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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

フュージョン料理でみんなを幸せにしようとした12歳の少年の健気さが光る『エイブのキッチンストーリー』

2020年11月22日 15時48分01秒 | 映画


【基本情報】
 原題:Abe
製作年:2019年
製作国:アメリカ、ブラジル合作
 配給:ポニーキャニオン

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:36/176
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
ブルックリン生まれのエイブ(ノア・シュナップ)は、
イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ。
文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされる中、
料理を作ることが唯一の心の拠りどころだった。

ある日、世界各地の味を掛け合わせて「フュージョン料理」を作る
ブラジル人シェフのチコ(セウ・ジョルジ)と出会う。
フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、
自分にしか作れない料理で家族を一つにしようと決意する。

果たしてエイブは、家族の絆を取り戻すことができるのか。

【感想】
これすごく面白かった!
料理をテーマにした映画ってけっこうポピュラーだと思うけど、
この映画は家族背景が複雑なのがミソ。
だって、母がイスラエル系で、父がパレスチナ系という
歴史的に見ても対立し合う二つがひとつの家族になってるからね。

単にケンカの仲裁を料理を通じて行うのではなく、
それぞれの文化や故郷に配慮した料理をミックスさせて、
みんなが幸せになればいいと願う12歳の少年の健気さが感動的なんだよ。

料理も多国籍だから見た目も華やかですごくおいしそうだったし、
これは日本からは生まれない映画だろうなーって思った。

しかも、料理の様子をSNSにアップするっていう現代っぽさも取り入れながら、
テンポよく進んでいくからすごく観やすい。
空腹時に観るとある意味辛いおいしそうな料理の数々と、
家族の感動物語がうまくミックスされたとてもいい映画だった。

あと、これは海外ならではなのかなって思ったのがエイブの扱い。
12歳のエイブが大人たちに交じって料理の修行をするシーンがあるんだけど、
ほとんどアルバイトみたいな感じなんだよ。
つまり、子供が大人といっしょに働いてるってこと。
この映画だと別に違和感なく観れるんだけど、
果たして日本で同じようなシーンあるかなって。

日本だと子役って本当に子供みたいな役が多いイメージけど、
この映画を観る限りでは、
向こうではもはや子供は「小さな大人」と認識されているような気がした。

もちろん、エイブに料理の素質が備わっていることが前提ではあったけど、
あんまり日本の映画やドラマでは観ないかなーって。
(とはいえ、ノア・シュナップ自身は実年齢16歳だから、そんなに子供にも見えないんだけどw)

映画『エイブのキッチンストーリー』公式サイト

映画『エイブのキッチンストーリー』公式サイト

 

"好き"より前に出てきてしまう感情に人間らしさを感じる『詩人の恋』

2020年11月22日 15時33分24秒 | 映画


【基本情報】
 原題:시인의 사랑
 英題:The Poet and the Boy
製作年:2017年
製作国:韓国
 配給:エスパース・サロウ

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:127/175
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
自然豊かな済州島で生まれ育った詩人のテッキ(ヤン・イクチュン)は、
ここ数年スランプだ。
稼げない彼を支える妻ガンスン(チョン・ヘジン)が妊活を始めたことから、
テッキの人生に波が立ち始める。

乏精子症と診断され、
詩も浮かばず思い悩む彼を救ったのは、
港に開店したドーナツ屋で働く美青年セユン(チョン・ガラム)だった。

もっと彼を知りたい。
30代後半にして初めて芽生えた“守ってあげたい”という感情を隠しながら、
テッキは孤独を抱えるセユンと心を通わせ、
彼の人生は思わぬ方向へと進んでいく。

【感想】
今年多いな、ボーイズラブ。
この作品もおっさんと美少年のボーイズラブ
と言ってしまえばそれまでだけど、
純粋な恋愛映画というよりは、
恋愛よりも先に別の感情が出てきてしまうという、
なかなかに複雑な想いが交錯する内容だった。

テッキは初めての恋愛らしい恋愛の相手が
男だということに戸惑いを隠せず、
しかも最初は美少年がゆえの一目惚れみたいなものだから、
本当に好きなのかどうかってのがわからない状態だったんだよね。

歳も大きく離れているし、
好きというより守ってあげたいという
親心みたいなものも混じっていたんじゃないかと思う。

一方、セユンは父の介護もありお金に困っていたから、
テッキがいろいろ支援してくれることに甘えていた部分がある。
途中から、テッキの気持ちには気づいていたけど、
彼が結婚しているからこそ、一歩踏み出せず、
一定の距離感を保っていた。

ここがこの映画の印象的なところで、
二人が恋愛的なニュアンスで身体的に触れ合うところは
多分なかったんじゃないかなー。
それは、テッキが既婚者だったってのもあるけど、
やっぱり「好き」という感情の中に、
テッキは親心みたいなものが、
セユンは甘えみたいなものがあったからだと感じた。

とはいえ、お互いの気持ちはだんだん大きくなっていくから、
抑えきれない想いが爆発してしまうシーンもあるのだけど、
ロマンチックでドラマチックな二人だけの恋愛というよりも、
ポエム寄りの人間愛に近い印象の映画だったかな。
なので、観る人によっては少し物足りないと感じるかも(僕もそうだけどw)。

ちなみに、冒頭は『朝が来る』と似ていて、
子供を作ろうとしたら、
夫の精子に異常があることが発覚するという始まり。
ただ、同じ流れなのに、
妻のキャラクターやBGMの使い方によって、
ややコメディ感がある。
作り方で印象を180度変えることができるいい例だと思った。

映画『詩人の恋』公式サイト

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映画『詩人の恋』公式サイト