昨日は同居人が休日出勤であったため、一人の土曜日となりました。
世間の中年男は奥さんがたまに留守をすると、一人を満喫できるので喜ぶと聞いたことがあります。
私はそんなことはありません。
深く同居人に依存していますので、もし同居人に先立たれでもしたら、孤独に耐えられないのではないかと考えただけで怖ろしくなります。
で、気晴らしに小説を読みました。
平野啓一郎の「ある男」です。
映画化もされているようです。
林業に携わる夫が事故死して、残された妻子は嘆き悲しみます。
しかし、奇妙なことが起こります。
ほとんど絶縁状態だった夫の実兄が焼香にくるのですが、遺影を見て、これは弟ではないと断言します。
では、夫は何者だったのか、知り合いの弁護士が探偵ごっこを始めます。
そして明かされていく真実。
それはとても怖ろしいものでした。
ネタバレになるのでこれ以上は紹介しませんが、純文学作品でありながら、謎解きの要素を含んだスリリングな物語に仕上がっています。
同居人のいない土曜日を慰めてくれた秀作だと思います。