友人から危険学の「畑村さんが津波に言及したビデオ」の存在を教えてもらいました。
元の動画は2006年に放映されたNHKの"知るを楽しむ「この人この世界」畑村洋太郎『だから失敗は起こる』第4回"の最初の4分です。
見終えてから、2008年にNHK出版の『だから失敗は起こる』(DVD+BOOK)を持っていたことを思い出してDVDを再生しました。この「失敗は伝わらない」は同書の第4章です。アマゾンのページでは詳細な目次が省略されているので以下にそれを記します。
目次
はじめに
1 失敗学へようこそ
真の科学的理解は、失敗を通じてしか得られない
「責任追及」ではなく「原因究明」のために
暗黙知─ドアは軽くゆっくり動かなければあぶない
忘れ去られた安全の「本質」
「安全なドア」実現のための提案
2 予測できない失敗
心にひっかかりを感じた羽越線の事故
「三現」でわかった事実
失敗のほとんどは防げる
技術を進歩させた「三大失敗」
原因究明が再発を防止する
3 予測できるはずの失敗
ベビーカーの挟まれ事故は防げた
ドアプロジェクトで見えてきた身近な危険
「ありうることは起こる」という意識が失敗を防ぐ
失敗を防いだ上越新幹線脱線事故
「予測した失敗」はニュースにならない
4 失敗は伝わらない
「ここより下に家を建てるな」─津波の碑が語るもの
日比谷線脱線事故に抱いた、ある鉄道マンの悔恨
一件の重大失敗の陰にある300件の「ヒヤリ」
「樹木構造」が大失敗を促す
失敗を伝えたくないという人間の心理
5 組織が失敗を呼ぶ
福知山線脱線事故─二重・三重事故を防いだのは・・・
成熟した組織に生まれる「隙間」が失敗につながる
JOC臨界事故が物語る組織の失敗
事故の背後に隠された曲芸的運行のわけ
利便性を追求する社会にこそ責任はある
6 偽のベテラン、真のベテラン
リーダーの条件─仮想演習と逆演算
科学的な伝統が「真のベテラン」を育てる
マニュアル化が「偽のベテラン」を生む
個で考え、組織で共有する─それが失敗をなくす
7 トラブル発生、さあ、どうする
カミオカンデ─事故直後の研究続行声明
もしも私が吉野家の社長だったら
「思考展開図」で見えた解決策
失敗学から創造学へ
8 失敗を残せ
御巣鷹山の航空機墜落事故事故の教訓を「残す」
「未知」の失敗に学んだ者たちの貴重な遺産
客観的な失敗情報は役に立たない
失敗を生かすために
参考図書
あとがき
本書の65ページには以下の石碑の写真が掲載されています。
"高き住居は児孫に和楽
想え惨禍の大津波
此処より下に家を建てるな"
と書かれているのは、宮古市の碑で左は大船渡市の碑です。どちらも1996年の明治三陸地震以降に立てられたものでしょう。今回の津波で石碑の下に建てられた民家は流されてしまったに違いありません。岩手県大船渡市三陸町綾里では、日本の本州で観測された津波では最も高い波高38.2mを記録したと知り、その高さに驚きました。地図で確認しました。
この明治三陸地震は三陸地方では震度3でしたが、海底がゆっくり動いたために大きな津波を引き起こしました。マグニチュードは8.5で、今回の地震9.0との差は0.5です。しかしエネルギーとしては、√32≒5.7なので、今回の地震は約5.7倍です。本当に超巨大地震でした。
地図からわかるように、大船渡市三陸町綾里が典型的なリアス式海岸だったために38mもの波高になりました。このリアスという言葉はガリシア語・カスティーリャ語の入り江(ria)の複数形です。スペイン北部のガリシア州の衛星写真を見ると入り江が入り組んでいるのが良くわかります。
地震が起きる前、毎日のように参照していたのがwxMaximaのパッケージを開発している Mario Rodriguez Riotorto さんのサイトでした。彼はガリシア州のフェロルにお住まいです。約250年前のリスボン地震で大きな被害があったことでしょう。
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元の動画は2006年に放映されたNHKの"知るを楽しむ「この人この世界」畑村洋太郎『だから失敗は起こる』第4回"の最初の4分です。
見終えてから、2008年にNHK出版の『だから失敗は起こる』(DVD+BOOK)を持っていたことを思い出してDVDを再生しました。この「失敗は伝わらない」は同書の第4章です。アマゾンのページでは詳細な目次が省略されているので以下にそれを記します。
目次
はじめに
1 失敗学へようこそ
真の科学的理解は、失敗を通じてしか得られない
「責任追及」ではなく「原因究明」のために
暗黙知─ドアは軽くゆっくり動かなければあぶない
忘れ去られた安全の「本質」
「安全なドア」実現のための提案
2 予測できない失敗
心にひっかかりを感じた羽越線の事故
「三現」でわかった事実
失敗のほとんどは防げる
技術を進歩させた「三大失敗」
原因究明が再発を防止する
3 予測できるはずの失敗
ベビーカーの挟まれ事故は防げた
ドアプロジェクトで見えてきた身近な危険
「ありうることは起こる」という意識が失敗を防ぐ
失敗を防いだ上越新幹線脱線事故
「予測した失敗」はニュースにならない
4 失敗は伝わらない
「ここより下に家を建てるな」─津波の碑が語るもの
日比谷線脱線事故に抱いた、ある鉄道マンの悔恨
一件の重大失敗の陰にある300件の「ヒヤリ」
「樹木構造」が大失敗を促す
失敗を伝えたくないという人間の心理
5 組織が失敗を呼ぶ
福知山線脱線事故─二重・三重事故を防いだのは・・・
成熟した組織に生まれる「隙間」が失敗につながる
JOC臨界事故が物語る組織の失敗
事故の背後に隠された曲芸的運行のわけ
利便性を追求する社会にこそ責任はある
6 偽のベテラン、真のベテラン
リーダーの条件─仮想演習と逆演算
科学的な伝統が「真のベテラン」を育てる
マニュアル化が「偽のベテラン」を生む
個で考え、組織で共有する─それが失敗をなくす
7 トラブル発生、さあ、どうする
カミオカンデ─事故直後の研究続行声明
もしも私が吉野家の社長だったら
「思考展開図」で見えた解決策
失敗学から創造学へ
8 失敗を残せ
御巣鷹山の航空機墜落事故事故の教訓を「残す」
「未知」の失敗に学んだ者たちの貴重な遺産
客観的な失敗情報は役に立たない
失敗を生かすために
参考図書
あとがき
本書の65ページには以下の石碑の写真が掲載されています。
"高き住居は児孫に和楽
想え惨禍の大津波
此処より下に家を建てるな"
と書かれているのは、宮古市の碑で左は大船渡市の碑です。どちらも1996年の明治三陸地震以降に立てられたものでしょう。今回の津波で石碑の下に建てられた民家は流されてしまったに違いありません。岩手県大船渡市三陸町綾里では、日本の本州で観測された津波では最も高い波高38.2mを記録したと知り、その高さに驚きました。地図で確認しました。
この明治三陸地震は三陸地方では震度3でしたが、海底がゆっくり動いたために大きな津波を引き起こしました。マグニチュードは8.5で、今回の地震9.0との差は0.5です。しかしエネルギーとしては、√32≒5.7なので、今回の地震は約5.7倍です。本当に超巨大地震でした。
地図からわかるように、大船渡市三陸町綾里が典型的なリアス式海岸だったために38mもの波高になりました。このリアスという言葉はガリシア語・カスティーリャ語の入り江(ria)の複数形です。スペイン北部のガリシア州の衛星写真を見ると入り江が入り組んでいるのが良くわかります。
地震が起きる前、毎日のように参照していたのがwxMaximaのパッケージを開発している Mario Rodriguez Riotorto さんのサイトでした。彼はガリシア州のフェロルにお住まいです。約250年前のリスボン地震で大きな被害があったことでしょう。
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