TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

バスキア展@森アーツセンターギャラリー

2019年11月10日 | ♪&アート、とか
バスキア展。以前から好きなタイプ(好き、と言い切るまでの知識と熱量はないので控えめに)アーティストだったので、やることは山積みなんだけど、半ばサボり気分で六本木に。平日だけど、そこそこ混んでた(金曜だから?)。

彼の作品には、どうしようもなく素敵な文体や声をもつ書き手や歌い手の仕事に通じる魅力を感じる。描写力とか批評性ではなく。だからアバンギャルドではあるけれど気持ちよく、もし俺も前澤さんような資産家だったら一枚買って飾っておくだろうな(でも、選ぶ絵は違うかも。「自分ならどれ買う?」という妄想もちょっと面白い)。

1984年頃、ちょうど世の中に認められ始めた頃の作品だが、この辺りから構成が上手くなった、というか自分のスタイルが完成してきたように感じた。一方で1980年代半ば以降に画風が変わってきたというのは、その形を脱したかったのだろうか。ある程度名前が売れてから薬物依存がすすんだ、みたいな話も聞くけれど、彼なりの葛藤もあったのか。バスキアだけでなく、神様に選ばれたアーティストの後半戦は、どこか物哀しい。

なんていうか、ちょっとだけ気になったのが、バスキアのキャラクターへの「乗っかり感」。なんかアートっぽくて、でも分かりやすし、なんかイケてる感じ、を利用されているような。無料の音声ガイドも嬉しいけど、「それっぽい」解説はちょっと邪魔。たとえばバブル期の日本をモチーフとした作品に「『日本製品の氾濫は行き過ぎだよ』と感じていたのかもしれません」とか要らなくね?アーティストや作品へのリスペクトは惜しまないが、会場に「森ビルのイベント」的な気配を感じたのは俺が過敏なのだろうか。

でも、若い才能の青臭いエネルギーを感じさせてくれる場であった。改めて気づいたけど、生きていたら俺より少しだけ年上だったのか。タイムマシンがあるなら、あの頃のNYに行ってみたい。