産地

2014-07-11 | ビジネス業界
弁当の中に入っていた「アジフライ」の産地、どこまで気にしていますか?

水産物の不思議なところは、「高いお店」については、天候による欠品が許され、大衆店ではそれが許されないところです。
農産物や鮮魚などは、スーパーでも日々値段が変わります。それに比べて冷凍の食材は値段が一定なのがあたりまえ。原材料は同じ不安定なものなのに、冷凍のものはなかなか値段が変えられません。

冷凍品の場合、いわゆるリードタイムが長くとれますので、いろいろな方法を使って価格を一定にする努力をします。
安い時期にまとめて仕入れておく、規格外の商品などをうまく売ることによって価格を据え置く、海外からの仕入であれば、為替の安定も重要ですし、粉ものなどは、粉の分量、粉の品質を変えたり、具材の量目をかえたりしながら調整していきます。

ただ、最近では、事前に「規格書」なるものを提出し、その規格通りに作ってこないと問題となります。
あたりまえといえばあたりまえの話しなのですが、そのうえ価格も変えられない、となると問題は別です。

アジなんかは国産以外にも欧州、ニュージー、 近くは韓国や中国、台湾やベトナムなど、いろいろな地域でとれます。
厳密に言えば、「学名」は違う魚種だったりするわけですが、製品を切らさないよう、値段を上げないように、と、このあたりが我々の腕の見せ所でもあったわけです。
ところが水産物の需要が世界的に高まり、価格はどこも高騰。物がない、というのではなく、「物はあるけど、日本の価格では買えない」という状態がそこらじゅうで起こっています。
そういう状況下では、余分に商材を調達しよう、という会社も激減します。逆に言えば、常にギリギリの状態で仕事をしている会社が多いわけです。

何等かの事情で当該産地のものが切れても、他の産地のもので代用できればいいのですが、最近はこれも末端さんに受け入れてもらえません。
産地も変えられず、価格も変えられず、欠品はできず。。。 変動要素が全くないので、唯一の変動可能要素である自社の利益を削り、原料を買い集めて供給させられている、というトラブルはそこらじゅうで聞きます。
今までの利益など一回の欠品で吹っ飛びます。

で、いったい誰がそこまで「産地」を気にしてるんでしょうか?

消費者が気にしているのは、せいぜい国産か輸入物か?? というレベルではないかと思うわけです。

また、価格が高くなったので、産地を変えました、というのは、決して「悪」い行為とは思えないわけです。

もちろん商材や売り方にもよりますが、過度な縛りがどれだけコストを上げているのか。
「消費者が」という印籠を振りかざしていますが、実は自らの保身のためだけではないでしょうか?

消費者の声など、我々にまともに上がってくることはありません。逆に言えば、つくる側の事情が末端消費者に届くこともまずないわけで、すべては「価格」に飲み込まれてしまい、作る側のことなど考慮されない市場が出来上がってしまっています。



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