Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

変わりゆく光景から

2017-06-30 23:22:52 | 農村環境

 

 写真は「分水工を探る」其の18でとりあげた西天竜の木下18号支線の途中にある円筒分水工である。そこで紹介した2015年7月14日に撮影した写真は、撮影方向が異なるためその違いを比較するほどの写真ではないが、今回の写真は6月22日に撮影したもの。2015年7月14日の写真が南から北に向かって撮ったものとすると、これは西から東に向かって撮ったもの。2015年のものには青々した稲が写っているが、今回のものには茶色くなってそうう遠くないうちに刈り取られるであろう麦が写っている。たしか2015年に撮った際に東を向いても、こんなに麦だらけではなかったはず。いやほぼ青々した稲だったと記憶する。先ごろも触れた通り、今年の西天竜の水田地帯を通ると、麦の茶色がとても多いと感じる。もちろんそれだけ麦を作付している水田が多いということになる。上伊那では伊那市周辺から辰野町にかけて集落営農が盛んに進められた。法人化している組織も多い。当初は農家がそのまま法人に参加したから、そのまま法人の一員としてそれまでと同じように耕作していたので、見かけ上は法人組織で水田を耕作しているように見えたが、実際は昔となんら変わらない営農形態だったといえる。しかし、時を経るとともに、自らの土地を耕作していた人たちが耕作を諦めて、法人組織に委託するようになっていく。まだまだそま途中であることに変わりはないが、いずれはそうした法人に耕作を委ねる水田がおおかたになっていく可能性は高いし、国はそれを推し進めている。そうした流れの一時代の現れとも言える、この時期の麦色の水田なのである。

 数年前は伊那市内でも富県に多かった麦色の水田は、今では上伊那全域に広まっている。麦ばかりではなく、早いソバの花がすでに盛んに咲いている水田も多い。麦やソバはほほ水を要しないが、隣の水路には水が流れている。尊い「水」であるが、本気で「水」の理解とあり方をこうした空間から学ばなければならない時代となっている。「文化」としても…。

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