メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1995.4~ part3)

2013-04-01 21:31:12 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『遠い夜明け』(1987)
監督:リチャード・アッテンボロー 出演:ケヴィン・クライン、デンゼル・ワシントン ほか
アパルトヘイト=特に南アフリカ共和国における黒人に対する民族隔離、人種差別(政策)
元俳優でもあり、その後『コーラスライン』『ガンジー』ほか多くの戦争と平和に関する題材で監督をしたアッテンボロー作品。
ドナルド・ウッズ原作の『ビコ』を基に実際起きた事件を映画化。アパルトヘイトについては分からないまま観たが、
同じ地球のどこかで同じ人間同士が肌の色ひとつでここまで心底憎しみ合い続けているという事実は理解し難い。

政府だけでなく警察までも守ってやらず、裁判でさえ歪んだ法で裁くとしたら、一体誰が彼らの権利を守るんだろう?
その後の暴動でも700人の学生らが死亡、4000人が負傷。白人と黒人がともに生活する時代にはまだ遠く、闘いは続くだろう。
バックに流れるゴスペルとアフリカン・ミュージックが胸を打つ
「彼らが自意識をもって、独自の文化をもって、白人に頼ることを止めるべきだ」
これらはふと男女の地位の関係も思い起こさせる。


『昨日、今日、明日』(1963)
監督:ビットリオ・デ・シーカ 出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ ほか
PART1 ADELINA
ソフィアのコケティッシュさと、マストロヤンニのピエロ的おどけた夫のコンビはサイコー。
とにかく陽気で楽しい夫婦のおのろけ話。

PART2 ANNA
あれ、この豪華キャストは3話ともひき続いて使っているわけね。ガラリと変わって、
ソフィアは富豪で、マストロヤンニのしがなさがまた渋くてカッコいいんだな。
金の亡者の夫を愚痴りながら、結局その金に埋もれてる本性を見て苦笑い。
でもまあ、ソフィアの美しさはたとえ心が醜くても、それを超えてしまう!
キッチリ化粧をしているとなおのこと野性味ある妖艶さで誰もかれも凍りついちゃうよね

PART3 MARA
マストロヤンニがやっぱりイタリア1の名優だね。小躍りしたり、吠えたり、すねたり、仕方なく力を貸したり、
ソフィアには彼でさえ勝てないってわけ。イタリアの街のあちこちを切り取ったエピソードを2大俳優を使って
コミカル、エネルギッシュ、ハイテンポに撮った楽しい作品。


『名探偵登場』(1976)

監督:ロバート・ムーア 出演:トルーマン・カポーティ、ピーター・フォーク、デヴィッド・ニーヴン、ピーター・セラーズ ほか
世界中の有名な、といっても架空の名探偵5人がそろって殺人犯人探しの週末に招待される。
なんとも嬉しい企画だけど、本人が演じているキャラなのに名前も違えば全然別人。雰囲気が漂っているのもいる。
なんだか不思議な設定に招待した主人もかなり推理サスペンスのカルト王。
二転三転四転の犯人探しにunusualなカルトの世界。俳優らもカルトな役が楽しかっただろうけど、
それぞれのキャラを期待していたのは外れるし、大物スターの共演は味がぶつかり合うだけに難しかっただろうね。
ナンセンスユーモアとブラックきつい加減が楽しい。
だからどーしたといわれても、これはサスペンスものの好きな方へのほんのエンタテインメント。
やっぱり一番妙なのはセラーズの中国系スタイル+ケイトーそっくりの日本人養子?
出っ歯で中国訛り、本当に変わった人だよね、この人w


『エース・ベンチュラ』(1994)
監督:トム・シャドヤック 出演:ジム・キャリー、ショーン・ヤング ほか
『アーネスト』シリーズのジムもゴム人間みたいな妙なキャラだったけど、またとてつもないみょーーな奴が現れた。
これまた全身ゴム人間みたいで、いちいちの動きが'50代のエルヴィスをアニメ化したようなオーバーアクション。
一人で自分の動きに酔っているわりに周囲は冷たいんだけど、撮影時には爆笑もので大変だったみたい。
普段からこうなのかな? 次回作『マスク』も大好評。コメディ界に新星登場。ジムって名には変なのが多いのか?w

ヤングも最近はこうゆう飛んでる役、コメディ系でいろんな活躍してる。
特に個性的じゃないけど、いろんな役に化けられるいい役者だよね。
♪クライング・ゲーム の曲が流れてきたり、フィンクルの部屋が『羊たちの沈黙』に例えられたり、
映画ファン向けのジョークがチラホラ出てくるのも嬉しい。それにしても精神病院でのサイコの演技は笑える。
1人スローモーションとその倍速巻き戻し、バレリーナの格好ですっかりおかしくなってるし。
一人で遊んでいても楽しいだろうねw


『ショート・カッツ』(1993)
監督:ロバート・アルトマン 出演:アンディ・マクドウェル ほか
誰でもちょっとは興味がある他人のプライベートライフ。何組かのカップルの日常生活とそこにおきたちょっとした転機
(転機でさえ繰り返されるものだけど)をちょこっとずつ切り取って合わせたのが今作。
リアリズム、人々の普段着の姿と心情を描くのに徹底したようで、最初豪華キャストの名が現れ、消えてゆくさまは爽快。
ジャック・レモンジェニファー・ジェイソン・リー、マシュー・モディーン、R.D.ジュニア、ティム・ロビンス、
クリストファー・ペン、ロリー・シンガー、マデリン・ストーほかまだまだ登場。
でも一番の見どころはしがないタクシー運転手役のトム・ウェイツかな。
労働者階級のブルースをしょってる彼自身のルーツも漂わせる渋さ、酔って歌うシーンなんかもまんま。


『マニカの不思議な旅』(1989)
監督:フランソワ・ヴィリエ 出演:ジュリアン・サンズ ほか
リインカネーションとそれを巡るキリスト教とヒンドゥー教という教義の異なる2つの宗教の出会い、
そして階級と貧富の差に苦しむ人々の間で何が真理か、自分の信念を問いただす牧師。
実話を基にしたという不思議な話。インドは本当にミステリアスな国だ。
自分の前世を何十人もそらで言える男の子の話もインドじゃなかったろうか?
何か強い思いを残してこの世を去った者の魂が他の人にのりうつったとかも考えられるけど、
他人の記憶を持つなんて信じられないようなことには違いない。

なんでも起こり得る神秘の国インド。広大な自然とそこに生きる人々の姿が生き生きと描かれる。
いまだに守られる厳しいカースト制度と政治に組み込まれた宗教の戒律。
「宗教も真理もひとつだけのものではない」と、あくまでも自分の正しいと思う道を信じて小さな戦いを挑む牧師。
西洋人が異国に惹かれ溶け込んでいこうとする、物質文明から自然主義へ、現代でも魅了される人が多いのも興味深い。


『シャドー』(1994)
監督:ラッセル・マルケイ 出演:アレック・ボールドウィン ほか
なにしろ『スーパーマン』『バットマン』等々のアメコミの元祖がこれだっていうから、
次々と世界的ヒットした映画に肩を並べようっていう気負いが感じられる。
'40~'50代を思わせるレトロな時代に「影」の性質をうまく使ったヒーローが活躍する。
自由自在に動き、人々の心をコントロールし、姿を消したりすることもできるけど、
尻尾をつかまえられると生身の体と同じという弱点もある。
アレックは実際のヒーローより垂れ目だけど、そのスタンダードな魅力をフルに生かしているし、
久々スクリーンに顔を見せたジョン・ローンは、ジョーイの野望と『ラストエンペラー』の衣装でジンギスカンの末裔役。
発達したCGは映画上でアメコミヒーローを生き生きと蘇らせた。

2人ともなぜか現れる合図はMPで言うところの「悪魔的笑い」をしているのが歴史を感じる。
もうひとりの博士役には、なんとティム・カーリーが登場。臆病で美女に弱く、悪の力にへつらうような奴なんだけど、
2大スターを食っちゃうような存在感はさすが。ちょっとまた太ったんじゃない?
舞台だけでなくスクリーンにも登場してくれるのはファンにとっては嬉しい限り。


『キートンの恋愛三代記』(1923)

監督:バスター・キートン、エディ・クライン 出演:バスター・キートン、ウォーレス・ビアリー ほか
クラシックフィルムコレクション 映画生誕100年記念特別企画「世界クラシック名画100撰集」
1895~第一期黄金期時代として、総監修に淀川長治さん、推薦・監修協力に水野晴郎さんでシリーズ化されているこのキートンのコメディ映画ビデオシリーズ。
名前はチャップリンとともに聞いてはいたけど、こうして観るのは今回が初めて。確かこの2人、トーキーで晩年共演したんだよね。
グリフィス監督の大作『イントレランス』やセシル・B・デミル監督らパラマウントの娯楽大作ムードを皮肉ったという今作。
原始時代とローマ繁栄期、現代の3時代を舞台に「愛はいつどこでもあんまり変わらんものだった」ってゆうのをテーマに
女の子を見つけて、ライバルと張り合って、危機一髪、そしてハッピーエンドに至るまでのプロセスにそれぞれ分けて見せている。
石器時代には石と棒でゴルフをしてたり、ローマ時代に日時計の腕時計をしてたりってギャグが笑える。

追っかけっこをそつなくこなしているけどすごいアクロバットの連続 彼も骨折が絶えない体を張った本物の芸人なんだよね。
ハッピーに結ばれて子だくさん。愛の物語りはこうして永遠不変なもの。
石に顔が書いてある名刺?、遺言を石に刻んでたり、乗ってる車が凹凸でバラバラに壊れちゃったり、細かい芸がもりだくさん。
それぞれの時代によってバックのピアノ伴奏のテンポも変えてる。無声映画だもんねえ!
笑わない喜劇王キートン。他の作品も興味津々。


『THE CAMERAMAN』(1928)

監督:エドワード・セジウィック 出演:バスター・キートン、マーセリン・デイ、ハロルド・グットウィン、ハリー・グリボン ほか
ユナイト社から2年ぶり古巣MGM社に戻って主演したキートンの成功した秀作のひとつ。前の「クラシック」シリーズ第2弾。
いやあこれは大傑作! 涙が出るほど大笑いして、クスクス笑って、そしてほろ苦いロマンス
ラストは美しいハッピーエンディング

着がえ室にもう1人の男と入って互いにスペースを奪い合うシーンは涙が出て腹がよじれるほど久々笑った
お猿さんがまた演技の達人でビックリ仰天!
紙ふぶきのようにまかれるビラ。夢心地で手をひかれ、ビラが舞う中を歩いてゆく2人のラストはなんともいえない。

ピーター・セラーズも敵わない、今日までの素晴らしいボケ演技の数々のルーツはバスターからきているのではないだろうか?
そこはかとない大きな瞳のアンビバランスが魅力。こけおどしの人形みたいな動きは曲芸の猿に近い。
あのお猿さん、一応カメラから外れた目線でいるシーンがあったところを見ると調教師がそばで指示して何度も撮ったのかもしれないけど、
セーラーズファッションでまるで人間みたいな演技は不気味ですらある。
体を張った大スタントがキートン作品には必ず入っている。それもすましたままで1カットくらいで、すぐに済んじゃう使い方だけど、
そこが彼の偉大なところ。マフィア抗争のメチャメチャシーンも音が入っていたらどんなだろうと思ってしまう迫力あふれるシーン。

カメラマンとタイトルもズバリ、以前はあんな脚立のついた重いカメラを担いでいたんだね。
この素材を200%フルに生かして、考え付く限りのギャグ、小道具に効果バツグンに使っている。
劇場でこれを観た幸運な観客は男女ともみさかいなくゲラゲラ笑ったことだろう。
そして時にしんみりとして、ラストは幻想的。まさに大成功な逸品。

短編からしだいに長編へ。内容も伴って充実してくる。映画そのものの歩みも同時に体験できる
あくまで無声映画にこだわって、トーキーではヒトラーを皮肉ったチャップリン、
キートンはその後トーキーという大変革をどう受け止めたのだろう?
彼の伝記はないかな? 以前に「知ってるつもり?」でとりあげたのは見たんだけど、ビデオにとればよかったな。


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