自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

口蹄疫(FMD)情報検索の理由

2015-07-12 15:01:14 | 牛豚と鬼
これまで作成していた畜産システム研究所ホームページ「口蹄疫(FMD)情報検索の理由」を更新しました。文字化けして読めない方のためにここに紹介し、今後はこのページに差替えさせていただきます。



 なお、「韓国における口蹄疫発生とワクチンの効果について」、韓国はこの6月19日にOIEに発生が終息したことを報告し、緊急輸入したワクチンの効果が明確に認められたこと、ワクチンを接種しているので症状の認められた家畜の殺処分だけで感染拡大が阻止できたことを示しています。そこで上記ブログを更新し、農水省は口蹄疫防疫指針を早急に見直すべきことを末尾に指摘しておきました。



 口蹄疫は獣医の領域なので発言は控えていましたが、黙っていられなくなりました。そして口蹄疫に関する情報を集めて勉強した結果、やはり日本の口蹄疫の防疫対策には大きな誤りがあることを確信いたしました。情報検索リストは今ではりリンク先の変更や削除、さらに文字化けで読めないものもあり、その一部をこのブログに「口蹄疫に関する資料」として移転していますが、ここに情報検索を始めた理由と、これまでに明らかになってきた問題点をまとめておきたいと思います。

 口蹄疫の感染を防ぐという理由で移動制限区の全ての牛と豚が殺処分されました。病気にかかっていない重要な遺伝資源である種牛までも、生かすことは殺処分のルールに反するという理由で強制的に殺処分されました。この家畜や農家の地獄絵巻は、日本にBSE が発生したとき、また鳥インフルエンザが流行したときも目にしました。日本に家畜が居なくなれば感染の心配はなくなりますが、それと同じ発想での防疫体制に怒りを覚えます。

 現場を守るために現場で活躍されている日本の獣医さんは優秀です。しかし、日本の畜産行政に対する獣医の影響力は大きく、ことに防疫対策には大きな責任と権限を持っていますが、いつもながらの現場を知らず、現場に責任を持たない研究職や行政職の合理的でない判断が現場に悲劇をもたらしています。ことに殺処分する疑似患畜の範囲指定は家族の一員である家畜に対する死刑宣告に等しいので、その科学的根拠を明確に示すとともに範囲指定する者の権限と責任の所在を明確にして欲しいものです。少なくとも日頃よりそれだけの覚悟を持って防疫体制の準備をしておく必要があります。

 「口蹄疫は感染力が強く、感染が確認されたときにはその農家の家畜はすべて感染していると判断すべき」としても、感染しているか否かを血清学的検査で確認したうえで感染畜を殺処分することを原則とすべきです。最近の研究では症状が出る時期が感染させる時期であることが明らかにされていますので、少なくとも症状が認められたものだけを殺処分すべきであり、全てが感染していることを想定して殺処分することは獣医として許されざる行為ですし、国際的に求められている血清学的発生動向調査(疫学調査)をおろそかにすることにもつながります。

 ワクチン接種して抗体が産生されるまで時間がありますので、現場の対応策としては、口蹄疫発生確認後直ちに国内に備蓄しているワクチンを接種し、症状の出ているものを殺処分するのが現実的でしょう。備蓄ワクチンについては曖昧な説明しかされていませんが、韓国と同じ混合ワクチンと思われますので、ウイルスの遺伝子解析により効果の高いワクチンを英国のワクチンバンクに保管している抗原から選択して製造し、1週間以内に緊急輸入して危険地帯に接種すべきです。今回のように感染の拡大を防止するために緊急ワクチン接種をした場合でも、接種した家畜を速やかに殺処分するならワクチン接種の必要はなく無茶苦茶な論理矛盾であり、国際的にも求められていません。むしろ緊急ワクチンを使用して殺処分を最小限に抑えつつ口蹄疫清浄化をめざす方向が国際的な流れでもあります。

 英国は殺処分による口蹄疫の感染拡大阻止を100年以上続けてきました。しかし、2001年に650万頭以上の殺処分という大惨事となって以来、ワクチンを精製してNSP(非構造体蛋白)を除いたワクチンを開発し、ワクチン接種で感染拡大を阻止する道が開かれました。この新しいワクチンではNSP抗体は産生されませんが、感染した動物ではNSP抗体が産生されますので、NSP抗体が陽性であれば感染動物、陰性であれば感染していないということになます。すなわち、NSPが含まれていない点をマーカーとして、マーカーワクチンと言っていましたが、現在は全てマーカーワクチンを使用していますから、ワクチン=マーカーワクチンとなり、わざわざマーカーワクチンとは言わなくなっています。

 口蹄疫感染国か清浄国かを判断する国際ルールである国際獣疫事務局(OIE)口蹄疫に関する陸生動物衛生規約(Article 8.7.9.)では、口蹄疫清浄国の資格を回復するためには、感染牛の摘発淘汰と血清学的サーベイランス(抗体検査)が実施されていることが基本的に必須でありますが、これに緊急ワクチンを接種した場合には全てのワクチン接種動物が食用を含めてと殺されてから3ヶ月か、と殺しない場合でも残っているワクチン接種集団に感染がないことをNSP抗体検査で証明すれば、最終症例または最終ワクチン接種のいずれか遅い方から6ヵ月後に、口蹄疫清浄化資格回復を申請できるように2003年版から改定されています。感染畜以外の家畜をすみやかに殺処分することをOIEは求めていないのです。

 そもそも国際獣疫事務局(OIE)は家畜伝染病を防止し家畜の健康を守る世界組織でしたが、WTO/SPS協定がなされて以来、自由貿易の推進を背景にした組織となり、OIEが伝染病の発生を認め清浄化の認定がなされてもそれは一つの基準に過ぎず、2国間での交渉で輸出入を決定できることになっています。今回の宮崎口蹄疫発生においてOIEの清浄化認定がなされても、アメリカは日本からの輸入を直ちには許可していません。すなわち、OIEによる伝染病発生の認定国は輸入を拒否する材料に利用されるだけで、国際貿易による伝染病の蔓延防止は口実に過ぎません。現在の口蹄疫ワクチンであれば、ワクチン接種清浄国とワクチン非摂取清浄国を区分する科学的な根拠はありません。大切なことは清浄化(ウイルス排除)を確認することであり、OIEによる清浄化の認定を急ぐことではありません。
 家畜の移動制限の解除もそれぞれの国で清浄化を確認して決定すべきであり、貴重な遺伝資源である種雄牛や繁殖牛については、少なくとも血清学的検査で感染が認められなければ殺処分すべきではありません。種雄牛の殺処分反対には理があり、理を法で踏みつぶすことは2度と繰り返してはなりません。

 OIEはWTOとの協定以来、家畜の健康よりも貿易の自由化の道具として使われるようになってしまいました。WHOIAEAとの協定以来、人間の健康よりは原子力の利用を優先するようになってしまったのと同じです。命よりも経済を優先する組織の論理、大資本の論理が露骨な暴力を世界で公然と振舞う時代になったとも言えます。OIEによる口蹄疫清浄国をワクチン接種国と非接諸国に分ける理由は、現在の精製したワクチンでは科学的理由はなく、アメリカ、欧州、日本などのワクチン非接種国がワクチン接種国からの輸入を拒否する経済的エゴに過ぎません。

参考:グローバルリスクと国際法~SPS協定を中心に
    WHOとIAEA間の協定

 それにこれほどの犠牲を払ってまでOIEによる清浄化認定を急いで、牛肉輸出再開を急がねばならない状況は日本にはありません。むしろ、口蹄疫が発生していようがいまいが、抗体検査で陰性のものを輸出することにすれば、口蹄疫発生は輸出になんら影響を与えません。それよりも血清学的検査をしないで、目視検査や電話での聞き取り調査だけで清浄化できたとOIEは認定するのでしょうか。

 7月20日、山田大臣は会見で殺処分終了についての感想を求められ、「これで胸を張ってOIEに対しても日本はリングワクチンを打ったけど口蹄疫清浄国になれるんだと言える」と答えました。日本で口蹄疫清浄化(沈静化)を急ぐ問題と、OIEに清浄化を認めてもらうことを急ぐ問題とを政治的に混同しないでいただきたいものです。血清学的検査(抗体検査)なくして殺処分あるのみでは、世界に範たる口蹄疫の防疫体制を確立するにはほど遠い後進国と見なされるでしょう。

 宮崎口蹄疫発生の時は民主党政権でしたが、官僚は古くから深い関係がある自民党議員と連絡を取りながら政権を動かしていました。地元の国会議員が発信源となり当時の赤松農林大臣の責任を問うていたのは、その国会議員と官僚の犯罪を隠蔽するためでした。その「犯罪」とは次の通りです。 

1.口蹄疫発生の早期発見システムを都道府県に現在も準備していません。国に与えられた権限行使には、常に国民への説明と責任の義務が伴います。その責任と義務の不履行を未だにしています。
2.備蓄ワクチンを国内に準備しながら、それを直ちに使用していません。口蹄疫発生確認後1週間以内にワクチンを使用しないのであれば国内に備蓄する意味がなく、これは防疫上怠慢である責任と予算の不正使用の責任が問われます。
3.口蹄疫発生確認後1週間以内に直ちにウイルスの遺伝子解析をし、英国のワクチンバンクに保管してある抗原から最も効果のあるワクチン製造し緊急輸入して使用しなかったことも、防疫責任と予算の不正使用の罪が問われます。
4.口蹄疫発生の感染源と感染経路を解明する疫学調査の義務を農水省は完全に放棄し、むしろ権限を利用して、感染源を隠蔽し捏造する冤罪事件に関わっています。しかもその疫学調査の責任者は現在、動物衛生研究所所長になっています。
5.口蹄疫に関する科学的知見を国民に知らせず、嘘によりワクチンを接種して殺処分をしたことと、健康な家畜まで予防的殺処分と称して合計30万頭の牛豚を殺処分し、2000億円以上の損害を与え、埋却で環境を破壊・汚染し、殺処分しなければ必要なかった補償に528億円(見込み)、内ワクチン接種殺処分240億円の税金を使用しています。
6.口蹄疫発生を検査で確認する事前に、打ち合わせをして結果を公表した痕跡が残されています。宮崎口蹄疫事件は10年前にも発生していますが、感染源の可能性がある中国からの安い稲わら類の輸入を続けていたことが、今回も感染源となった可能性が高く、その意図的な隠蔽を目的とした防疫対策が今回の被害を大きくさせました。
7.10年前からの中国から輸入してきた藁と今回の宮崎口蹄疫の初発農場の可能性が高いA牧場は、いずれも地元国会議員江藤拓)の親子と強い関係があり、意図的な隠蔽はこれと行政が関わったことが原因です。
8.宮崎口蹄疫事件に関わった官僚、研究者、学者は誰も責任を問われることがなく、今回の農水省の責任者はOIEの理事の「1期目の実績や日本の貢献が評価され、アジア太平洋地域委員会(32か国・地域)の推薦を受け、2012年に続き、理事に再選」され、関係した研究者は村上洋介氏を含め動物衛生研究所の所長となり、学者は学会での要職についています。

このように日本の獣医界は官僚、学舎、研究者の癒着により真理の探究ができないほどに矛盾を深めていますが、これは戦争を止められなかったかつての日本と同じ体質や構造と重なり、獣医界だけでなく日本の構造腐敗を露呈した事件の一つに過ぎないと思います。

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2010.9.22 初稿 2015.7.14 更新
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-08-18 22:37:26
本丸はいつでも歓迎です。
文句を言う前に研究をしましょう。
実力があれば、いつでも入れます。
来なさいよ、そんなとこで文句を言う前に。
あなたに、口蹄疫を語る資格はないです。
二度と語らないで下さい。
だってあなた、その極期に、現場にいなかったでしょ?
Unknown (Unknown)
2015-08-18 22:51:30
いや、この人、結局上っ面なんです。
だって、検査なんて、したことないんだから。
そんあ人間が偉そうに語るな。
現場も知らないくせに。
Unknown (Unknown)
2015-08-19 21:58:33
いずれにしても、主さんが、現役養豚家さん等に論破され、議論から逃げ出してしまったのは確かです。
所詮現場を知らない素人であるということを自覚して、間違った情報を流布するのはお辞めになったらいかがですか?

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