Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

ただの"世にも奇妙な物語"になってしまっていた『ばるぼら』

2020年11月27日 21時50分50秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:松竹

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:140/180
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
ある日、作家の美倉洋介(稲垣吾郎)は
新宿駅の片隅でホームレスのような酔払った少女
ばるぼら(二階堂ふみ)に出会い、思わず家に連れて帰る。

大酒飲みでだらしないばるぼらに、
美倉はなぜか奇妙な魅力を感じて追い出すことができない。
彼女を手元に置いておくと不思議と美倉の手は動きだし、
新たな小説を創造する意欲がわき起こるのだ。
彼女はあたかも、芸術家を守るミューズのようだった。

その一方で、異常性欲に悩まされる美倉は、
あらゆる場面で幻想に惑わされていた。
ばるぼらは、そんな幻想から美倉を救い出す。
魔法にかかったように混乱する美倉。
その美倉を翻弄するばるぼら。
いつしか美倉はばるぼらなくては生きていけないようになっていた。

ばるぼらは現実の女なのか、美倉の幻なのか。
狂気が生み出す迷宮のような世界に美倉は堕ちてゆくのだった。

【感想】
手塚治虫先生の漫画が原作。
2巻しかなかったから漫画を読んでからこの映画を観たのだけど、、、
うーん。。。

キャラクターはかなりハマってたんだよね。
二階堂ふみはばるぼらにピッタリだったし、
渡辺えりのムシューモシュネーとかまんまだった。
美倉は稲垣吾郎よりも合ってる人いそうな気はしたけど(笑)
てか、日本人が黒いサングラスかけると、
大体X JAPANのToshIか佐村河内にしか見えないっていうwww

問題は物語の方。
もともとは、あらすじにも書いた通り、
ばるぼらという不思議な少女を側に置いておくことで、
創作意欲がわいて、やがて彼女なしでは生きられなくなる美倉の転落ストーリーを、
いくつかのエピソードを通じて彼の心理変化を楽しむものだった。

ところが、映画にすると2時間という短い枠に収めるから、
どうしても省かれてしまう部分が出てきちゃうんだよね。
それは仕方ないことなのだけど、
原作の持つばるぼら自身の現実なのか幻想なのかあやふやな存在感や、
それに翻弄されてボロボロになっていく美倉の心理描写が失われているように感じた。

原作2巻分をうまくまとめきれたのは見事だと思うけど、
映画だとただの"世にも奇妙な物語"にしかなっていなくて、
うまく世界観が伝わって来なかったなー。

原作では、ばるぼらは魔女なんじゃないかっていう疑惑の下、
魔女に関する歴史や考察がきちんと書かれてあって、
彼女に対する畏怖みたいなのものを感じ取れたんだけど、
映画だとそういうのはなく、
「結局彼女は何だったんだ?」で終わってしまったのが残念。
まあ、魔女のくだりを入れたら2時間じゃ終わらないけど(笑)

なので、これは漫画読まないとよくわからない映画だけど、
個人的にはその漫画の方を強く推したい。
ちょっとテキスト多めの内容だけど、時事性のない物語で、
今読んでも楽しめる。
むしろ、この歳になったからこそ楽しめるかもしれない。

と、同時に手塚治虫のすごさを痛感するんだよ。

僕は手塚治虫の世代ではなかったので、
父親が持っていた漫画をつまみ読みしたぐらいで、
実は最初から最後まで全部読んだ作品はない。

しかし、いくつか読んできた上でこの漫画を読むと、
もう"漫画の神様"ここに極まれりだなと感じる。

『ばるぼら』は作家の人生を描いているから、
文学作品から引用したセリフも多く、
これを作る上ではその知識も必要となるだろう。
でも、手塚治虫の描いた漫画を思い返してみるとさ、
扱うジャンルの広さに驚くよね。

『鉄腕アトム』でSFを描き、『ブラック・ジャック』で医療モノ、
『ジャングル大帝』で動物モノ、『三つ目がとおる』で冒険モノ、
『ルードウィヒ・B』で音楽モノを描いているのだから。

ひとりでこんなにたくさんの作品を描いて、
名作として後世に残せるってすごすぎやしないかい?
今の漫画家でそんな人いるのだろうか。。。

彼は亡くなる直前まで、昏睡と覚醒を繰り返しながら鉛筆を持って、
「頼むから仕事をさせてくれ」と、
漫画を描き続けていたというエピソードを知ったとき、
もう神様どころじゃない、漫画という概念そのものなんじゃないかと思った。

手塚治虫作品は今後時間をかけてすべて制覇したい。

映画『ばるぼら』公式サイト

稲垣吾郎×二階堂ふみ 監督:手塚眞 原作:手塚治虫 撮影監督:クリストファー・ドイル。数々の海外映画祭で好評、ついに日本に凱旋!!狂気の果て...

映画『ばるぼら』公式サイト

 

映画館で焼肉が食べられる『フード・ラック!食運』

2020年11月27日 11時22分33秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:松竹

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:37/179
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★★★★★★★★
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
下町に店を構える人気焼肉店「根岸苑」を切り盛りする安江(りょう)。
ひとり息子の良人は、母の手料理を食べることが毎日の楽しみだったが、
ある事件がきっかけで根岸苑は閉店し、成長した良人も家を飛び出してしまう。

18年後、うだつがあがらないフリーライターとして働く良人(EXILE NAOTO)は、
ある日、編集者の竹中静香(土屋太鳳)と共に"本物の焼肉店"だけを集めた
新しいグルメ情報サイトの立ち上げを任されることに。

しかし、そんな良人のもとに、家を飛び出して以来、
疎遠になっていた母が倒れたとの報せが入る。

病床の安江に会う覚悟が出来ないまま、
取材で訪れた名店の先々で懐かしい「根岸苑」の味と出逢い、
"食"を堪能し、"人"との繋がりの中で母の想いを知り、
良人の中で変化が起きていく。

"食運"に導かれた良人が最後に起こした奇跡とは。

【感想】
まさか映画館で焼肉が食べられるとは思わなかった。
そう、これはもはや映画ではない。
焼肉なんだ。

大スクリーンに映し出される
上質なタン、ハラミ、ミスジ、サーロイン、ホルモンの数々。
さすが寺門ジモンが監督だけあって、
焼肉をおいしく美しく見せる手腕が神がかっていた。
鮮やかな赤身と白く輝くサシのバランスが整ったお肉たちが、
ロースターの上で焼かれてジューシーさを増していく過程を観ていると、
ここが映画館であることを忘れるね(笑)

それをキャストがお口に放り込むじゃない。
こっちにも食感が伝わってくるんだよ。
あの厚切りのタンはきっとこういう柔らかさだろうとか、
あの薄切りサーロインはこうやって舌の上でとろけるのだろうとか。
もうね、僕も食べてたわ。いっしょに。

しかも、EXILE NAOTOがまたうまそうに食べるから
余計に食欲がそそられるんだけどさ、
土屋太鳳の焼肉食べてるときの顔が悶絶するぐらいかわいくて、
今まで観た中で一番のかわいさだった。

もう画だけで見れば、焼肉が主役で、
焼肉によって人間が生かされていることに疑いの余地はないのだけど、
別にこれ食べ歩き映画じゃないからねw
ストーリーとしては、とある家族の絆を描いた感動系で、普通に泣けるから。。。
まあ、変なところで字幕が入るのは謎だったけどw

世の中、映画が超絶好きな人はたくさんいるだろう。
焼肉が超絶好きな人もたくさんいるだろう。
でも、その2つを同じぐらい超絶好きな人となると意外と減るんじゃなかろうか。
まさに、映画と焼肉の両方が超絶好きな僕のために作られたような、
こんなドンピシャ映画はそうそうない気がする。
逆に、こういうのもアリなんだなっていう気づきにもなった。

なお、焼肉が好きな人ならロケ地がすぐにわかる。
スタミナ苑、焼肉ジャンボ(白金店)、D-29、静龍苑などなど。

とにかく腹が減りまくる最高の焼肉エンターテインメントだった。

フード・ラック!食運 - 公式サイト|2020年11月20日(金)-松竹

食通の最高峰、寺門ジモンが初監督!「本当の焼肉映画を描きたい!」。実生活でも肉好きを公言するEXILE NAOTOと土屋太鳳が初共演!食べる...

フード・ラック!食運 - 公式サイト|2020年11月20日(金)-松竹