271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

桑の接木(その2)

2012-03-23 06:25:41 | 博物
接ぎ木の技術は古代中国で編み出され、ユーラシア大陸に広がって古代ギリシャで一般的になったらしい。接ぎ木初心者の私は言葉として知っていても実際の作業を見るのは初めてでした。それで前もって動画を見て予習しました。


しかし動画を見て分かったつもりでも、手を動かすのとはまるで違います。まず穂木を芽二つを残して剪定ばさみでカット、ナイフで斜めに切断して2cmほど皮を剥いて乾かないように口に含みます。

この作業の直前に直径3~5cmの枝をのこぎりで切り、切り出しナイフと竹べら(自作)を使って穂木の幅の切り込みを入れて甘皮を剥いて形成層をむき出しにします。ここに用意した穂木を差し込んでテープで巻きます。接木用のビニールテープは良く伸びるので、テンションをかけながら両者を固定します。

切り口が黄色に見えるのは「トップジンMペースト」という殺菌剤です。

切り口がむき出しだとここから雑菌が進入します。この殺菌剤の主成分はチオファネートメチルで、酢酸ビニール樹脂が傷口を覆う糊の役目をしています。

仕上げは乾燥を防ぐための小さなポリ袋を被せ、ポリプロピレンの紐で縛ります。枝が活着して芽が伸びたら袋とテープを取り除きます。

これが完成形で、今年は残した枝に葉が茂り、継いだ枝も伸びることを期待します。翌年は接ぎ木した枝だけを残して剪定することになるでしょう。

直径30cmもある幹と格闘しているのが我らが「かっちゃん」です。伸び過ぎた桑をチェーンソーで切り倒し、この切り口に接ぎ木しています。幹が太いので作業は難航しましたが、ここにもトップジンを塗って完了です。

これに被せる袋は肥料袋のような固いものが良いと聞きましたが、手持ちがないので後日面倒をみることにしました。

ところで接ぎ木法は英語でGraftingと言います。化学に詳しい方ならば「グラフト重合法」をご存知でしょう。私がこの言葉を知ったのはこのブルーバックスです。

微分方程式の解き方を楽しく書いた本で、ブルーバックスの名著です。大変面白かったので著者にファンレターを書いたら『猫とグラフト重合』という本を送って頂きました。その後、千葉大でお会いする機会を得ました。千葉大に同行したメンバーの一人はこの技術を使って草津温泉でスカンジウム(レアメタル)を取り出すプロジェクトに関わりました。
福島第一原発の事故以来、放射性のセシウムを取り除くことが緊急の課題になっています。セシウムを選択的に吸着することはグラフト重合を使えば可能だろうと思っていましたので、「セシウム+グラフト重合」で検索すると、結果は私の予想通りでした。

  ↓ポチッと応援お願いします!
にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 桑の接木(その1) | トップ | 花園神社から六本木ヒルズ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

博物」カテゴリの最新記事