271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

いとしのCinderella(その5)ベルヌーイのレムニスケート、動画を追加

2012-02-10 06:15:47 | 幾何学
昨年の暮にCinderellaJapanの管理人さんから「面白いもの見つけました」とメールを頂きました。それは『曲線の事典 ―作用・歴史・作図法―』(共立出版、2009年)でした。私の知らない書籍で、内容を確認すると私の好みにストライクです。アマゾンで古書を探して注文、手に取ったのは年が明けてからです。
前々から気になっていたベルヌーイのレムニスケートを描く器具の説明に見入ってしまいます。同書111ページ。手先が不器用なので、作る前にCinderellaで動かしてみようと思い立ちました。それも初等幾何学の伝統に従って「定規とコンパス」だけを使って作図しようと決めました。定規とコンパスだけを使って作図するとは以下の条件に従う事を要請します。

・既知の二点に対し、それらを通る直線を引く。
・既知の一点を中心とし、それ以外の既知の点を通るような円を描く。
・互いに平行でない既知の二直線から、その交点を得る。
・既知の円と直線から、その高々二個の交点を得る。
・既知の二つの円から、その高々二個の交点を得る。


阿原さんの『シンデレラで学ぶ平面幾何』にも「モール-マスケローニの定理」(定規とコンパスで作図可能な任意の幾何学的作図問題は、コンパスのみでも可能である)への言及があります。高次の代数曲線レムニスケートそのものは定規とコンパスを有限回使って描けないけれど、それを描く器具は簡単に作れそうです。Cinderellaの操作に慣れていれば5分もかかりません。

クリックすると図が拡大します。作図の手順は以下の通りです。

1、任意の点A、Bを打ち、点A・Bを通る直線を引きます。距離ABを単位長=1とします。
2、AとBを中心とする半径1の円を描きます。二つの円の交点(CとD)を通る直線を描けば、これが線分ABの垂直2等分線、交点はEです。
3、Eを中心とする半径1の円を描き、線分CDの延長との交点をF、線分ABの延長との交点をGとします。
4、線分FGの長さは√2になります。FGの長さを「コンパス」で写し取り、点Eを中心とする円を描き、線分ABの延長との交点をHとします。続いてHを中心とする半径1の円をコンパスを使って描きます。
5、Eを中心とする単位円上に「点を加える」操作で、点Kを打ちます。順番に点が描かれますが、何故かIとJが飛ばされます。点Kを「要素を動かす」操作でドラッグすると、円周上だけで動く事が確認できます。
6、コンパスで線分FGの長さ√2を写し取り、点Kを中心とし半径√2の円を描き、Hを中心とする単位円との交点をLとします。
7、線分KLの中点Mを打ちます。中点がMだと気持ちが良いですね。
8、線分EKと線分HLを加えます。「要素を動かす」操作で点Kをドラッグして見ましょう。線分EKが原動節(crank)、線分KLが連結節(couppler)、線分HLが従動節(follower)として機構を為す事が確認出来ました。
9、次に「軌跡」のアイコンをクリックし、点Kをクリック、次に点Mをクリックすると点Mの軌跡が描かれます。
10、アニメーションを実行するには「アニメーション」のアイコンをクリックしてから点K→点Mをクリックするだけです。
11、作図に使った補助円が目障りなので要素を選択して非表示にし、線分の色や太さを加えて完成です。AHの中点にNを入れ、45度傾いた赤い線も加えてみました。軌跡の範囲を示したかったのです。

中点Mの軌跡がレムニスケートを描くことは、以下のように示されます。

EH=KL=√2・EK=√2・HL
MはKLの中点
⊿EKL∽⊿LKE、⊿KLH∽⊿HLM
また⊿MEK∽⊿MKHから
KM^2=EM・MH
定点E・HからMまでの距離の積が一定(1/2)なので点Mはレムニスケートを描く。

出来ればブログで要素を動かしたり、アニメーションを実行できるようなインタラクティブなページ作りたいのですが、gooブログにはJavaのランタイムを置く事が出来ません。近い将来どこかに自前の置き場所を確保したいと思っています。

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(12/02/21追記)Ciderella1.4の動画を作ることが出来ました。


スクリーンをキャプチャするフリーのツールを使いました。無料で使えますが、ユーザ登録する必要があります。今後営業用のメールが沢山来そうで憂鬱です。

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