メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『不都合な真実』(2006)

2009-12-19 22:51:56 | 映画
『不都合な真実』An Inconvenient Truth(2006)アメリカ
監督:デイビス・グッゲンハイム 音楽:マイケル・ブルック
主演:アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領

trailer

「問題は無知ではない。知っているという思い込みだ」Mark Twain

12月7日から18日までの2週間にわたり、 デンマークの首都コペンハーゲンで行われた
COP15(=Conference of Parties 締約国会議)の模様を現地に飛んだあやぱんが毎朝めざましで報道していた。
子どもたちがこうなったらいいなと思う未来を描いた「未来でアート」の絵を直接ゴア氏に渡す映像もあった。
そいえばこの人、最近なにかエコに関する映画で話題になってたな、と思い出して今作を観てみた。

これまでも1000回を超えて行ったという環境問題の講演の模様を撮ったドキュメンタリー映画。
毎日メディアや会話にエコが出てこない日はないのに、今作を観て初めて事の重大さに気づいたアメリカ人てどーなの?
作品内でもグラフで紹介してたけど、CO2排出量が他国に比べてハンパないアメリカ。
「危機感をもってエコに取り組めば、1970年代の排出量までに削減できる」と言い切る。

数字好きなアメリカらしく、様々な統計数値が矢つぎばやに紹介されてゆく。
急激な気温上昇とCO2量増加の関係、
気象異常(ハリケーンで大勢が犠牲になったニューオリーンズなど)、
洪水と干ばつ、増える山火事、溶けてゆく氷、絶滅する動植物、蔓延する新たな細菌類、
海水温の上昇、海に沈む町、サンゴ礁も死に絶える酸性化、多発する地震などなど、どれもギリギリ崖っぷちな状況ばかり。

なぜ、そもそもこんなに急激に環境が変化したのか?
第二次大戦後、爆発的に増え続ける人口が根本に関わっているということ。

講演模様の途中途中にゴア氏の人となりも紹介されてゆく。
上院議員で牧場経営者だった父の都合で1年の半分は街中、半分はのどかな自然の中で育った幼年時代。
タバコ栽培もしていたが、愛煙家の姉を肺がんで亡くしたことと、愛息が6歳の時事故に遭い危うく失いかけたことが人生観を変えたこと。
学生時代に出会った教授がすでにCO2と気温上昇の関係に気づき、将来への不安を間近に感じ、ライフワークとしてきたこと。
大統領選に破れ、その後も環境問題に取り組んできたものの、周りの反応は冷たく、まったく成果が上がらなかったことなど。

不都合な研究発表した科学者たちは事実を改ざんさせられ、職や収入も失ったってゆうから酷い話だ。
DVD特典には、2005年に製作された当時から現在に至るまでの間に分かった新事実も追加されてる。
ジョーン・バエズに似てなくもない雰囲気の女性シンガーがプロテストソングっぽい曲を熱唱してたりして、
こうして映画になると、政治家もうっかり魅力的に見えてしまうけれども、
メイキング映像を見ると、ドキュメンタリーとは言え、スクリーンに映されるスライドショーや照明のセッティング、
登場シーンの撮影、観客への指示など、ある特定の意図をもって創られた作品であることも忘れてはならない。


それにしても、青く輝く地球のクリアな映像の美しさ、遥か宇宙から撮影された1コのドットとなった地球の映像の儚さは対照的で、思わず心臓をギュっと掴まれた。
エンドロールとして、「ハイブリッドカーを選ぼう」「徒歩や自転車、公共の乗り物を利用しよう」
「リサイクルしよう」など具体的に1人1人ができる行動を列挙したメッセージも考えさせられた。




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