毛羽立っている糸を引いた。
気になればなるほど
周囲へと気が移ろう。
気がつけば
生地に穴が開き
目だたなかった毛羽立ちは
すっかり姿を変えた。
後悔を募らせる姿だ。
跡形もなく片付けられた部屋に
射し込んだ明かりは
埃を浮かばせた。
時は何度となく音を刻み
身動きできなかったわたしをあざ笑う。
しかし、
動きのない部屋に、
ただ埃は舞い
わたしのこころの埃を迷わせる。
果たしてここに身を置いていることで
何を見出させるのか、と。
動かない限り
答えも、明かりも、
そして巳の垢も洗い落とせない。
そう思って糸を引いたはずが、
思うところとは違った姿に
後悔を産んだ。
これは生産的動きだったはず…。