自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

国・県の水牛農場冤罪事件を許すな!~誰も責任を取らない中空構造②

2015-02-02 10:08:27 | 中空構造
 日本ではこの100年間に2度の口蹄疫が発生したが、いずれも宮崎県であり、いずれも感染源は明らかにされていない宮崎口蹄疫の防疫措置の問題点については真実は誰のために?を含めて、牛豚と鬼「命と自由を守る民間ネット」に数多く報告してきた。ここでは一部重複するところもあるが、口蹄疫感染源とされた「水牛農場冤罪事件」を断罪したい。物的証拠は国、県で隠滅しているが証拠書類は5年間は保管する義務があるので、今年の4月までのできるだけ早い時期に問題点を「中空構造」のカテゴリーにまとめたい。国、県が情報開示で残した黒塗り資料や我々がコピーで残した資料、現場の事実等をつなげば、宮崎口蹄疫事件の犯罪性が浮かび上がってくる。

 宮崎県には中国から安い稲わら等を輸入販売する会社があり、宮崎県で発生した口蹄疫の感染源は2度とも中国からの輸入わら等の可能性が高い。2010年の口蹄疫発生時にも、牛豚の大規模飼育が集中する宮崎県川南町で中国からの輸入稲わら等が使用されていた。それにもかかわらず、感染源の可能性は意図的と思えるほど無視された。

 初発農場とされた水牛農場の発病は最初から複数に認められ、3月26日2頭、3月29日さらに9頭と、人によるウイルス持ち込みにしては感染拡大が急である。農場主は「5棟ある牛舎のうち4棟の敷料(鋸屑を換えたばかりで、換えてない牛舎の水牛には異常は認められない。また、その鋸屑は普段は業者から購入しているが、今回に限って知り合いの大工さんが仕事で出た鋸屑をいつの間にか運んでくれていた。)」と報告したので、担当獣医は鋸屑を感染源と疑っていた。県への鋸屑由来の病性鑑定依頼があり日記も残されているので、感染源として鋸屑を徹底的に調査しなかったことは不自然である。

 この農場主は地元出身ではない。感染拡大を隠蔽していた川南町の大型牧場から、感染源を鋸屑に混合してこの水牛農場に運んで「初発農場」の生贄にされたと考えれば、感染も感染拡大の理由も説明できる。この時期には大型牧場は口蹄疫発生を隠蔽しようとしていた。この大型牧場は口蹄疫感染の疑いを届け出なかったが、さも届出があったかのごとく現地調査表には記録されている。しかも「稲わら」はわざわざ「県内産」とし、手書きではなく自由に修正できる調査表であるのも不自然だし、処罰の対象にならず補償金が支払われていることも不思議だ。県も口蹄疫発生は隠蔽したかったので、どこかの段階で隠蔽に協力したと疑われるのを恐れたのであろうか。

 また、国の疫学調査口蹄疫検証委員会も科学的事実を追求していないし、形ばかりでお座なりだ。委員会等の情報も隠蔽し、情報開示請求しても異常な黒塗りの資料が開示される。口蹄疫の科学的知識を広く国民に知らしめるどころか、獣医学会も科学的事実を隠蔽し、唯一の貴重な情報を提供していた山内一也先生の連載削除された国や県が権力で真実を隠蔽すればするほど不自然な行動がつながり、宮崎の口蹄疫事件は国と県が証拠隠滅のために30万頭の牛豚を殺処分した犯罪であることが浮かび上がってくる。

 農場主も担当獣医も純粋な方なので、そのような犯罪は考えられなかったのか、考えたくなかったのであろう。県は真実を考えなかったか、考えたくなかったのであろう、急ぐのが常識の口蹄疫検査を遅らせている。担当獣医は既に他界され、農場主も廃業されて連絡はしていない。農場主は口蹄疫のことは忘れたいであろうし、犯人探しに執念を燃やす人でもない。私は担当獣医を知りこのような不正義は許せないと、このブログで故池亀康雄氏に代わり情報発信を続けている。獣医界においても大学ワンダーフォーゲル部のOB会でこの事件を知り、宮崎口蹄疫-獣医師からの手紙を公開されている獣医科病院もある。「ワクチンを接種して殺す? なぜ?」、小学生でも思う疑問に専門家はどう答えるのであろうか。また、第15回家畜衛生部会(平成23年7月26日)でも委員から同様な質問が出された。川島課長はワクチン接種で口蹄疫を終息させた韓国の事例も研究したいとしながら、予防的殺処分を含む防疫指針の改訂の検討すらしていない

 牛豚等疾病小委員会はその後、第17回( 平成23年6月10日)第18回(平成23年6月24日)、 第19回(平成23年7月12日)と3回開催され概要しか公表されていないが、「口蹄疫発生の予防及び発生時に備えた事前の準備等について議論し、次回の家畜衛生部会で審議する」としながら、第22回家畜衛生部会(平成26年11月12日)の議事2:高病原性・低病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫、牛疫及び牛肺疫に関する特定家畜伝染病防疫指針の変更について(諮問)では、出席した村上小委員長と川島課長は「消毒とメンタルヘルス」の論議は記録されているが、ワクチンの検討は一切ない

 口蹄疫発生確認後1週間以内に使用しない国内備蓄ワクチン購入は、明らかに不法な予算要求である。また、口蹄疫発生確認後1週間以上経過して緊急ワクチンの輸入をしていないとすれば、これも備蓄抗原の保管に違法な予算を使用していることになり税金の無駄遣いだ。

 「過去に目を閉ざさすものは、現在も見えなくなる」、逝去されたワイツゼッカー元独大統領の「歴史直視」演説は、ドイツの信頼回復への道でもあった。日本の獣医畜産行政の責任者に言いたい、「過ちては改むるに憚ることなかれ」と。

 農水省は「農業は生活である」ことよりも「家計と生産費を分離させる」経済を重視し、農業の選択的規模拡大を推進した。国内資源に立脚した農業を軽視して、畜産では家畜、家禽を飼育する農家を激減させ、今や地方消滅寸前まで追い込んでいる。その一方で、規模拡大競争に勝ち残った大型経営も飼料費、燃料費が高騰して、さらにTPPを押し付けられそうで、酪農の廃業が増加し始めた。養豚も養鶏も肉牛経営も増頭羽で飼育密度が高まるのにワクチン接種は認められず、廃業したくても借金で止められない地獄に突き落とされている経営も多いだろう。私も家業の孵化事業(ヒヨコの生産販売)に外国鶏を導入することに抵抗していたが、国産鶏の育種改良では事業が成り立たなくなり、ブロイラーのインテグレーションに参加するかどうか選択を迫られた際に、「○○の傘下に入り、手数料を1羽1円、商社に拠出して施設を充実させろ」と言われたことで廃業を決意した。あの時に借金して新事業に参加していたら、今頃どうなっていたかと思うとゾッとする。

「お国の言うことの逆をやれ」という現場の知恵はあったが、口蹄疫防疫指針のように、お国が戦略を謝ればお国に従った現場は立ち上がれないほどの深刻な被害を受ける。

 「水牛農場冤罪事件」に現在の政治の断面を見る。命は地球より重い。数え切れない程存在する政治、経済および外交問題で、一貫して国民を守るより一部の利益を優先するのは憲法違反であり、国民支配の政治は直ちにやめろ!!

 どうか若い人を育てるためにも、日本の夜明けのためにもこの事件を広く知り、皆で考えていただきたい。


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