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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

ここまで尊いゴールキーパーがかつていただろうかと思った『キーパー ある兵士の奇跡』

2020年11月08日 23時52分39秒 | 映画


【基本情報】
 原題:The Keeper
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:キノフィルムズ

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:36/166
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
1945年、ナチスの兵士だったトラウトマン(デヴィッド・クロス)は
戦地で捕虜となった。
イギリスの収容所でサッカーをしていたところ、
地元チームの監督の目に留まり、
ゴールキーパーとしてスカウトされる。

トラウトマンは監督の娘マーガレット(フレイア・メーバー)と結婚し、
名門サッカークラブ「マンチェスター・シティFC」の入団テストに合格する。
しかし、ユダヤ人が多く住む街で、
トラウトマン夫妻は想像を絶する誹謗中傷を浴びる。

それでも、トラウトマンはゴールを守り抜き、
マーガレットは夫を信じ続けた。
やがて、彼の活躍によって世界で最も歴史ある大会でチームは優勝、
トラウトマンは国民的英雄となる。

だが、トラウトマンは誰にも打ち明けられない"秘密の過去"を抱えていた。
そして、その秘密が思わぬ運命を引き寄せてしまう。

【感想】
実在したゴールキーパー、バート・トラウトマンの伝記的な映画。
実話ベースの映画は淡々と進んでいくことが多いけれど、
これはサッカーを題材にしていることもあってか、
前半はともかく、後半は非常にドラマチックで感動する展開だ。

さっき観た『十二単衣を着た悪魔』で、
「男は形で能力を示せ」みたいなセリフがあったけれど、
彼はまさにそれを体現したような人だ。

若い頃からスポーツに慣れ親しんでいたためか、
収容所にいたときにはすでにキーパーとしての腕前はかなりもの。
そこから現地のクラブで活躍し、
マンチェスター・シティFCにも入団できるのだけど、
ついこの前まで戦争をしていたから、
イギリス人からしたらドイツ人は多くの命を奪った戦犯。
スタートからまわりは敵だらけなのだ。

当然たくさんの誹謗中傷を浴びるのだけれど、
「戦争はもう終わったから」と数少ない理解者の支えを経て、
輝かしい戦績を上げていく過程は涙なしには観られない。

特に、彼のために多くの人を説得した妻の力強い発言は本当にかっこよかった。
「ドイツ人というだけで傷ついている人を束になって叩くのは、もはや加害者である」
と言い放ち、最後まで夫を信じ続ける姿は圧倒される。

そして、トラウトマン本人も試合中の接触事故で大ケガを負いながらも棄権することなく、
チームを優勝に導く姿はまさにヒーロー。

しかも、物語はそこで終わらない。
彼の抱えるトラウマや家族に起こる悲劇、
そこからの脱却など、映画だから脚色はあるにせよ、
ドラマチックに変化するストーリーは非常に見ごたえある内容だった。

サッカー好きならもちろんのこと、サッカーを普段観ない人でも
これは面白いと感じられる映画じゃないかと。

それにしても、デヴィット・クロスの顔がたまに
ブリー・ラーソンに見えるのは気のせいだろうか(笑)

映画『キーパー ある兵士の奇跡』公式サイト

バイエルン映画祭2019 最優秀作品賞。その手が、戦いを愛に変えた。第二次世界大戦後、ナチス兵が平和の架け橋に。私たちが人生で出会う最高の実...

映画『キーパー ある兵士の奇跡』公式サイト

 

弘徽殿女御の人柄に惹かれる『十二単衣を着た悪魔』

2020年11月08日 14時50分25秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:キノフィルムズ

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:153/165
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
伊藤雷(伊藤健太郎)は就職もせず、日雇いのアルバイトを続ける日々。
ある日、「『源氏物語』と疾患展」の設営に参加し、
イベント会場に流れる『源氏物語』の登場人物紹介で
「デキた弟・二宮」と「後塵を拝した長男・一宮」の関係を知り、
自分の境遇と重ねた。
彼の弟もまた頭脳明晰だったからだ。

バイト後、恋人と顔を合わせたのだが、なんとフラれてしまい、
おまけに帰宅途中、近所の知り合いから弟が京大医学部へ合格したことを教えられて、
祝賀会をやる家に帰りづらい雰囲気に。

当てもなく彷徨っていたところ、
その心の内と同期するように、
空には雷鳴がとどろき、激しい雨に見舞われると、
雷は不思議な光に吸い込まれて、気を失ってしまう。

やがて目覚めたものの、どういうわけかそこは1000年以上も前の平安時代、
女流作家・紫式部によって書かれたあの『源氏物語』の世界だったのだ。

バイトの土産だった頭痛薬が弘徽殿女御(三吉彩花)に効いたことから
陰陽師として重用されることになり、
彼の平安時代での生活が始まる。

【感想】
これも無事に公開されてよかったねという映画
(伊藤健太郎と、もはや公式サイトからは外されているけど伊勢谷友介も出ているからw)。
しかし、内容としてはとても惜しい感じだったかなー。

主人公が源氏物語の世界に入り込むといういわゆる“異世界モノ”。
あんまり邦画の実写ではない設定だけれど、世界観が剣と魔法ではないから、
どちらといえば、『幕末高校生』や『JIN-仁-』などの“タイムトリップモノ”に近い。

福田雄一監督作品のようなドコメディか、
『JIN-仁-』みたいに次から次へと波乱が起こる
シリアスな話とかの方が相性よさそうだけど、
そのどちらでもないのが惜しいと感じたところ(笑)

『源氏物語』の話に沿って進むから、
もはや主人公のいる意味があんまり、、、かなって(笑)
彼の存在によって物語が改変されてしまうとか、
そういうのがあればもっと緊迫感みたいなのもあったと思うけど。

倫子(伊藤沙莉)とも特に絡みがないまま恋仲になっているのも謎だし。。。

これまで散々タイムトリップや異世界モノを観てきた人だと、
ちょっと物足りないかもしれないけど、
小学生とかなら楽しめそうな内容かな。
1994年に自分が『幕末高校生』を面白いと感じたように。

ただ、弘徽殿女御だけ抜群の存在感だったね。
元々気の強いキャラクターってのもあるんだけど、
まさに“女帝”感あって、三吉彩花にハマってるなと。

女帝といっても暴君ということはなく、
未来を見据えた上で勝つことにこだわるタイプ。
ゆくゆくは若い世代に負けることも厭わないし、
むしろそれを楽しんでいるようなところもあったから、
“悪魔”と言うほど悪者ではないし、
どちらかといえば人の上に立って然るべきな印象。
「男は形で能力を示せ」というセリフも心に残る。

つまり、「早すぎたキャリアウーマン」として描かれているんだよね、彼女。
それなら、もっと弘徽殿女御のみにフォーカスした方がわかりやすいと思うんだけど、
なかなかそこが伝わりづらかったのも惜しいと感じたところかなー。

あと、今作でもまたもや戸田菜穂が主人公の母親役だから、
もはや鉄板になってきたw

映画『十二単衣を着た悪魔』公式サイト

映画『十二単衣を着た悪魔』公式サイト