メランコリア

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心の中のベストフィルム~『銀河鉄道の夜』(1985)

2007-02-18 14:05:02 | 映画
『銀河鉄道の夜』(1985)
原作:宮沢賢治 原案:ますむら・ひろし
監督:杉井ギサブロー 音楽:細野晴臣
声の出演:田中真弓、坂本千夏 ほか

わたしの中では本作がアニメーション映画の最後傑作だと思っている。
それこそセリフが全部そらで言えるほど何十回も観た。
初めて観たとき、耳の奥が痛くなるくらい泣いたのを覚えている。
テレビで何度もOAされたけど、いつも同じところがカットされていたから
こうして完全版がDVD化されて観れるのは感激(欲しいなあ!

原案のますむら・ひろしは「アタゴオル」でも有名。
舞台をカラフルなヨーロッパ風の街並みに移して、なんともステキに擬人化されたネコを
主人公にすることで、本作の独特なファンタジーの魅力を表現している。
永遠の未完成の名作を細部にわたって映像化するのは至難の業だったに違いない。

本作の魅力を支えるもうひとつが細野晴臣のサントラ。このアルバムだけでも
立派なアートで、いまだにテレビでも耳にするから嬉しい。

あらすじ
父親が遠方の漁に出たきり戻らず、母親が病気のために、学校のあとは活版所で働いて
生計を支えている少年・ジョバンニ。
ある星まつりの夜に銀河鉄道に乗って、唯一の親友・カンパネルラとフシギな旅をするうち、
ほんとうのしあわせとは何かを考える。

この活版所のシーンではひと昔前の印刷工程の様子が垣間見れて貴重(こんな感じ
人の手で1文字1文字を並べて木箱に組んで刷ってたってすごい手間だったろうなあ!

氷山にぶつかって沈んだタイタニック号の話もある。
燈台守「なにが幸福か分からないです。ほんとうにどんなつらいことでも
    それがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りも
    みんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから」
家庭教師「ああ、そうです。ただいちばんのさいわいにいたるためにいろいろの
     かなしみもみんなおぼしめしです」

賢治はとても敬虔な仏教徒で徹底した自己犠牲の精神が根底にあったと同時に
現代にも通じる科学者の目も持っていたことは本作にもよくあらわれている。

今作をキッカケに宮澤賢治の世界にどっぷりとハマった。
その後、授業でも取り上げられて嬉しかったことを思い出す。
方言があったかくて、たくさんの擬態音の表現がユニークで、
わたしがその文体にどれだけ影響を受けたかは、このブログの副題を見ても分かるだろう/笑

楽しみにしてた特典は、劇場予告編と、当時の書き込みがしてある台本やセル画など。
チャプターが電車の路線図なのも雰囲気が出ててイイ。

以前、知人といっしょに岩手・花巻市にある宮澤賢治記念館にも出かけた。
黒板に書かれた「下ノ畑ニ居リマス」の文字はいまでは学生たちが交代に書いているそうだ。
駅前に特殊塗料で描かれた銀河鉄道の壁画が完成したって記事を読んで見に行ったんだけど、時間が決まってて、凍えそうに寒い中、待合室らしき場所もない場所で待ったあげく
とうとう実際に見ることができなかったんだよね
東北の寒さって格別だったな。
たしか当時話題になった2階建て新幹線MAXに乗ろうとしたら、
トンネル内で屋根の一部が吹き飛んだとかで運行中止していて乗れなかったしw


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2 コメント

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Unknown (あぷるば)
2007-04-09 22:15:30
友だちと一緒に音楽目当てで見に行ったら、中身もすごく心地よい出来映えで驚いたっけ。
細野晴臣のサントラCD持ってるよー(笑)
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ほんとぅ~?! (monty)
2007-04-09 22:52:33
ええっ!?公開当時観に行ったのかい?いいなあ!
ウチのスクラップブックには当時の学生割引券だけは残ってるんだけど・・・なぜ行かなかったのかは不明w
あぷるば宅はサントラたくさんありそーだね!
たしか前東京タワーで宮崎駿のオルゴールのも買ってたよね?(てかなぜタワーに?爆
原作も音楽も映像もすべて永遠に色褪せない名作中の名作やねぇ~
アタゴオルも何気に気になってるんだけど、まだよく読んだことないんだよねー
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