都市化が進むと個人の考え方もバラバラになり、自然や他者との日常的な繋がりが希薄になるように思うが、個人の考え方が尊重され個人の尊厳を守るのは自己ではなく他者である。人類を守るのも人工の世界ではなく自然である。世界には多様な考え方や情報があるが、政府やメディアによって一つの考え方や情報が選択される。それはその時の政府やメディアの体質にもよるが、時にはある事件を契機に大衆の雰囲気に大きな流れを作ることがある。
日米韓の軍事演習は仮想敵国を想定して実施されるが、このことにより仮想敵国は態度を硬化し、いずれの国においても国民の愛国心を高揚させる。『国を守るため』の軍備が常識とされているが、軍と産業は結びつき、強くなろうとするのが常であり、軍の発言力が強くなり他国との対立がエスカレートすると、いずれの国の国民も自国を応援し、馬鹿を見るのも国民である。
自国だけでなく他国も人類皆兄弟。戦争を煽る事件は過去におけると同様に、将来においても必ずある。「戦争放棄」の日本の憲法は、個人の尊厳を無視した戦争の悲惨さを経験した日本人の世界の平和を願う魂であり、文言の追加や訂正でその魂を失うことは決して許されない。必要があるなら憲法に矛盾しないように、法律に明文化すれば良い。「空」とか「無」の世界には憧れるが「個人」については曖昧な日本の文化では「憲法改正」ができる状況にはないと思っている。
参考: バノン辞任と米国内紛の激化 2017年8月21日 田中 宇
根っこ勉強会 第2回 「民主主義、主権在民、地方分権とは何か」 動画
「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ 動画
村上誠一郎議員に岩上安身が訊く! 2017.8.21
この夏は「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」を含めてHKドキュメンタリー「戦争と平和」の多くの番組が放送された。私は1943年生まれなので戦争の記憶はないが、「福山が空襲で空が真っ赤に焼けている」と母の言葉を聞いたように思うし、戦後の苦労も少しは知っている。それと74歳にもなり、「戦争放棄」の憲法を大切にしたいという思いが強くなったのかも知れない。ここしばらく「戦争と憲法」のことが頭を離れない。
これに対してヒトラーは「大衆は女々しく愚かだ! 彼らを操るには憎悪を掻き立てるのが唯一有効な手段なのだ!」と大衆の感情を掻き立てる演説の表現方法を研究したという。今は時代が違うと思うかもしれないが、集団に憎しみと憎悪が拡がると選挙という方法によってさえ、ヒトラーの独裁が世界で繰り返されることを忘れてはいけない。
参考: ヒトラー 権力掌握への道 前編, 後編
アメリカは戦後日本の友好国で日米同盟も対等な軍事協力関係だと思っている人は多いかもしれない。しかし、「日米合同委員会」の決定事項が、憲法も含めた日本の法律よりも優先されることに気が付いている人は多いだろうか?沖縄基地の問題も日本の憲法が無視されている例だと気が付いているだろうか?「日本ファースト」とか「アメリカファースト」という言葉が政治家から発せられ、それが国民の支持を得るような危ない時代になってきた。国民の欲求不満を他国への攻撃に煽る政治を許してはいけない。人類皆兄弟、他者あっての自己であり、他国あっての自国であるという根本は何時の時代にあっても変わらず、我々を誤りから救ってくれる。あなたを救ってくれるのは他者であり、単純な利害や憎悪によって危ない道を作り出してはいけない。
ここで経済、経済と経済第一主義に慣らされている農業に専門の立場から警告を一つ。農業や畜産の仕事で生きている我々は、利益は必要だが利益が目的ではないはずだ。人の住む里山に対して獣が住む奥山があり、その干渉地帯である外山に牛を放牧するという話を聞いたことがあるが、それは日本短角種の放牧をしている岩手県の外山畜産研究室のことで一般的な地名ではないらしい。いずれにしても里山が獣害で荒らされるというのは資源を放置していることで、野鳥のために柿の実を残しているという日本の優しい風流な話とは程遠い。利益の為の黒毛和牛オーナー制の安愚楽牧場(2011年11月7日放送)が世間を騒がせたように、農業の世界にも道を踏み外す誘惑があり、経済重視の風潮に流されないようにしなければ・・・、その為の良い方法、システムは作れないものかと思う日々である。
夏休みを利用してもう少し考えてみたい私のブログ
グローバル化の終焉と経世済民
メディアは、なぜ真実を伝えないのか? 我々は知らぬ間にメディアに洗脳されている
~アベノミクスの誤りを例にして
”経世済民”で世界に誇れる日本のリーダー・保科正之(3代将軍家光の異母弟)
初稿 2017.8.24 畜産システム研究会・研究所追加 2017.8.28