最近、凶暴な夢を見ます。
それは例えば、職場で銃を乱射して、同僚を皆殺しする、とかいうもの。
私は夢判断なんて、ほとんど信仰に近い、胡散臭いものだと思っています。
したがって凶暴な夢に、意味を見出そうなんて気は、さらさらありません。
それにしても、近頃の夢は何なのでしょうね?
職場への恐怖?
それとも嫌悪?
そんな単純なものではないと思います。
もっと愛憎半ばするような。
私は今の業界で働き始めて、もう27年目に入っています。
業界のことはよく分かっています。
良い点も、悪い点も。
隣の芝は青く見える、とか言うように、私は私が経験したことがない業界を、羨望の眼差しで見ているのかもしれませんね。
だからこそ、自分の仕事がつまらなくも、しんどくも思えるのかもしれません。
それはおそらく、どんな業種についていたところで同じなのだろうと思います。
しかし愛憎半ばするほど、この業界にどっぷり浸かってしまったのは、私が転職という手に出なかったからに相違ありません。
気持ちのどこかで、今の自分にこれだけの給料をくれる職場など存在しない、と思い到っていたからでしょう。
それなら私は、この業界にしがみついて、骨の髄までしゃぶりつくさねばなりますまい。
サラリーマンである以上、そうやって生きるしかないのです。
あぁ、30年前、いや、20年前の私は、今の私を見たら、きっとなじるでしょう。
夢も希望も失って、職場にしがみつくなど。
しかし、私は知っています。
圧倒的多数の中高年サラリーマンは、若い日の夢など忘れて、給料欲しさに職にしがみついていることを。
そしてまた、それを恥じる必要も無いことをも、知っています。
人間が生きるということは、一つ一つ、夢や希望を失っていくこと。
それが大人になるということ。
それを知ってしまったがゆえに、私は凶暴な夢を見続けているのかもしれません。
その凶暴な夢が私の精神に均衡をもたらしているのだとしたら、その夢もまた、私を守る道具なのだと、割り切るしかありません。