人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

カンブルラン+五嶋みどり+読売日響でコルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」他を聴く

2016年10月20日 08時41分41秒 | 日記

20日(木).わが家に来てから今日で752日目を迎え,中国の7~9月の国内総生産(GDP)が6.7%増だったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

              中国の発表する経済数値はどこまで信用できるんだろうか?

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「鶏のほったらかし焼き」,「生野菜とワカメのサラダ」,「小松菜のお浸し」を作りました 「鶏の~」はもも肉を弱火でひたすら焼きます.人によっては ちょっと焦げているように見えるかも知れません.ご安心ください.あなたの目は正常です

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,サントリーホールで読売日響定期演奏会を聴きました プログラムは①シューベルト(ウェーベルン編)「6つのドイツ舞曲」,②コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」,③J.M.シュタウト「ヴァイオリン協奏曲『オスカー』」(日本初演),④デュティユー「交響曲第2番”ル・ドゥーブル”」です ②と③のヴァイオリン独唱は五嶋みどり,指揮はシルヴァン・カンブルランです

 

          

 

コンミスは日下紗矢子,その隣にはもう一人のコンマス長原幸太がスタンバイします

1曲目のシューベルト(ウェーベルン編)「6つのドイツ舞曲」は,シューベルトが1824年10月に書いた鍵盤楽器のための曲を,ウェーベルンが1931年にウィーンの出版社から依頼されて編曲した作品です

カンブルランの指揮で第1曲が開始されます.私はシェーンベルクとかウェーベルンとかいう名前が出てくると身構えてしまうのですが,率直言ってこの曲はオシャレな編曲だと思いました ウィーン情緒豊かなワルツのような雰囲気の曲と言ったら良いでしょうか ウェーベルンに対する評価ポイントが上がりました もっともシューベルトあってのウェーベルンですが

2曲目はコルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です 黒と白を基調とするシンプルでシックな衣装の五嶋みどりが颯爽と登場します

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトのミドルネーム「ヴォルフガング」はウォルフガング・アマデウス・モーツアルトから採られています モーツアルトと同様 幼い頃から音楽の才能を現わし,ウィーンで活躍しましたが,ナチスの台頭に伴って1934年にアメリカに渡り,ハリウッドで映画音楽を数多く作曲しました マーラーは彼を「神童」と呼びましたが,このヴァイオリン協奏曲はマーラー夫人・アルマに献呈されています

第1楽章「モデラート・ノビレ」,第2楽章「ロマンス:アンダンテ」,第3楽章「フィナーレ:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ」から成ります カンブルランのタクトで第1楽章に入ります.独奏ヴァイオリンが第1主題を奏でます 印象としては随分おとなしい演奏です しかしカデンツァに入ると彼女の本領発揮です.カデンツァに至るまで”抑えていた”のではないか,とさえ思ったほどです 第2楽章ではグァルネリ・デル・ジェス『エクス・フーベルマン』(1734年製)が弱音の美しさを発揮します 先日,ノット+東響とベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏したイザベル・ファウストもそうでしたが,本当の実力者は弱音で勝負するようです 第3楽章では一転,技巧的なパッセージを苦も無く演奏するとともに,抒情的なメロディーを朗々と奏でます 

彼女の演奏スタイルを見ていると,ヴァイオリンの弓が剣に見え,剣豪が剣を構えて「寄らば切るぞ」と言っているように見えます.そして身体全体を使って激しく動きながら演奏します.その動きはスキのないサムライといった感じです

コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」との出会いは,衝撃的でした 今からン十年前のこと.神保町にあるヤマハ音楽教室のフルート教室に通っていた時,同じグループになった仲間にO君という 当時早稲田の大学院生がいました  彼の方がいくつか年下でしたが何故か気が合い,ある日横浜の家に招かれました.その時 彼のレコード・コレクションを見てビックリしました  当時私は数百枚クラシック・レコードを所有しており,彼も同じくらい所持していたのですが,その内容が全く違うのです.私の方はオーソドックスというか古典派,ロマン派を中心に収集していたのに対し,彼はほとんどイギリスやオーストリアを中心とする近現代のクラシック音楽のレコードだったのです.当時彼が一番夢中になっていたのはアーノルド・バックス(1883-1953)というイギリスの作曲家の交響曲で,譜面を見ながら聴いていました.これはある意味ショックでした その時に彼が聴かせてくれたのがバックスの「交響曲第5番」とコルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」です 後者はウルフ・ヘルシャーのヴァイオリン独奏,ウィリー・マッテス指揮南ドイツ放送交響楽団による演奏です

 

          

 

初めてこの曲を聴いた時に感じたのは,世の中にはこういうロマンティックで宇宙的な音楽があるんだ,ということです その時は音楽そのものに強く惹かれると同時に,ジャケットの写真にも引き付けられました 灯台のサーチライトでしょうか.強いインパクトがあります.早速,彼に教わった神保町の「バイロイト」というクラシックレコード専門店(今はない)に行き 買い求めました CDと違ってLPレコードにはジャケットを見る楽しみがあります.今でもこの1枚は私の宝物です

さて,コンサートの話に戻りましょう ここで15分間の休憩に入りますが,体調が万全ではないので帰ろうかと思ったのですが,後半も五嶋みどりがヴァイオリンを弾くというので残ることにしました

後半1曲目はオーストリア生まれ(1974年)のヨハネス・マリア・シュタウト作曲「ヴァイオリン協奏曲『オスカー』」です この曲は「独奏ヴァイオリン,弦楽器と打楽器のための曲」で,2014年8月27日に五嶋みどりのヴァイオリン独奏により初演され独奏者に献呈されました 全体は連続して演奏される5つの部分から構成されています

五嶋みどりのために書かれた曲とあって,相当な技巧を要する複雑かつ演奏困難な作品のような気がします おそらく楽譜は真っ黒なのでしょう ただ,コルンゴルトのコンチェルトの演奏と共通していたのは弱音の美しさです

コンチェルトを2曲弾いたのですから,当然,アンコールはありません

ここで次の曲の演奏のためにステージ上の模様替えが かなり時間を取って行われます.最後の曲はフランスの作曲家デュティユーの「交響曲第2番『ル・ドゥーブル』」です

デュティユーは2曲の交響曲を作曲していますが,この第2番はクーセヴィツキ-財団の委嘱で,ボストン交響楽団創立75周年のために作曲されました この曲は2つの管弦楽群で構成されます.小管弦楽は12人の独奏者が指揮者の前に半円を描くように配置されます.その周りを大管弦楽(フル・オーケストラ)が囲みます この2つの管弦楽群が対話と対立を繰り返します.「ル・ドゥーブル」というのは「分身」という意味です

小管弦楽群は,左から日下紗矢子(Vn),瀧村依里(同),鈴木康浩(Va) ,女性(Vc),吉田将(Fg),藤井洋子(Cl),蠣崎耕三(Ob)が並び,その後方に,右からティンパニ,トランペット,トロンボーン,チェレスタ,チェンバロがスタンバイします チェンバロはバッハ・コレギウム・ジャパンの鈴木優人です.彼は6月7日の読響アンサンブルに指揮者として出演したので その縁で声を掛けられたのかも知れません

この曲を聴いた印象を一言で言い表すのは非常に困難です プログラム冊子に音楽評論家の芝辻純子さんがこの曲の解説を書かれていますが,その言葉を借りると「保守でも前衛でもない,独特の透明感のある,洗練された響きの音楽」というのが,的確にこの曲の性格を表していると思います

カンブルラン+読響の演奏の労を多とするものですが,この日のプログラムは,コルンゴルトを除くすべての曲が初めて聴く作品だったので,緊張がハンパなく続き きつかったというのが正直な感想です

話は180度変わりますが,近くの席のおじさんが,出演者が登場する時や退場する時に拍手をする際,皆が拍手を終えているのに一人で続けていたのには閉口しました たまにいますね.こういう人が

例えば,コンサートの模様が録音・録画されるとします(昨日は,後日 日本テレビで放映すると告知されていました).ライブ録音・録画ですから当然 演奏後の拍手も収録されることになります 近くの席のおじさんのような人は,後で放映されるコンサートの模様をテレビで観ながら こう言います

「今の聴いた? 実を言うと 最後まで聴こえてた拍手は,この俺のだよ

そんなに目立ちたいのでしょうか? 根性が卑しいですね こういう人とは絶対お友達になりたくないと思います

コメント (2)
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