黒岩涙香の「妾(わらは)の罪」を第四十一回まで掲載しました。
黒岩涙香の作品の六作目の連載です。
前半(第二十五回まで)はバアサ・エム・クレイの「取り付かれた人生」の小説の翻案だと言うことです。
後半は涙香自身の書き下ろしだと思われる。
1890年 都新聞に連載された。
内容;
前半は厳格な父を恐れた古池侯爵家の一人娘、華藻嬢(妾(わらわ))が一寸したはずみで秘密の夫婦になった若い医師村上達雄を古池に落としてしまい、殺人者になったと思い込み熱を出して寝込んでしまう。
殺人の罪が恐ろしくなった華藻嬢はベルギーに逃げようとするが、従弟であり、父が華藻の婿にしようとしている古山男爵が追い付いて来て、逃げるのを手伝うと言う。
一緒の宿に泊った晩、寝苦しくて目を覚ますと壁に怪しい影法師の影が写る。華藻嬢はランプの位置のせいかと思い、ランプの位置を変えようとするが、持ったランプが熱くて投げ出してしまう。それが寝ていた古山男爵に当たり、古山男爵は飛び散ったランプの油に火が付き焼け死んでしまう。
村上、洲崎嬢、古山男爵と三人を殺したという、身に覚えのない罪で逮捕されてパリに護送された所に、すっかり変わり果てた父が面会に来て、証拠も上がっているのだから、潔く白状しなさいと、息も絶え絶えに迫る。
妾は止むに止まれず、
「ハイ、白状します。実は私が殺しました。」
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