試合残り時間 23秒
山王 81
海南 76
3点差まで迫ったものの、山王のスーパーエース、高校バスケ界の至宝・沢北栄治にダンクシュートを決められた。
海南にとって、厳しい現実が突きつけられる。
緊迫した体育館の中、海南のオフェンスが始まる。
『ピィ、ピィ、ピィ』
無常にも時間が過ぎていく。
だが、海南の選手は誰一人、疲れも諦めも見せない動きである。
山王もそれに応えるべく、激しいディフェンスで対抗する。
清田から、神へ。
3Pの構え。
だが、中に切れてきた牧にボールを送る。
常勝海南を支えた牧に海南の命運を託す。
(牧さん!!)
(牧!!)
(いけーー!!)
左から深津、前には河田。
強引に2人の間に体をねじ込み、バスカンプレーを狙う。
だが。
『スッ。』
『サッ。』
牧の前が広がった。
深津と河田は、冷静に牧をよけた。
(ちぃ!!)
『バス!!』
牧のレイアップが決まる。
静寂が訪れる会場。
観客の多くは、ボールを追うことだけに集中している。
(よし!それでいい。)
堂本は、深津と河田に目をやった。
山王 81
海南 78
「3点差ーーー!!」
「残り13秒ーーー!!!」
「うぉーーー!!!」
「牧さーーーん!!」
海南の応援団は、目に涙をためている。
「ぐっ、ばきざーーーん。」
「ずっ、ばぎぐーーーん。」
彦一と中村は泣いている。
「もしかしたらと思ったけど、やっぱりあの2人は最後まで冷静だわ。
勝つために何をすべきで、何をしてはいけないのか、わかっている。
あの2人が、また同じ大学でバスケをするなんて・・・。深体大の牙城は、大きくなるばかりね。恐ろしいわね。」
「あたれーーー!!」
「あたるんだーー!!」
「マーク!マーク!!」
高頭と海南ベンチが声を張り上げた。
「近くのやつをマーク!」
牧も指示を出す。
ボールは、野辺から沢北へ。
神がマークに付く。
(深津さん、河田さん、任せました。)にっ。
『コク。』
うなずく深津と河田。
ボールは、深津に渡る。
牧が、低い姿勢で構える。
「何度もやられるわけにはいかないジョ。」
『ガツ!』
(しまった!!)
河田が牧に完璧なスクリーン。
深津は、牧を置き去りにした。
海南ゴールを目指す深津。
清田、武藤、高砂が速攻を防ぐ。
(よく戻ったジョ。だが。)
後ろから河田と牧、沢北と神が駆け上がってくる。
残り8秒。
河田にボールが渡る。
マークマンは牧。
ファウル覚悟のディフェンスをあざ笑うように、深津にボールを戻し、自身はゴール下へ。
そして、素早く、深津からのリターンパスをもらった。
息のあった3年生のコンビプレーが、牧を交わす。
「河田だーーー!!」
「ラストプレーは河田!!」
「だぁぁぁーー!!」
河田のポストプレー。
高砂、武藤、そして後ろから牧が囲む。
『サッ!』
高砂、武藤が飛ぶ。
(ポンプフェイク!)
(しまった!!)
憎いほど冷静な河田。
「これでおしまいだ!!」
河田のシュート。
そのとき。
『バシッ!!!』
(嘘だろ!!)
(なっ!!!)
(牧!!!)
「まだだ!!」
牧の伸ばした指先が、ボールに触れる。
10cm以上も高い河田のシュートを弾いた。
起死回生の牧のブロック。
ボールは、ボードにあたり、跳ね返った。
残り2秒。
「信長!!」
ルーズボールをキャッチした神は、走り出した清田へ、速いパスを放つ。
『バス!』
『シュ!!』
清田は、コートの中央から、山王ゴールに向かって両手シュートを放った。
牧の想い。
3年生の想い。
自分の想い。
海南選手たちの想い。
神奈川県の想いを込めて。
ボールが、清田の指を離れた瞬間、試合終了のブザーがなった。
会場にいる全ての人間が、高く舞い上がったボールを行方を追っていた。
山王 81
海南 78
続く。
山王 81
海南 76
3点差まで迫ったものの、山王のスーパーエース、高校バスケ界の至宝・沢北栄治にダンクシュートを決められた。
海南にとって、厳しい現実が突きつけられる。
緊迫した体育館の中、海南のオフェンスが始まる。
『ピィ、ピィ、ピィ』
無常にも時間が過ぎていく。
だが、海南の選手は誰一人、疲れも諦めも見せない動きである。
山王もそれに応えるべく、激しいディフェンスで対抗する。
清田から、神へ。
3Pの構え。
だが、中に切れてきた牧にボールを送る。
常勝海南を支えた牧に海南の命運を託す。
(牧さん!!)
(牧!!)
(いけーー!!)
左から深津、前には河田。
強引に2人の間に体をねじ込み、バスカンプレーを狙う。
だが。
『スッ。』
『サッ。』
牧の前が広がった。
深津と河田は、冷静に牧をよけた。
(ちぃ!!)
『バス!!』
牧のレイアップが決まる。
静寂が訪れる会場。
観客の多くは、ボールを追うことだけに集中している。
(よし!それでいい。)
堂本は、深津と河田に目をやった。
山王 81
海南 78
「3点差ーーー!!」
「残り13秒ーーー!!!」
「うぉーーー!!!」
「牧さーーーん!!」
海南の応援団は、目に涙をためている。
「ぐっ、ばきざーーーん。」
「ずっ、ばぎぐーーーん。」
彦一と中村は泣いている。
「もしかしたらと思ったけど、やっぱりあの2人は最後まで冷静だわ。
勝つために何をすべきで、何をしてはいけないのか、わかっている。
あの2人が、また同じ大学でバスケをするなんて・・・。深体大の牙城は、大きくなるばかりね。恐ろしいわね。」
「あたれーーー!!」
「あたるんだーー!!」
「マーク!マーク!!」
高頭と海南ベンチが声を張り上げた。
「近くのやつをマーク!」
牧も指示を出す。
ボールは、野辺から沢北へ。
神がマークに付く。
(深津さん、河田さん、任せました。)にっ。
『コク。』
うなずく深津と河田。
ボールは、深津に渡る。
牧が、低い姿勢で構える。
「何度もやられるわけにはいかないジョ。」
『ガツ!』
(しまった!!)
河田が牧に完璧なスクリーン。
深津は、牧を置き去りにした。
海南ゴールを目指す深津。
清田、武藤、高砂が速攻を防ぐ。
(よく戻ったジョ。だが。)
後ろから河田と牧、沢北と神が駆け上がってくる。
残り8秒。
河田にボールが渡る。
マークマンは牧。
ファウル覚悟のディフェンスをあざ笑うように、深津にボールを戻し、自身はゴール下へ。
そして、素早く、深津からのリターンパスをもらった。
息のあった3年生のコンビプレーが、牧を交わす。
「河田だーーー!!」
「ラストプレーは河田!!」
「だぁぁぁーー!!」
河田のポストプレー。
高砂、武藤、そして後ろから牧が囲む。
『サッ!』
高砂、武藤が飛ぶ。
(ポンプフェイク!)
(しまった!!)
憎いほど冷静な河田。
「これでおしまいだ!!」
河田のシュート。
そのとき。
『バシッ!!!』
(嘘だろ!!)
(なっ!!!)
(牧!!!)
「まだだ!!」
牧の伸ばした指先が、ボールに触れる。
10cm以上も高い河田のシュートを弾いた。
起死回生の牧のブロック。
ボールは、ボードにあたり、跳ね返った。
残り2秒。
「信長!!」
ルーズボールをキャッチした神は、走り出した清田へ、速いパスを放つ。
『バス!』
『シュ!!』
清田は、コートの中央から、山王ゴールに向かって両手シュートを放った。
牧の想い。
3年生の想い。
自分の想い。
海南選手たちの想い。
神奈川県の想いを込めて。
ボールが、清田の指を離れた瞬間、試合終了のブザーがなった。
会場にいる全ての人間が、高く舞い上がったボールを行方を追っていた。
山王 81
海南 78
続く。