totoroの小道

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一つの花

2008-08-08 10:12:12 | 4年 国語

 夏の校内研修で、秋に行う公開授業のプランが出されました。私はプール当番をやらねばならずこの話し合いには参加できませんでした。

そこで自分で、その資料を見ながら考えてみました。

教材名  一つの花
場面   見送り当日、父親がコスモスを渡して汽車に乗って行った場面。
展開の核  「さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよう―。」
問題   お父さんがコスモスをとってきたのは、何のためか?
          (自分のためか、それ以外か?)


①ところが、いよいよ汽車が入ってくるというときになって、またゆみ子の「一つだけちょうだい。」が始まったのです。
②「みんなおやりよ、母さん。おにぎりを・・・・。」
 お父さんが言いました。
③「ええ、もう食べちゃったんですの・・・・。ゆみちゃん、いいわねえ。お父ちゃん、兵 隊ちゃんになるんだって。ばんざあいって・・・・。」
④お母さんは、そう言ってゆみ子をあやしましたが、ゆみ子は、とうとう泣きだしてしまい ました。
⑤「一つだけ。一つだけ。」
 と言って。
⑥お母さんが、ゆみ子を一生けんめいあやしているうちに、お父さんが、ぷいといなくなっ てしまいました。
⑦お父さんは、プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所に、わすれられたようにさいていたコスモスの花を見つけたのです。
⑧あわてて帰ってきたお父さんの手には、一輪のコスモスの花がありました。
⑨「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよう・・・・。」
⑩ゆみ子は、お父さんに花をもらうと、キャッキャッと足をばたつかせて喜びました。
⑪お父さんは、それを見てにっこり笑うと、何も言わずに、汽車に乗って行ってしまいました。
⑫ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながら・・・・。

この場面を選んだのはとてもいいと思います。

お父さんがコスモスをとってきたのは、①自分のため ②それ以外のため。という問題を「さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよう―。」から読み解いていくとどうなるか?
例えば、こう切ったとします。
「①ゆみ。/②さあ、/③一つだけ/④あげよう。/⑤一つだけの/⑥お花、/⑦大事に/⑧するんだ/⑨よう―。」
この中で、問題の解決になりそうな言葉はどこだろう?

①の「ゆみ。」は、ここから答えが分かるという子が多く出てくるはずです。確かに、ゆみにあげることはここで分かります。
ここで、気になるのは「。」です。
句点=そこで文が終わったしるしです。
本当は、この中にお父さんは、主語や述語を入れたかったのですが入れることができなかったから、一度「。」で区切ったのです。そして、なんと言おうか考えたのです。その結果、お父さんの中でゆみに言う文章が組み立てられます。
それが、「さあ、一つだけあげよう。」です。だからこの「さあ、一つだけあげよう。」は、正しくは「さあ、私は、ゆみに、一つだけあげよう。」となるように思います。

「お父さんがコスモスをとってきたのは、①自分のためか? ②それ以外のためか?」という問題の答えは、この辺りで解決できそうです。

すると、次に「お父さんがコスモスをとってきたのは、何のためか?」を考えることになるのでしょう。 

どの言葉を基に考えるかというと、「さあ」がおかしな感じがします。なぜかというと、たかだか、その辺で目についたコスモスをあげるときに、普通「さあ」は使わないからです。待ちに待って手に入れた大事なものをあげるときに。「さあ、あげよう。」となるのです。

たまたま、コスモスを見つけたときに、そのコスモスに、「さあ」を使うほど大事な意味をお父さんが見いだしたとは思えないのです。

さあ〘感〙
①人を誘うとき、または促すときに発する語。「─、行こう」「─、いらっしゃい」
②自分の気持ちを奮い立たせるときに発する語。「─、勉強しよう」
③ためらうとき、とまどうとき、疑うときなどに発する語。「─、どっちにしよう」「─、知りません」
④ある事態に直面したとき、また、ある状態が終わったときに発する語。「─、大変だ」「─、できた」

ここで、問題ができます。「さあ」は①~④のどれだろう?です。

これを解決するために、もう一つ問題ができます。「さあ」は①一つだけ②あげよう。のどちらにつながるかです。
答えはさあ、あげよう。とつながります。つまり、父親のあげるという行動について修飾しています。

この事実を使って、「さあ」は①~④のどれだろう?という問題を解いていきます。
①あげることを誘っている。 ②あげようという気持ちを奮い立たせている。③あげることをためらっている。 ④あげるという事態に直面している。のどれがいいかということになります。
答えは②のようです。

では、一つの花をあげることは、お父さんにとっては、気持ちを奮い立たせ無ければできない行為だと言うことが分かります。それは「よう」という意志を表す言葉が好いていることからも、分かります。

よう(助動・特殊型)
  [一](一)主体の意志を表わす。
  「もう寝―/今出かけ―としている〔=出かける寸前の状態だ〕」

つまり、ゆみに一つの花をあげることは、お父さんにとって、とても大きな賭だったわけです。絶対失敗してはいけない賭だったのです。その賭に勝つための、短い決めぜりふが「一つだけのお花、大事にするんだよう・・・・。」

たまたま目にとまり、あわててとってきた一輪のコスモスと「一つだけのお花、大事にするんだよう・・・・。」という決めぜりふで、何としてもゆみ子を泣きやませなければいけなかったのです。

すると、ここで新たな大事な問題が生まれます。「何のために、ゆみ子を泣きやませなければいけないのか。」(そこまで危ない賭をして。)

 

~ 次回に続く ? ~

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