決して若手ではなかったが、これから彼の活躍が始まる。

翌年、今度は西海岸に飛んで、このアルバム”L.A.Bounce”を制作する。メンバーは地元で活躍していた中堅メンバー。ブリグノラはレギュラーグループではテッドカーソンと組むことが多かったが、ここではトロンバーンのビルワトラスとコンビを組んだ。
前作のニューヨークバウンドは、バリトンサックス以外に、フルートやソプラノサックスなど自分自身のマルチリードプレーヤーぶりを披露してくれたが、今回は基本的にバリトン一本で勝負。
それも、最初のQuickSilverから4曲アップテンポの曲が続き、ブリグノラのバリトンの大ブローが続けて聴ける。アダムスとは少し違った感じだが、このような演奏には良く似合う切れの良い音色だ。

次は一曲箸休めなのか、スローな曲”Spring Is Here”でのバラードプレーが聴ける。
これはピアノのディッカーソンの選曲だそうだが、その頃バックと良く務めていたアニタオデイのお気に入りの曲とのこと。そして、最後は再びアップテンポでケニードーハムのブルーボッサで締める。ここでは、途中でソプラノサックスに持ち替えるが、曲調にもあっていい感じだ。

バリトンサックス奏者にとって、ビッグバンドでのバリトンサックスは縁の下の力持ち的な存在だが、ここでは一転グループの中心となって他のメンバーをグイグイ引っ張っている。このアルバムで、ブリグノラはバリトンサックスのソリストとしての活動に一段と弾みがついたように思う。

このレコードのプロデューサーはロス在住の日本人妙中氏。先日紹介した、ペッパーアダムスのCalifornia Cookingの彼のプロデュースであったが、西海岸で渋いアルバムを数多くプロデュースしている。これも、その中の一枚だ。

1. Quicksilver                    Horace Silver 6:25
2. Smada              Duke Ellington / Billy Strayhorn 6:30
3. Groovin' on Uranus                 Nick Brignola 8:37
4. In a Mellow Tone           Duke Ellington / Milt Gabler 9:58
5. Spring Is Here           Lorenz Hart / Richard Rodgers 5:43
6. Blue Bossa                      Kenny Dorham 7:57

Nick Brignola (bs,ss)
Bill Watrous (tb)
Dwight Dickerson (p)
John Heard (b)
Dick Berk (ds)

Produced by John Brechler & Toshiya Taenaka
Recording Engineer : Jim Mooney
Recoeded at Sage & Sound Recording on October 17, 1979

L.A. Bound
クリエーター情報なし
Sea Breeze Records
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ワンナイトスタンドといっても、さすがに2500マイルの往復となると・・?

2014-09-09 | MY FAVORITE ALBUM
Breakfast Dance And Barbecue / Count Basie & His Orchestra

1958年クインジージョーンズのヨーロッパツアーは、予定したミュージカルの仕事がキャンセルになりメンバー全員、家族を連れて明日のコンサートの場所を探してヨーロッパ中を転々とするという過酷なものになったが、バンドにとってツアーはつきもの。バンドのツアーに関しては悲喜交々色々な話題が残されている。

昔、ビッグバンドがダンスのためのオーケストラであった時代、大きなダンスホールの専属となると仕事は毎日同じ場所であった。しかし、ビッグバンドがダンスのためでなく聴かせるためのバンドに変っていくと数も少なくなり、残ったバンドも演奏する場を求めて彼方此方をツアーして廻ることになった。
特に地方の小さな街でのコンサートは一晩限り、ワンナイトスタンドといわれバスに乗って毎日転々していくツアーとなった。ウディーハーマンやスタンケントンなどのビッグバンドの話を聞くとよく出てくる話だ。
しかし、それは有名バンドであるエリントンやベイシーといえども例外ではなかった。

カウントベイシーも歴史を辿ればダンスバンドとして演奏をしていた時代もあった。しかし、50年代も後半になり、いわゆる”Atomic” Basie Bandといわれた時期になると、ダンスの仕事は稀になり、聴かせるためのライブやコンサート主体の演奏活動になっていく。

その時、ベイシーオーケストラはニューヨークにいる時はホームグラウンドとなるバードランドがあった。メンバーにとって、長い地方のツアーから帰り、このバードランドへの出演となると移動の負担も減り、リラックスした演奏を繰り広げていた。
此の様子は、バードランドのライブでも窺い知ることができる。

1959年5月、クインジョーンズがヨーロッパから帰国し、マーキュリーでアルバム作りを始めた頃、ベイシーのオーケストラは後半の2週間はニューヨークに戻り、いつもの通りのバードランド出演となった。この時珍しくホテルThe Wordolf in New Yorkでの仕事が入った。久々のダンスバンドとしての仕事にバードランドの仕事は休みを貰ってメンバー揃って参加していた。

31日、無事にこの仕事を終えたメンバー達は、終わるや否や荷物を片付け空港に向かった。そのままマイアミ行の夜便に乗ると、現地に着いたのはすでに日も変わろうとする深夜。そのまま、3000人が待つThe Americana Hotelの宴会場へ直行した。

着くと同時にセッティングを行い一曲目の音出しが行われたのは何と夜中の2時。
いつものよういベイシーのピアノのイントロで始まったのは、サドジョーンズの作っ
たTheDeacon、少し長めのイントロからジョーンズ自身のソロに続く。それから夜を徹してのパーティーがスタートした。

この宴会場でベイシーオーケストラの到着を待っていたのは、全米のディスクジョッキー協会の第2回大会の参加者達、お客はその道の専門家ばかりで耳の肥えたお客の集まりであった。

そして、このパーティーの主催者は何とルーレットレコードのオーナーであるモーリスレビィー、すなわちベイシーのボスでもあるバードランドのオーナー。ボスの大事なパーティー参加にこのレコーディングが予定されていたのではこの出演要請を断る訳にもいかず、その日の強行スケジュールが決行されたという事になる。

このパーティーもセットを重ねて延々と続く。歌手のジョーウィリアムスも登場するが、歌っている曲がFive O’clock in the Morningとなる。冗談ではなく5時頃の演奏かもしれない。ニューヨークに早く帰りたかったのか、Back To The Appleも演奏される。
途中、朝食用の数百というテーブルがセットされたりして、One O’clock Jumpで最後のバンドの音が会場から消えたのはすでに7時になっていた。

この徹夜のライブを終えたメンバー達は、マイアミでゆっくりオフを過ごしたのかと思いきや、片付けも早々に一休みして空港に直行。そのまま飛行機に乗り込むと、また2500マイルのフライトでニューヨークへ。その晩はそのままバードランドのステージに立ったそうだ。移動距離最長記録のマイアミ往復のワンナイトスタンドとなった。

ベイシーのライブ物にはそれぞれいわく因縁があるものが多いようだが、不思議といい演奏が多い。このライブも長旅の疲れも感じさせず、実に伸び伸びとした演奏でいいライブだろ思う。
バードランドでのライブは会場のざわつき感を含めて「いわゆるライブハウスでの演奏」といったリラックス感が強いが、こちらはダンスもできる大きなパーティー会場。コンサートホールよりは和んだ雰囲気に加え、お客の多くを占めるディスクジョッキー達の「演奏も聴くぞ」という会場の空気が、適度な緊張感を生んでいるのかもしれない。
あまり話題になる事は少ないが、自分としても結構気にいっているアルバムだ。このようなアルバムは大音量で聴くべし、色々な音が聞こえる。これもライブ物の楽しさ。

LPの時は、その演奏の一部しか紹介されていなかったが、このCDアルバムなって大分全貌が見えてきた(コンプリートはまだ他の曲もあるようだが一度は聴いてみたいものだ)

それにしても、このタイトルは何か意味があるのか? 確かに朝食付きのダンスとバーベキューパーティーだったようだが。

1. Deacon
2. Cute
3. In a Mellow Tone
4. No Moon at All
5. Cherry Red
6. Roll 'Em Pete
7. Cherry Point
8. Splanky
9. Counter Block
10. Li'l Darlin'
11. Who, Me?
12. Five O'Clock in the Morning Blues
13. Every Day I Have the Blues
14. Back to the Apple
15. Let's Have a Taste
16. Moten Swing
17. Hallelujah, I Love Her So
18. One O'Clock Jump

Snooky Young, Thad Jones, Wendell Cully, Joe Newman (tp)
Al Grey, Henry Coker, Benny Powell (tb)
Frank Foster, Billy Mitchell (ts), Marshal Royal, Frank Wess (as), Charlie Fawlkes (bs),
Count Basie (p), Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Sonny Payne (ds)
Joe Wolliams (vo),
Harry 'Sweets' Edison (tp on 18)

Produced by Teddy Reig
Engineer : Bill Schipps, Tony Brainard
Location & Date : The Americana Hotel, Miami, Florida, May, 31, 1959

Breakfast Dance & Barbecue
Count Basie
Blue Note Records
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ステージのラストを飾るのに相応しい曲、インナメロートーン・・・・

2014-07-03 | CONCORD
Concord Jazz All Stars At The Northsea Jazz Festival Volume2

コンサートのライブアルバムというのは昔から数多くある。ニューポート、モンタレー、そしてモントルーなど有名なジャズフェスティバルでの過去の名演は、そのまま名盤として今でも楽しむことができる。
しかし、レコードの収録時間の制約もあり、その多くはその演奏の一部が収録されているものだ。中にはソロがカットされたものもあり、レコーダだけではなかなか当日の会場の様子の全貌を窺い知ることはできない。実際にライブやコンサートでその場に居合わせると、最後のフィナーレ、そしてアンコールでの盛り上がりを肌で体感できるのは格別である。これを疑似体験できたらと思うのはファンの願いでもある。
CDの時代になり、スタジオ録音でもお蔵になった未発表曲が収められ、アルタネイトを含むコンプリート盤が出るようになったが、ライブ物が完全に復活するのは別の意味での楽しみがある。先日記事にしたミンガスのタウンホールコンサートも、そんな一枚だろう。普通の盛り上がりとは別のそのコンサートの意味合いの全貌も明らかになってくる。
最近では映像も数多く発掘され、ビジュアルが加わると一段とリアリティーが増す。人間はやはり感動は五感で感じるのが本来なのだろう。

LP時代はより多くの曲を収めるために、2枚組になり、続編となってリリースされることが多かった。このコンコルドオールスターズのノースシージャズフェスティバルのアルバムもVol.2。以前CJ-182でリリースされたVol.1の続編となる。メンバーは当然同じで、当時のコンコルド専属のまさにオールスターメンバーのステージでの共演となる。

一曲目は、ハンクジョーンズのビグネット。自分は、この曲はコールマンホーキンスのThe Man and Mighty Hawkで初めて聴いた。まだジャズを聴き始めて間もない頃で何度も聴いた事もあり思い入れのある曲だ。

この手のステージはJATP時代からの常套手段、全員での競演やバトルがあったり、それぞれのソロをフィーチャーしたショーケースがあったりの構成になるが、皆腕達者揃い。時代はフュージョン全盛期であったが、ステージ上ではモダンスイングの好演をたっぷりと楽しめる。そして、最後の全員参加のジャムセッションへと。

素材は、エリントンの名曲、インナメロートーン。
この曲はジャムセッションの素材に良く使われることが多いように思う。
皆が知っている曲、そして曲想もテンポもバックのリフの入り方もジャムセッションにピッタリなのかもしれない。
聴く方もこの曲を聴くと何故かウキウキ感が高まってくる。
奇しくも先日紹介したミンガスのコンサートでもラストはこの曲であった。これまで紹介したアルバムでも印象に残る演奏が多い。ビッグバンドだけでなく、コンボでも、そしてヴォーカルでも。このコンコルドオールスターズも、他のステージで。エリントンの曲なのに、ベイシーのオーケストラも良く演奏しているのも不思議だ。

この曲も好きな曲のひとつだが、まだまだ聴いていない演奏や忘れてしまったアルバムもたくさんある。少し気にかけてみようと思う。

似たようなアルバムを数多く聴くとなかなか印象に残らないことも多くなったが、このアルバムのように好きな曲で始まり好きな曲で終わると、しっかり記憶に留めることができるものだ。

1. Vignette            Hank Jones 6:50
2. Can't We Be Friends?   Paul James / Kay Swift 7:43
3. Emily        Johnny Mandel / Johnny Mercer 4:57
4. Out of Nowhere    Johnny Green / Edward Heyman 4:21
5. Your Red Wagon   Gene DePaul / Richard M. Jones / Don Raye 4:46
6. Once in a While     Bud Green/Michael Edwards 4:57
7. Sweet Lorraine   Clifford R. Burwell / Mitchell Parish 4:05
8. In a Mellow Tone     Duke Ellington / Milt Gabler 7:48

Al Cohn (ts)
Warren Vache (cor)
Cal Collins (g)
Scott Hamilton (ts)
Dave Mckenna (p)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineers : John Van Den Houten-De Hister Wisseloord Studios
Recorded live at The Northsea Jazz Festival, The Hague, Holland, July 1981

Originally released on Concord CJ-205
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本来であれば、ミンガスビッグバンドのお披露目の晴れ舞台のコンサートのはずであったが・・・

2014-07-01 | PEPPER ADAMS
The Complete Town Hall Concert 1962 / Charles Mingus

チャーリーミンガスのタウンホールコンサートというと1964年に行われたものが有名だ。エリックドルフィーの死ぬ直前の演奏も聴く事ができ、この前後に行われたツアーではヨーロッパにも遠征し、当時のミンガスグループの脂の乗りきった演奏が聴ける名盤だ。
実は、ミンガスのタウンホールライブというともう一枚1962年のものがある。ところが、最初にリリースされたこのライブのアルバムはとんでもない代物であった。というよりも、このコンサートそのものが・・・。

ミンガスは、50年代から大編成のグループアンサンブルにもチャレンジしていた。アレンジをしては日頃からリハーサルを重ねていた。というのも、ミンガスのビッグバンドというのは、アンサンブルワークに加えグループインプロビゼーションにも重きを置いていた。このメンバーの呼吸合わせが大変だったのであろう。

1962年の後半、ペッパーアダムスは、このミンガスと行動を共にしていた。クラブ出演には秋吉敏子も参加していたようだ。
ペッパーアダムスは、このミンガスとの付き合いは古くこのミンガスのワークショップ活動にも良く参加していた。以前紹介したロフトもこのミンガスグループの練習場所にも使われていたようだ。

ミンガスは曲想を色々膨らませていく中で段々編成が大きくなっていった。仲間の中には、いい加減にしたらというアドバイスをした者もいたようだが、ミンガスは我関せずでついには通常のビッグバンド編成をはるかに上回る30人編成にもなっていた。

そこに、丁度活動を活発化して、新しいチャレンジをしていたユナイテッドアーティスト(UA)がレコーデョングを働きかけた。それもライブレコーディングの企画を。ミンガスはこの直前に、エリントンと共演したマネージャングルの録音を済ませていて、ミンガスもこのUAの進取の精神が気にいっていたのかもしれない。

10月はバードランドに長期間出演していたが、その丁度間に、このタウンホールコンサートが行われた。
ミンガスはレコーディングに向けて着々と準備を進めていたが、途中でプロデューサーのアラン・ダグラスは会社のボスの意向だったのかもしれないが、何とレコーディングの予定を5週間も前倒しして早めてしまった。いわゆる公開ライブの形をとったが、表向きは有料のコンサート。チケットもそこそこ捌けて10月12日を迎えてしまった。

ミンガスのライブはリハーサルも入念に行うのが常なのに、このコンサートはリハーサルどころかアレンジ自体も当日なって全曲が出来上がっていないという有様。何とアレンジャーの一人、メルバリストンは舞台の上で出来上がったアレンジを写譜屋に渡している始末であった。メンバーはレギュラメンバーに加えて錚々たる面々。遠く西海岸からも駆けつけた。全員タキシードにブラックタイを着込んでスタンバイ。プログラムが未完成のままにカーテンが上がってしまった。ミンガスは最初抵抗したのか、一人Tシャツのまま舞台にいたらしいが、結局、着替えをして舞台に上ることになった。

そこを何とかしてしてしまうのがプロだが、さすがにこの状態ではまともな演奏はできない。ミンガスも「今回は公開リハーサルだ」と断りをいれ、主催者もキャンセル希望者にはお金を返すということにしたが、インターミッションになっても客は半分以上が残っていた。あのミンガスの怒りの一発のハプニングを期待していたのかもしれない。

ミンガスの怒りっぽい性格は有名だが、このコンサートに向けたリハーサルでも事件は起こっていた。コンサートが近づいているのにアレンジが出来上がらないのにイライラしていたのか、長年付き合っていたジミーネッパーに一撃を加えて前歯を折ってしまうトラブルに。その後訴訟事になってしまう程の大事になったが、ネッパーはこのお蔭でその後の演奏にも支障が出て以前と比べて一オクターブも音域が狭くなってしまったそうだ。という事は、サドメルに加わっていのはこの後なので、ネッパーの全盛期を聴けなかったということになるが。

このコンサートに参加したメンバーや関係者達の後日談が色々残っているが、ペッパーアダムスもコメントを残している。アダムスは当日のアレンジを一曲提供したそうだ。アダムスが語る所によると、コンサート自体も酷かったが、その後がもっと酷い。リハーサルのようなライブになってしまったので、本来はレコード話も仕切り直しになるのが筋だが、何とレコード会社はこれをリリースしてしまった。出来の良かった曲だけをピックアップすればまだよいのだが選曲も滅茶苦茶、レコーディングのコンディションも酷いもので、アダムスに言わせるとこのコンサートは悍ましい出来事であり、アルバムだったということだ。

ところが、捨てる神がいれば救う神もいる。89年になって、ブルーノートからこのアルバムが再リリースされた。デジタルリマスターで音も良くなり、没になった曲も復活してコンサートの有様が再現された。最初に発売されたLPではソロがカットされた曲もあってほぼ完全な形で復活した。となると、色々あったにしても歴史上の出来事としての価値は増す。



ペッパーアダムスはジェロームリチャードソンとダブルバリトンで参加。ソロはリチャードソンが先行するが、最後のジャムセッションのように始まるインナメロートーンでは2人のバリトンバトルも聴ける。残念なのはソロがオフマイクで録られていること。音質自体はリマスターで良くなっても、こればかりは再現不可能だ。オフマイクであっても2人のソロは秀逸なのが救いである。LPではカットされている、演奏が一旦終わったあとのドルフィーのソロもCDには収められている。

ミンガスオーケストラの原点ともいえる演奏は、うねる様な重厚なサウンドを聴かせてくれ、他のビッグバンドとは一味も二味も違う。未完成ライブとはいえそれなりに価値あるものだと思う。すべての曲が揃ったたっぷり2時間分の譜面はミンガスの死後になって見つかり、1989年になってから全曲が演奏されている。

1. "Freedom Part 1" - 3:47
2. "Freedom Part 2" - 3:14
3. "Osmotin'" - 2:50 Bonus track on CD reissue
4. "Epitaph Part 1" - 7:03
5. "Peggy's Blue Skylight" - 5:21 Bonus track on CD reissue
6. "Epitaph Part 2" - 5:10
7. "My Search" - 8:09
8. "Portrait" - 4:34 Bonus track on CD reissue
9. "Duke's Choice" - 5:12
10. "Please Don't Come Back from the Moon" - 7:24 Bonus track on CD reissue
11. "In a Mellow Tone" (Duke Ellington, Milt Gabler) - 8:21
12. "Epitaph Part 1" [alternate take] - 7:23 Bonus track on CD reissue

All compositions by Charles Mingus except as indicated

Charles Mingus - bass, narration
Ed Armour, Rolf Ericson, Lonnie Hillyer, Ernie Royal, Clark Terry, Richard Williams, Snooky Young - trumpet
Eddie Bert, Jimmy Cleveland, Willie Dennis, Paul Faulise, Quentin Jackson, Britt Woodman - trombone
Romeo Penque - oboe
Danny Bank - bass clarinet
Buddy Collette, Eric Dolphy, Charlie Mariano, Charles McPherson - alto saxophone
George Berg, Zoot Sims - tenor saxophone
Pepper Adams, Jerome Richardson - baritone saxophone
Warren Smith - vibraphone, percussion
Toshiko Akiyoshi, Jaki Byard -piano
Les Spann - guitar
Milt Hinton - bass
Dannie Richmond - drums
Grady Tate - percussion
Bob Hammer - arranger
Melba Liston - arranger, conductor

Recorded at Town Hall, New York, on 12 Oct. 1962




Complete Town Hall Concert
Charles Mingus
Blue Note Records
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楽しいジャズと意外性を楽しむのは、やはりホームパーティーかも・・・

2014-02-15 | MY FAVORITE ALBUM
Tony Bennett / The McPartlands and Friends Make Magnificent Music

カクテルラウンジのような場所を除けば、日本のジャズクラブはお喋りをしながら聴くような雰囲気の場ではない。たまに、酔っ払いのグループが演奏中に大声で話をしていることがあるがこれは例外。基本はじっくり聴ける場所が多い。

演奏がスタートすると、演奏する側と聴き手の間で一瞬お互い緊張する間が生じる。演奏が徐々に盛り上がり、適切なプログラム構成と適度なMCが徐々に両者の壁を薄くし、終わりの頃には両者一体となって盛り上がって終わるのが理想的なパターンになる。

ところが、どこかで流れに乗りそこなうとお互い何か遠慮があるままステージが終わってしまう。まあ、結果的にのらないライブということになる。演奏する側の責任の場合もあるが、お客が場違いということもある。やはり、ファンに囲まれたライブというのが、自然にアットホームな雰囲気になる。

初めて聴くライブに行った時、せっかく一緒にいる間に次に繋がるインプレッションを何か欲しいといつも思う。ある意味男女の付き合いと同じかもしれないが。

その点、演奏する方も、聴く方も勝手知った仲間同士だと最初から和気藹々とした雰囲気でスタートできるようだ。会場の雰囲気そのものも大事かもしれない。その意味では、仲間内のパーティーでの演奏というのは、大会場のジャズフェスティバルでの盛り上がりとは少し違った「のり」を経験できるものだ。以前紹介した、先輩の友人宅でのパーティーなどはその最たる例だが、残念ながらそのような場をそうそういつも経験できるものではない。

ブルーノートのレコーディングは、聴衆こそいないもののミュージシャンにとってそのようなアットホームな雰囲気を感じる環境がいつも用意されていたという。いい演奏をしてもらうには大事なことだと思う。

ライブレコーディングでも、時々小さなパーティーでのライブがある。
このアルバムもその一枚。ジャケットの写真からもその雰囲気が伝わってくる。
場所は、バッファローのヒルトンホテル、ここのオーナーが主催した2日間のミニフェスティバルの模様を収めたものだ。自分の好きなミュージシャンを呼んで、自由に演奏してもらう。金持ちの道楽としては、これに勝るものはないと思う。
Concordのカール・ジェファーソンも最初はそんな道楽からスタートして、本業になってしまった代表格だ。

メンバーに歌手が一人いるというのもライブ全体を盛り上げるには重要な要素かもしれない。
ここではトニーベネットがその役回りである。まずは挨拶代わりに一曲歌うと、マクパートランドのトリオに繋げる。インナメロウトーンではメンバー紹介しながらハミングで一緒に参加、一同に会した演奏になる。これがパーティーでの気楽なノリと言うものだろう。
マクパートランド夫妻も、スイング系のトランペットの旦那と、モダンなピアノを弾く婦人も普段はあまり一緒に演奏する機会は少ないかもしれないが、ここではスタイルを超えて仲良くプレーしている曲もある。
最後は、スワンダフルで皆が盛り上がったところで、ベネットが十八番のサンフランシスコに繋げて締める。この辺りが真骨頂だろう、会場の楽しい雰囲気が伝わってくるアルバムだ。

先日の松木理三郎のスイングバンドを聴いて、こんなライブになるといいなと、ふと思った。


1. Watch What Happens
2. Softly As In a Morning Sunrise
3. Stompin’ At The Savoy
4. While We Were Young
5. In A Mellow Tone
6. It Don’t Mean A Thing
7. Let’s Di It
8. Medley
     S’ wonderful
     I Left My Heart In San Francisco

Tony Bennett (vol)

Marian McPartland (p)
Jimmy McPartland (tp)
Vic Dickenson (tb)
Herb Hall (cl)
Spider Martin (ts)
Buddy Tate (ts)
Brian Torff (b)
Geoge Reed (ds)

Charlie Byrd (g)

Torrie Zito (p)
John Giufredda (b)
Joe Cocozzo (ds)

Recorded live at Statler Hilton Hotel in Buffalo on May 13 & 14 1977

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ワンポイントマイクで聴く923 Big Bandの迫力は・・・

2012-05-08 | MY FAVORITE ALBUM
Introducing The Kunizo Big Band

連休中は雨でゴルフが流れたこともあり、ライブへ出掛けた回数が増えた。連休中の最後のライブは、KUNIZOこと木幡光邦率いる923 BIG BAND。
正統派4ビートから、ゴードングッドウィン張りの8ビートのファンキーな曲までレパートリーの幅は広い。前々回のライブは、彼が昔属していた東京ユニオンの譜面を再演というプログラムで、これはこれで盛り上がったオールマイティービッグバンドだ。

リーダーのKUNIZOさんは、ビッグバンド以外にも、ホットコルネットというアコースティックなサウンドのグループや、bbフラッツというジャズにこだわらず少し毛色の違うジャンルも幅広く演奏をするグループなども率い、さらには他のビッグバンドでも時折プレーヤーとして見かける。ライブだけでも多方面で大活躍だ。本人も語っていたが、50を過ぎて新境地が開けたそうだ。羨ましい限り。

今回メンバーはほぼレギュラーメンバーだったが、ベースとドラムがBBフラッツのメンバー。ベースの桜井奈緒子は演奏中の笑顔が可愛い女流ベーシスト。1部と2部の間では、そのBBフラッツの演奏も楽しめた。



今回のプログラムは、彼らのアルバムに収録されている曲が多く、最後はアンコールでアルバムの最初に入っているインナメロートーンの大盛り上がりで終わった。来月以降の予定も毎月決まっているようなので楽しみだ。

さて、この923 BIG BANDのアルバムは、白地にKUNIZOさんのイラスト入りの洒落たジャケットだが、実はこのアルバムはその録音で話題になった。
ジャズの録音というと楽器毎に多くのマイクを立てるマルチ録音が主流。さらにセクションの間を衝立で仕切ったりして、楽器その物の音の再現に力が注がれる。編集やオーバーダビングなども自由自在だ。
一方で、クラシックはワンポイントマイクでの一発勝負。コンサートホールの響きも考慮に入れたオーケストラ全体の音の再現がよい音作りの尺度になる。



このアルバムの録音は、ジャズのオーケストラでありながらワンポイントマイクで収録されたところがミソ。場所は杉並公会堂の小ホール。200席くらいなのでジャズには最適な広さだ。
昨年久々に大きなホールでデュークエリトンオーケストラを聴いたが、このコンサートではPAをほとんど使わず、オーケストラのサウンドがホールと一体となった演奏会だった。管楽器のアンサンブルは良かったがドラムの音のシャープさがどうしてもボケる印象であったが、このアルバムの録音も同様だ。いい悪いは別にしてヨーロッパのジャズ録音ではワンポイントマイクの音がする演奏を時々見かけるが、自分の好きなライブはやはり客席のテーブルの食器の音やプレーヤーが譜面を繰る音までリアルに入った録音に軍配が上がる。

こちらで詳しい解説が

このアルバムの録音は5年前。演奏自体はこのアルバムでも悪くは無いが、昨今の演奏は5年間の積み重ねでさらにこなれてきたようだ。もう一度このような録音をすれば、バンドの一体感が増した分、さらに素晴らしいオーケストラサウンドが聴けそうだ。

1. In A Mellow Tone
2. Take The A Train
3. When I Fall In Love
4. Hobo Flats
5. Caravan
6. Samoana
7. C.T.A
8. Elephantman-life
9. Everything Must Change
10. The Jazz Yoriki

Mitsukuni Kohata (to,g)
Masanori Suzuki (tp)
Isao Sakuma (tp)
Narihiro Kikuchi (tp)
Keisuke Nakamura (tp)
Jun Kondo (as)
Toshimichi Imao (as)
Tatsuya Sato (ts)
Masakuni Sano (ts)
Yasuo Niwa (bs)
Haruki Sato (tb)
Michi Kagiwada (tb)
Yoshiaki Hashimoto (tb)
Junko Yamashiro (btb)
Kazuaki Kondo (p)
Kiyoshi Murakami (b)
Shouji Hirakawa (ds)
Hiroaki Murakami (ds)

Produced by Koichi Kitagawa
Engineer : Todd Garfinkle

Recorded live, December,18, 2007. in the small hall of Suginami Kokaido,Tokyo




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気が向いた時に、気が向いた仲間と一緒にできるのが何事においても一番・・・・

2012-04-18 | CONCORD
On Stage / Tal Farlow

世の中、仕事となると何であっても、いつも後から追われるようにやらされるものだ。スケジュールであったり、仕事の完成度であったり。そして満足のいく結果でなくとも、またその次に賭けることになる。その点、趣味であればやりたい時に、納得のいく程度でやっていく限りにおいては、ストレスになることもない。

タルファーローというギタリストは、もしかしたら趣味でギターを弾いていたのかもしれない。そもそもギターを弾き始めたのが20歳になってからというので、所詮最初からプロという感覚はなかったのかも。

何度か引退をした後、コンコルドで復帰した最初のアルバムは1977年録音の、ハンクジョーンズとレイブラウンとのトリオの演奏だった。
実は、この録音に先立ち前の年の1976年夏のコンコルドジャズフェスティバルへの出演が先であった。この舞台は、実は昔のコンビであったレッドノーボとの再会セッションであった。昔の仲間との再会は唯でさえ嬉しいものだし、久々であっても直ぐに昔の感覚を取り戻すものだ。このアルバムはその時のライブ、リリースは後だがConcordへの復帰の実質的な第一弾となる。1969年以来17年ぶりのレコーディングだ。



レッドノーボとタルファーローのトリオは1950年前後。25年ぶりの再会だ。その時のベースはチャリーミンガスであったというから驚きだ。舞台では、ノーボとのトリオの時代の編成に、ピアノとドラムも加えたクインテット編成である。
このタルファーローも実はコラボレーションが得意なギタリストだと思う。ノーボの飄々としたマレット捌きと実にコンビネーションが良い。このファーローは大柄で手が大きくてフレットを這い回る手の動きはまるで蛸のようだという話をどこかで読んだ記憶がある。映像で改めて見てみると確かに。先日のエミリーレムラーの女性の手捌きとは同じギターでも別物のようだし、ギター自体が小さく見える。



クインテット編成のサウンドは、丁度この映像のような感じだ。そしてコンコルドの舞台であることもあり、プログラムの構成は各自のソロをフィーチャーした曲あり、皆で盛り上がる曲ありだが、何故かいつも冷静であり余裕があるように感じるのがタルファーローだ。本当のプロの実力がありながら、「仕事」のプレッシャーを感じることなくいつも楽しげにプレーをしているようなので。

1. The One I Love Belongs to Somebody Else    Jones, Kahn 5:55
2. A Time for Love/My Romance           Mandel, Webster 7:15
3. Lullaby of Birdland               Shearing, Weiss 7:58
4. My Shining Hour                 Arlen, Mercer 7:54
5. The Very Thought of You             Noble 3:03
6. Rose Room/In a Mellow Tone            Hickman, Williams 6:53

Tal Farlow (g)
Red Norvo (vib)
Hank Jones (p)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Enginner : Phil Edwards

Recorded live at the Concord Pavillion, Concord, California in August 1976

Originally Released on Cocord CJ-143



On Stage
Tal Farlow
Concord Records
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時代の流れの変化は大きいけれど、変化しない音楽もある

2011-09-02 | CONCORD
CONCORD SUPPER BAND 2


1979年、70年代最後の年、10年毎の大きな節目の年だ。
今から30年前だが、この間で今やデジタル、IT、通信といったことを抜きには、ビジネスも我々の生活も語れない時代になってしまった。この70年代の最後の年は、そんな将来への兆しが見え始めた時代かもしれない。

この年、東芝がワープロを発売した。今や、携帯やPCにワープロ機能は組み込まれて、ワープロ自体が存在しなくなった。世に初めて登場したワープロは、630万円もして机の大きさもあった。10年前にはまだ珍しかった電卓がカード電卓になった。全国の電話がすべて自動化された(ということは交換台経由でしか繋がらない電話がそれまであったということか?)のもこの年。一方で、今の携帯の前身とも言える自動車電話が登場した。パソコンはまだフロッピーもついていない本体だけで16万8千円もした。この時代、自分もすでに会社勤めで中堅になっていて色々な事が思い出されるが、周りの環境は今とは隔世の感がある。月日の流れるのは早く技術の進歩に驚くばかりだ。

プライベートレーベルからスタートしたConocrdレコードのラインアップも100枚を越えメジャレーベルの仲間入りを果たして大きな節目を迎えていた。レーベルを核となって支えるConcord ALL STARSの面々は、この年6月にはスイスのモントルー、夏の8月には地元のコンコルドのジャズフェスティバルで多くの聴衆の前で演奏し、そして秋には日本ツアーで日本全国を廻った。いよいよ世界を股にかけた活躍になってきた。

日本へのConcord ALL STARSの訪問も、前年に続いて2回目。各会場では多くのファンを集めた。オーナーであり、プロデューサーのカーフジェファーソンも、前年に引き続き日本での評判と歓待に満悦だったようで、このツアーでますます日本贔屓になったようだ。
この秋に来日したのは、若手売出し中のSCOTT HAMILTONとWAREN VACHEのフロントラインに、レーベルのハウスカルテットともいえるベテランのリズム隊が加わったまさにオールスターズ。“Concord SUPPER BAND”と命名された。前年の来日とは、ピアノがロストンプキンスからデイブマッケンナへ、そしてベースがモンティーバドウィックからフィルフラナガンに代わっているが、スーパーバンドに変わりはない。

このサウンドもすっかり耳に馴染み、目新しさや物珍しさから脱して、じっくり聴く事ができる。日本でのライブというの、聴衆のノリが日本的にあり親近感が沸く。演奏の方はこの周囲の盛り上がりを見て推して知るべしといったところであるが、On the sunny side of the streetでは、アンリ菅野が登場する。リハーサル無しの登場であったようだが実にいい感じだ。Concord ALL STARSであればローズマリークルーニーが登場すれば完璧だったが、アンリ菅野も十分に仲間入りを果たしている。

そのアンリ菅野もガンに倒れて帰らぬ人になってしまってから10年以上。月日の経つのは早いものだ。



1. Crazy Rhythm
2. Gone With The Wind
3. Nancy
4. Out Of Nowhere
5. On Baby
6. Just Friends
7. In A Mellow Tone
8. On The Sunny Side Of The Street
9. Drum Boogie
10. The King

Warren Vache (cor,flh)
Scott Hamilton (ts)
Dave McKenna (p)
Cal Collins (g)
Phil Flanigan (b)
Jake Hanna (ds)
アンリ菅野 ( Anli Sugano ) (vo)

Recorded live at the Koseinenkin Kaikan , Tokyo, December 5.1979

Originally released on Concord CJ-120 (2-Record Set)
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ジャンルを超えて皆でリッチの功績を讃えたコンサートの映像が・・・・・

2008-02-19 | MY FAVORITE ALBUM
Buddy Rich Memorial Scholarship Concert

多分このブログを読んでいただいている皆さんはジャズファンが大部分だと思う。
私のように古いジャズが好みの方にはあまり縁が無いかもしれないが、
“Neil Peart”というドラマーはご存知でしょうか?
初めて名前を聞いたという方は、

まずは、このYouTubeの映像を見て頂くといい。



カナダを代表するRuthというロックバンドのドラマーだ。 360度ドラムセットとシンバルに囲まれて、繰り出すドラムソロは並みのドラマーではないことは想像できる。

では、次にこの映像を。



同じ、Neilが、今度はビッグバンドを率いてエリントンの名曲コットンテイルを演奏している。 実は、このオーケストラ、バディーリッチ亡き後スティーブマーカスが率いたバディーリッチオーケストラだ。
このニールはロックドラマーであっても、バディーリッチを深く尊敬している。同じようにリッチを尊敬するドラマーが集まり、彼のプロデュースの元、リッチに捧げたアルバムを皆で制作した。実は、その時のメイキングビデオがこの映像だ。

ドラムプレーは映像があると他の楽器以上に個性溢れる名人芸が楽しめる。人によってテクニックも異なるしプレーぶりも違う。それにNielのように普段はロックをやっているミュージシャンが、4ビートでスイングするドラミングを披露してくれると、ジャズファンとしては思わず嬉しくなってしまうものだ。

実は、このCDが生まれるにはそれまでの過去の経緯があった。リッチが87年に亡くなった後、リッチの愛娘のキャシーはリッチの意志を継いでドラムの後継者を育てるためにスカラーシップを設けてその記念コンサートを開催した。年によって西海岸で、そして東海岸のニューヨークでも。その記念コンサートには、ベテランのルイベルソンを筆頭に、多くの若手ドラマーが集まった。
普段演奏しているのはジャズであったりフュージョンであったり。そしてNielのようにロックのドラマーも。皆、バディーリッチを師と崇めてドラムを極めた名手ばかりだ。 懐かしいリッチのオーケストラのレパートリーが続く。皆が入れ替わり立ち代わりドラムセットに陣取り曲に合わせてスティック捌きを披露していく。

この記念すべき東西のコンサートを収めたのがこのDVDだ。

ニールを含めて延べ11人のドラムプレーの4時間を越える演奏の全貌がこのDVDで明らかになる。このメモリアルコンサートがあって、Niel Peartのプロデュースするトリビュートアルバムが後に生まれることになる。これも、リッチがロックに対して胸襟を開いてビッグバンドの素晴らしさを広めた結果であろう。確実に時代を超えて、そして世代を超えてビッグバンドとそのドラミングの楽しさが引き継がれてる。

また、このDVDには66年の結成当時のリッチのオーケストラの懐かしい演奏の模様も随所に収められている。
リッチのファンはもちろん、ジャズドラムファンには堪えられないお宝映像が楽しめる一枚だ。

このコンサートは2008年にも行われている。



*** Los Angels ***

Wind Machine
Carnaby Street
  「Louie Bellson」

In A Mellow Tone
Time Check
  「Gregg Bissonette」

Sister Sadie
Dancing Men
  「Dennis Chambers」

Mercy,Mercy,Mercy
Bugle Call
  「Vinnie Colaiuta」

Keep the Customer
Satisfied Just in Time
  「Steve Gadd」

*** New York City ***

One O’clock Jump
Mexicali Rose
Cotton Tail
  「Neil Peart」

Greensleeves
Standing Up in a Hammock
Good News
  「Marvin “Smitty”Smith」

Nutville
The Juicer’s Wild
Straight, No Chaser
  「Steve Smith」

Slo Funk
Milestones
 「Omar Hakim」

No Exit
  「Wil Calhoun」

Buddy Rich: Memorial Concert [DVD] [Import]
クリエーター情報なし
Warner Brothers Pub.
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L・H・Rの後継者も“Four Brothers”の再演から・・・・

2007-10-10 | MY FAVORITE ALBUM
Pastiche / The Manhattan Transfer

L・H・Rは、ROSSが抜けてBavanが加入するが、結局ROSSの代わりは務まらなかったのだろう、1964年には解散してしまった。そして、解散後しばらくしてLambertが交通事故で亡くなってしまう。これでこの稀有なグループが再編されることはなかった。
その後、いくつかのコーラスグループが登場しボーカリーズにも挑戦したが、本命の後継者はやはりマントラこと、マンハッタントランスファーだろう。



1975年にメジャーデビューしてから徐々に人気を確実にしていた。彼らの3枚目のアルバムがリリースされたのは初アルバムから3年後の78年の1月のことだ。それが、このアルバム“Pastiche”。Pasticheとは模倣作品, 贋造(がんぞう).という意味もあるが、寄せ集め・ごたまぜという意味もある。ジャケットのデザインもそんな雰囲気がよく出ている。確かにジャズありウェスタン風もあり、ノスタルジックな雰囲気もあればロックありで、色々な曲が集められそして色々なスタイルで歌われている。
マントラのこの何でも受け入れる柔軟性が今まで人気を続けている秘訣だろう。L・H・Rのある種スペシャリスト志向に対して、マントラのゼネラリスト志向。どちらの取り組みも甲乙付けがたい。

このアルバムの一曲目に“Four Brothers”が収められている。あのJon Hendricksが作詞し、LHRの前身のグループで吹き込んだ曲だ。LHRの後継者として、マントラも意識してこの曲を取り上げたのだろうか。20年以上経ってからの再演である。
そして、このアルバムのFour Brothersのバックには、スペシャルオーケストラが編成されている。メジャーレーベルの成せる業だろう。サックスセクションにはこの曲を作曲したジミージュフリーが自ら参加、そしてハーマンのセカンドハードでフォーブラザースを演奏したアルコーンも参加。さらにはリーコニッツの姿も。特に彼らのソロもある訳でもなくサックスセクションがフューチャーされることもないが。バックにいる彼らも過去の思い出に想いを込めて演奏していたのだろう。

当然のようにマントラの演奏はカバー物の常として、L&Hの演奏よりよりリッチなもの、そして洗練されたものになっている。その後のコンサートでも必ずといっていいほど演奏された曲。マントラのメインレパートリーの一曲になっていく。

このアルバムは、ビルボードのPOPSのアルバムチャートの66位に入り、これでマントラも一人前のグループに出世する。そして、不動の地位を築くことになる。
後ろ髪をひかれる思いであの世に逝ってしまったLambertも、多分この演奏を聴いて立派な後継者が生まれてさぞかし一安心したことであろう。
ヘンドリックスは、その後歌詞を後継者であるマントラにも提供し、両者の関係も深まる。
このマントラがジョンヘンドリックスと共演した映像がある。
やはり目指す方向が一致する双方の相性はピッタリだ。

1978年のマントラのFOUR BROTHERSの映像はこちらで。

1. Four Brothers
2. A Gal In Calico
3. Love For Sale
4. Je Voulais (Te Dire Que Je T'Attends)
5. On A Little Street In Singapore
6. In A Mellow Tone
7. Walk In Love
8. Who, What, Where, When, Why
9. It's Not The Spotlight
10. Pieces Of Dreams
11. Where Did Our Love Go

Manhattan Transfer: Tim Hauser, Laurel Masse, Alan Paul, Janis Siegel (vocals).

<Four Brothers Personnel>
Randy Brecker, Marky Markowitz, Alan Rubin Marvin Stamm(tp)
Wayne Andre,Hurbie Green, David Taylor (tb)
Jimmy Giuffre, Lee Konitz, Al Cohn. Lew DelGatto (sax)
Jon Mayer(p)
Ira Newborn(g)
Andy Muson (b)
Art Rodriguez(ds)

Additional personnel includes:
Ira Newborn, Jay Graydon, Ben Benay, Wayne Johnson (guitar)
Buddy Emmons (steel guitar)
Oscar Brashear, Chuck Findley, Gene Goe, Don Rader (trumpet)
Garnett Brown, Vince Fanuele, Jack Redmond, Britt Woodman (trombone)
Jon Mayer (piano, electric piano)
David Foster (piano)
David Wallace (piano, harpsichord, calliope, keyboards)
Mike Boddiker (synthesizers)
Andy Muson (bass)
Art Rodriguez, Steve Gadd, Jim Gordon, Steven Schaeffer, Jeff Porcaro, Peter Johnson (drums)
Michael Omartian, Booker T. Jones, Steve Cropper, Donald "Duck" Dunn,

Additional guest arists: David Foster (piano); Don Grolnick (Fender Rhodes).

Produced by Tim Hauser
Engineers: Larry Emerine, Howard Steele, Phil Kaye.
Principally recorded at Studio 55, Los Angeles, California between December 1976 and September 1977.

Originally released on Atlantic (19163).
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おなじみの曲を、少し違った「味付け」で

2007-06-08 | MY FAVORITE ALBUM
A Portrait Of Duke Ellington / Dizzy Gillespie

旨い料理には、いい食材と腕の立つ料理人が必要だ。
一見たいしたことが無い素材でも、料理人の腕次第であっと驚く料理に仕上がることがある。反対に、名産といわれる吟味された素材も集めても、下手なコックにかかると素材の良さを生かすことなく、たいした料理にはならないということも。
美味しくする秘訣は、やはり味付け。
素材の良さを生かした味付け。そして、料理人の特徴を活かした。
さらに、より美味しくするためには食器や食べる雰囲気への配慮も大事である。

ジャズの世界も同じ。
素材となる「いい曲」が、腕の立つ演奏家によって見事に料理されていく。
料理人であるプレーヤーの個性で、色々な料理が楽しめる。
時に味付けを左右するのが、アレンジャー。
素材の曲の良さを生かすこともあれば、料理人であるプレーヤーの個性を引き出すために、様々な味付けをする。
特に、大きな編成であるBIG BANDになると、ひとつのアレンジが、味付けだけではなくコース料理全体のバランスや、食器はもちろん周りの雰囲気までの全体コーディネートまで影響を与えることがある。

作曲家がバンドリーダーを兼ねると、その曲は非常に個性豊かな音作りになることが多い。
代表的なのがデュークエリントン。
エリントンの曲には有名な曲が多いが、これをビッグバンドで演奏するとなると、どうしてもエリントンオーケストラの影を引きずってしまう。
ここで、アレンジャーの腕の見せ所になる。

ビッグバンドを率いていたディジーガレスピーが、このデュークエリントンの曲にチャレンジしたアルバムがある。
この「味付け役」が、クレアフィッシャー。
白人のピアニスト兼アレンジャーだ。
いつもの、ガレスピーのオーケストラのイメージとは少し趣が違う。
確かにバックはオーケストラだが、ソロはガレスピーだけ。
オーケストラは、完全にガレスピーの引き立て役に徹している。

そして、このフィッシャーのアレンジが実に旨い味付けだ。
エリントンのオーケストラはクラリネットの使い方に特徴があるが、フィッシャーも木管とホルンを中心としたブラスのアンサンブルで、次々を味付け加えていく。
似たサウンドであっても、エリントンの印象に引っ張られることなく、微妙に独自の隠し味を配している。
有名なキャラバンなども、何故か普通の4ビート。いつものラテン調とは趣が違う。
ガレスピーのオーケストラというと、派手なブローとラテンリズムを取り入れた明るいサウンドを思い浮かべるが、たまには、少し違った味付けでガレスピーのプレーを聴いてみるのも悪くない。

In A Mellow Tone
Things Ain't What They Used To Be
Serenade To Sweden
Chelsea Bridge
Upper Manhattan Medical Group
Don Nothin' Till You Hear From Me
Caravan
Sophisticated Lady
Johnny Come Lately
Perdido
Come Sunday

Dizzy Gillespie (tp)
Bennie Green (tb)
Ray Alonge, Richard Berg, Joe Singer (frh)
Jay McAllister (tu)
Robert DiDomenica (fl)
Ernest Bright, John Murtaugh, Paul Richie, Stan Webb (woodwinds)
George Devens (vib)
Hank Jones (p,cel)
George Duvivier (b)
Charlie Persip (d)
Clare Fisher (arr, dir)

NYC, April 27,28, 1960
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1973年は古きよき時代のJAZZの復活の年?

2007-03-22 | CONCORD
SEVEN ,COME ELEVEN / Herb Ellis & Joe Pass

サンタモニカのCIVIC AUDITRIUMで新生JATPが再開された翌年にパブロレーベルがスタートする。そして、西海岸で同じ時期に立ち上がったのがCONCORDレーベルだ。
以前、そのレーベルのファーストアルバムを紹介したことがあるが、両レーベルのスタートの時期が同じだったのを改めて再認識。
今では、Concordがメジャーになり、Pabloもその傘下に入ってしまっているが。
今思えば、まさにこの年が伝統的なJAZZが復活した年かもしれない。暇でもできたらその頃のスイングジャーナルでも読み返してみよう。

CONCORDレーベルは思い入れがあって旧作を何枚も持っているので、折を見てこれらを順次聴き返してみることにする。

早速、Concordの2作目だが、1枚目と同様、Herb Ellis とJoe Passのギターduo。73年のConcord Jazz Festivalでのライブ演奏だ。
Concord Jazz Festivalは1969年、サンフランシスコ郊外のコンコルド市の車のディーラーだったCarl E Jeferson氏が市の活性化としてスタートしたコンサート。Concordレコード創設のきっかけにもなった、ジャズフェスティバルである。
1975年には、フェスティバルの会場となるパビリオンも完成し、一躍有名なJAZZ FESTIVALの仲間入りをした。その後、富士通がスポンサーにもなっている。日本の企業も捨てたものではない。

このレーベルは、初期にはギターの演奏が多かったのも特徴かもしれない。以前紹介した、ローリンドアルメイダもそうだし、若手、ベテランを交えて結構の枚数がある。

管が入らないギターのトリオやカルテット編成は、何となくカクテルラウンジなどで軽く演奏しているのが似合うものだ。ロックやフュージョン系ならまだしも、大きなフェスディバルでジャズギター中心の小編成が大聴衆を相手に果たして盛り上げられるのか、心配にはなるが。
このアルバムを聴くと、それはまったく杞憂。2人の掛け合いはもちろん、ベースのレイブラウンとドラムスのジェイクハナを交えたコンビネーションも言うことはなし。2人の力のこもった白熱のプレーが会場を沸かせている。

ギターはソロもできるし、リズムも刻める、シングルトーンもコードワークも自由自在。時によっては、ボディー部を叩けば打楽器にも早変わり。
一見、派手さはないが管楽器に較べると様々な表現が可能である。さらに、プレーヤーによって、音色やタッチも微妙に違って、奏法を含めて個性が色々出せる奥深い楽器である。

この多彩な顔を持つギターのDUOになると、更にお互い技の掛け合いの品評会になる。メインにソロをとっている時はもちろん、バックに回っている時も、常にお互いが自分の役割と技で真剣勝負が続く。管楽器のようにソロに入ってしまうと、他のプレーヤーが小休止になるのとは大違い。JAZZギターのDuoの醍醐味が味わえる。

73年は、まだ大きな会場ではなかったと思われるが、会場の熱気もつぶさに伝わってくる。
Concordレーベルの特徴を代表する名作だと思う。

エリントンのIN A MELLOW TONEで小手調べをし、グッドマンのSEVEN COME ELEVENをアップテンポにこなし、スタンダード曲を次から次へと料理して、最後にエリスのオリジナルの、地元の名前をつけたConcord Bluesで締めるまで一気に聞き入ってしまう。

(A-1)In A Mellow Tone
(A-2)Seven Come Eleven 
(A-3)Prelude To A Kiss 
(A-4)Perdido
(B-1)I'm Confessin'
(B-2)Easy Living
(B-3)Concord Blues

Herb Ellis(g),
Joe Pass(g)
Ray Brown(b)
Jake Hanna(ds).

Rec. Jul, 29, 1973, live at  <Concord Jazz Festival>
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72年ゲッツはコリアとの競演の一方、復活した「JATP」でも昔の仲間と懐かしのプレーをしたが。

2007-03-20 | MY FAVORITE ALBUM
JAZZ AT THE SANTA MONICA COVIC ‘72

新しいことにチャレンジしようと新しい仲間と新しい仕事を始めると、知らず知らずの内に、そのペースに合わせて自分も変わっていくものだ。もっとも、年をとってくると、なかなか新しいことにチャレンジするのも億劫になるものであるが。後は、本人の気力しだいといったとことだろう。

CHICK COREA & RETURN TO FOREVERの面々と「CAPTAIN MARVEL」を吹き込んだゲッツはそのグループでツアーにも出かけている。エレクトニックサウンドにチャレンジし若者と一緒にプレーするゲッツの気力には感心する。確かにゲッツは、この時まだ45歳。脂のりきった時期だ。
自分の好きなゴルフでも、同年代の和気藹々のゴルフもいいが、若者と一緒に直向にプレーするのもまた、新たな経験ができて楽しいのと同じかもしれない。

そんな年であった1972年の6月、サンタモニカでおこなわれたあのJATPの再現コンサートに、ゲッツも出演していた。
JATPといえば、10年以上も前50年代後半のイベント。メンバーも昔の仲間が集められた。まさに「JAZZの懐メロ」コンサートだ。

50年代に、元の「JATP」を主催していた、ノーマングランツは、60年代に入るとJATPの幾多の名演を残していた自らのレーベルVERVEをMGMに売り払い、自らもスイスに引退してしまった。きっと、60年代のジャズはグランツの望むジャズではなかったのだろう。

そして、70年代に入り、ベトナム戦争も終わってアメリカの社会も落ち着きだした時、50年代の古いJAZZが突如復活する。その仕掛け人の一人はノーマングランツだ。
コンサートだけではなく、新たにパブロレーベルを興して、以前のように精力的な録音を残した。録音の機会も少なくなっていたベテランたちの、水を得た魚のような演奏が数多く残されている。

オールスターズで演奏するゲッツは、やはりコリアとのプレーとは一味違った、昔を思い起こさせるプレーを聞かせる。
もっとも、このアルバムではゲッツは脇役の一人。久々に昔の仲間に呼び出されて、手馴れた感じで一仕事こなした感じがしないでもないが。
3枚組みのこのアルバムは、コンサート全体.の雰囲気を余すところ無く伝えている。
アルバム自体は、カウントベイシーとエラのステージもたっぷり納められているし。ピーターソンは、レイブラウンとの再会も果たしている。

ゲッツもこの大きな新しいドラマの幕開けのゲストの一人として立派に役割を果たしている。ところが、その後の数多くのパブロのセッションにベイシーやピーターソンは常連で出ているが、ゲッツは登場していない。
その後はあくまでも、自己のグループでの演奏が中心だ。それも、晩年は病気との闘いが始まるが、常に円熟した自己のプレーを追い求めている。かえって、以前より力強さを感じさせることもある。単に懐メロを繰り返すベテランとは違う次元の名プレーヤーなのだろう。

あのコルトレーンに最高のテナーを吹かせたら一番と言わせたゲッツと、そのコルトレーンとの競演のビデオがある。

BASIE POWER
MEETING
BLUES IN THE FLAT
GOOD TIME BLUES

COUNT BASIE OECHESTRA

IN A MELLOW TONE
LOOSE WALK
MAKIN’WHOOPEE
IF I HAD YOU
SHE’S FUNNY THAT WAY
BLUE AND SENTIMENTAL
I SURRENDER DEAR
5400 NORTH

JATP ALL STARS
Roy Eldridge (tp)
Harry Edison (tp)
Stan Getz (ts)
Eddie Lockjaw Davis (ts)
Al Grey (tb)
Oscar Peterson (p)
Count Basie (p)
Freddie Green (g)
Ray Brown(b)
Ed Thigpen (ds)
 
YOU ARE MY SUNSHINE
 Oscar Peterson (p)
Ray Brown (b)

SHINY STOCKINGS
YOU’VE GOT A FREIEND
WHAT’S GOING ON
COLE POTER MEDREY
TOODARN HOT
IT’S ALL RIGHT WITH ME
SANFORD & SON THEME
I CAN’T STOP LOVING YOU

Ella Fitzgerald (vo)
Tommy Flanagan (p)
Keeter Betts (b)
Ed Thigpen (ds)
Count Basie Orchestra

SPRING CAN REALLY HANG YOU UP THE MOST
MADALENA
Ella Fitzgerald (vo)
Tommy Flanagan (p)
Keeter Betts (b)
Ed Thigpen (ds)


FINALE: C JAM BLUES

ALL Members

Recorded at "Civic Auditorium", Santa Monica, CA, June 2, 1972
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