うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#147 【希望】

2009-07-03 | #05 海南 選抜編
試合残り時間 23秒

山王 81
海南 76




3点差まで迫ったものの、山王のスーパーエース、高校バスケ界の至宝・沢北栄治にダンクシュートを決められた。

海南にとって、厳しい現実が突きつけられる。




緊迫した体育館の中、海南のオフェンスが始まる。



『ピィ、ピィ、ピィ』



無常にも時間が過ぎていく。

だが、海南の選手は誰一人、疲れも諦めも見せない動きである。

山王もそれに応えるべく、激しいディフェンスで対抗する。

清田から、神へ。

3Pの構え。

だが、中に切れてきた牧にボールを送る。


常勝海南を支えた牧に海南の命運を託す。



(牧さん!!)

(牧!!)

(いけーー!!)




左から深津、前には河田。

強引に2人の間に体をねじ込み、バスカンプレーを狙う。



だが。



『スッ。』


『サッ。』



牧の前が広がった。

深津と河田は、冷静に牧をよけた。



(ちぃ!!)



『バス!!』



牧のレイアップが決まる。



静寂が訪れる会場。

観客の多くは、ボールを追うことだけに集中している。



(よし!それでいい。)

堂本は、深津と河田に目をやった。



山王 81
海南 78




「3点差ーーー!!」

「残り13秒ーーー!!!」




「うぉーーー!!!」

「牧さーーーん!!」

海南の応援団は、目に涙をためている。




「ぐっ、ばきざーーーん。」

「ずっ、ばぎぐーーーん。」

彦一と中村は泣いている。

「もしかしたらと思ったけど、やっぱりあの2人は最後まで冷静だわ。
勝つために何をすべきで、何をしてはいけないのか、わかっている。
あの2人が、また同じ大学でバスケをするなんて・・・。深体大の牙城は、大きくなるばかりね。恐ろしいわね。」




「あたれーーー!!」

「あたるんだーー!!」

「マーク!マーク!!」

高頭と海南ベンチが声を張り上げた。




「近くのやつをマーク!」

牧も指示を出す。



ボールは、野辺から沢北へ。

神がマークに付く。

(深津さん、河田さん、任せました。)にっ。


『コク。』


うなずく深津と河田。


ボールは、深津に渡る。

牧が、低い姿勢で構える。


「何度もやられるわけにはいかないジョ。」


『ガツ!』


(しまった!!)


河田が牧に完璧なスクリーン。

深津は、牧を置き去りにした。


海南ゴールを目指す深津。

清田、武藤、高砂が速攻を防ぐ。


(よく戻ったジョ。だが。)


後ろから河田と牧、沢北と神が駆け上がってくる。



残り8秒。



河田にボールが渡る。

マークマンは牧。

ファウル覚悟のディフェンスをあざ笑うように、深津にボールを戻し、自身はゴール下へ。

そして、素早く、深津からのリターンパスをもらった。

息のあった3年生のコンビプレーが、牧を交わす。




「河田だーーー!!」

「ラストプレーは河田!!」




「だぁぁぁーー!!」

河田のポストプレー。



高砂、武藤、そして後ろから牧が囲む。


『サッ!』


高砂、武藤が飛ぶ。


(ポンプフェイク!)

(しまった!!)


憎いほど冷静な河田。



「これでおしまいだ!!」

河田のシュート。



そのとき。



『バシッ!!!』



(嘘だろ!!)


(なっ!!!)


(牧!!!)


「まだだ!!」

牧の伸ばした指先が、ボールに触れる。


10cm以上も高い河田のシュートを弾いた。

起死回生の牧のブロック。


ボールは、ボードにあたり、跳ね返った。



残り2秒。



「信長!!」

ルーズボールをキャッチした神は、走り出した清田へ、速いパスを放つ。


『バス!』


『シュ!!』


清田は、コートの中央から、山王ゴールに向かって両手シュートを放った。



牧の想い。


3年生の想い。


自分の想い。


海南選手たちの想い。


神奈川県の想いを込めて。



ボールが、清田の指を離れた瞬間、試合終了のブザーがなった。



会場にいる全ての人間が、高く舞い上がったボールを行方を追っていた。



山王 81
海南 78







続く。