人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでワーグナー「ワルキューレ」を観る~現在望みうる最高のキャスト!飯守+東京フィルも健闘!

2016年10月03日 07時46分26秒 | 日記

3日(月).わが家に来てから今日で735日目を迎え,お兄ちゃんの大学院の参考書を前に何やら白ウサちゃんに話しているモコタロです

 

          

             磁性の研究かぁ そういうご時勢なのかなぁ ぼくも自省して生きよう!

 

  閑話休題  

 

昨日,新国立劇場でワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」第1日「ワルキューレ」を観ました 新国立劇場の正面玄関では勅使河原茜氏による大きな生け花が出迎えてくれました

 

          

 

出演は,ジークムントにステファン・グールド,フンディングにアルベルト・ぺーゼンドルファー,ヴォータンにグリア・グリムスレイ,ジークリンデにジョゼフィーネ・ウェーバー,ブリュンヒルデにイレーネ・テオリン,フリッカにエレナ・ツイトコーワほか.合唱=新国立劇場合唱団,管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団,指揮=飯守泰次郎,演出=ゲッツ・フリードリヒです

 

          

 

主神ヴォータンは人間女性との間に双子の兄妹をもうける.妹ジークリンデは人間界の男フンディングの妻となるが,再会した兄ジークムントと愛し合うようになる 宿敵の2人の男は決闘となる ヴォータンは息子を勝たせようとするが,正妻で婚姻の神フリッカに反対され,彼を敗北させよと,愛娘ブリュンヒルデ(ヴォータンと知恵の神エルダとの間の娘)に命じる しかし,娘が命令に背いたため,ヴォータンはフンディングにジークムントを殺害させる ジークムントとの子供を宿したジークリンデは森へ逃れる.ヴォータンは愛娘を罰するため岩山に眠らせ,炎で囲み永遠の別れを告げる

 

          

 

会場はほぼ満席です.第1幕の幕開けは嵐の夜の場面です.弦楽器の荒々しい響きが激しい嵐を表出します.フンディングの家に嵐を避けた一人の男(ジークムント)が入ってきて,フンディングの妻(ジークムント)が迎え,その後フンディングが帰宅して3人の会話(歌)が始まる訳ですが,舞台が左に15度くらい傾いているので,歌いながら動くことが難しそうに見えます それでも,ジークムントを歌うアメリカ出身のステファン・グールドは,さすがに世界を股にかけて活躍するヘルデンテノールだけあって,余裕で力強くも美しい歌声を聴かせてくれました また,ジークリンデを歌うミュンヘン出身のジョゼフィーネ・ウェーバーはまだ若手ですが,声に力があり会場の隅々まで美しいソプラノが響き渡りました フンディングを歌うオーストリア出身のアルベルト・ベーゼンドルファーは深みのあるバスです

第2幕も傾斜舞台になっています.ヴォータンと正妻フリッカ,ヴォータンとエルダとの娘ブリュンヒルデが登場します ヴォータンを歌うアメリカ出身のグリア・グリムスレイは,新国立オペラで「サロメ」のヨハナーンを歌った人ですが,ワーグナー歌手としてはピッタリの伸びのあるバス・バリトンを聴かせてくれました フリッカを歌ったロシア出身のエレナ・ツィトコーワは新国立オペラではお馴染みの歌手ですが,美しいメゾソプラノで人気があります ブリュンヒルデを歌ったスウェーデン出身のイレーネ・テオリンは,迫力ある歌声で,この役が当たり役かも知れません

第3幕は空港の滑走路のような舞台ですが,やはり傾斜舞台です ワルキューレたちが「ワルキューレの騎行」の音楽に乗って勇ましく歌います

演出で「おやっ?」と思ったのは,第1幕のフンディングの家で,フンディングがジークムントを部屋に残して去る時に部屋の明かりを消すのですが,壁に据え付けられたリモコンのようなものでスイッチを切るシーンです このシーンだけが時代から浮いていました.これはゲッツ・フリードリヒの演出の一環なのだろうか

演出ということで印象に残るのは,各幕での傾斜舞台の他には,第3幕のフィナーレの場面です.ヴォータンが娘ブリュンヒルデを(岩の上に)眠らせ,山に火をかけるシーンですが,ステージ中央のブリュンヒルデに三角錐の青色のライトが当てられ,ヴォ―タンの合図とともに舞台の周囲に炎が走り,それとともに炎から煙が立って舞い上がるのです そして静かに幕が降ります.幕が降りた後,客席側にも煙が上空に立ち込める中,会場のそこかしこからブラボー,ブラビーの掛け声とともに大きな拍手が巻き起こりました

さて,今回の公演の最大の貢献者は,豪華な歌手陣もさることながら,飯守泰次郎指揮東京フィルの演奏だったと言えるのではないか オペラの場合,オケがオーケストラ・ピットに入って演奏する関係で規模が小さくなり,音が痩せがちになりますが,この日の飯守+東京フィルの演奏は第1幕冒頭から第3幕が閉じるまで,終始厚みのある迫力に満ちた演奏を展開しました 歌手が歌わないシーンではオケ自らが感情表現豊かに物語を語っていました

 

          

 

この公演を聴くに当たり下のCDで予習しました しかし,毎日コンサートがあったために時間的な余裕がなくて第1幕の途中までしか聴けませんでした

 

 

          

 

この日の演奏は午後2時に始まり,カーテンコールが終わったのは7時半頃,2回の休憩を挟んで5時間半の大興行でした

 

          

 

この日の公演は,現在望み得る最高の歌手陣,飯守泰次郎指揮東京フィルの大健闘,ゲッツ・フリードリヒのシンプルな演出とともに印象深いものになりました

コメント (2)
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