メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『秘密の花園』

2017-02-19 18:58:48 | 
フランセス・ホジソン・バーネット/著

※1993.9~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。


本来だったら子ども時代に一度でも読んでいるはずの名作だけれども
この間、映画で観るまでは、どんな話か想像もできなかったから不思議

notes and movies(1993.9~ part2)

あらかじめ出来上がっている映像を先に観たから、
自分だけのイメージを持つことはできなかったけれども
それぞれの場面を丁寧に思い出しながら、それに沿って、容易に物語の世界に入り込むことができた


今作は、まさに自然讃歌のよう

始まりから終わりまで、何十種類もの数え切れないほどの木、草、花がイキイキと生い茂る様子
ムーアを突っ切ってゆく冷たい草原の風、ディーコンが仲良くなったいろんな動物たち
~胸の赤いコマドリ、生まれたばかりの子ヒツジ、キツネ、気取ったカラス、リスたち・・・

私たちは、彼ら3人と一緒に、秘密の花園にドキドキしながら入り、
おまけにこの本を手にとれば、いつでも初めて足を踏み入れる興奮
新たな芽吹きを見る不思議な感動を体験することができる!


みんなが少年少女―なにもかもが新しく見え、なにもかもが新しい発見と体験に満ち、
何にも縛られることなく、自分が自分であることすら気にもとめず
とにかく明日の朝を迎えることがしごく当たり前に嬉しかった時代に
わけもなく還ることができる


私はたまたま自然と親しんで育ったほうだから、今でもそれを誇りに思うし、感謝するが
現代の都心の子どもが、子どもらしくなくなりつつある今、
この作品が改めて映像化されたことも、もっともな気がしてくる


冬は雪の中でポカポカ体がほてるまで遊び
春にはそこいら中に魔法がかけられたみたく
小さくて可愛い水色のオオイヌノフグリが絨毯のように咲き始める


その力は、地球が何千年、何万年も、誰に言われることなく繰り返してきたもので
私たちを元気づけ、健康で、幸せにしてくれる


今ではどこもかしこもアスファルトに覆われて、
「自然」がなにかブランドと同じになってきた頃から
人々の心が少しずつ病んで、歪んできたのは、無関係ではないはず


今作では、子どもたちが太ってゆくのを大人たちが嬉しく見守る場面がある
とりわけ、ディコンのおっかさんは、まるで地球全部の生き物の母親のように
おっきな心で、温かく、賢い、女性の理想像のように描かれているのがイイ


しきりに出てくるコリンの「魔法」の話
彼の演説は、幼いながら、私たちがハッとするような真実を見抜いている

おっかさんも言う通り、彼のいう「魔法」とは、すなわち
どう呼ばれようが、地球上どこにでも、宇宙もすべて含めて存在する
自然の力、かみさまの力

その自然の極めてシンプルなことに驚き、人の理解を超える力が固く閉ざした心を開き
苦しみ、悲しみ、妬み、その他、マイナスの要因を溶かしてしまう


インドでは誰からも愛されず、
自分ですら自分のことを好きじゃなかった意地っ張りの少女メアリが花園を見つけて、
ヨークシャーの自由で素朴な気質をもつ、正直なメイドや、庭師と出会ったことで
自己を発見し、友人を持ち、自分と似た性質のコリンを鏡に映った自分のように
客観的に見ることで、他人をいたわり、喜びを分かち合う幸福を見出していく


メアリとコリンは、子どもにはいいとは言えない変わった環境で育てられたこと
そしてついに花園への鍵を見つけて、天使か、森の妖精のようなディコンやおっかさんに出会い
次第に子どもらしい感情に戻っていく様子には
いちいち一緒に笑ったり、泣いたりせずにはいられない


人の真剣で良い「祈り」「願い」は、いつかかなえられること
いつもいいほうへ考えていれば、自然といい方向へと導かれること、そんな不思議な力の存在
それは最近、私もよく考えることで、この作品に当然のように出てきたのはとても嬉しかった


バーネットは、50冊以上も作品を書き残したらしい

『小公女』は、たぶん一度読んだ気がするけれども、
もっと暗いイメージだけが残っている

いつかその1つ1つを読んでみたい



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