メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ドラマ『復讐法廷』

2015-02-12 15:46:29 | ドラマ
ドラマ『復讐法廷』
監督:藤田明二
出演:
中原誠司(元・大学の美術科教授):田村正和
中原由紀子(誠司の娘):柳生みゆ
中原明子(誠司の妻):市毛良枝
中原遼(誠司の息子。宣教師):渡辺大

宇田栄子(誠司の妹):手塚理美
仲春一(誠司の知人で、誠司に猟銃の扱いを教えた):森本レオ
原田龍一(誠司の元助手):高橋光臣

緒方信子(弁護士。元・東京地検検事):竹内結子
安田陽一(緒方信子の婚約者):長谷川朝晴

岩崎健二(由紀子を強姦殺害したと思われる被疑者):中尾明慶

湯浅警部補(由紀子が殺害された事件で捜査を担当した刑事):水橋研二
岡田純紀(東京地検検事):田中哲司
篠崎昭(東京地検検事正。緒方信子のかつての上司):小野武彦
小田豪一(岩崎に無罪判決を下した裁判官のひとり。判事の職を辞して弁護士に転身):平泉成
吉岡勇(東京地方裁判所判事。信子の父とは親友で事件担当を信子に依頼):岸部一徳


あらすじ(ネタバレ注意
中原由紀子が松が原の森でレイプされ、殺された。
遺体を確認した父・誠司は「犯人はお父さんが必ず殺してやる!」と叫ぶ。
裁判では「被疑者・岩崎の自白は警官の強制によるもの」として認められず無罪放免

その後、妻・明子は心労から心臓病で入院し、1年後に亡くなった。
誠司は、知人の仲から猟銃の扱いを教えてもらい、バーで働いていた岩崎を呼び出し、
ナイフで抵抗しようとしたところを猟銃で射殺。すぐに出頭し、自白した。



岡田検事に対しても冷静に答える誠司。
「岩崎を死刑にしなかった日本国の代わりに死刑にした。私は警察、裁判所を徹底的に弾劾します」
岡田「極刑になりたいのか? 反省しろ!」

ペルーで宣教師をしている長男・遼も
「よくやったね父さん。これでユキコも、母さんもきっと喜んでいると思います」(宣教師の言葉とは思えないが
誠司「私にはまだ仕事がある。弁護士はいない。一人で戦う」

元検事、現弁護士の信子は、父の親友で判事の吉岡に事件を担当しないかと言われる。
「君の父ならやると思ってね。誠司は自分の刑を軽くするつもりはないと言って、すでに弁護士が3人辞めている」

ノブコは、事件を捜査した木村刑事、湯浅警部補とともにレイプ事件を再検証することから始める。
木村「私たちも有罪に出来ずに悔しくて泣きました。詳細は全部頭の中に入ってます」と協力的。
事件当夜、白いワゴン車から出てきた男と話してから、自分から車に乗ったのを目撃した人がいたという。
岩崎は、これまでも強かん未遂の前科があるため、別件で逮捕し、荒っぽい取調べではあったが岩崎は自白した。

岩崎は本屋に行くというユキコに「送ってあげる」というと車に乗ったと供述したが、
誠司「そんな娘じゃない


しかし、死体解剖の際、ユキコが処女ではなかったことが分かり疑問に思うノブコ。誰に聞いても「恋人はいなかった」という。
誠司「2人のいないあの家には戻らない。私には殺意があった」
ノブコ「同情の余地があります」
誠司「私は無罪を望んでいません。・・・困ったな。あなたはちょっと娘に似ている」

この裁判以来、無罪判決を下した裁判官・平泉は判事を辞めて弁護士に転身していた。


誠司「殺意とはちょっと違う。怒りです。真面目に生きてきたのに、この国は犯人を殺すことができない。
   私は極刑を望みます。でも日本中に問いたい。岩崎は本当に無罪なのか」


岡田「私がこの事件を担当させてくれと頼んだのは、重要な法律上の問題があるのではないかと思ったから。人には人を裁く権利があるのか」


誠司「私を有罪にすれば、人を殺せば罰せられるという教訓になるでしょう」
ノブコ「私はあなたにあの家に帰ってもらいたいんです。やりたい事とかあるでしょ?」
誠司「そうだな。ドビュッシーを聴こうかな。娘とよく聴きました」


【検察庁での打ち合わせ】

(判決が下された事件を、もう一度裁くことはできないってゆってた???

ノブコ「この国の裁判制度と戦いたいんです」
「絶対ムリです。1人で司法と戦うんですか!?」と呆れられるノブコ。


今回の裁判員は6人。
教員、不動産屋の妻、小説家、スーパーのマネージャー、化粧品経営者、洋服店のオーナー。
裁判が始まる前の意見は皆、「人を殺したんだから当然、極刑だろう」というものだった。


【第1回公判】
 
(誠司とノブコはここでもガラス越しなのね

検事側は「殺人罪」だという文書を読み上げる。
誠司「文書の内容を認めます」
吉岡判事「つまり、被告人が無罪か有罪かを聞いているんですよ?」

 
どよめく検事側

誠司「裁判できちんと裁いていたら、岩崎は死刑になっていたはずです。私は起訴状の内容については異論があります」

吉岡判事「被告人は無罪を主張した。中原の犯行の動機に触れないでどうやって審理を進めようというのかね?
     単なる“逆恨み殺人”にもちこめと私に強要するのですか?


【証人質問】
 

仲「必ず深いワケがあるはずです!」
木村刑事「中原は“殺してやる!”と言っていた。いつかやると思った」(急に態度を変えて、刑事の保身か? 圧力がかかったか?

ノブコは、裁判の傍聴に来ていた、ユキコの中学からの親友に会って、恋人がいなかったか?と聞く。
「いたかもしれない! 両親が旅行中に男を家に入れたことを強く叱って、別れさせられたっていってた」
ユキコ「私、父の呪縛から逃れるの」

その男は、父の助手をしていた原田龍一。ユキコは好きだったが奥手で言い出せず、原田は教授に遠慮していた。
原田「ユキコさんとこれ以上お付き合いできません。好きな人がいるんです」
誠司「ユキコとは二度と会わないようにしてくれ」
誠司は、ユキコを傷つけたくなくて原田に好きな人がいることは伏せた。「今でも後悔しています」

このままだと、ノブコの予想では誠司は求刑15年。しかし、もし真犯人が分かれば執行猶予がつけられる。
婚約者安田「岩崎に前科があったなら、所沢で一人暮らしを始めた時にすでにレイプされて、川崎に引っ越したのでは?」



【第2回公判】
誠司の妹・栄子「兄は虫一匹殺せない。そんな兄が鬼になったのは岩崎のせいです」

和田に証言してくれと頼むが「何も喋りません。裁判所には恩義がありますから」

 

ノブコは原田と会って、ユキコから来た手紙を渡される。それはこの裁判の判決を決定付ける物証だった。


【第3回公判】
(裁判員も聞きたいことがあれば発言していいんだね


ノブコ「判事を退職した理由は?」
和田「病気です」
ノブコ「ストレスでは?」
誠司「辞表を出したんでしょ!」

とうとうノブコは証拠品として手紙を出すが、誠司「私は有罪です。だからその手紙を読まないでください」
ノブコ「これはあなたに読んでもらいたい」
小説家「内容が知りたい」


手紙を証拠品として提出するかどうかでも問題になる

誠司「旅行中、原田が家に来た。ユキコの気持ちを知っていたが、原田には好きな人がいると言えなかった。
   ユキコは怒った、あの時初めて。アパートにも行った。駅で会って“キライです”と言われた。それが最後です」
ノブコ「父なら読まなくてはいけません」

誠司によって手紙が読まれる。

「原田さんは先生の信用を失いたくないと言った。私はレイプされました。
 男は身分証を見て、“警察に言ったら何をするか分からない。これからも時々会おうぜ。オレは岩崎っていうんだ。”
 警察に行ったら“告訴するなら詳しいことをいろいろ聞かれる。どういう体位だったかとか、それでもいいのか?”とニヤニヤ笑って言われた。

誠司「この手紙でユキコの不名誉が晴れました。ユキコは知らない男のクルマに乗るような子ではありません。
   事件後“だらしない女だ”と散々言われた。私たちは娘を厳しく育てました。名誉が回復したのが一番嬉しいことです。
   私は死刑を望みます。死刑を覚悟しなければ岩崎を殺せなかった。
   人間が人間の命を奪う権利など、絶対ないのですから」(死刑制度を助長しないかな

ノブコ「まだ裁判員の評議が残ってます」


【裁判員の評議】
「私は泣きました」「私もです」「しかし情と法律は違うと思う」
「復讐殺人を認めたら、日本の法律が成り立ちません」「殺したら罰せられるのは当然」
「でも岩崎を有罪にしなかったのは司法のミス。これがなかったら、この事件は起きなかった。中原は日本の司法を撃ったんです」


【判決】

 


*********************************

家族を失った男性が1人で生きていくのは女性より心理的に重いのでは?
本当に何が正義か、何が幸せか分からない。
フィクションとは思えない、深くリアルな物語で何度も泣いた。

田村さんの深みのある物静かな演技が終始ドラマを引っ張り、
対照的に竹内結子さんのエネルギッシュな演技が救いと希望を与えてくれた。

人が人を裁く厳しさ。
司法の判断ですら誤ることがある。やはりヒトがやることだから。
ドラマだけえも胃が痛むのに、4回にわたる公判まで一体何日かかったのか分からないけど、
誰にも相談できず、その後も守秘義務で話しちゃいけないなんて、一緒に同じ罪と痛みを背負った気分だ

一番解せないのは、レイプされ、勇気を振り絞って警察に行ったのに、ニヤニヤしながら対応した警官ってどうゆうことだ
今は裁判中、パーテーションで被害者女性を囲ったりして守っているみたいだけど、
事件のことをまた根掘り葉掘り聞かれること自体、被害者に二重三重のPTSD(外傷後ストレス障害)となるに違いない。

そこにマスコミのスキャンダラスな煽り、被害者の顔写真が載ったり、家族にむりやり感想を聞いたり、もっと被害者を守らないと。
本人はもちろん、家族のカウンセリングや支援が必要だ。
心身に受けた深い傷は一生つきまとうのだから。

性犯罪は再発率が高いというデータもある。性癖は変わらないから。
家族からですら「恥になるから」「お前がもっと気をつけていればと責められて敵になるケースもあるから、
結局、届け出もせず、誰にも言えないまま泣き寝入りする女性も無数にいるだろう。
一体、世界中でこれからもどれほど同じ犯罪が続くのか・・・


インドで日本人女性がまたレイプ被害 “旅行ガイド”装った容疑者は逃走中
レイプされた女性はいつも、心身ボロボロになった上に、自分の軽率さを家族からも責められて、メディアには煽られるんだな。

裁判員裁判の死刑判決「破棄」が確定――裁判に「市民参加」の意味はあるのか?
死刑も同じ人殺し。そう思うと判決を下す荷が重すぎる。
本当の極刑は、自ら犯した罪を背負って生き長らえるほうではないかと私は思う。



コメント    この記事についてブログを書く
« 血が足りない!? どうなる... | トップ | AH入門ワークショップ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。