「レゴ ムービー2」公開記念! フルCGアニメの先駆、ジャック・ストーンとは?

2019-01-11 21:40:00 | 雑記
「レゴムービー2」の公開を盛り上げるべく、何かと理屈をつけて好きなものを色々と書き連ねてしまおうという特集第2弾です。
日本での公開は3月下旬のようですね!
「スパイダーマン:スパイダーバース」も上旬に公開されるということで、3月はフィル・ロード&クリス・ミラー祭りって感じになるのですかね。

この記事をお読みの皆さんは、「ジャック・ストーンシリーズ」をご存知でしょうか。
作りの大きい部品構成や背の高いミニフィギュアを特徴とするこのシリーズは、俗にレゴ暗黒期と言われる時代、2001年にリリースされました。



ジャックストーンシリーズでは、彼のヒロイックな活躍を押し出したビデオが制作され、レゴのオフィシャルサイトでもストリーミング再生することができました。

ドイツのTV局Vox社が配信した「LEGOムービー」の制作背景に関する動画においては、このジャックストーンのビデオは「レゴブロックをCGでリアルに描いた最初の映像作品」として紹介されています。

(このビデオではLEGOムービーのネタバレがあります。まだの方は先に映画を観ることを強くお勧めします!)



ビデオ中ではジャック・ストーンを掴みの部分に持ってくることで、LEGOムービーがいかにCGアニメとして進歩したものであるかが解説されていますね。

今回の記事では少しジャックストーンについて掘り下げることで、両者がレゴブロックの特性といかに向き合っているのかという部分について考えてみたいと思います。

ジャックストーンは、街のピンチにひらりと現れるヒーローです。「できるぜ、やるぞ、やったぜ!(CAN DO, WILL DO, DONE!)」を合言葉に、近くにあるパーツを組み替えて難題を解決していきます。



2002年のカタログより。「我らがジャック・ストーン」といった小難しい言い回しにも表れてますが、当時のオフィシャルのカタログの言葉遣いって、幼児に対して結構容赦ない気がします笑

セットに付属するインストラクションには、ジャックがパトカーのパーツを利用してボートを組み立て、水上に逃走した犯人を追跡する警察官を助ける、といった内容のコミックが掲載されていました。



4600のインストに掲載されたコミック。



ジャックストーンのフィギュア。レゴと聞いてまず想像するような牧歌的な空気は消え去り、アメトイっぽい雰囲気を漂わせています。
かなり抽象化が進んだ造形になっている通常のミニフィギュアに対して、鼻や耳といった顔のパーツに加え、胸や肩の筋肉の盛り上がりなど、立体的なディティールが細かであるのが特徴です。



とりわけ足元は完全に靴にしか見えない造形となっていて、靴ひものプリントまであったりします。通常のミニフィギュアの場合は裸足なのか靴を履いているのかはそれを見るものの解釈に委ねられますが、ジャックストーン規格の場合こうした自由度は奪われてしまっているとも言えるかもしれません。


ジャック・ストーンのビデオは、インターネットムービーデーターベースにも登録されているようです。
https://www.imdb.com/title/tt3309946/
(ちなみに、音楽担当にはDCEU「ワンダーウーマン」「アクアマン」などの劇伴を手がけたルパート・グレグソン=ウィリアムズがクレジットされており、大出世という感じでしょうか。これら二作品の主役もレゴムービー2に登場して、オリジナルキャストが声をあてるとなんて情報も目にしますね〜)



レゴブロックのパトカーが街中を疾走する映像に、当時幼稚園児だった僕は結構夢中になったのを覚えています。今となっては随分チープに映ってしまいますが、2001年時点ではこの映像も(幼稚園児にとっては)わりかしリアルなレゴブロックに見えていたように思います。

ジャック・ストーンのビデオの見せ場では、各セットに付属するコミックと同様に、人々のピンチに直面したジャックがレゴブロックを組み替えることによって問題を解決していきます。例えば彼は、ヘリコプターのプロペラをボートに取り付けて「ヘリボート」を組み立てたりと、あっと驚く方法で人々を助けます。
しかし彼の組み替えには、ペグ穴にバーを指すことで固定したり、ボールジョイントにヒンジを組みわせて運動させるなど、物理的にありえない方法でパーツを接続するものが多く含まれました。(もちろん本商品に付属するコミックにはそういったことはありませんでしたが)
プロモーション映像という特性上、「組み替えにはジャック・ストーンシリーズに使用されているパーツしか使ってはならない」という制約でもあったのかもしれません。しかしながら、実際には接続できないパーツ同士を組み合わせてこれでよしとする描写は、レゴブロックのシステムに対して不誠実と言っても過言ではないという気がします。

実はレゴ社はジャック・ストーンシリーズにおいて、子供にヒーローの物語を提示し、そのキャラクターで遊ぶ楽しさを提供することを狙っていました。組み立ての平易化や、フィギュアのディティールアップはそのための手段です。要は、ビデオゲームの台頭で今時の子供は複雑な組み立てなんか面倒でやってられないだろうから、ちゃちゃっと作れるものでキャラクターごっこをしてもらう、といった遊び方を提供しようとしていたということです。しかし、そのためにレゴブロックを組み立てる楽しさは捨象されました。(この辺りの事情は、やはり「レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理」2014年日本経済出版社 に詳しいです、おすすめ)


4605のインスト、なんとこれっぽっち。大ぶりな部品から構成されるため、組み立ても非常に簡単ですね。

ジャック・ストーンのビデオの、「パーツを組み替えてピンチを救うヒーロー」を謳いつつも実際のビルドの場面はややいい加減な描写というつくりには、当時のレゴ社がこのシリーズにおいて何を優先し、何を軽視していたかが端的に表れているように感じられます。

そもそもメディアが異なるので、並べて語ることに本来あまり意味はないのかもしれませんが、2014年の「LEGOムービー」はジャック・ストーンのビデオとは違って、「壊して組み立てることが可能」というレゴブロックの魅力をきちんと踏まえたものになっていたように思われます。LEGOムービーにおいても、主人公たちがレゴブロックを組み替えてピンチを乗り切る場面が劇中多く登場しますが、この映画に登場するオブジェクトは、原則として実際に組み立てられるものとなるよう、まずLEGO Digital Designer(レゴ社が配布している無料設計ソフト)を用いてデザインされています。
もちろん、とある組み替えの場面ではミニフィギュアの首はそんなにスムーズに回らねえよ!的なツッコミもできなくはないですが、ジャック・ストーンのビデオと比べると段違いに説得力が増した描写になっていますよね。その背景には、CGIの発達のみならず、レゴブロックというシステムにストイックに向き合う姿勢があったのは疑いようのないところでしょう。

ところで、続編のレゴムービー2にはフレンズシリーズなどの規格であるミニドールも登場するようですが、ジャック・ストーンにも出番はないのでしょうかね?
前作ではマニア受けする小ネタが色々と盛り込まれていましたが、そういった形でも幼少期のヒーローと再会できると嬉しいなあと思ったり笑

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