メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.5~ part1)

2013-01-18 15:20:13 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は紺色のノートからご紹介。

  

photo1:基本形。
photo2:マドンナのMVを観て衝撃を受けたレポw
photo3:1994.5.6。母が会社の上司から柴犬をもらってきた!それがみーちゃん
    私はGWで帰省中のラストの日で、1晩仔犬と過ごしたけど一睡も出来なかったってゆう

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『嵐が丘』(1992)
監督:ピーター・コズミンスキー 出演:ジュリエット・ビノシュ ほか
映画化はこれまでも何度かあったけど、これはまさしく完全版だ。
ブロンテ本人らしき女性を登場させ、あれだけ複雑に入り組んだ、暗くなりがちな長編も
これほどロマンティックに、荒野にそびえ建つ館、吹き荒れる風、夜明けの壮大な自然の
美しさも随所に見せて、キャシー役のビノシュが中世のドラマを奥深く、激しく演じている。

ヒースクリフ役の男優は『ラスト・オブ・モヒカン』を思い出させる野性味あるルックスで、
全身全霊でキャシーを愛するが故の1つ1つのセリフは重く、難しい役を見事に演じている。
原作を読んだのは6年ほど前。読後はものすごいショックと感動を受けたことも
すっかり忘れていたけど、今回映画を観て改めて蘇った気がした。


『ミセス・ダウト』(1993)(劇場にて

監督:クリス・コロンバス 出演:ロビン・ウィリアムズ ほか
5月6日、観客10人ほどで観た今作。ありふれたコメディと思いきや、
アイデアは『トッツィ』と同じだけど、芸達者なロビンのコロコロ変わる七変化、
七不思議みたいな演技にとにかくビックリ
両親の離婚とその間で揺れる3人の子どもの心というハートフルな感動も交えて、
笑いすぎて泣いちゃうし、感動でも泣けてくる、期待以上の作品だった。

それもそのはず、メイク、衣装、カメラ、編集等々、すべてヒット作の製作スタッフが揃った、
ウィリアムズ夫妻経営のプロダクションの第1作目で気合いが入っている
アメリカで相変わらず増え続ける離婚問題、子どもたちはそれぞれの年齢で対処して、
親子愛は強くても、夫婦間の価値観の違いで別居せざるを得ない状況。
この大きな問題をコメディとして大いに楽しませながら、私たちに問いかけている。


『スコーキー』(1981)
監督:ハーバート・ワイズ 出演:ダニー・ケイ ほか
最近にわかにナチズム、ユダヤ人大虐殺の歴史を再考する主旨の番組が増えている気がする。
今作もナチズムに対する賛否両論一色の硬いもの。映画の娯楽性は望めないが、
あのダニー・ケイの'80年代の老齢な演技が観れるというひとつの理由だけが大いに興味をひいた。
ミュージカルじゃないし、どうして今作を選び、あすこまで真剣に役に入れ込んでいるのかは分からない。
かつての溌剌とした面影は去り、両足は軽やかなステップを踏むことはなかったが、
ガッシリした身体つき、力強い足運びはフツーのおじさんとは全然違う。

実話を基にした映画だが、同じユダヤ系でも、若い世代との考え方のギャップも浮き上がらせている。
過去の歴史の一部として葬り去られようとする中、ガス室の生き残り、家族を殺され、
強制重労働をして生き延びた者らが生き証人となって、
あの時代に一体何が行われたか、そして未来永劫二度と同じ事が繰り返されないよう、
今度は被害者としてガマンすることなく、言論の自由から決して許さないという叫びもある。
立ち上がって戦えるのだということを今作は語っている。
硬い作品だけど、それぞれの立場、意見をとりあげて、助演陣も訴えるものがある。


『レディ・プリズナー』(1986)
監督:トム・デ・シモーネ 出演:リンダ・キャロル ほか
根気よく作られ続け、影ながら根強い人気がある女囚もの。
とくに「木曜ゴールデン洋画劇場」は、女性映画評論家・木村奈保子さんの選別なのか、
女囚ものを逐次やっている。そのショッキングさと、妙にポルノ女優風ギャルばかりを
集めたセクシーさが売りだけど、同性としては前編は屈辱感、まさに女性が日々受けている
精神的、肉体的抑圧、ハラスメント、恐怖の縮図のようで共感、同情し、悪を憎み、
後編ではヒロインが勇ましく立ち向かい、見事に悪は打ち砕かれ、
女性らが解放を得るところに満足する―このあたりに人気の秘密がありそう。

今作ではヒロインのジェニファーが父親からの性的虐待を受けているという設定ほか、
救い出してくれる相手も男で、支配されなければならないという設定が悲しくて象徴的。
実際アメリカでも刑務所内での陰湿な暴行が起こっているであろうという現実味がある。


『アニメ短編傑作集』(1974~1987)
【木を植えた男】

監督:フレデリック・バック
児童書の棚に並んでいて、いつか読みたいと思っていたこのアカデミー短編賞受賞作品に
初めて接することできたことはとても幸運だった。
「人の手で森を創る」なんて思いもよらなかった。
森は自然条件のいいところで自然と出来上がるものと思っていた。
作者の友人が老人のことを「ずっと幸せでいられる方法を見つけたのだ」という。
人間のエゴとは逆に、この老人の無欲で純粋な夢が達成され、
それを自慢するわけでもなく、誰にも真実は分からないまま。その功績は神のみぞ知る。

無数の点の集まりで描かれている独特のタッチは、『スノーマン』とも似ている。
柔らかい色使いが主だが、人々が争う場面の赤、老人の力強い褐色の肌、
ちょっとのぞく青い空などの強調されるシーンが印象的。
いつでも回っているような画面はアニメの特性を利用してるのか、
神の眼の高さから見ている演出なのか、目が回りそうになってくる。
自然謳歌の心安らぐ感動の1作。


【クラック!】
監督:フレデリック・バック
うって変わってちょっとユニークな物語り。以前、物に感情を与えて擬人化した
CGの驚異の映像があったが、CGはリアルで立体的動きの迫力、
アニメは作者の丹念で、物凄い忍耐の上に出来あがってて素晴らしく、
人の手のあたたか味、人情味がそこにある。
ここにも、人工の工場や車 で自然が開発され、失われ、汚され、
人情も使い古せば捨てられてしまうというメッセージがこめられている。
物にも友人のような親しみを持つことがあるけれど、
彼らもちゃんとそれを分かっているんじゃないかな?


【TARATATA】
なにかの壮大なパレード。次々と出てくる華やかな出し物。
まるでシャガールの絵のように馬が空を飛んだりしている。
ストーリーのテーマはよく分からないが、メルヘンティックなアニメ。


【ILLUSION?】
良い意味でのプロパガンダ。自然を愛せよ、自然に勝る遊び場はない、喜びはない。
とくに子どもらの声にほんとに子どもを起用しているのがリアルで温かい。
きっと今都心に住む、まるでこの話の中のベルトコンベアの流れ作業に組み込まれて
死んだような子どもらのシーンのように暮らしている彼らは、
優しい母親のような太陽の下で、緑と自然の生命に囲まれた、
自由で幸福な暮らしをどれだけうらやむことだろうか。


【トゥ・リエン】
どの話よりも余分なセリフを一切省いた、音楽とパントマイム形式なのがイイ。
これはまた『天地創造』『人類創世』のようなスケールの大きい話。
SF物語りは、人々に便利で楽な生活を提供する未来図を描いたものだ。
より便利に、高速になるにつれ、空にはパイプ、ビル、電線がはびこってゆく。
そこに一体本質的な安らぎがあるだろうか?
ファッション等の文化は確かに人々の精神を高揚させ、幸福も与え得るけれど、
あるがままの緑、原生林、野生動物、自然にたちかえって、自然から恵みを受け取り、
また与えてゆくシンプルさを私たちはもう到底思い出せないでいる。

今回、ノルシュテインのインタビュー、バックが絵を描いているところなどが見れたのはとても貴重
彼自身、妻とともに山奥の1軒のロッジ(ほとんど周囲の自然に溶け込んでいる)で暮らし、
木を植えたり、野菜や花を栽培して静かに暮らしている様子。
自然を目の前にして、実際触れ合っていることが、絵に生命力、躍動感を吹き込んでいる。
かなりの老人だけど、2歳から絵を描き始め、フランスの画家の弟子につき、
自然や動物を描いたことが今につながっているという。
仲むつまじく夫婦で歩く姿や、そのポートレイトはほほえましい。


【話の話】
監督:ユーリ・ノルシュテイン
赤ん坊が無心で母の乳を吸っている。なんとも強烈な絵で始まる。
信じられないくらい静かに降り積もってゆく雪など。
この話を通して出てくる2本足で歩く、なんとも愛らしい灰色の犬の表情
犬が焚き火をして、熱くてフウフウいいながら食べる、
その声の入れ方がまた自然でいじらしくてリアリティあり。
全体に流れるかすれた古いメロディがなんともノスタルジックで幻想的。退廃的な魅力さえ醸し出している。
作者にとって自然から離れた、人工的な文化・生活は、退廃としか映らないのかもしれない。
アニメも立派なアートだなあ。


【霧に包まれたハリネズミ】
監督:ユーリ・ノルシュテイン
短いけれど、霧と夜の描写がとても幻想的。
時々、実際の川や、人形のハリネズミの映像(多分)が混ざって、話をよりリアルにしている。


【あおさぎと鶴】
監督:ユーリ・ノルシュテイン
ああ!途中で録画が切れて、これでおしまい。分かってたんだよ、最後まで録れてないだろうってことは!


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