自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

はじめに

2015-04-08 21:16:03 | 牛豚と鬼

はじめに

 山内一也先生はウイルス学の世界的権威ですが、狭い専門領域の研究にとどまらずBSEや口蹄疫についての一般向けの著書や、「ウイルスと人間(2005)」、「ウイルスと地球生命(2012)」等多数の著書を出版され、ウイルス等と家畜と人の関係からウイルスと生命の関係まで考え続られ、インターネットでも情報発信をされています。

 「連続講座 人獣共通感染症」
 「生命科学の雑記帳」

 口蹄疫についても2001年英国で大量殺処分してしまった当時から、「口蹄疫ウイルスの侵入は起こりうるという前提で、動物を大量に殺すことなく、感染の広がりを阻止することを真剣に考える時代になっていると思います。ワクチン領域ではそれだけの技術進歩はすでに得られているはずです。」と、「口蹄疫との共生」を提唱されています。

 2001年以降、口蹄疫対策としては新しい精製ワクチン(マーカーワクチン)の製造や流行しているウイルスに即時に対応できるワクチンを提供するために、多様な濃縮ワクチン(不活化濃縮抗原)を保管するワクチン・バンクの設立、抗体検査や遺伝子検査の開発等で著しい技術革新があり、緊急ワクチン接種後に清浄国に回復できるように国際動物衛生規約(OIEコード)の見直しがなされ、英国を含むEUにおいては大量殺処分を回避するために緊急ワクチン接種を含めた口蹄疫対策の見直しがなされました。しかし、わが国ではこれらの「最新の科学的知見と国際的動向」を無視したために、2010年の宮崎口蹄疫では29万頭殺処分という2001年の英国の大量殺処分の誤りを再び繰り返してしまいました。しかも健康な家畜を含めて過剰防衛的に殺処分する予防的殺処分を合法化し、埋却地の確保を義務付けるなど大量殺処分を基本とした対策を口蹄疫防疫指針の強化とし、いまだに「最新の科学的知見と国際的動向」を無視し続けています。

 口蹄疫対策は政治や経済が国際的にからむ問題となっていますが、原発と同様に科学的事実が政治的、経済的理由で無視されることは許されません。また、大量殺処分は被害を大きくこそすれ感染拡大を阻止する効果はありません。したがって口蹄疫の遺伝子検査や精製ワクチン(マーカーワクチン)利用等の最新の科学技術を導入して、国内で口蹄疫が発生した場合に被害を最小にして素早く終息させる防疫指針が準備されていなければなりません。

 そこで「口蹄疫との共生」を提唱されています山内一也先生に、「口蹄疫の被害をいかに最小にして感染拡大を終息させるか」 を考えてきました私、三谷克之輔が「新しい科学的知見」を踏まえて「口蹄疫との共生」を具体化して考えるために、メールで質問し、これをメール対談の形に編集させていただきました。

初稿 2012.6.24

 


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