昨日、久しぶりに映画館に足を運びました。
観たのは、「君の名前で僕を呼んで」です。
美少年と美青年のひと夏の恋を描いた作品ですが、圧倒的に美しい映像で、圧巻でした。
私は同性愛を描いた映画を好んで観ます。
古くは、傑作、「モーリス」。
わが国の作品、「二十才の微熱」。
ヴェルレーヌとランボーの愛欲を描いた「太陽と月に背いて」。
米国の荒涼とした風景の中、カウボーイの恋を描いた「ブローク・バック・マウンテン」などなど。
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私自身はこてこてのストレートで、女性にしか興味がありませんが、なぜか、男同士の恋を描くと、それは男女の恋よりも至純で美的に感じられるのです。
社会からの偏見や差別に耐えながら、密やかに進む恋模様が、至純でないはずがありません。
「モーリス」は、19世紀の貴族社会を扱っているせいか、恋愛だけでなく、社会とは、差別とは、といった問題を、美的映像のなかに盛り込んだ名作でした。
昨日観た作品は、「モーリス」とは異なり、ひたすらに美的映像を追求しているものでした。
なにしろ両親が同性愛に寛容なのです。
北イタリアの田舎。
そこに暮らす、おそらく美術史を研究していると思われる教授が、夏休みの間、助手として学生を雇います。
教授は妻と17歳の息子と暮らしています。
やってきた学生は、アメリカ人の美青年。
そこで美少年と美青年は恋に落ちるのです。
しかし、二人ともコテコテの同性愛者というわけではありません。
美青年には婚約者がいますし、美少年も近所に住む少女と恋愛関係にあります。
要するにバイセクシャルですね。
かつてわが国は、女性との恋を楽しみ、お稚児や若衆とのそれも楽しむ、いわゆるバイセクシャルが、貴族や武士の嗜みとされ、女性にしか興味を持たない、例えば秀吉などは、無粋とされていました。
そういう意味では、かつてのわが国での男同士の恋は、偏見にさらされない分、至純とは言いがたかったかもしれません。
明治以降、同性愛を犯罪とする欧米の思想に毒され、雅で大らかなわが国の性文化は、堅苦しいものになったのだろうと思います。
私も両刀使いだったら、人生が2倍楽しくなったでしょうに。
女性にしか興味がない、無粋な自分が恨めしいとさえ思わせる、名画でしたねぇ。
「君の名前で僕を呼んで」、本当に美しい映画でした。